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ヴァント&北ドイツ放送響『ブラームス:交響曲 第2番&第4番』。[cocolog:69156739] で書いた3番もそうだったが、NDR SO とのこのシリーズのヴァントのブラームスは、ヴァントの「作家性」と呼ぶべきものが強く出ているように思う。 (JRF 0973)

JRF 2012年9月15日 (土)

ブラームスブラームスした演奏というイメージができた方に、違った視点の演奏として薦めるには良いと思う。

JRF 2012年9月15日 5387

……。

第2番の第1楽章ははじめこそちょっとバラバラかな…という印象を持つが、しばらくすると独特の響きを出していることに気づく。弦の刻みがブラームスの演奏ではしばしばある古典派ベートーヴェンのような力強いものではなく、むしろ金管の美しいワーグナー的トレモロが聞こえてくる。

黄金の世界…でも、ヴァントの作家性なのかいくぶん現実的で、併せて考えるとブナのような黄色い紅葉の下、淡い光の中、石畳みの道を行くイメージ。

JRF 2012年9月15日 8799

第2楽章は、街にある柱の上の緑青[ろくしょう]の像(ガーゴイルか何か)が黒くくすんでいるようなイメージが浮かぶ。街に入り、収穫祭でも近いのだろうか、街の中でも土の匂いを感じながら、ビールでも頼んでいる。

JRF 2012年9月15日 0719

第3楽章は、市場だろうか。祭の喧騒とまではいかない。でも、いろいろな物がいろいろな背景を持ちながら置かれている。子供達が無邪気に走り過ぎるむこうに、子供がかつて逃げるために同じ道を走った「歴史」が重なって…すぐに消える。

JRF 2012年9月15日 3859

第4楽章は、イメージが浮かびにくいが、城とそこでおこなわれる式典、マスゲーム、政治家のパーティみたいなものだろうか。明る曲調がベースにあるが何か場違いな淋しさのようなものも起きてくる。

JRF 2012年9月15日 8560

総じて、ヴァントの「作家性」ルポライター的な視点を感じる。他の演奏家が精神性を「純音楽」で表そうとするところを、まるで写実的に風景を描いてその向こうにある人々の営為というワンクッションを置いて表現しているかのようだ。

カメラの世界でそういう方法論は今も生きているのだろうが、音楽の世界でこういう在り方ができる…というのは、シンプルさを過度に重視しがちな私などには理解が難しいが、別の道を行って極めたのだなと感じる。現代にもそういう方はいるのかもしれないが、今それを行っているのを私が知るのは何十年後になるんだろう…私生きてるか?…と思う。

JRF 2012年9月15日 2079

……。

第4番は、第2番に比べると(その第4楽章と比べても)イメージがわきにくい。はじめの第1楽章、これも最初バラバラに聞こえ、エラい前がかりだな…と感じた。後でいろいろステレオを調整して聞くと、そこはむしろ密度の濃いブラームスらしい演奏になっていると気付いたが、それでも「純音楽」というよりは「作家性」がありそうな演奏。

無理にイメージしてみると、山岳地帯のロッジ…そこに信仰生活ふうな何か…修道院か何かだろうか?

JRF 2012年9月15日 9587

第2楽章は、その中での生活だろうか。ロウソクを換えたり、食事の用意をしたり…そこには何か宗教的というものはむしろなく、ただ規律ある日常があり、ヴァントはそれを嫌いではない。日々の式典みたいなものがあって、少し感動的ではあるのだけど、それは宗教的というより、ヴァントの生活信念に沿うあり方だからのように思う。

JRF 2012年9月15日 9076

第3楽章は、…イメージはちょっと脇に置いて、他の CD よりもトライアングルがかなり目立つ感じに聴こえて、ちょっと困った。トライアングルがいい音で鳴っていると言えるが、まるでトライアングル協奏曲かと思うほど、ここにバランスが向いていてその「個性」が前に出てる。これを曲と調和させて聞くのが私には難しくてまいった。

イメージとしては、そこでのお楽しみイベントか。スキーであったり、山から羊が降りてきたり、クリスマスでもあるのかもしれない。

JRF 2012年9月15日 4206

第4楽章は、建物の象徴の意味を知っていくこと、または、座学か。学ぶ中には心揺さぶる解釈もあるといったところ。

JRF 2012年9月15日 1840

…と書いてきたけど、やはり第2番ほど「心に焼きついた映像」的ではないように思う。

JRF 2012年9月15日 2587

……。

ヴァントのブラームスで今手に入りやすいのは 1995年-1997年のライヴ盤かな。今回の↓は旧盤に相当する。「ブラームスブラームスした演奏」という点では新ライヴ盤だが、ヴァントの演奏としては私はこちらの旧盤のほうを強く推す。

ヴァント指揮 北ドイツ放送交響楽団『ブラームス:交響曲全集』(録音: 1983年・1985年, 発売: RCA 2001年)
http://www.amazon.co.jp/dp/B00005ONV8
http://www.hmv.co.jp/product/detail/936104

…絶版のようだが、中古在庫はありまだ入手困難というほどではないと思う。

JRF 2012年9月15日 0711

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