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2006年8月24日 (木)

絶対性

絶対的な真理でないことの可能性を示すのは簡単だが、それを信じる者はそのような可能性を自動的に排除していくのがしばしばである。
ルービン回顧録』を読みました。その第二章でルービン氏の「証明可能な絶対的なものはない」を言い換えた「すべてが不確実である」という主張に対し、グリーンスパン氏が「不確実」そのものを確実と言っているという点で矛盾していると反論されたのに対し、それ自身が証明でないのだから「証明可能な確実なものはない」と再反論します。

私はグリーンスパン氏と同じ意見です。ある仮説の矛盾が導き出されているのですから、人が日常的に使う論理ではその否定が真という証明が得られているわけです。すなわち「証明可能な確実なものは存在する」。

(ちなみにこれと似たものとして、高階論理においては、「「すべて成り立つ」ことはない」ことを「真」の定義としてたりします。どっちかっていうと「すべて成り立つ」ことを矛盾または「偽」の定義としているのですが。)


定義や公理から正しい方法で導かれた定理は絶対的に真理といえるでしょう。定理を導く際のことを考えると、その定義や公理がある上での「相対的」真理ではないかと思う人もあるかもしれませんが、記号(的)論理ではそれを公理などと同じ真理であるとみなします。

我々は公理などは絶対的なものとして扱い、定理もまた同じ扱いです。トートロジーや、「ユークリッド空間では平行な二直線は交わらない」というのは「絶対的」真理です。


ただ、我々は「絶対」という言葉を学問で使うのは「絶対値」や「絶対零度」のようなもので、普通、真理を「絶対」という言葉で修飾しません。

真理に対して「絶対」という言葉は統計や体験などが関係しなければ使わないものなのかもしれません。「絶対」という言葉を使うモードでは、自動的に統計や体験などとの関係が仮定されるのかもしれません。

そうであったとしても「絶対的真理」はありえます。それは個人が事実として観測したものをその者が「絶対だ」と述べ、我々がそれを反駁しようがない場合です。

例えば、リンゴとリンゴ園で撮った写真を見せ、これは絶対同じものだと主張する者がいたとき、我々はそれをいくらでも疑うことができます。写真の偽造を疑ったり、写真の日付を疑ったり。しかし、そうして本人を反駁しても益ある結果は得られないでしょう。そして、彼はその二つがそろえばそのリンゴがそのリンゴ園から取られたと証明できていると思い込み、体験によって自らに対しては十分な証明ができているのです。


概念の中では証明可能なものばかりで作った絶対的真理があります。むしろ証明可能という点では、日常的「真理」でないことを証明可能でないこと、すなわち、反駁可能でないことはいくらでもあります。コスト面からもそういうことがありますよね。しかし、当人は体験によって「証明」を得ているでしょう。

だまされてる感じがしますか?こう言えば納得していただけるでしょうか?

ある人の「絶対的真理」は相対的に否定できても、絶対的に否定できないことがあります。でも、それはそれを基に将来を「絶対に予測」できるようなものではなく、忘却により本人にすら曖昧になっていくものです。それが「絶対」であるのは事実の性質によるのではなく、その人のガンコさにむしろ関係しているでしょう。

日常にも意味のある「絶対性」を求めるなら、その程度の「絶対性」で満足しなければならないのではないか、と私は思うのです。

誰かと共有する事実は同じものでも互いに相対的な見方を生じます。相手の主観においても「絶対」に同じだといえることは、尋ねる人が増えるごとに無くなっていきます。結局、「絶対」というのは主観に強く拘束されるべきものではないでしょうか。

概念からサカノボっても
期待したような絶対性を知ることはないかもしれない。

でも我々は絶対と呼ぶに十分な真理の獲得を
日々体験し学んでいる。



参考
「絶対性」ではないですが、「必然性」や「可能性」を扱う様相論理というものがあります。私は詳しくないですが、他の記号論理の入門も含めて『情報科学における論理』(小野寛晰, 日本評論社, 1994)が参考になるかもしれません。

最後、ちょっとアリストテレス的になっちゃったかな?
更新: 2006-08-18,2006-08-20
初公開: 2006年08月24日 14:32:44
最新版: 2006年08月24日 14:32:44

2006-08-24 14:32:45 (JST) in ストーリー, 論理学 | | コメント (0) | トラックバック (1)

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