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2006年3月21日 (火)

呪術的オブジェクト指向用語訳

ハッカーのことを中国語では黒客(hei ke)と書くのだそうな。日本語的には湯桶よみになるけど、ハッカーは灰客、クラッカーは黒客としたほうがイイ感じなんだよね。

中国語でオブジェクト指向プログラミング言語って面向対象的程序設計語言になるそうだが、この用語訳じゃオブジェクト指向を説明するのにあまりイメージがわいてこない。

私は宗教学が好きで、《宗教と動機付け》にあるのは今のところキリスト教と仏教のハナシばっかだけど、やはり、中国思想や日本神道にも興味がある。

しかも、《フィギュア写真》のカテゴリでわかるように人形大好き。球体関節人形の写真によくあるエゲツない感じももちろん好きで、さらに《フィギュア写真》のようにそれをよりシンボリックな方向にもっていった感じが好みだったりするのよ。

で、そういう私からすると、オブジェクト指向ってのは、なんかこう人形っつーか人型操ってドーコーする、陰陽師とかパペットマスターとかネクロマンサーなイメージなわけ。

ってことで今回、オブジェクト指向の用語を呪術的な漢字にあてはめてみた。
まず、プログラムそのものから

program 動譜
source 走譜
source code 譜面


これは楽譜のイメージで走譜・動譜を使うということです。動譜と走譜がほとんど同じような意味に見えるのは、実際、program と source が同じ文脈で使われることがあるためです。source の音に似せて走譜を選びましたが、プログラムを走らせるとはいいますが、ソースを走らせるとはあまり言いませんので、「走譜を走らせる」という二つの漢字が重なるマズイ用法がなくなるのでちょうどいいと思います。



ソースをコンパイルしプログラムを実行する。
走譜を結び、動譜を走らせる。


プログラミングの基本的な用語から

function 能符
variable
value
data
argument 供具
関数名 能符号
変数名 尸号


能符は音符のイメージです。ただの「能」ではなく「符」がついているのは、あくまでも機「能」そのものではなく、呪術的に「何か」を文字に押し込めたものって感じです。

尸は「しかばね」または「かたしろ」という訓を持つ漢字です。何かがそこに入ることによってはじめて意味を持つが、術者たるプログラマはそこに入るものが何か問うことをせずとも、かたしろをかたしろのまま扱いながら、動きを操ることができる、というイメージです。

詛は「呪詛」から「呪」をとりのぞいたものです。「詛」にも呪いという意味がありますが、誓いという意味もあります。ここでは単純にことばという意味で使ってますが、何といっても「尸」に入れるわけですから「詛」ぐらいアヤしい言葉のほうがいいでしょう。

「データ」は非常に軽い意味しか持たないので、「具」をあてました。「具」は、むしろ goods なんでしょうけど呪術的にすると data はだいたいそれぐらいの意味になると思います。引数はまさに神のようなモノに与えるわけですから、「供える具」としました。

呪術において名を知ることはすべてを知ることです。これをプログラムにあてはめると、むしろ「名」は定義に近い感じでしょう。そこで「よびな」という訓の「号」をかわりにあてています。



変数 v1 を引数にして関数 f1 を呼び出し、得られた値を変数名として使う。
尸 v1 を供して能符 f1 を誦じ、反(かえ)された詛を尸号に封じる。



構造化やポインタなどに関して

array
list
structure
namespace
pointer


列はそのまま。array は同じモノが「列」をなし、list は何か違うものがブラ下がっていることがあるということで形を重視して「冊」。後ろのほうを読むと ray と列、st と冊ということで音的にもいい感じ。

「構造体」といっても、今から見るとそれほど構造っぽくないんですよね。コールバックの引数をまとめるだけに使ったりね。列や冊ほど連らなっているというイメージがうすく、むしろ何かの「塊」だということでこの字をあてました。塊という字はオブジェクトを作る前の段階って感じと、乱暴に扱っても何とかなるっていう原始的な感じがよく出ていると思います。

竹に名を連ねていき、以って生殺与奪を管理する。namespace は「籍」しかないでしょう。

ポインタってのは問い合わせるとその位置がわかる、そういうことを知っているモノってことで「史」にしました。役人の意である「吏」に近いけどより何かを示すための者の意を含んでいるということです。「史」の訓としては「ふびと」があり、元は歴史官というよりも「巫人」、天文なども扱う官の意でした。



namespace N1 上の変数 v1 はリスト構造を持つ構造体の列へのポインタを格納している。
籍 N1 に列せれた尸 v1 は有冊性塊列の史を詛として遊(すさ)ぶ。



型とか修飾子に関して

type
constant
meta
static 符命
dynamic 誦命
local 局譜
global 全譜


「型」と訳すと生きた感じがしない。生物学とかでも使う「目」のほうがイイ。 Type ってのはちょっと引いた感じがあって、高階論理の主役の概念だから上から見るという意があるほうがイイ。さらに形としてモノリスっぽいところもイイ。ってことで「目」にしました。

「たくさんの事実があっても真実は一つ」っていうけど、ホントは事実が一つでそれをたくさんの人が自分の真実としてとらえてるんですよね。「事」には、それはもう決まってしまって読み出すしかないという意がピッタリだと思う。「事」はクジを持つ手からできた表意文字ってことでそれっぽいし、訓では「こと」ですから音もあってるし、「ジ」という発音も音的に固まったような印象を受けるのでこうしました。

メタが「几」(つくえ)というのはムリヤリ感があると思うけど、「鳳」に用いられている神を表す「風」の意も兼ねていると言えばわかっていただけるか。形としても原始的で、それでいて「つくえ」という意からくる「何かに立脚してるんだけど上にある」というイメージが良くてこうしました。

static と dynamic については関数などの寿命との関連でわかれるわけですから、能符がある間の命ということで「符命」、能符が使われる=能符が誦される(そらんじられる)間の命ということで「誦命」としました。

local と global は言語によって異りますが、実行時というよりも、記述時の構造に基づくスコープになることが多いと思います。そこで、譜に関するものですから局譜と全譜にしました。

あと internal と external は普通に内と外で良いでしょう。



char 型の dynamic で local な変数 v1 に constant 変数 v2 の値を代入する。
char と目する局譜誦命尸 v1 に事尸 v2 の詛を写さしめる。



オブジェクト指向に関して

object 依代(よりしろ)
method 令詞(のりと)
class 偽魄


オブジェクトは基本的には値として用いられます。そして、共通のメソッド名が用いられながら、その値のクラスに依存した関数が実行されます。しかし、プログラマはこのようにしてオブジェクトを使うときは、クラスに依存しているのではなく、値であるオブジェクトに依存していると考えるものです。

クラスはオブジェクトの型であると同時にオブジェクトの動きをすべて規定します。我々がメソッドを与えていると思っているオブジェクトは実はデータの「塊」に過ぎず、そのメソッドに基づき「召喚」されたクラスが、その「塊」を操作しているわけです。

さて、「魂魄」という言葉があります。魂も魄も共に「たましい」と訓じられるのですが、そもそもはよく似た別の意味を持ち、魂は「精神の働き」、魄は「生命的活力」ともいうべきものとされます。

我々があるクラスでメソッドを定義するとき、オブジェクトに「魂」を与えようとしていると考えると、そのオブジェクトの動きを規定するのが別のクラスになるわけですから、ちょうど「魄」として見えるのがクラスだという解釈をここではとることにします。

これまでのプログラミングの呪術的理解では、言ってみれば、電子の血肉を持つものに魂を与えようとしていたが、あくまで、そこに「生」はなかった。我々はあくまで魂の動きを記述することしかできないのに、あえてそこに「生」を見出だし、あたかも魄があるかのように記述せんとしてできた技法が、オブジェクト指向である。……という解釈をとり、クラスを「偽魄」としました。

コンピュータの魂をいくら操ってもホンモノの生は産めないが、魂によって魄をエミュレートし、生きてるフリをさせることはできる、と言えばイメージしやすいか。

再び、オブジェクトは値です。しかし、実装は構造体へのポインタになり、構造体は変数を含みます。いってみれば、オブジェクトは詛でありながら尸の性質を持っています。さらに、そこにはエミュレートされた「生」があるため「しかばね」という意味が脱却されます。よって、何かが入れるためだけの物というよりも働きかけて動かすためのモノとして「依代」という言葉をあてました。

「令詞」には言葉の力によって動かすとしても、「理解」のようなモノが依代にはある(ように見える)という考えです。



オブジェクト o1 のメソッドを使うとき、クラス C1 の定義が参照される。
依代 o1 に令詞をあげれば、偽魄 C1 が応じてその名に命ずる。


最後に「オブジェクト指向プログラミング言語」をなんと呼ぶべきか。上で見たように「プログラミング言語」の段階ですでに「呪法」と呼ぶべきものになっています。さらに上の用語法では「オブジェクト」というよりは「クラス」のほうが印象的ですから、「偽魄呪法」ということでいかがでしょう?


追記 (2006-03-26)


檜山正幸のキマイラ飼育記:合理性と非合理性》および《はてなブックマーク:186@b》のエントリのおかげで、「プログラム」についてはすでに「算譜」という訳があることを知りました。

この記事は一般的な訳語を目指しているのではなく、私がオブジェクト指向に持っていた感想を「お遊び」で書いたものです。そういう私が、あえて「算譜」と「動譜」を比べると、「算譜」は副作用のないプログラムや証明を記述するためのプログラムというイメージがします。

「算譜」をググッていると、「算譜」の訳者と思われる筧捷彦先生の用語集(別の方が作っています)と、オブジェクト指向に限らずコンピュータ用語その他の訳をしているサイトを見つけました。

……まぁ、呪術において「あそび」は侮れないものだったりするんですけどね。:-)

更新: ??/??/??,01/04/16,05/03/19,2006-03-21,2006-03-26
初公開: 2006年03月21日 11:14:17
最新版: 2006年04月04日 14:34:27

2006-03-21 11:14:12 (JST) in ゲーム, 情報工学・コンピュータ科学, 日本語論 | | コメント (0) | トラックバック (4)

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