真理の前には自由者も束縛される
N を自然数の集合とする。任意の x ∈ N について x < Y なる Y ∈ N、すなわち
Y ∈ N ∧ (∀x. x ∈ N → x < Y)
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なる式を満たすように自由変数 Y に代入をすることはできない。Y ∈ N だけを満たすのは 1 でも 2 でも可能である。しかし、特定の n ∈ N が任意の x について x < n とすると n + 1 ∈ N についても n + 1 < n となり矛盾する。Y に代入できるような n は存在しない。上式を仮定すると矛盾が導けるということだ。すなわち、
¬(∃Y. Y ∈ N ∧(∀x. x ∈ N → x < Y))。
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最初の式において x は Y を束縛しているわけではない。あえていえば、式が真でなければならないという条件が、Y を束縛するわけだ。
しかし、Y を少し変えた
Y ∈ N→N ∧ (∀x. x ∈ N → x < Y(x))
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なる式を満たすような自由変数 Y (関数をとる変数)への代入は無数にあり、たとえば Y = (λz. z + 1) などにすれば良い。すなわち、
(∃Y. Y ∈ N→N ∧(∀x. x ∈ N → x < Y(x)))。
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まとめよう。なんつーか。こういうまとめかたすると害悪のほうが大きいのだが、過去の私のように、数学(ラムダ計算)を学び一般に「自由」を「束縛がないこと」と捉えてしまっている者の更なる1ステップのために言ってしまおう。
目に見える束縛(x)からの自由者(Y)であっても自由でないことは多い。だが希望を捨てるべきではない。目に見える束縛(x)を「読める」ような高階の自由者(Y(x))は真理という「束縛」にも、より自由となる。
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参考
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更新: | 2007-09-24 |
初公開: | 2007年09月24日 18:20:32 |
最新版: | 2007年11月23日 15:49:18 |
2007-09-24 18:20:06 (JST) in 論理学 教育 ストーリー | 固定リンク | コメント (1) | トラックバック (0)
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更新:オススメのリンクを足した。
投稿: JRF | 2007-11-23 15:50:19 (JST)