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2006年3月 1日 (水)

いじめにおける派生嫌悪

いじめは「楽しいから」するという自発的なものというよりも「その場のノリ」という何らかの規範意識のもとになされるものである。


好意の照れ隠しや、残虐性からくる楽しみから、ある人を嫌いだと表明することはある。

しかし、私の経験からすると、それはせいぜい中学のはじめぐらいまでのことで、思春期に差し掛かると、むしろそういった理由ではなしに人を嫌うようになる。

このとき、相手の部分を否定することなく、または、相手の部分を否定しているように口ではいいながら、相手を全否定するという態度になる。

この嫌悪の心理的な動きは、他者の需要として、ある対象について自分に嫌悪することが求められていると考え、他者の仲間意識や関心を得るために、 「その対象を嫌悪する自分」というイデアを追及していると解釈できるのではないだろうか。

つまり、「対象が嫌い」なのではなく、「対象が嫌いだという(地位にいる)自分が好き」だと考える。
「他者」が自分の嫌悪を需要すると認識しているのだから、おそらく、その「他者」は何らかの理由のある嫌悪(たとえば嫉妬)などを対象に対して抱いているのかもしれない。これを原嫌悪と呼び、上のようなものを派生嫌悪と呼ぼう。原嫌悪ならば対象の事情によって消えうるものであるが、派生嫌悪は自分が他者が求めていると認識する限り、原嫌悪が消えていたとしても、決して対象が嫌悪から抜けるチャンスはない。


さらに派生嫌悪は原嫌悪よりもしばしば強い形を取る。

歳暮や中元など、相手の好意を得る、または、今ある好意を維持するために、自分が好意というか野心を持った記念として、物を贈ることがある。

このとき、贈る側は少なくとも相手の望む以下のものではないものを贈ろうとするため、相手が「十分だ」と思っている以上のものを実際には贈ろうとしてしまう傾向がある。

好意を得たい相手の感情が満たされるように行動するとき、人の行動は自分のやりたいことのために行動する以上に過剰になってしまうものである。

これを恋力とでも呼ぼう。


いじめに関して恋力が発揮されたとき、ある人の原嫌悪を満足させるために、少くともその人が十分だと思う以上のことをやろうとし、その人に好かれればいじめの対象への考慮は不要となる。

恋力の利用は需要の開拓には有用かもしれない。しかし、一端、需要超過になると、それを止めるには、その原因となる対象に働きかけるだけでは不十分で、需要全体に効果をおよぼす方法で作用しなければならない。

経済においては金利を上げ、労働者への分配を落とすのが一つの方法になるが、これをいじめに合わせて考えると、好意を得るための努力の価格を上げ、それを手に入れにくくするのが有効であると思われる。そのためには身近に好意の対象となっているものよりも、さらに良いものが遠いながらも買える近さにあると思わせると同時に、好意の対象となっていた者の価値を全体として減じることが、解答となるのではないだろうか。
更新: 01/04/04,01/09/10,01/10/22,06/03/01
初公開: 2006年03月01日 23:58:36
最新版: 2006年03月05日 12:32:17

2006-03-01 23:58:31 (JST) in 心と体, 教育 | | コメント (0) | トラックバック (0)

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