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2006年3月 8日 (水)

IT 革命とデフレ――自由主義的改革としての「ゆとり教育」

97年の危機をうけて、橋本総理から続く日本の自由主義的改革は、IT 革命の洗礼をうけた私のような者にとって、まさに時宜を得たものだった。革新的な技術が登場した以上、《「結果」の平等、「機会」の平等》に書いたように「努力」に重きをおかない自由主義的価値観への転換は必要不可欠だと思っていたからだ。

しかし、同時にはじまったデフレとの闘いの中に置かれることで、圧迫のために「自由」を発揮するのが難しくなったものがある。

その一つが 1999 年の学習指導要領改正、2002 年実施の悪評高い「ゆとり教育」である。

ゆとり教育が受験戦争にかまびすしい 80 年代でなく、今、自民政権で行なわれたのは、それが社会主義的な詰め込み教育への批判だけをうけたものでないことを示している。
競争を重視する自由主義的立場からの「ゆとり教育」は「ゆとり」を子供に与えることを目的としない。むしろ「ゆとり」を先生に与えると同時に、子供を家にはりつけることで家庭における教育を重視する。

そのことにより、先生自身が新しい技術を「学ぶ」機会を増やして個性的な教師を作り、家それぞれの教育により先端的技術に触れる親しか持たない「何か」を子供に与える。

新しい技術に対応した教育とは何かが見えない以上、その部分においては自由に競争させて測ってみるしかない。

少なくとも私はそう考えて「ゆとり教育」の主旨には賛同していた。

しかし、この立場にすれば肝心な大人の側がデフレにより「自由」な行動がとれなくなった。

サービス残業によって時間がなくなる親がいる一方で、失業による家庭崩壊がおきた。すなわち、地域や家族の一員として行動する時間がなくなる一方で、親を子供の目標となりがたくしてしまった。

本来なら影響を受けなさそうな教師も自由でなくなった。公務員改革による圧力と、危機時に現れる安易な右傾化が、歴史的な事情で左派が多い教師の選択肢を奪ってしまった。


国の海外債務がたまって個々の商品の国際競争力を付けるために労働集約型産業へ再シフトする必要があるのに、民間の海外からの過大な利子収入など何らかの事情で円高が続く異常事態が生じていたなら、一部で「サービス残業」により時間割の労動コストの低下を先取りする必要もあったのかもしれない。

しかし、単に金融緩和により資金が大量に海外に流れ、半製品の輸入などを増やさなければ投資の回収ができないだけで国全体の国際競争力は維持されており、国内では過去債務の圧縮による投資不足が生じて、強制的に労働集約が起きているというならば、サービス残業を放置するのは、デフレを加速させる効果しかない。

サービス残業に無策だったことが失われた十数年の大きな失敗だ。本来なら左派的と言われても残業に課税して、労働と国税の両側から締め上げておくべきだったのだ。……と思う。ただし、これは失業者のひがみに過ぎないのかもしれない。


更新: 06/03/08
初公開: 2006年03月08日 14:10:13
最新版: 2006年11月07日 19:11:05

2006-03-08 14:10:06 (JST) in 情報工学・コンピュータ科学, 経済・政治・国際 | | コメント (2) | トラックバック (3)

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コメント

更新:参考に《Wikipedia:自由主義》を足した。

投稿: JRF | 2006-11-07 19:18:43 (JST)

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投稿: Seth | 2007-05-15 20:51:38 (JST)

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