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ヴァント指揮 NDR-SO 『ブラームス:交響曲 第3番』。まずは、1996年のライブ録音版を聴く。トスカニーニの第3番にはバッハ的宇宙を感じたが、これはそれとは違う方向。バレンボイムのドイツ・レクイエム([aboutme:60110])に聴いたような花のイメージが浮かぶ。 (JRF 9539)

JRF 2011年7月23日 (土)

ヴァント指揮 『ブラームス:交響曲全集』(90年代ライブ録音)
http://www.amazon.co.jp/dp/B000023ZSF

現在はこの版は入手困難になっているらしいが、一時期、とても安く手に入れることができて、そのとき購入した。そして、今ごろ初聴き。ただ、私はこちらより後述の今出回ってる旧版(80年代セッション録音)を推したい。(なお、3番は2番と同じディスク。)

JRF 2011年7月23日 2340

……。

バッハの旋律を使っていると評されるのは第4番なのだけど、私はトスカニーニの第3番を聴いたときのほうがむしろバッハとのつながり、大きな交響曲なのに純音楽的な機序を感じた。トスカニーニの演奏は現代のブラームスに慣れた人には、まったくブラームス的でないように聴こえるかもしれない。でも、この純音楽性を信じる楽譜の追い方は、トスカニーニ&NBCだからできた、現代に再現が難しい演奏スタイルなのではないか。(その点はフルトヴェングラーの演奏(例[aboutme:128412])と同じなのだろう。)

JRF 2011年7月23日 1450


トスカニーニ指揮『ブラームス:交響曲全集』
http://www.amazon.co.jp/dp/B00005EH05

JRF 2011年7月23日 4393

……。

96年ライブ版でのヴァントの演奏は、メリハリがついているというより、「花」の部分をしっかり見せる演奏で、一方で、そうでない部分(葉の部分なのかな?)は「醜」に致りはしないけど、あいまいになっている印象を受けた。後の 83年版に比べると、ライブで客の要望に応える分だけ、常識的なブラームス演奏をベースにし、そこにヴァントの個性による「花」を添えている形になっているのかもしれない。

JRF 2011年7月23日 7269

……

で、気になったので、贅沢な聴き方だな…と少し後ろめたく思いながらも、すでに手に入れてもっとあとで聴こうと思っていたヴァントの旧盤を 3 番のみ聴いてみた。

こちらは録音が鮮明な印象。ヴァントのデリケートな自己主張が伝わってくる感じ。

第1楽章は、やや悲劇性を強調したはじまり、その後のフシまわしが他の演奏とはほんの少し違う「個性」を記憶させる。96年版の「花」は花壇に白いバラでも浮かぶようであったが、こちらは、紙に書かれたピンクのバラが、紙に書かれたまま生気を帯び精細感を増してくるかのよう。

JRF 2011年7月23日 2549

第2楽章は、月夜に女神の登場を切望するとでもいうべきか。夜、決して現れるものではない理想的な女性美を望んでいる。それは現れるものでないと知りながら、現実にある性愛・家族愛はその望みの根と結ばれて響き合うことができる。その女性美の対となる男性性が浮かばせて、なお待ち続けるなか、女神はいつの間にか自分の脇を過ぎさい、どこかに駆け去っていっている。…なんというか、そんな感じのイメージが私には浮かんだ。

第3楽章。ヴァントは孤独を愛するような人ではないのだろう。でも、「孤独」は知っている。彼の「孤独」は、戦争後の瓦礫のある街並みを一人眺め、それを心に焼きつけるようなことだったのかもしれない。

JRF 2011年7月23日 8176

第4楽章。黒い神への信仰?ナチスのことだろうか?第2楽章の切望が第3楽章を招くということの定理的帰結としての sollen (当為)があるのかもしれない。それはヴァントの一生に疑いとともにずっと柱のように残っていたのだろう。結局、フィナーレでも「解決」がなされた様子はない。ただ、第1楽章冒頭の悲劇の「予感」を「確信」に変えただけだ。

JRF 2011年7月23日 4755

……。

ヴァント指揮『ブラームス:交響曲全集』(1983年,1985年録音)
http://www.amazon.co.jp/dp/B00005ONV8
http://www.hmv.co.jp/product/detail/936104

JRF 2011年7月23日 1147

typo 「自分の脇を過ぎさい」→「自分の脇を過ぎさり」。

JRF 2011年7月25日 1351

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