環境保護などを想定したボランティアについてゲーム理論的なモデルを考え、所得税からNPOを支援するような「協力」の必要性を考える。
ゲーム理論の枠組の他に人工経済的なモデルも作り、競争によって高い全体効用から低い全体効用に滑り落ちる「囚人のジレンマ」的な状況が、ゲーム理論では説明できないが、シミュレーションではそのようになりうる例を示す。
なお、本稿は、(ほぼ)「ボランティア・ジレンマ」とは関係がない。
2020-03-02 06:26:38 (JST) in 経済学 | 固定リンク
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大改良を行った micro_economy_7.py をリリースする。改良点は大きく以下の通りである。
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企業数をだいたい5社で安定化させるため、standardProfitRate を商品価格等と同列に最適化パラメータに導入した。
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企業の優位性の重みづけに基づいて生産の分担を行うとき、「一製品あたり労働量」だけでなく、「一製品あたり原料量」についても見ることにした。
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最適化するそれぞれの項目の連携をわかりやすくするため、最適化する項目をそれぞれ tanh でくくった。企業の利益率でなく社会的負債を少なくすることを最適化に組み込んだ。これまでのさまざまな技術を統合し、オプションで指定できるようにした。
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以下、順を追って説明していく。
2020-02-13 06:27:52 (JST) in 経済学 | 固定リンク
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前回のモデルでは知的財産を高く手に入れたほうが、後日高く売れるようになっていた。そのような「経済」であるとわかっていれば、知的財産を高く売る者を需要側は強く需要するはずである。むしろ、それが新たな「定常状態」のルールになるべきだ。
…と「論理的」に考えはじめたところから、モデルの細かな部分を調整し、その調整した結果が正しいか見るためレポートを充実させる…ということを繰り返し、モデルをブラッシュアップ(特徴を失わない進歩すなわち「進化」)させていった。
結果、土地は多く持つ者が売るが、そういう者は得てして現金を持っているためすぐに別の土地を買い、土地持ちの地位は変わりにくく、一方、知的財産市場に参入するのは債務者で、贅沢品を買うための手元現金を得るため…となった。
今回はその記録である。
2019-06-11 21:19:09 (JST) in 経済学 | 固定リンク
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「土地」と「知的財産」からなる資産市場のシンプルなシミュレーションまたはゲームを Python で行う。そこには贅沢品と賃金だけからなる商品市場をからめる。
「知的財産」市場の総額を一定に保つよう各期減価しさえすれば、自然な借金増加と「平均への回帰」があるために、資産市場の現金が商品市場に流入することでのバランスの崩れを、商品市場の賃金からの借金返済の現金が資産市場へ還流することで補い、自然に再度バランスが取れ、ほぼ定常状態に致ることが確認された。
2019-05-31 19:54:35 (JST) in 経済学 | 固定リンク
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これまでも最適化関数が失敗(fail)を返すことはあった。今回はそのことではなく、最適化が成功したとしても、それが本当に全体として最適最良のものになっているかを問う。結論としては、そうなってなかったが、大きな問題ではないと私は考える。
2019-05-24 23:07:01 (JST) in 経済学 | 固定リンク
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micro_economy_1.py などはよく「発散」してしまうが、「発散」を防止するには、急な価格上昇に対して「弾力的に」需要が減ればよい。そのための方法として、スコアの計算に log 関数に似た関数をかませることにした。
分野の一方がプラスで一方がマイナスといった極端な例はほぼなくなったが、しかし、思ったほど(micro_economy_3.py ほど)バランスは取れなかった。
2019-05-24 23:03:53 (JST) in 経済学 | 固定リンク
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その1では、経済がよくなるよう利益に関してスコアを最小化するよう最適化していったわけだが、もう少し一般的に、複数のプレイヤーがいて、それぞれがスコアを最小化しようとしていることを考えたい。
それぞれのプレイヤーが独立ならば、それぞれのスコアを足し合わせたものを最小化すれば、その要素に含まれるプレイヤーごとのスコアも最小化しているはず…となる。
もし、プレイヤーどうしに利害の対立があれば、どうすればよいか。利害が重なるところは、それぞれの力が「釣り合う」ところで決まるとでも考えるとすれば、それはバランスに関するパラメータを新たに定義し、それをスコアに加えることになる。そうではなく、もし、力関係が決まっていて、常にどちらかの利益を重視するなら一方だけをスコアに加えたり、バランスを取るときに重みを付けたり、運で決まるというなら、ランダム性を加えたりすればよい。
バランスを取るときは、具体的には、スコアの分散などをスコアに加えることになる。ある程度、バランスを見るが利益の最大化を行うといった場合、利益とバランスのどちらをとるか、スコアの分散などを加えるときの係数で調整することになる。
今回は、基本、バランスを取るために必需品・贅沢品・原料の各分野のごとの利益に関して分散を取り、それをスコアに足すことにした。
2018-09-09 22:39:48 (JST) in 経済学 | 固定リンク
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ミクロ経済学に基づき、経済シミュレーションまたはゲームを作った。モデル自体は簡単なものなのだが、「動く」までにするのが一苦労であった。コンピュータでシミュレーションができるようになるまでには、いろいろ決め難いことを決めねばならない。あいまいにしたいことがあれば、どうやってあいまいにするのか、乱数を使うならどのような乱数を使うのかを決めなければならない。企業が赤字の場合どうするか、パラメータが 0 や無限に近くなるのをどのような考え方で防ぐか、そういったことを決めていかねばならなかった。本記事は、その記録である。
基本的なアイデアは、価格によって需要と供給を決め、その需要と供給が一致するように、つまり(需要-供給)の二乗が最小となるように、最適化関数を用いれば、経済シミュレーションができるのでは?…というものである。
しかし、商品の生産について考えてみると、価格が増えると供給が増えるという経済学の法則が、個々の企業においては成り立っていないと考えるようになった。もちろん、利益が出ていれば新しい企業が参入があるし、利益が出ていなければ退出があって、そういう意味で「供給力」の増減はあるだろうけれども、むしろ、個々の企業は赤字にならない限り需要があれば必ず生産はするのではないかと考えるに致った。しかし、そう考えると、需要と供給は必ず一致するわけで、(需要-供給)の二乗を最小化するという道は崩れる。替わりに各企業を総合した利益を最大化することを最適化に組み込むことにした。(労働需給に関してのみ、(需要-供給)の二乗の最小化を組み込んだ。)
マルクス経済学を参考に、商品は、必需品、贅沢品、原料の三種ということにした。労働者は必需品を毎期需要し、また、貯蓄を持ち、(マルクス経済学と違って)貯蓄等の余裕から贅沢品を需要すると考えた。必需品、贅沢品、さらに原料も、原料と労働から作られると考えた。
資本家は、違った戦略を持ったエージェント 5人で表し、一期につき一分野に一社しか企業が参入できないと決めた。モデルを簡単にするためである。参入する資本家はランダムとした。
本来は、このシミュレーションを使って経済学的知見を確認するのが目的であった。しかし、思いのほか、シミュレーションをまともに動かすのに手こずり、たまに「まとも」に見える動作をするだけで満足するのが現状で、経済的知見のような微妙なことを言えるまでには致っていない。それが残念である。今後の課題としたい。
プログラム言語は、流行の Python を使った。人工知能入門を私が勉強したときに Python の最適化関数を知ったのが、Python を使おうと思ったキッカケである。
2018-03-19 17:04:10 (JST) in 経済学 | 固定リンク
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抽象化された確率モデルにおいて、内的作用(内作用)により作られたモデルと外的作用(外作用)から作られたモデルが同じ臨界をもたらすことがある。経済に関するモデルを作るとき、ミクロな部分でなしたことがマクロに影響するということがいいたいことがあるが、マクロの大きな数と複雑な動きを表すにはコンピュータを用いても限界がある。確率モデルのようなアイデアをもってすれば、コンピュータシミュレーションなどで解析できるほど少ない数でも、しかし、それが外作用的にミクロな内作用と関わるというモデルが作れるのではないかと考えた。
私は本稿の実験および考察を通じ、外作用をとても簡易で厳格なモデルにするが、内作用については外作用との関わりはごく限るかわりにその表現を自由にすることで、いろいろな問題についてある種の見通しを出すことができるかもしれないという感触を得た。
2011-01-09 00:18:52 (JST) in 経済学 | 固定リンク
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自分なりの金融システムに関する勉強のまとめや、支払い専用匿名口座の提案を 2001 年ごろに書き、それを 2002 年の 3 月 1 日から本名で公開していました。ただ、どこともリンクしておらず、Google の検索にもひっかからなかったはずなので、誰も読んだことはないと思います。下の PDF になります。(索引が文字化けしてます。すいません。)
こんなタイトルですが、私は日銀とは一際関係がありません。
現在では、支払い専用匿名口座は善意の第三者が偽造カードとパスワードを取得したとき、救済手段がないため、あまり良いものではないと考えています。残り度数などがカード内にあれば偽造カードによるものが自分の支払いでないことを示せますが、それなら今普及し始めている Edy などの IC カード型電子マネーを使えば済むことでしょうし。
更新: |
,01/08/31,02/03/01,2006-09-07,2006-10-02 |
初公開: |
2006年09月11日 14:31:58 |
最新版: |
2006年10月02日 19:49:26 |
2006-09-11 14:31:49 (JST) in 経済学 電子金融 | 固定リンク
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金本位制の「本貨・紙幣」の信用モデルの類似システムとして、はてなブックマークの「投げ銭・投げ銭予約」を捉える提案のまとめを《
雑記》に書きました。元は私が投稿した、はてなアイデアです。はてなへのリンクも併せて下記リンクに記載しています。
更新: |
2006-04-05 |
初公開: |
2006年04月05日 01:37:09 |
最新版: |
2006年04月05日 01:37:09 |
2006-04-05 01:40:09 (JST) in 経済学 電子金融 | 固定リンク
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お時間があれば大竹先生以外の方でも私の理解を直していただければと思います。
まず、確認なのですが、インフレであれば物価が上昇するわけですから自然に実質賃金は下がる。逆にデフレであれば自然に実質賃金は上がる。のですよね?
2006-03-29 02:13:23 (JST) in 経済学 | 固定リンク
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「結果」の平等は、一見、「結果」重視に思えるかもしれないがそうではない。これは、同じ「努力」をしたのならば同じ「結果」になるよう、「結果」のほうを操作すべきだという「努力」重視の考え方である。「結果」重視の人々は、むしろ、良い「結果」が得られるように「努力」するべきであるが、得られた「結果」はどのようなものであれ、甘受しなければならないと考えがちである。
「機会」の平等は、ある時点において、それまで努力をしていようがいまいが、平等なスタートラインに立てることを保証し、それ以降はたとえ運が悪かったとしても、それを受け入れなければならないという思想である。結果を報酬で量る必要は本来ないのだが、分配を経ない結果で大抵の人が評価できるものとなると報酬しかなく、普通は報酬を得る公正な方法をいかに整備するかが中心的な話題となる。
「機会」の平等は「結果」の平等の単純な対立概念ではない。成長期には「努力」重視で、収穫期には「結果」重視に移行する概念と捉えるべきであろう。
2006-02-04 16:45:26 (JST) in 経済学 法の論理 | 固定リンク
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『
顕示的消費の経済学』(Roger Mason)を、主にその中で参照されるものを読みながら、自分なりの消費者心理のモデルを考えてみる。
2006-02-01 03:22:56 (JST) in 経済学 | 固定リンク
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自国の株価指数への投資は、自国への投資であると同時に、自国内他企業から自社が取り残されることへのリスクヘッジという側面がある。前者は、自分と同じリスクを共有する者への投資「リスク共有型投資」と呼べ、後者は「リスク分散型投資」といえる。
リスク共有型は、明に暗に資産性があると認めているものと、当該資産との正または負の相関があり、リスク分散型は、それとは別の資産性があるものと当該資産との相関がないことを条件とする。
自国への投資は、普通のリターンを求めるだけでなく、公共的な投資も兼ねている。この公共部分は、財産性はなくても、本人にとって資産性がある。自分にとっての公共的資産性が高いのに自国の株価指数が低ければ、公共的活動を増やすことで、自国の株価指数が上るように行動でき、逆ならば、公共的活動を減らして利益を確定させることによる広い意味でのサヤ取りができる。
社員持株はリストラに対するリスク分散型投資だが、基本的にはリスク共有型投資である。自社株の資産効果消費と自社への貢献的労働のサヤ取りができる。
サヤ取りは、危険があるのが世の常である。
更新: |
05/01/17, 05/02/01 |
初公開: |
2006年01月29日 03:17:48 |
2006-01-29 03:17:48 (JST) in 経済学 | 固定リンク
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日経新聞 (01/08/15 - 01/08/17) 『やさしい経済学 基本のきほん』のコーナーで「失業に克つ」という題で橘木俊詔 教授の記事があった。この著者は「日本の経済格差」という著書もあるので、わざと論争的なことを書いているのかもしれない。
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ケインズは、……労働組合の圧力によって賃金が下落しない性質に注目し、働きたいのに職が得られない「非自発的失業」の存在を示唆した。
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違うのではないか?
2006-01-29 03:00:34 (JST) in 経済学 | 固定リンク
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