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cocolog:70551613

マメ知識:リカードの比較優位における「失業者」は「利子生活者」という意味に近い。 (JRF 8066)

JRF 2011年11月14日 (月)

リカードの原著をあたったわけではなく、例えば Wikipedia でリカードゥのものとされる比較優位のモデルに関して。

《比較優位 - Wikipedia》
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AF%94%E8%BC%83%E5%84%AA%E4%BD%8D

二財モデルですべてが分配されたときのことを考える…ということで、生産されたものが全部消費されるみたいな感じで、このモデルはサプライサイドの典型というか、その古典みたいなもの。労働してない者にも分配されるのが普通というわけだから、上記のような解釈になる。

JRF 2011年11月14日 3909

Wikipedia には「通貨が高いと失業が発生する」とあり、これを「職がないのは通貨高だからだ」と受け取ると腹がたってくるが、「利子生活者がたくさんいるところは通貨も高い」となるとなんだか当り前の話になる。

(まぁ、現実社会においても失業手当をもらってる失業者は利子生活者みたいなものという面はあるけどね…。)

JRF 2011年11月14日 6810

……。

《池田信夫 blog : 内田樹氏の知らない比較優位 - ライブドアブログ》
http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51752213.html

農本主義とか批判はもっともだけど、「比較優位」も、「重農主義」や「重商主義」みたいな歴史上のキーワードだと思うんですけど…。

JRF 2011年11月14日 0797

[cocolog:70355275] で述べた比較優位について、設備の改廃の影響について述べたが…。

はてなブックマーク - 《404 Blog Not Found:生産性の凄惨性》
http://blog.livedoor.jp/dankogai/archives/50730264.html
jrf:>オカラがブームになったとき豆腐屋の生産性は上昇する。パン屋がガンプラをはじめるのは生産性の上昇ではなく末期症状である(絶望先生より)。<

工場生産で言えば、要するに「オカラ」は、需要が足りず生産してないのに減価償却で原価に持ってかれる部分になるだろう。

JRF 2011年11月14日 1788

サプライサイド側から見ると、需要の問題というのは、減耗の問題と単純化することになるはず。(ちなみに、Wikipedia の例の「毛織物(ファッション)」は減耗が発生しやすく、「ワイン」は減耗が発生しにくい。もしこの例をリカードが出したのなら、彼がこの問題に気付いてなかったとは考えにくい。)

JRF 2011年11月14日 2682

需要側からみると物が減ってるんだから、その物の価値は上がってもう一方の価値が下がると考えてしまいがちだが、サプライサイドから見るとそうではない。両者が完全に「消費」されるみたいに考えるから、減った側がその分で、もう一方の財を手に入れねばならぬとなる。つまり、減耗の分余計に働かねば(人員をさかねば)、もう一方の財が手に入らない=投入せねばならない「労働価値」(!)が上がると考える。

JRF 2011年11月14日 0420

すると、おそらく貿易というのはその穴埋めで生じたもので、あってもなくても良いものだったから、本国で価値が上るんだから貿易する側にとってはもう一財は手に入れにくくなる=もう一財の対応分が減る=むしろ「価格」すら上がるとなる。

仮にある年に一定の同じ率で減耗が発生するとき、それを貿易はどう処理するかというと、それを「分配」というのはもはやできず、輸入されるべきだったものが輸入されず、むしろ減耗の影響を定期的に押し付ける形になる。それは、需要側から見ると文化(カルチャー)の変化についていけず、消費がされなかったと映ることになる。

それが本国で「失業」=「利子生活者」を生むのは、まぁ、自然だろう。

JRF 2011年11月14日 9006

[cocolog:70355275]で述べたように設備の革新に優位を持つというのは、設備の生産によって相手の減耗をコントロールできることを意味する。

ある意味、輸出によって生産を減らす効果があることになるわけだから、二財モデルだけ見て、貿易をすれば世界で生産される量が増えるという観方はややナイーブにすぎると私なんかは考えてしまう。

JRF 2011年11月14日 0002

……。

だから、「比較優位」のモデルを資本取引がからむような「通貨高」の議論などにつなげるのは、かなり慎重にやらないと間違う。まぁ、比較優位を持ち出して TPP を推してるのも学者で、学者がいってんだから、論理的に間違った論にはなってないだろうが。

JRF 2011年11月14日 8168

……。

関連というかシリーズというか…。

[aboutme:119462]
>マメ知識:経済学の定義における「賃金」は、必ずしも労働者の賃金に限らない。<

JRF 2011年11月14日 7540

ああ、関連として↓のアフガニスタン民話を忘れてはいけない。

[aboutme:112611]
>A, B, C の 3 人の男がいた。A がまんじゅう 5 つ、B がまんじゅう 3 つを持っていて、それを 3 人で分けあって食べ、お礼に C が金貨 8 ルピーを差し出した。A は「A に 5 ルピー、B に 3 ルピー」と主張し、B は「半々」を主張してあらそいとなり、長官のもとに行った。

JRF 2011年11月17日 5012

(…)
長官は「A に 7 ルピー、B に 1 ルピー」と裁いた。いうには、まんじゅう一つを 3 つに分けると全部で 24 切れになる。一人 8 切れずつ食べたとすると、A と B は自分の分から 8 切れ食べたとできるが、C が食べた 8 切れは、A から 7 切れ、B から 1 切れという計算になる。よって、その比率によって分けた。」B は納得して去った。

JRF 2011年11月17日 4402

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