七支刀って剣?
日本経済新聞(平成18年3月17日朝刊)の文化面に七支刀を鋳造によって復元するって話が載ってた。
刀剣によく使われる鍛造ではなく、鋳造ってところからピンと来た。そういや七支刀に柄がついているのを見たことがない。ひょっとして、七支刀ってのは「剣」じゃなくて「槍」みたいに長い柄が付いていたんじゃないか……と。
で、ググって見ると七支刀は石上神宮に「六叉の鉾」の名で伝世されてきたらしい。
そうだよな。いくら祭具といっても、あんなにトゲトゲしてたんじゃ剣としては使えない。(だからこそ神秘的なんだとも言えるけど。)でも鉾だったとしたらあの形もアリだ。
槍ってのは刺し貫くイメージが強いけど、入り乱れた戦場においていちいち貫いていたら、引き抜く間に敵に近付かれちゃうんだよね。だから槍ってのは殴ったり、薙ぎ払ったり、突くときも貫いてもらっちゃダメで、敵を押し戻してくれないと困る。この辺りはファンタジーや時代物の 3D アクションゲームをやったことがある人はよくわかるかもしれない。
だから実用されていた「槍」というか戟とか鉾ってのは、変な形をしていることがままある。先が三叉とか三日月型とかね。
切るんじゃなくて殴るんだから刃は必要ない。長い間合から殴るんだから金属部分は長いほうが当てやすい。突いたときは貫かないようにカエシには横幅も必要だけど、あまり横幅があると引っこめるときにジャマになる。相手に鉾を持つ者があり、自分には剣の援護が期待できるなら、長いリーチで相手を直接突くよりも、鉤で相手の柄や切先をとらえて自由を奪えるほうがいい。
そう考えると、七支「刀」ってけっこう実用的だったのかも。もちろん、使ったことないんで確証はない。
3D 版悪魔城ドラキュラ最新作にも七支刀が出てくるけど、やっぱりカタナ扱いなんだよね……。合成するときに最後でヤリを使うとかあるかもって Wiki をチェックしてみたけど、剣の合成のみか。HP 吸う闇属性の剣ってことになってたんだけど、合成する材料を手に入れるのが難しいんで、ほとんどコレクターズアイテムだったんだよな。私がゲーム、ヘタなだけかもしれないけど。
参考 | |
『人はなぜ戦うのか 考古学からみた戦争』 (松木武彦, 講談社選書メチエ 213, 2001年)
|
|
記事投稿時と同時期の「七支刀」に関するブログ記事 | |
更新: | 2006-03-17 |
初公開: | 2006年03月17日 16:17:20 |
最新版: | 2006年03月23日 23:03:23 |
2006-03-17 16:17:19 (JST) in ゲーム 歴史 | 固定リンク | コメント (1) | トラックバック (1)
トラックバック
他サイトなどからこの記事に自薦された関連記事(トラックバック)の一覧です。
» JRF の私見:雑記:七支刀って剣? (この記事)
» 七支刀って剣? その2 ― 鑓と鉾の違い from JRF の私見:雑記
《先の記事》に松裕堂様から「七支刀が鑓(槍)や鉾(矛)の刀身として造られたってせんは、おそらくないと思われます」とのコメントをいただきました。 「なるほど」とは思ったのですが、そこで納得してしまってはおもしろくないですので、少し食い下がってみることにしました。 ... 続きを読む
受信: 2006-03-24 15:03:03 (JST)
コメント
どうも、JRFさん、はじめまして、TBありがとうございます。
JRFさんのブログを読んでいましたら、一寸武器談義がしたくなりましたので、コメントを(笑)。
>「槍」みたいに長い柄が付いていたんじゃないか
所謂「鑓(槍)」と「鉾」の違いは、柄に対する装着方法の違いなので、七支刀の形状からすると、七支刀が鑓や鉾の刀身として造られたってせんは、おそらくないと思われます。
鑓は茎を柄におさめるタイプのモノをいい、鉾は柄に接続部分をソケットのようにかぶせるタイプのモノをいうんだそうです。
んで、この定義からいうと、日本に鑓が登場したのは中世以降のことになるので、年代からいって七支刀も当然「鑓」として造られうるハズがないことになりますし、また茎の部分がソケット状にはなっていない以上、鉾という線もおそらくなさそうな感じ。
ちなみに余談ですが、鑓という定義を厳密に解釈していくと「そもそも鑓という武器は日本独特の武器」なんていう意見もあったりするようです。
投稿: 松裕堂 | 2006-03-24 10:06:41 (JST)