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技術系電子本。Python による仏教社会シミュレーション( https://github.com/JRF-2018/simbd )の哲学的解説です。

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2012年5月 1日 (火)

ブログアーカイブの電子書籍の利用許諾(案)

現在、このブログサイトを電子「辞書」化し販売することを検討している。ただし、このブログは無料公開を存続させるため、新しく創られた会社がそれを販売する形にして、仮に会社に何かがあっても、個人の私がブログそのものを続け無料で読めるよう、逆に私に何かあっても、データの譲渡・貸出という形で読める可能性が高まるよう考えている。

ちなみに、電子「辞書」化とは、辞書のような検索インデックスの付いたアーカイブにすることを意味し、無料でブログは公開しつづける以上、、作品を読めるというより検索がローカルでもできることの利便性に主に商品性を見出していただくモデルになる。敢えて挙げるなら、私という著者からライセンスを取得する作業を行ったことも商品性に含めることができるかもしれない。これは著作権法の歴史から見れば、情報そのものに権利はないという建前の本来の「コピーライト」に近いモデルだとご理解いただけるのではないか。

これまでのアクセス解析から、住民税均等割(現在7万円)以上を稼ぐのは難しく、赤字になるのはほぼ確実となる。どうせ赤字になるのだからということで、これまでの「勉強」の成果を活かし、実験的な「利用許諾」を付して販売しようかと目ろんでいる。

ただ、計画中どころか下準備の段階で、肝心の変換スクリプトさえ書いていない。このまま立ち消えになる可能性もあり、そうすると、以前、集大成的な記事を書こうとして挫折しお蔵入りにしてしまったように、考えかけた「利用許諾」もいっしょにお蔵入りになって、何かの折につじつま合わせに困って《ひとこと》で小出しに発表しちゃうようなみっともないことを、またしてしまうかもしれない。

それはもったいない。むしろ景気付けにババーンと公開してしまったほうが、あとで退路に気をもんだとしても荷が軽くなっていい。そういう「気合い」で、不完全は承知で、先にそれを紹介することにした。

だから、まずいきなり案を書く。


利用許諾(案)


非独占性

本電版も、ブログサイトに書かれた JRF の許諾の例外ではなく、独占契約に依らない。同等以上の利便性を他者が安価に提供する可能性がある。

ただし、本データも著作権に基づき、他者が本データの所有権の財産性を毀損する場合、報酬請求権を、本許諾と同様、信義誠実に行使しうるとする。



所有の等価性

一個の所有権につき一個人に貸し出しがなされていることが信頼できる場合、財産性を毀損するとは見なさない。譲渡のためになされる複製やアップロードも信用に基づく限り、ただちに財産性を毀損するとは見なさない。その信頼・信用のためには身分相応の管理を求めるが、所有そのものに関してはいかなる個人・企業・団体であっても負担・権利を差別しない。

いかなる個人・企業・団体も、自己貸し出しは複製に依ることができる。



広告料の制限

報酬請求権に関し、明示のない代位はない。ただし、広告主の責を負わないアフィリエイトに関してはこの限りではない。



所有権の回復

所有権に基づき貸し出しをする者は、データを保持できる。貸し出しの時効は一年とし、それを超えて未返却であっても、完全な一個の所有権が回復する。

最新の年版を持つ者の所有権は、それまでの年版の過去の利用に遡及する。ある年版の所有権を持つ者は、それより過去の年版にあって削除された部分についても所有権を有する。

一個の所有権を持つ者が、もう一個の所有権を得た場合、新しいほうの年版の所有権を二個持っているとして貸し出しが行える。



隷属使用の解放

借り入れた者が、その年版の所有権を持っていることを知れば、返却があったとみなさねばならない。七年より前の年版の所有権を持つものは、七年前に、それ一個につき一個の最新の年版の所有権を得たものとみなす。

最新の年版を持った者のその年版の次の年版の発行日以前(その年版の発行日以前も含む)の貸し出しの利用の報告は猶予される。年版の著作者はその収録物についてこれを認める。猶予を求める場合は、貸付者に所有を報告するか公示せねばならない。なお、それら報告・公示のうち期限の利益を失ったものは免除される。

所有権を保った複製の滅失は、貸し出しまたは複製の回復を受ける可能性を残してあれば、所有の報告または公示ができる。



注記

問題のある表現があるかもしれませんが、アーカイブ性を重視してそのままにしてあります。

フィギュア写真など他者の著作物が主となる物は、「写り込み」として縮小版のみの掲載に留めています。

当アーカイブは、JRF が提供するデータに基づいていて、nifty 等に代わり第三者の確定日付等の証明を提供するものではありません。

強制力のある18禁の判断については、JRF がそう書いていた部分についても、客観的基準に照らせば該当する部分はありませんでした。一方、自主規制でしかない15歳(14歳)以上という指定は、JRF の意志を尊重し、15歳未満版と無制限版を同梱し、15歳以上という指定で販売しております。
逐条解説の前に


ビジネスモデルのタネ明かしを先に少ししよう。

例えば、毎期更新したのを買ってもらえることを前提に、3500 円を基本価格とし、更新後 3ヶ月たてば情報が古くなったとして 3000 円にする。そして、一年後ぐらいに更新して、また、3500 円にする。ただし、初回に関しては特別セールということで、2500 円で売り出す。…といったことをしたい。

現在検討しているベクター社のプロレジではそういう細かい価格操作が難しいので、3000円で固定するだけになるかもしれないが、毎年、出版日の何週間か前のデータをアーカイブし、前の年版のデータを含んで、前の年版を上書きする形で買って使ってもらうことを前提とする。

当然、更新が活発な年もあればそうでない年もある。重要なのはむしろ活発でないときに値段を上げ(または維持し)、それを著者の格が上がったとすること。当然の売上げ減により、逆に出版者(たる私)は著者に(金銭的とは限らない)利益をより多く回すことで(私の)モチベーションを保ってもらう。

そして、上の規約の効果だが、私が死ぬなどしてブログの更新が止まれば年版の更新も当然止まる。「毎年買ってもらうのが前提」ということは買い続けた者は、複数個の所有権(貸し出し権を含む)を所持していくことになるが、更新が止まれば、その増加もなくなるということになる。そうなった後でも、最後の「最新版」の価格を操作することは排除されない。無料のブログのほうが、残るほうが自分が作った電版を使えて便利な者も多いかもしれない。出版側とサイト側の両者のかけひきで財産性を表出しようというのが、この商売のカラクリとなる。


非独占性


ここについては上までで説明してきたとおり、無料で公開しつづけていますよというのが核なわけだが、二つ重要なキーワードがある。「報酬請求権」と「信義誠実」である。

「報酬請求権」化は、《デジタル著作権の報酬請求権化に向けて》で書いた紙幣のための出版技術の独占性の必要がなくなったことを受けての方向性である。ただし、紙幣に替わって独占性が必要かもしれないものとして私は [cocolog:72139046] にも書いたような「時間記録デバイス」を提案していることを注記しておく。これがこの規約のその他の部分の電子データに「譲渡」が成り立つだろうという確信につながっている。

正直なところ私は決して知的財産権の利用に関しマッシロな人間ではない。《フィギュアの写真の著作権に対する見解》に書いたように、グレーなことに挑戦するのはむしろ市民の義務でもあるのではないかというほどの人間だ。「信義誠実」という言葉には、実はそういったニュアンスもこめた。


所有の等価性


最近、違法ダウンロードに刑を課す議論がかまびすしい。もちろん、統制側の逸脱にかなり注意する必要があるが、私は、[cocolog:72040158] にもチラと書いたとおり、いろいろ厳しい要件を付せばそれはやって良いのではないかと思っている。その替わり、アップロードの規制をもう少し緩くして、例えば、未成年者がネットを通じて譲渡するときに最も簡便な方法を選んだとしても罪にならないようにして欲しい。

それは、《違法サイトからのダウンロード違法化に「反対」する》で出した「身分相応な管理」を求める方向でもある。

もちろん、これでも憲法が求める自由経済の平等に反する考え方だと私は思う。だからこそ、その補償に何か決めることができないかと考えたときに浮かんだのが、過剰な自己卑下を求めないこと、自己貸し出しの複製を自由とすることだった。そこにも変に流出しないような「身分相応の管理」は求めるが、「自己」が所有してるはずの「情報」を複製できないほどの管理までは求めないとした。


広告料の制限


ゆすりの手段として無権代理というのがよくあるというか、まぁ、それがゆすりの本質だろう。

ただ、アフィリエイトが普通にあるネット社会は特殊な面もあって、人様の商品の紹介を書いて人を集め、それをアフィリエイトで勝手に現金化するのが合法とみなされているふしがある。

厄介なのは「商品」がデータであるような場合で、例えば、違法にアップロードされたアニメ作品のリンクを貼って紹介し、そこをアフィリエイトで現金化するといったふうになり、著者はそれに道義的に怒るかもしれないが、もし、それでアニメの関連商品が売れているとなれば、著者にも利益があるということになる。

難しいが、裏社会に現金が回ると見建てれば、課税の問題などにはなってくる。私は [cocolog:71871178] で「広告免許」や「広告登記」が必要ではないかと言い出しているが、「広告料の制限」の規約は、そこへちょっと対応してお茶をにごした形である。


所有権の回復


貸し出しにも「営利利用」を排除しない。むしろそこに所有の利があるという構成になっている。なぜ人は貸し出しをすることに金銭的な利を見出すかというと、[aboutme:105942] で述べたような貸出アフィリエイトができたりするからである。

一方、どうして借り入れる人間が DRM のようなものを受け容れるかというと、難しい。その「ひとこと」に書いた「空欄補充権」を売るときに、正規の履歴データを高く買ってもらえるからといったことになるか。または、 [aboutme:35255] で述べたメタ情報への補助金を得るには、貸し出しのメタデータを正規に付ける必要があるとなるか。いずれにしろ「正規のプログラム」が要るとなるのが難しい。プログラムの自由を守る限りは。

私は、プログラムの自由を守って欲しいので、この貸し出しをそれほど強い権利にせず、1年で回復するものにしている。

この「1年」という数字は、《無コピーの占有デジタルコピーの譲渡の自由:記録保全主義》から来ている。この記事は読める印象とは逆に、1年経たねば無コピーの(パスワードロック付きの)デジタルコピーの譲渡も公正ではないかもしれないとすることで、P2P を封じる面もあったかもしれない。今回は、それを著作者の側から見ている。


隷属使用の解放


「隷属使用」とはものものしい言い方だが、『旧約聖書』の奴隷解放規程などにインスパイアされたのがこの条項である。

中国の「金盾」が情報統制としてはともかく政治的には有効なものと認識され、「自由社会」では内部統制がしかれている現状、ここで、貸し出しの利用を認めるということは、すなわち、「正規取得」が難しい存在をみるということだろう。

これは上の他の条項よりもさらに想像的な規約で、聖書的なビジョンがなければきっと思い付くことはなかったものだ。

「正規取得」を制限された者が、捨てられていたゴミのように七年以上前の年版の所有権を手に入れ、偶然にでも、それが公示されたなら、自由のキッカケをつかめる。そういう規定があることで、ブログで何かを公示しつづけることにインセンティブが出るかもしれない。

……まぁ、そんな風に妄想しながら書いた部分で、逆に、隷属をもたらすキッカケとならないよう、隷属を被る者がいても七年もすれば「許される」よう、意思表示したつもりである。


注記について


規約と違い「第三者」向けの言い訳が、この注記になる。ここは書いてある通りだが、わかりにくいのが、「証明を提供するものではない」という部分か。

これは、つまり、特許等、著作権以外についてほとんど何も考えてないのが私は気になっていて、パテントトロールが自動的に年金を構成してくれる…と考えるのもおかしいだろうし、私が「パブリックドメイン」でバーンと書いちゃったが故に可能性が奪われた者に何か配慮できないか?と考えたとき、ある方の特許出願日の記事を思い出して、日付けの部分に隙があるかと見てこういう「余計な」注記をすることとなった。


おわりに


もちろん、上の規約を自分の電子書籍の規約に流用したいという奇特な方がいるなら歓迎する。

ただ、正直、上の「逐条解説」を読んでも意味不明だと思う。私はずっと著作権まわりに関して《ひとこと》しつづけていて、それを知ってるみたいな前提をつい置いてしまう。アクセス解析からして、読んでる人は少ないとわかってるはずなのに、ネットをやってるとシンクロニシティみたいなのがよくあって、そこに甘えてしまう自分がいる。

その「解説」すらない生の「利用許諾」を読んで、理解するというか、精神の正常な者が書いた有効な規約と受け取ることすら合理的に期待できるかあやしいが、とにかく赤字を覚悟したがゆえの「実験」として、これから実現に向けて少し踏ん張っていきたい。
更新: 2012-05-01
初公開: 2012年05月01日 04:09:30
最新版: 2012年05月01日 04:31:17

2012-05-01 04:09:28 (JST) in 知的財産 電子金融 | | コメント (0) | トラックバック (2)

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