aboutme:103257
著作権に関わる間接侵害の三類型。
JRF 2009年6月18日 (木)
>この方向であれば、事業(など)を規制することにはなるが、私的複製の条文の中に例外規定を設ける必要はなくなるだろう。
ちなみに、以下の本稿では取り上げないが、侵害者とほぼ一体である間接侵害についてはそれとは別の規定を根拠とできるべきだろう。
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JRF 2009年06月18日 0782
著作権に関する間接侵害のうち、間接侵害プログラムなどの道具を提供したり、コピーのためのコマンド情報を教えるようなものを「狭義の間接侵害」または「一般間接侵害」と呼ぶ。
一方、海賊版の発行や児童ポルノの販売につき、表現の自由を重視する著作権の立場からは表現物自体の直接的規制をかけることを妥当としないが、著作権規制の利益が他の犯罪を間接的に助長するということについて侵害と捉える。それを「犯罪投資間接侵害」と呼び、これと狭義の間接侵害をあわせたものを「広義の間接侵害」と呼ぶ。
JRF 2009年06月18日 0557
一般間接侵害、犯罪投資間接侵害ともに、そのままを規制または処罰に値いする行為とはできない。
一般間接侵害は、上記リンクで書いた識る権利の侵害と関わる適格和解がなされることを想定するため、やや広めの規制を持ちうるが、それでも、2009年06月05日のひとことで書いたように、間接侵害は「無教養物による高度な実行可能性をもった著作物」によってなされたものに限るとしたい。
(適格和解の枠組については後日書く予定である。)
JRF 2009年06月18日 5168
犯罪投資間接侵害をさらに二つに分ける。(この二つと一般間接侵害をあわせて間接侵害の三類型と呼ぶ。)
1. 特定の犯罪に対する投資としての著作物の売買に係わるもの。「特殊犯罪投資間接侵害」と呼ぶ。ただし、この類型に関しては児童ポルノに関してのみ適用する。
すなわち、児童ポルノを作成するための児童虐待に投資したものを罪とする。投資意思を持って購入(継続)および予約を行ったものもそれに準ずる罪とする。
JRF 2009年06月18日 9525
2. 違法物であるがゆえの独占の利益のために投資したものを罪とする。「違法独占利益間接侵害」と呼ぶ。ただし、これは海賊版を一般間接侵害ではない法理で取り締まるために用意する類型で、実際の法制度では個別具体的な法を設けて海賊版の摘発などをすべきである。
JRF 2009年06月18日 8584
表現の自由を重視するため、他の犯罪では問題とされない「投資意思を処罰する」という論理が出る。不法な著作物であっても違法としない。そのため麻薬などのようには直接的規制を行うべきではない。しかし、不法な著作物が利益を生むことが、結果、違法行為を助長することは避けねばならない。そのため、販売と密接な関わりをもった間接侵害をその「投資意思」が立証できるものを違法とすることを私は認めたい。
一方、「投資意思」の論理は強力すぎるため、著作権の範囲に限るし、規制が著作権の目的にギリギリ沿うものに限るとする。
JRF 2009年06月18日 2408
「規制が著作権の目的にギリギリ沿う」とは「芸能」が歴史的に果たしたと想われる役割を考慮している。
つまり、1 の児童ポルノに関しては、「芸のないこと」を究極的に求めさせないという目的が文化の発展という観点からも肯定する。もちろん、それ以外の観点からも非難すべきであるが、「それ以外の観点」から法定するなら「投資意思」を問題にしないよう強く諌めたい。
JRF 2009年06月18日 2612
芸能への関わりで 2 を見ると、芸能と暴力組織が薄く関わってきた歴史性を考えざるを得ない。芸術の保護が著作権により行なわれるようになって暴力組織の関わりはほとんどなくなったかもしれないが、私は同人活動というグレーな「芸能」を支持しようとしているため、そことの関わりを再び考えなければならない。同人活動が公認でないために著作権の保護が十分でなく、それでいて芸能が欲する独占性を期待しようとすると 2 のような問題が出ると予想せざるを得ない。
この点は、↓で示した枠組が持つ、時間の独占性で補完できないかと考えている。
JRF 2009年06月18日 2290
無コピーの占有デジタルコピーの譲渡の自由:記録保全主義 [ JRF の ...
http://jrf.cocolog-nifty.com/society/2007/11/post_3.html
JRF 2009年06月18日 2469
typo 「肯定する」→「肯定される」。
JRF 2009年06月18日 0682
著作権法の高度な独占を維持するための文化的利益に資する場合のみ、著作物を通じた投資意思を排除できる。…ということか…。この辺り、識る権利と対照して考えるべきところかも。
JRF 2009年06月18日 0804
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性的虐待は犯罪で、その記録の扱いに強めの規制が必要だろうというのはわかる。他者のプライバシーの管理責任という文脈でも、支持できる。しかし、「扇情的なポーズ」というのは、まさに性的実情に対する批判としてなされうるもので、単純に規制していい話でもない。... 続きを読む
受信: 2012-01-05 08:29:34 (JST)
07月29日のひとことのような脱法的な製品販売が有意義なので、なんとか合法化するとなったら、免許制などを導入して、客が使えるように設定するとき、「十分な対策」を施す努力義務を課す、とかいう話になるのだろう。が、この問題の難しさはソフトという「表現」を免許で規制することになる点。... 続きを読む
受信: 2012-01-06 15:00:23 (JST)
先日匿名で児童ポルノ規制に関するアンケートに応えようとしたら字数が多いとはねられた。私は表現の自由・記録保全主義から反対なのだが、それでは非人道的に見られると思って別の切り口を考えた。短絡的に少子化対策につなげ、レトリックで短絡的に見せず、反対へ別の層を巻き込む形にしようとした。... 続きを読む
受信: 2012-01-06 17:16:40 (JST)
先に著作権を通じた犯罪への間接的関与について投資意思を問題にしたが、これが「強力すぎる」のはまさに内心の自由の問題をさらに資本主義の基礎である投資につなげているからである。これがギリギリありえるのは、幇助の故意のむしろ限定であるからである(と今は考えてる)。... 続きを読む
受信: 2012-01-06 17:49:52 (JST)
↓からの発展。
消費者保護としての私的複製の骨抜き案に反対する [ JRF の私見:税 ...
http://jrf.cocolog-nifty.com/society/2007/11/post_1.html
>著作権法の将来の検討課題の一つに間接侵害の問題がある。複製を直接つくったりして侵害したわけではないが、道具を提供したりする幇助や、やり方を教える教唆をした場合にも、間接的な侵害として罪に問おうという話である。
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JRF 2009年06月18日 9903