« 前のひとこと | トップページ | 次のひとこと »

cocolog:74607467

『ダンガンロンパ』PSP the Best版をクリア。以下、ネタバレ感想というか、このゲームの「本当の謎」の解明を試みたい。なお、クリア難易度はイージーにあたる「シンセツ」だが、Wiki などによるとストーリーに変化はないらしい。 (JRF 7145)

JRF 2012年11月 6日 (火)

以下のサイトを参考にクリア。ただ、私もゲームを楽しみたいのでプレゼントやスキルの効率的収得法を知るのに留め、「攻略チャート」は読まずにプレイした。スキルの収得の効率も、事件発生のテンポが意外に早く、むしろ自分がフォローが必要だという人物への接触を優先させたため、「レイズ」を取るのに利用したに留まっている。ただそれも、「レイズ」をくれる人物が死ぬか生きるかはわからない中、ヒマがあればその人物を優先する態度で接していれば、自然に取れた。

《ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生 攻略 Wiki》
http://danganronpa.wiki.fc2.com/

JRF 2012年11月6日 8471

ゲームは、ケータイからスマホに向かう現代の「マンガ」文化はこのような形になっていくべきなのだろうなと思わせるものだった。フルボイスでないが既存のボイスをうまく使う手法、カットインや描き文字の震動、ミニゲームとのミックスなど、演出の巧みさは特筆すべきだろう。これが「オーパーツ」にならず、製作システムを充実させ、3ヶ月ぐらいのバイト(or 修業)で買える「文具」として確立し、「文系演出家」や「マンガ家」が自由に使えるようになれば、日本のヲタク文化の未来は明るいように思う。

JRF 2012年11月6日 9390

『ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生』
http://www.danganronpa.com/ (公式サイト)
http://www.amazon.co.jp/dp/B005LFIJWU (PSP the Best)

ゲームは、現在は、PSP だけでなく iPhone 等でも発売されているようだ。PSP には続編も出ているが、それは私はプレイしていない。

JRF 2012年11月6日 7330

……。

さて。この下から本格的なネタバレに入る。18禁やサイコホラー、SFホラーっぽい内容も憶せずバンバン書いていくので、そういうのがダメな方は読むのは避けていただきたい。

まぁ、[aboutme:105312] と同じで「聖者」や「ニート」になる「希望」も受け容れられるなら、読んでいただいて差しつかえないだろう。ちなみに私は「ニート」を名乗る三十代後半の男性である。

JRF 2012年11月6日 6561

……。

……。

……。

……。

……。

JRF 2012年11月6日 8189

……。

結論から述べよう。

モノクマが圧倒的な科学(?)力の産物であり、モノクマの言葉で、ゲーム中では名前も出てこない、超高校級の物理学者と生物学者が「昔」はいたことがわかる。超高校級の物理学者は(一分前に戻れる)タイムマシンを研究していたことが示唆され、超高校級の生物学者は「B級SF」的にクローン人間やコールドスリープ・死体蘇生に関わっていることも考えられる。

JRF 2012年11月6日 4883

そして、霧切響子はどの事件でも証拠を捏造できる位置にあったが、それが真実と犯人も認める展開になったこと、最後の事件で腐川・十神一派が展開に影のように大きく関わっていること…等を併せて考えると、次の結論になると思う。

すなわち、江ノ島盾子こそが、主人公達というよりも、ゲームからプレイヤーを「卒業」させてくれたのだ、ということ。

それを少しずつ「論証」とまではいかなくとも論考していこう。

JRF 2012年11月6日 4443

……。

まず、「校則」つまり学級裁判のルールに関して。

このルールを素直に受け取ると、もっとも多くの人数が卒業するためには、白組と黒組が分かれ、黒組が白組を全員殺した上で、モノクマをクロ、または白組の誰かをクロに指定して黒組が一斉に真のクロとしてできれば良い。

ただし、初期の校則には共犯に関する規定がなく、結局、別々の犯人が同時に殺した場合というのが生じず、また、かなりあとまで変更というか追加の可能性が残されていたため、そういう「戦略」が認められるか不明な点があった。

JRF 2012年11月6日 5065

この点に気付いていたらしいのが、霧切と十神になる。なぜなら彼らは「仲間」か「敵」かということ、つまり白組になるか黒組になるかの問題を当初から気にしていた。

JRF 2012年11月6日 3765

そして、この「出口戦略」には、このゲームではそういう校則のあいまいさ以外にもう一つの考慮すべき事情があった。すなわち出たあとの問題である。もしかすると出ないほうが特策なのかもしれない。これはクリアするときには主人公達も気にしていたことである。

初期段階の「強迫」により、外でとんでもない事態があり、モノクマに圧倒的力があることが示されており、本当に外に出ることが良いことなのかがクリアのずっと前でも問題となっていた。もちろん、それがブラフである可能性は主人公も気付いていた。

JRF 2012年11月6日 1445

この点もやはり霧切と十神は気にしていて、だからこそ様子をうかがっていたのだろう。ただ、十神に関してはそれも「ゲーム」として割り切ってるふうだった。

JRF 2012年11月6日 5592

……。

ところで、「出たあと」が問題だと書いたが、出たあと、同じような監禁された状況が待っていることもありえた。そうなると、再び白組と黒組に分かれあって殺しあわねばならない。そんなことになってそれが続けば、最終的に、残りは一人になるので、組に分かれてコロシアイをする意味は最初からなくなる。

そうでないという確信がもし得られたとするならどうだろう?例えば、モノクマまたは学園長から確実に、外の世界はヒドい目にあわされてるかもしれないが、外の世界に出られると証言を得られればどうだろう?

JRF 2012年11月6日 1246

確かに、一度はそれを試して様子を見てもいいのかもしれない。ダメだったら次で考えればいい。

おそらくそうやって外の世界に出た集団があったというのが、「人類史上最大級の絶望的事件」なのだろう。

JRF 2012年11月6日 2879

「一度試して様子を見る」ことができるのは、少なくとも記憶を保持している必要がある。それはあたり前に思えるが、このゲームは、それを最後に否定してくる。

そして、外に出た集団を待っていたのは、おそらく「記憶の抹消」ではない。より大きな形での白組と黒組に分かれたコロシアイ、学園ではなく地球規模でのコロシアイがはじまる状況…すなわち「校則」とそれの超科学的執行者が整えられていたということなのだろう。だからこその、「人類史上最大級の絶望的事件」になる。

JRF 2012年11月6日 5354

(もしかすると、ゲームの構想段階では、「みんなで卒業」のあと、みんなで黒組をダンガンロンパする展開とかあったのかもしれない。)

JRF 2012年11月6日 3895

……。

しかし、そうやった「黒組」の他に、何らかの形で外に出られた「白組」があった。それが「記憶の抹消」をされた本ゲームの主人公達ということなのかもしれない。そして、そこには先の超高校級の物理学者か生物学者が関わっていたのだと私は考える。

超高校級の物理学者と生物学者は、おそらく「クロ」となってオシオキされたのだろう。ただし、彼らは殺したとすれば、死んだ者は病か老衰で死に、その故意が認められたからだろう。もしくは「光速[こうそく]」違反か。

JRF 2012年11月6日 0076

まず生物学者パターンから。死体蘇生などというものが可能なら、殺人というものの概念が変わる。クロクマの言葉に、生きて学園生活に入ったのは 16 人という言葉があるが、それもほとんど無意味な数値となる。しかし、学園内には十分な土地というか(太陽)エネルギーがないため、蘇生で増えるだけでなく繁殖まであった場合、容易にエネルギー不足に陥る。すると殺人ではないものののコールドスリープのようなことが必要になり、病になってスリープしたものを、殖えた子供のために永遠に起こさなかった…といったことも起こりうる。そうなれば、生物学者が殺人の責を結果的に負わされるかもしれない。

JRF 2012年11月6日 1891

物理学者パターンに関しては、クロクマのいう「一分間前タイムマシン」が「空気清浄機」だということに問題がある。

「一分間前タイムマシン」が実現してそれが空気清浄機として機能しているということは、「一分間前タイムマシン」は連続的に運転されているということになる。しかも、それが周りの空気を吸い込めるなら、それは過去に向かって加速度的に吸う空気を増やさねばならないため、動きはじめた瞬間、爆発的な何かが起きたはずである。そこで誰かが死ねば、自殺者も殺人と認められるこのゲームの校則では、オシオキの対象となっただろう。

JRF 2012年11月6日 3542

空気を吸っているのでないなら、一分後はエントロピーが増えるものだから、おそらく学園全体またはタイムマシンを中心に時空が遅れていっているという可能性がある。つまり、時間経過が遅いので空気の汚れ方がタイムマシンから見れば遅いということだ。でも、これは逆にいえば、外から見れば、そこの空間だけ時間の経過の仕方が早いということになり、そこに入った人間が外に出ると、浦島太郎状態になることを意味する。すると、外から見れば、本来もっと長く生きるはずだった者が老衰で早く死んでしまうことになりうる。

JRF 2012年11月6日 0114

故意でない可能性もあるが、「大事件」に対抗するためそういう場を作ったのだとすれば、物理学者は殺人を起こしたとされるかもしれない。

JRF 2012年11月6日 0534

吸っているのでも周りすべてを遅らせているのでもなく、単にその場の空気を順次送っているだけで、たまたま、タイムマシンが止まったときの空気がキレイだったから、空気が少しキレイになったということなら、「殺人」は考えにくい。しかし、そういう空間を光が通ったならば、光速の不自然な変化が何者かにより観測され、それが「時空警察」みたいなものに咎められることが「大事件」となったのかもしれない。この場合は物理学界という学閥の「校則[こうそく]」ならぬ「光速[こうそく]」違反があってオシオキされたということにでもなろうか。

JRF 2012年11月6日 7733

案外、そうした光を通さないようにするために窓がすべて封じられたのかもしれない。そして、このゲームで地デジのテレビ放送がなされていたのは、その番組を観る人がいるからではなく、 そういうコトが一度起こってしまったあと、再び「光速違反」がないか監視するためのものだったのかもしれない。

(このあたり、内からの電波発信源と言えば放射性元素の話を思い出すね。参: [cocolog:73267390]、[cocolog:72139046]、[cocolog:70271764])

JRF 2012年11月6日 7643

物理学者と生物学者の共調も当然ありうる。タイムマシン的なものでエネルギー問題を解決してしまうシナリオである。未来からエネルギーを取ってくるのは、上の爆発シナリオに近いので、外から見たエネルギー必要量を減らす方向だろう。しかも「光速違反」ではない場合、それは外から観測不能になっている可能性がある。ところがこの「外から観測不能」というのがクセものなのだ。

JRF 2012年11月6日 0356

シュレディンガーの猫の話はご存知だろう。我々はいわば外の世界にいるから「シュレディンガーの猫」は、「学園」だと思う。でも、すべてを解決した「学園」にとってみれば、外の世界こそ「シュレディンガーの猫」となる。彼らはまるでモナドのように、「光速違反」を捕えようとする存在になっているのかもしれない。

《モナド - Wikipedia》
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A2%E3%83%8A%E3%83%89

JRF 2012年11月6日 1067

そういったものが一度でも成立してしまった if の世界、それが『ダンガンロンパ』の世界であり、だからこそかつてのドラえもんの声優をモノクマに充てたのだと思う。

JRF 2012年11月6日 1876

……。

超高校級の物理学者・生物者がいるくらいだから、いるであろう超高校級の社会学者等の文系学者、または、超高校級の化学学者・数学者、そういえば「同人」でない芸術家が、一生をかけてまでの「学園」プロジェクトに参加すると考えられなかったところにリアルな「現代」の秘密があるのかな…。

逆にいうと、このゲームの世界では、そういう者は「大事件」後の外の世界で生きることを選び、外の状況では自分を活かせないと思い詰めた才能者が、超高校級の物理学者・生物者が去ったあとの、この「コロシアイ学園生活」に集まったということかもしれないな。

JRF 2012年11月6日 0671

その流れからすると、戦刃むくろが、コロシアイ学園生活の中で最強の兵士を作り、なるだけ早く「卒業」するプランを持っていたのに対し、江ノ島盾子はそれを阻止し、むしろ外の世界で兵士を作り、希望ヶ峰の生徒はあくまで平時の(内政の)エリートとして残すプランを執[と]って、黒幕を買って出たのかもしれない。最初に処刑された元球児の桑田怜恩あたりは記憶を失う前は一番の戦刃派だったというのはありそうなスジだ。

JRF 2012年11月6日 3074

高校生といえば血気盛んな時期だから、戦刃派が勝ってまずはコロシアイ学園生活プランが執られ、合意の上記憶を消したが、その後、江ノ島が「クーデター」を実行し、外の様子を見ながら、軌道修正をかけていったのではないか。江ノ島ではない真の黒幕というか真のモノクマの監視下にありながら…。

JRF 2012年11月6日 1992

「真のモノクマ」は、おそらくアルターエゴの進化形だと思う。上のタイムマシンにより到達してしまったモナド的世界で「生き残った」アルターエゴなんだと思う。何がしかの理由…例えば「光速違反」があったから、「外の世界」を「学園」に組み入れることができて、外に出てきたのだろう。もしかすると、「光速違反」のチェックのため持ち込んだテレビ設備が、それは送信すると同時に受信していたから、電波ならば拾って良いという解釈を後に生み、さらにその後、「外の世界」が彼らにとって「電波」とみなせるようになったから組み入れ、彼らにとって「放送」とみなせるものだけで「外の世界」を物理的に支配できてしまったのかもしれない。

JRF 2012年11月6日 5588

真のモノクマは校則を守らせながら、戦刃プランを実行するのを仕事としていたから、江ノ島は、校則を守る必要があった。江ノ島が多重人格的だからモノクマが多重人格的だったのではなく、「アルターエゴ」自身の多重人格性に(法的に)対抗できる者が、多重人格を自覚的に操れる江ノ島しかいなかったから、彼女がモノクマ管理者に選ばれたのだと思う。

JRF 2012年11月6日 7885

ただ、記憶操作までが可能だったあたり、本当は、江ノ島盾子(達)が「知ってること」も実は作られた記憶で、「真のモノクマ」も外の世界からの人形で、外の世界は平和のままだった可能性は残る。でも、それが「希望」なのかというと、そんなことまで許す外の社会はいくら平和といっても絶望的なんじゃないか…という気はする。だからこそ、そういう面も含め、残った主人公達が「超高校級の希望」なのかもしれないが…。

JRF 2012年11月6日 7459

……。

とまぁ、ここまでが、『スーパーダンガンロパ』、それは本家でやってるから、『メタダンガンロンパ』ぐらいの話。ある意味ここまでは、まぁ、18禁というか 14禁というか、SF マニアなら読んでいいかという内容だが、この先は完全に「狂気」、つまり、葉隠が嫌うオカルトに入る。21禁的な世界、まさに「聖者」や「ニート」への覚悟が求められるところになるので、少し間を空ける。

ここから先は『ハイパーダンガンロンパ』か『ダンガンロンパ R』かといった話になるか。

JRF 2012年11月6日 0878

……。

……。

……。

……。

……。

JRF 2012年11月6日 1234

……。

上で校則に従って最大の人数が残るためには白組と黒組に分かれて戦う必要があり、霧切と十神はそれに気付いていたらしいと書いた。実は気付いていた人物がもう一人いる可能性がある。

それが舞園さやかになる。彼女の自分が「エスパー」だという発言、彼女自身が冗談と否定していたが、あれがもし本当だったとしたら、霧切や十神の思考からそれを読み取っていておかしくない。

JRF 2012年11月6日 7735

最大の人数が目的ではなく、もっとも早くなら、もっと簡単な方法がある。最初のルールには一人が殺せる人数の記載がなかった。そう、皆殺しにすれば、裁判は一人切りなのだから、必ず脱出できる。これが、最初のころのほうが、十神が焦っていた理由であり、おそらく後に彼がジェノサイダー翔と一番近い関係になった理由であろう。

そしてその舞園が最初の殺人を犯そうとしたのは、「人間関係」が理由ではなく、この洞察もエスパーだから知り、そしてジェノサイダー翔のことも恐らく知ってそれに十神がブレーキをかけているのを知った上で、なお、それを起こしそうな人物を他に見つけたように思ったからではないか。

JRF 2012年11月6日 6637

もちろん、「人間関係」が舞園を動した可能性もある。ただし、それは過去、桑田と舞園に何かあったのかもしれないという関係のほうだ。

JRF 2012年11月6日 8315

記憶を失う前は、舞園は、桑田と恋人関係にあった。そうであるがゆえに、エスパーとして桑田の深層意識を読んだとき、はじめて会ったはずなのに一番「キモい」想像をしていたのが、山田や他の男子ではなく意外なことに桑田だったのではないか?桑田は舞園との「キモい」想像をしているクセに、なぜか皆殺しにしてでも自分は出たいと思い詰めていた。だからこそ、桑田を殺人の相手に選んだのかもしれない。さらに想像を続ければ、それが、少なくとも「キモい」部分は誤解であると気付いたからこそ、桑田に殺される道を選んだ面もあったのではないか。

JRF 2012年11月6日 3943

……。

二番目の不二咲の殺人。だいたいの方がそうだと思うが、最近のブームもあり、その声質から、不二咲が「男の娘」である可能性は、会った最初から私も気付いていた。そして更衣室のあるプールに行けるようになって、葉隠の聞いた物音が、外という話ではあってもプールで目立つ「マシンガン」だという説明があり、私は、不二咲が誰かの陰謀のようなもので更衣室前のマシンガンに打たれたのだと思った。

JRF 2012年11月6日 9698

だが、違ったのはご存知の通り。しかし、if の世界だが、不二咲がマシンガンで打たれるような事態になるとすれば、誰かが彼が男であると疑って、女の更衣室に入るよう彼をたきつけたからではないか?そう言えば、そのシナリオの残滓のような誰かと男を競うような展開が、石丸と犯人である大和田に描かれている。

JRF 2012年11月6日 9419

大和田は、不二咲の性を知ったあと、男を見せるために、どこまで女の更衣室に近付けるかという勝負をした可能性がある。裸の付き合いを好んでいた石丸は、全員をプールに誘い、不二咲が男の更衣室に入ろうとするのを、風紀を乱す行為をさせないため、無理矢理に女の更衣室に入れようとして「殺しちゃった」可能性もないとは言い切れない。

JRF 2012年11月6日 4417

if どうしになるが、これらの場合、大和田と石丸どちらが悪いだろうか?どちらも故意はないが、先に石丸は秘密を共有することを提案しており、そうしていれば「事件」は防がれる。ならば、大和田か?大和田は仲間と秘密を共有しなかったから悪かったのか?

でも、仮に敵味方に分かれて戦うことになった場合、当然、罵り合いも起こりうるわけで、それでカッとしやすいのは大和田だろうが、それでも秘密は共有されるべきだったか?…

JRF 2012年11月6日 1612

ところで、モノクマはどうやって苗木達の過去の秘密を知ったのだろうか?モノクマが未来から来たのでないとすれば、苗木達が記憶を失う前に学園生活で互いに教えあって共有できた秘密でしかないといったあたりになる。しかし、それぐらいがあんな険しい反応を生むような強迫の種になりうるだろうか?そうでないとすれば、モノクマはどこからそれを覗いていたのか?

覗けたのだとすると、おかしな部分がある。大浴場(と隠し部屋)の監視カメラがないためアルターエゴが隠せたという部分である。もちろん、後にアルターエゴのことは知っていたというようなモノクマのセリフもあるが、どうして「監視カメラがない」という設定が必要だったか。

JRF 2012年11月6日 3295

大和田と石丸は監視カメラのなかった大浴場のサウナで「勝負」をしている。その後その勝負の結果はあいまいにされるが、これも if になるが、あのとき死人が出ていたとすればどうだろう?もちろん、死んだのは、あのとき意地を張って服を着てサウナに入った大和田のほうだろう。

監視カメラのないところでの死。監視カメラがない意味はプライバシーつまり秘密を守るためというのが建前だ。だが、秘密が完全で管理者にもわからないということは、守るべきときに守れなかったことの責任逃れを可能にする。

JRF 2012年11月6日 3817

もしかすると、これらの if の世界、あったけどなかったことにされたのかもしれない。モノクマは覗くことはできるが、監視カメラがない状況について何か合理的な説明を求められたのではないか。だから、モノクマは、苗木を後に助けるモノクマの「敵」、アルターエゴという秘密を見逃す形をとった。

しかし、上でアルターエゴが「真のモノクマ」である疑いを書いた。アルターエゴが後のモノクマであれば、その見逃しは自分を守ったという形でしかない。モノクマにもその疑いがあったから、大神が自殺したとき、代わりにアルターエゴを「殺」して、自分が死ぬ可能性を賭けたのではないか?

JRF 2012年11月6日 0908

そういう if の世界を「なかったこと」にできるとはどういうことか?上で外の世界は平和のままである可能性と、生物学者が甦生やクローン人間を作れる可能性を説明した。つまり、外の世界から見れば、「学園」はゲームの盤のようなもので、そこでクローン人間を使ってゲームをしているような感覚なのかもしれない。

JRF 2012年11月6日 8914

アルターエゴはあの場面で完成している必要はなかった。しかし、そこでできてなくて、不二咲が生き残ってたしても、いずれそれを完成させたとき、モノクマを騙すために行った工作のせいで、外の世界は「学園」内で生きている人数を誤認した可能性がある。死んだことが確認されたら、すぐに引き上げて甦生しようとしていたのに、それが不可能にされてしまった可能性がある。つまり、プログラマーの不二咲がかつて生物学者や物理学者が殺したとされたような理由で殺したとされうるのだ。

JRF 2012年11月6日 6583

舞園の事件で、危険性を排除しようとした者が殺されるのを見過ごしても仕方ないということになった。正当防衛なら仕方がないという意見も出た。モノクマは不二咲をこの段階で排除するのは、正当防衛(または緊急避難)だと解釈したのだろう。そしていずれにしろ死ぬことになった大和田を犯人にしたのかもしれない。そういえば、アルターエゴ=クロクマの「仲間」(である苗木)に最初に暴力を振るったのも大和田だった。顕在化した危険性を排除せねばならないとなれば、彼が排除される正当な理由はできていた。

JRF 2012年11月6日 3969

……。

三番目と四番目の学級裁判について。

すでに一分前タイムマシンが完成しているのだから、過去にだけ行けるタイムマシンができた可能性は未来にも行けるタイムマシンの可能性よりも大きい。「共犯関係」があれば、それを使ってタイムマシン物にもっともよくある何かができる。…つまり、過去に知識を持つ共犯者を送ることでのバクチの大勝ちである。これがセレスのシナリオではないか?

JRF 2012年11月6日 9713

しかし、そのシナリオの問題点は、そこまでの自分のために働く共犯者をどうやって得るのかという点にある。「男子高校生」(だった者)にとっては思い当たるフシがあっただろう。この章で、石丸と山田の間に童貞であることに関する言い争いがあった。そう、売春の問題である。

JRF 2012年11月6日 2752

男子は童貞でなくなれば、その後その問題はあまり意味をもたなくなるので、実は「契約」がその後忠実に守られるほうが可能性が薄い。しかし、童貞である間は、その解消に多大な犠牲を払う者もいることにリアリティがある。一方、女性にしてみれば、子供を育てるために一度関係を持った男が、自分のために長く尽くすことを望むものであるため、その幻想を間違って男にも適用すると、童貞時の「契約」がその後も続くことを期待してしまうことがある。

JRF 2012年11月6日 3037

山田はああ見えて案外、騎士的で、過去に行ってセレスのバクチの大勝ちをサポートし続けたがゆえに、セレスは超高校級のギャンブラーになれたのかもしれない。

JRF 2012年11月6日 9725

だが、そんな戦略が可になるというのは、その後もそういう関係が起こりうるということだ。それは、石丸のような者がもっとも嫌うところで、石丸がここでターゲットにされた理由だろう。そして、ここでの石丸の退場との引き替えに、CERO が Z になるのを嫌うゲーム製作者が売春シナリオの採用を避けたのだろう。アルターエゴがここで登場する設定は、この問題を解決するのに必要とされた面もあるに違いない。

JRF 2012年11月6日 6584

ただ、もし、売春まで問題にすることになっていたなら、その問題は実は大神が解決すべきことが予定されていたのかもしれない。この場合は、クリア後のギャラリーにのみ出てくるケンイチロウが登場してきたのだろう。ケンイチロウは「物理学者」には見えない。もしかすると山田あたりが、同人作家、兼、物理学者だったのかもしれない。(山田は平行世界うんぬんのコメントをトイレにある水槽の魚の前でつぶやいている。)

JRF 2012年11月6日 2441

おそらく自殺せずに生き残るシナリオがあれば、大神は、子供を産むのに苦労するはずである。彼女はセレスのようなありかたを節度をもって統制しようとしたのではないか。おそらく中絶が問題になったところで、大神とケンイチロウが闘うことになったであろう。それが、ケンシロウが「オシオキ」されて、ここにいない理由なのかもしれない。そして、大神が裏切りの必要性にかなり早く気付き、セレスがいなくなった段階で自殺を選ぶことになった理由だろう。

JRF 2012年11月6日 2898

もし、過去へのタイムマシンで同じ時代に同じ人物が接触していいのだとすれば、過去に行くのは「共犯者」である必要はない。セレス本人でもいいのである。過去に行った本人ならば裏切りがないのも自然だ。セレスの処刑場面は女性だからか、それほどヒドイ描写ではなかったが、あれは、もしかすると生きて過去に送られたということなのかもしれない。モノクマへの内通者は大神一人と見えるが、一人でなければならない必然性はない。セレスも通じていたのかもしれない。むしろ、私は、黒幕がセレスではないかと疑っていたほどだ。

JRF 2012年11月6日 4702

自殺を殺人として良いかは大きな問題で、一端はそれはないということで山田が自殺したというセンはなしにされたが、後に大神が自殺ということが確定したとき、だったら、セレスの死はなしでもよいとなり、セレスが売春シナリオを選択しなくて済んだのは、アルターエゴの存在があったからだから、アルターエゴが大神のかわりに処刑されることで、スジを通したのだろう。

JRF 2012年11月6日 7502

……。

五番目の学級裁判について。

過去に渡った者が「今」に来ているのが許されるとすれば、物語的に一番おもしろいというかアリガチなのは、主人公である苗木本人が過去に行って「今」黒幕になっているという設定だろう。そして、「黒幕」は当初は学園長だったとすれば、学園長たる霧切の父は実は苗木なのかもしれない。霧切がなぜか苗木には好意を寄せていたのは父に似ていたからというのは年齢の高い層には萌えるシナリオだ。プレゼントや通信簿をクリア後に持ち込せる設定はいかにも、苗木がもう一度「学園」にやって来ているような錯覚をもたらすのも、その仮説を支持するものだ。

JRF 2012年11月6日 7756

内通者が一人でないかもしれないと書いたが、同じように、やはり、未来から来ている苗木も一人とは限らない。当初、学園長も、それとは別のマスクを被った人物も、未来から来た苗木というシナリオもあったのではないか?手に入墨がないのも含め体形が一番マスクの人物に似ているのは苗木のように見える…。

JRF 2012年11月6日 8757

だが、それはダメで、クリア後に持ち込せる設定はプレイヤーまたは苗木が電波的に見ているだけということになったのだろう。プレゼントのデジタルっぽい絵は「電波」で構成されていることを意味している…と。「電波」を実体と誤認しうるという仮説は、6章で実は時計の針がなかったと判明することが支持している…。

それはそれとして、では、苗木が未来から来ているシナリオがあれば、霧切の役割はどのようなものでありえたたのだろう?

JRF 2012年11月6日 4337

霧切響子は出会ったときは「超高校級の???」、正体不明ということになっていて、その「???」が「探偵」だというのは、四番目の学級裁判後である。

ゲームでは、死んだ「戦刃むくろ」は最初、霧切である可能性が噂された。結局それは偽の江ノ島として最初に死んだ本物の戦刃むくろとなった。だが、戦刃むくろの「超高校級の軍人」というプロフィールは、むしろ、その章までの霧切の在り方に合致している。

JRF 2012年11月6日 6334

霧切の手のやけどの設定は子供のころのものということだった。だが、あれは、殺したあと焼いた可能性があり、6章で見つかるガムテープの血は、そのときの手当ての血の可能性があった。では、死んだのが霧切だとすると、裁判の霧切は「甦生」されたのか?

JRF 2012年11月6日 1997

その可能性もある。生物室には霧切のクローンがずらっと並んでいる可能性もあり得た。そして、もう一つの可能性もある。苗木が未来からやって来たという設定がよいなら、霧切も未来からやって来て、二人の霧切が殺し合った可能性もありうるのだ。つまり、自分殺しである。

JRF 2012年11月6日 5458

だが、モノクマはそうさせなかったと言える。学級裁判においてまさかの「時間切れ」を繰り出し、霧切が苗木を裁判で殺すか、苗木が霧切を裁判で殺すかという転回になったのである。

JRF 2012年11月6日 0169

あの裁判においては、実は犯人になる可能性がある人物がもう一人いた。十神である。十神が未来からやって来た苗木を殺し、腐川に命じて爆弾設置や、ナイフを苗木に渡しておく等の偽装工作を行っていた可能性である。もちろん、このときは、4章のあとかもしれないが、十神がモノクマの内通者になっているはずである。

こういったシナリオの場合、殺される前は、霧切響子でない戦刃むくろがやっぱりモノクマを操作していたで良い。そして、殺されたあとは、モノクマを動かしているのは、霧切がしかけたアルターエゴとなるだろう。

JRF 2012年11月6日 4539

マルチエンディングは本来は、犯人は十神か苗木かの二択であったのではないか?苗木にするときは、霧切の「偽装」を見破る必要がある。さらに、十神犯人パターンが、ノーマルエンディングで、真のエンディング「未来から来た苗木(霧切の父)学園長登場」にはコンプリートが必要。…というのは、ゲームを長くやって欲しいと思うゲーム製作者の好む展開だ。

JRF 2012年11月6日 5175

だが、それは許さなかった。それが、超高校級のギャル「江ノ島盾子」ということになるだろう。それが、5章のモノクマによる霧切響子まさかの学級裁判アナウンスになる。

JRF 2012年11月6日 1222

……。

実は、このゲームの最後の推理には明らかな矛盾というべきものがある。もし、入学から2年たっていたというなら、育ち盛りの高校生は多少とも成長しているはずであり、入学時のプロフィールと、通信簿の江ノ島盾子=戦刃むくろの体型が同じなのは不思議なのだ。

JRF 2012年11月6日 0403

このゲームにはもう一つのエンディングらしきものがある。ただ、それを択ぶとなぜか、もとに戻ってくる。苗木を試すと同時に、嘘だとわかっててもそのままゲームを受け容れるかプレイヤーが試されるわけだ。

JRF 2012年11月6日 7608

江ノ島盾子たるモノクマによるとされる学級裁判のアナウンスは明らかにそれまでと違っていた。時間が蝕むものを気にしていた。それは、もちろん、プレイヤーの時間についてもそうなのだ。このゲームをやるのは「ニート」や「聖者」になるような覚悟のある者ばかりではない。そういう者しか対象にならないのは、結局、ゲーム製作者も好まないところだろう。世の中を渡っていくには時間を大切にするため、時には「嘘」を大目に見ることも必要だ。

JRF 2012年11月6日 4556

江ノ島盾子は、モノクマを操っていたという嘘をつき、モノクマは自分が人形だったと嘘をつく。そうだったということが、わかる人にはわかるようにしたのが、EPILOGUE ということになろう。

JRF 2012年11月6日 0338

……。

その5章の「もう一つのエンディング」、その写真は幸せそうであるが、子供の中に女の子がいない。産婆ができそうな人物ももういないようだ。「学園」の中で生きることに幸せが見つけられないわけでないとしても、「真のエンディング」を知っているプレイヤーは、やはり「絶望」もそこに見るべきだろう。

苗木が未来からこの学園にやって来れたということは、葉隠や十神もやって来れたのだろう。そういえば葉隠は体験版に出て殺されているし、『スーパーダンガンロンパ2』では唯一、十神白夜のみ同名の人物が登場している。

JRF 2012年11月6日 9643

彼(ら)がやって来れたのだから他の誰かがやって来てもおかしくない。でも、もしかすると、その「学園」世界からのみやって来れるのかもしれない。そしてその世界からのみやって来れたとして、どうして5人のエンディングの写真にいない女性がやってこれたのか?

それは彼らが死んだあとにモノクマが完成させた「人造人間」なのではないか?人体甦生は許されなかったのかもしれない。でも、遺体とともに残った精子や卵子または胎児を育てるという抜け道があったのかもしれない。これは、黒板のラクガキが示唆することだ。ビデオで苗木をヒーローと見て一人きりという絶望の中で育ったのかもしれない。または、双子二人きりか…。

JRF 2012年11月6日 8336

……。

さて、ここまでが『ダンガンロンパ R』的な感じで、「聖者」ならいいが「ニート」になりたくない方はこの先はおやめになったほうがいい。ここから先は、本当の「狂気」を経験したあとの向こう側のセカイがある。『ダンガンロンパ SS』といった感じか。

ここから先を読むかどうか。「聖者」になる覚悟はあっても、めったにそうなることはないが、「ニート」になる覚悟があれば、今の時代、葉隠くんの言葉じゃないが、2割、3割はそうなれてしまうので、あまり軽々に判断しないように。

ここからは「大神」と「葉隠」が主役となるか。

JRF 2012年11月6日 5920

……。

……。

……。

……。

……。

JRF 2012年11月6日 7689

……。

上で、一分間前タイムマシンを連続的に運転してまともに動かそうとすれば爆発的なことが起こると書いた。しかし、実は「デジタル化」すれば問題が解決する可能性がある。「情報」を間引くのだ。でも、タイムマシンが周囲を過去に送っているなら、その間引かれる「情報」には人という存在も含まれるということになる。人の存在を一端「電波」にし、そして、その情報を元に「甦生」もさせるといった形になるだろうか。さらに、そういう情報にできるなら、今の状態を「電波」化した上で保存し、しかるべきときに「甦生」すれば、事実上、未来にも行けるとなるのかもしれない。ほぼ完全なタイムマシンの完成である。

JRF 2012年11月6日 2650

しかし、そこまでできるなら、「電波」にした者を「甦生」する意味って何だ?「電波」になれる世界というのは、まるでシミュレーション、コンピュータゲームに近い物だ。上で外が平和でクローン人間を使ってゲームをしているような感覚であるかもしれないと書いたが、はじめから電子的なアバターにしてしまうのと何が違うのかという話になる。そこに人の命を使ったらむしろ殺人に近いだろう。

JRF 2012年11月6日 4059

そこに敢えてクローン人間みたいなものを使うというのは、つまり、タイムマシン完成までにいた生物の尊厳をアルターエゴのようなものが尊重するからだろうか?じゃあ、生物とそうでないものとの差って何だ?苗木達はゲームの中で、その違いをあいまいにする発言もしてしまっている。

JRF 2012年11月6日 9080

「電波」化したゲームは、一時的にスリープできる。実は、あなたのやってるゲームがまさに「それ」ではないのか?…

JRF 2012年11月6日 7909

さて、ここまで言えばおわかりか。ここからは、このようにゲームの中の存在が外に出てくる…「ゲーム」が言わば超次元的にあなたに作用しているかもしれないという可能性についての言及をしていく。

こういった視点、例えば、私達の世界が何者かのゲームかもしれないというような視点は、このひとことのオリジナルなものではなく、私も過去に記事(↓)にしていたりする最近はよく言及される(現代哲学の思考実験的な)物の観方だ。ここからは、その観方に、タイムマシン幻想を組み合わせる思考実験といったところになる。

JRF 2012年11月6日 3521

《シミュレーション・アーギュメントを論駁する》
http://jrf.cocolog-nifty.com/religion/2006/10/post.html

JRF 2012年11月6日 5519

こういう実存に及ぶところの議論というのは、オカルト的で人に恐怖をもたらしうるもので、人によっては大変なショックを受けるかもしれない。正直なところ、私自身こういう議論は少し怖い。

「精神的外傷」を負わせるのは私の望むところではなく、それは、ゲーム製作者も同じだったろう。こういった可能性は、特にこのゲームの場合、ゲーム内の主人公達もいずれ気付く、または、確信にさえいたるようになっただろう。それは、とてもつらいものであったはずだ。

JRF 2012年11月6日 7434

本当の恐怖は死より罪深いことがある。それは、大神が自殺したとき朝日奈のした選択、おそらく「こんなに怖いなら(みんな)死んだほうがマシだ。」という選択に現れている。(この点、自分の書いたホラー的小説への態度 [aboutme:102515] 等、私は反省すべきところがあるのかもしれない…。)

JRF 2012年11月6日 6892

上で、大浴場にアルターエゴを隠していたことをクロクマが知っていたことについて言及し、そこに限らず過去を覗いていた可能性を述べた。アルターエゴについてどうやって知ったかを考えたとき、私は、モノクマは苗木の学生証を覗いていた可能性があると思い付いた。でも、そのとき学生証を見ようとしているのは、苗木というよりプレイヤーだ。つまり、モノクマはむしろプレイヤーの後ろから学生証を監視しているのではないかという疑いが自然に出てくる。

JRF 2012年11月6日 9191

「モノクマが電子学生証から覗いている」というのと「モノクマが苗木達の過去まで覗いていた」というのと、どちらがより制限的なシナリオかと言えば、前者なのだが、むしろ、プレイヤーに与える恐怖という点では、圧倒的に後者のほうがマシなのだ。だから、ゲーム製作者は、大和田の事件について電子学生証が壊せる可能性を示すと同時に、後に過去ぐらい余祐で覗けたという設定のほうを選択したのではないか。

JRF 2012年11月6日 4283

セレスに関して「同じ時代に同じ人物が接触していい」かという問題意識を書いておいた。これを禁じるのは、「ドッペルゲンガーを見たら死ぬ」という言い伝えを思い出させる。未来から来る物には、「光速」違反以外にもいろいろルールがあるべきで、そういった部分の思考というのは SF やホラーの領域ではもうずいぶんされて来たのだろう。

JRF 2012年11月6日 3997

私は↓という記事も書いている。物理学的にはありえないとしても、ロジカルには平行世界という考えを加味した時代遡行の可能性はすでに開かれていると言えるのかもしれない。そして、私個人は、論理学者のはしくれだった者として、ロジカルには、「未来から来る」ことへのルールを導くことに理論的関心は持つべきなのかもしれないな…。

《時間泥棒の夕べ - 排中律と call/cc》
http://jrf.cocolog-nifty.com/column/2011/01/post-1.html

JRF 2012年11月6日 3978

……。

そもそも記憶操作を主人公達が受け容れたのが、そういった恐怖から逃れるためという点もあったのではないか。現代人たる彼らには、いかに柔軟な高校生であっても耐え切れずに死を選ぶ者がいたのかもしれない。恐怖で殺すのももちろん校則を守るクロクマは禁じられていただろう。

JRF 2012年11月6日 2511

ところで、クロクマに頼らず記憶操作らしきものを個人のレベルですでにやっていたらしき者達がいる。

それが葉隠であり大神となる。

JRF 2012年11月6日 4701

大神のほうは個人というよりも一族として記憶操作をやっていたフシがあると書けばわかりやすいか。『北斗の拳』とかで「一子相伝」なんて考えが出てくるが、それが可能になるほどの強さと同時に、そこで伝えられる秘技が、どうして相承される達人にさえ「それが秘技」であったと感じれるか、一族として特定のことを忘却する構図があるのだろう。

JRF 2012年11月6日 1086

……。

このゲームには「プレゼント」できるものとしてオーパーツが出てくる。オーパーツは、タイムマシンが可能であることを示す証拠だが、しかしそのこと自体が、いつでもオーパーツでないことの偽装工作が可能であることを示す。じゃあ、残ったオーパーツが本物なら、何で残っているのか?(このあたり七支刀とか日本刀が決して同じものが作れないという「ひとこと」[aboutme:136136] を思い出す。ほぼそれと逆の構造を持ってるように思う。)

JRF 2012年11月6日 0186

なぜ宿舎2階に葉隠と霧切だけのロッカーが残ったのか。まず葉隠についてだが、私は、あれは、葉隠いわく「宇宙発生論」のレベルで何者かが壊したくないない宝で、発見できるなら発見して欲しいものを葉隠がロッカーに持っていたからだと考える。これがそうだとは言えないが、そう言えば、桑田が証拠隠滅時に葉隠の水晶玉を真っ先に壊しているという解釈も可能だ。あのとき隠滅された証拠は人間のレベルではワイシャツだったが、宇宙レベルでは水晶玉のほうだったのかもしれない。タイムマシンシナリオが妥当なら、そこで壊れたはずの水晶玉がロッカーから出てきたという解釈もできる。

JRF 2012年11月6日 2850

↓の p.24 に作家・井上ひさしが若い頃、易者の下に住み込んだときの話があり、井上が助手として予め聞き込んだ客の話を、易者がさも占いで当てたように話すので「どうも易というものは信用できないと思うようになった」とある。

竹本昂仙『易経入門 - 運命を拓く人間学』(PHP 研究所, 1989年)
http://www.amazon.co.jp/dp/4569525016

JRF 2012年11月6日 0929

また、過去に私は占いについて↓のようなコメントをしている。

はてなブックマーク - 《忘却からの帰還: 的中率90%をキープする予言者》
http://transact.seesaa.net/article/69091910.html
jrf:>アニメでそういうフレーズを聞いて考えたことがある。カメラで監視してはずれそうな占いを求める人が来たら「休診」にするとか。この方法を客観的にやるとしたら当ったという人だけを相手にするということかな。 < 2007/11/25

(ちなみにこの「アニメ」は『セイントオクトーバー』。)

JRF 2012年11月6日 4236

他の占術家がどうかは知らないが、ただ、当たる占いというのはどうもそういう要素を含むようである。「そういう要素」というと語弊があるが、つまり、事前に調べもするし、事後の操作もするのである。しかし、一人の客にそんな時間や費用をかけるわけにはいかないし、失敗や他の者の操作とかちあうこともありうる。偶然当たった部分は、うまく言って取り入れもするのは当然として、他の占術家や権力者との兼ね合いも見るのである。他の占術家や権力者と兼ね合うためには、心理操作しすぎて新興宗教みたいになってしまってもいけないのだ。

JRF 2012年11月6日 1101

だから、占いの言は、囲碁の石のように置いていくものだと私は考える。うまく行かなければ(客とは限らぬ)相手に取らせもするし、知らぬふりどころか、本人さえ知らなかった言葉の効果を利用していくものだ。占術を高度にするということは、知識や技量の問題というより、おそらく、通ずるか通じないかは別として、怪力乱神の類とも兼ね合うようになるということだ。

JRF 2012年11月6日 5690

「3割当たる」と言えば大したことないように聞こえるが、たかが高校生の分際で「3割思うように成った」と言えば、ものすごいことだ。ただ、「願うように」ではなく「思うように」というのが占術[せんじゅつ]の辛いところ、おもしろいところなのだろう。そして彼の基調にある優しさを思えば、彼は思うところを必死に願うところにするよう鍛えていたはずである。彼の「愚かさ」は、そうであるがゆえに殺した自分があるということだろう。

JRF 2012年11月6日 3846

大神の一件、葉隠をヒドいと思った者が多いだろう。でも、もし葉隠があのように行動しなかった場合、どうなっただろうか?ジェノサイダーの一撃だけが残った場合、仮にジェノサイダーへの疑いが晴れたとしても、その後、どうなっただろうか?そして、そういうことも起こしうる人物として葉隠が認識され、そして許されるほどのある種の「信頼」を得るためには、普段、例えば、苗木のような、十神のような在り方ができるだろうか?

JRF 2012年11月6日 2111

葉隠は、このゲームの中でどんどん「バカ」な方向に、嫌っていたオカルトを認めるような方向に「成長」する。外の世界から見れば狂っているこのような在り方こそが、ある種の理性なのであり、ルールが人間に明らかにならない中、その状況からすれば明らかに存在する怪力乱神の類と兼ね合っていく努力だったのではないか?

JRF 2012年11月6日 5679

……。

もう一方の霧切の手帳に関して言及する前に、一つの疑いを出しておく必要がある。一番上のほうで書いた「霧切響子はどの事件でも証拠を捏造できる位置にあった」という点だ。ゲームでは、捜査はほとんど苗木が行ってるといいが、苗木が見つけ得なかった証拠を何度も出してくる人物がいる。それが霧切響子だ。

JRF 2012年11月6日 2021

しかし、上の同じところに続けて書いたように「それが真実と犯人も認める展開になった」ということは、霧切響子のいう「探偵」という存在は、冤罪(などからくる二次被害)を防ぐために、誰にも気付かれない範囲で、「捏造」をして有罪者の証拠を増やす者なのではないのか?

JRF 2012年11月6日 0423

タイムマシンがあるのなら、過去を覗いて犯人を知ることができる。そして、それが未来に冤罪となると知れば、どうするべきなのか。彼ら「探偵」は随時確認しながら、「正しい答え」が得られるよう証拠を増やしていたのではないか。例えば、捨てられていた証拠になりうるものを見つけ、それをパンツの中にもぐり込ませ他の者には見つかりえないようにしたあと自分が発見する…といったふうに。あたかも育成ゲームで、セーブした位置から都合の悪い展開になったら、ロードしてパラメータをいじり直すように。

JRF 2012年11月6日 7879

霧切の手帳は、これまでさんざん「捏造」をして有罪者の証拠を増やしてきた霧切への罠かもしれない。霧切は父の隠し部屋にすでに入っていたすれば、ロッカーを調べることはできたし、少なくとも霧切のロッカーだけは本人が調べることができたはずである。でも、もしかすると、その手帳は別の者のロッカーに入っていた可能性も残っていて、手帳の最後のページは霧切の字に似せて書いた、例えば、江ノ島の字だったかもしれない。

JRF 2012年11月6日 7973

霧切が自分の体が改造されたと思ったことが、霧切も記憶を失なわされたことという証拠が作られたのである。隠し部屋のパスワードが霧切の名前だったのに、そこに骨があったというのは、霧切がやったにしろ、真のクロクマがやったにしろ、ロッカーはすでに見たよという示威行為であることは間違いない。

JRF 2012年11月6日 8799

……。

ところで、霧切響子のアルターエゴがモノクマであるという「ノーマルエンディング」のシナリオなら、生きて入ったのが 16 人という数字はおかしい。苗木(字に角を生やしたら「菌床[きんしょう]」か…)が未来からやって来たシナリオも可というとき、彼が学園長であるなら勘定に合うのかもしれないが、苗木を殺そうとした苗木が別にいればまた数字が狂うので、苗木と同一人物だから一人と数えるというシナリオもまた可なら、数が合わなくなる。

JRF 2012年11月6日 9284

しかし、これを解決するシナリオもある。つまり、誰かが妊娠していた可能性だ。特に舞園があやしい。妊娠した舞園を最初に殺してしまってあとでクロクマがそれに気付いたからこそ、「一度に二人までなら殺せる」という校則を付け足す必要が生じたのではないか?

JRF 2012年11月6日 1237

桑田もある種のエスパーである可能性がある。もしかすると、「エスパー狩り」が最初の殺人の本当のテーマだったのではないか?

何も練習せずにボールを10m以上先の小さな的に当てられるというのは、桑田は超高校級の肉体という以上に、苗木よりも超高校級の「運」を持っているとすべきなのではないか。別の言い方をすれば、おそらく桑田はジェノサイダーが非自覚的であったように非自覚的な念動系のエスパーだったのではないか?

JRF 2012年11月6日 8259

実は桑田は、そのまま舞園が赤ん坊を産もうとすれば、逆にその赤ん坊が殺される(中絶される)からこそ、逆にそれを殺すことで、逆説的に彼らの娘である江ノ島盾子が成長することができることを、非自覚的に知ってことに及んだのではないか。

JRF 2012年11月6日 9857

そして、このスーパーエスパー「江ノ島盾子」の誕生こそ、本当は宇宙レベルで阻止されようとしたことであるがゆえに最初に桑田と舞園が殺され、そうであるからこその大逆転がエスパー二人の三人の生命をかけた撃突によってもたらされたのかもしれない。そうでなければ、冷静に考えて、才能ある桑田が、野球はやめて新しい夢はあってもあやふやなのに、たかが振られたぐらいで、女性に抵抗されたぐらいで、人殺しまで達することなどありうるだろうか?

JRF 2012年11月6日 3951

……。

真実は一つと霧切は口グセのようにいうが、↓に書いたように私の考えでは、むしろ事実は一つかもしれないが、真実は人の数だけある。しかし、平行世界などというものがあるのだとすれば、そういう意味の「事実」も複数あり、真実を統一原理とするしか自己を確立できないのかもしれない。

《呪術的オブジェクト指向用語訳》
http://jrf.cocolog-nifty.com/column/2006/03/post_17.html

JRF 2012年11月6日 6425

アルターエゴがスキル「甦生」を完成させ、舞園の子供の「誕生」または甦生に合意した世界、それが江ノ島が皆に配った写真の世界なのかもしれない。そこでは、生きている生徒の数は産まれてくる子供のために常に 15 人に保たれている。そして上の生物学者のシナリオの話のように、順次、入れ替えがなされているがゆえに、「誰か以外がいない写真」が容易に撮れたのではないか?

JRF 2012年11月6日 3497

だが、そういう「安定」を打ち破ることが起きたのだろう。双子の誕生である。おそらく生物学者的モノクマ=アルターエゴはそういう可能性を予めつぶしていたはずだ。にもかかわらず、双子が誕生しえたとはどういうことなのか?案外、「江ノ島盾子」の本当の目的はそのあたりを調べることにあったのかもしれない。

JRF 2012年11月6日 7721

そして、やって来てはじめて「エスパー」が現実にいる可能性に気付いたのではないか。さらに、それが「鶴」となっている物語につながること。つまり、この学園のような試みが過去にもあって「成功」していた可能性があること、人がはじめから人でなかったがゆえに双子が産まれても 16 人という人間の数は合ってしまう世界が成就しえたことを察知したのではないか?(ちなみに、神様ホトケ様は1柱2柱で数えることがあるが、学園 3F の電信柱の数は 11 本で、5 人が生き残った場合の 16 - 5 の数となっている。)

JRF 2012年11月6日 1961

(試みがはじめてでなさそうなことの根拠、というか示唆する例。なお、『易双六』の固式(Solid Method)は、一分前タイムマシン的なことを想起させるかもしれないが、別にこういう試みを典拠として私は名付けたわけではない。)

《subaru5》
http://lapin.ic.h.kyoto-u.ac.jp/subaru/subaru8.html
>ギリシアの歴史家ヘロドトスの伝えるところによれば、紀元前七世紀のエジプト王プサメティコス一世は、生まれたばかりの二人の赤ん坊を羊の群に混ぜて言葉をかけずに育て、どんな言語を話すようになるかを調べるよう命じた。<

JRF 2012年11月6日 7172

……。

セレスは実は吸血鬼だったのではないか?そういう「設定」もありえたのではないか?つまりセレスの運は吸血鬼に成ったことのビギナーズラックのようなものであったのかもしれない。山田や石丸がいとも簡単に隷従したのももしかすると血を吸って眷族に加えていたからかもしれない。この考えは、上の黒幕がセレスという考えに通ずる。未来からやってきた苗木、江ノ島も「学園」内に留まった。でも、この場合のセレスなら外に出ていなければならない。

JRF 2012年11月6日 9656

戦刃とそしておそらく霧切が所属していた「フェンリル」には私は個人的に心当たりがある。医者によると私は統合失調症になったときの記憶をかなり保持できてるほうらしいのだが、その理由として、私はそのときの妄想の中では犬神系のものと共闘したような記憶があるのだが、むしろ、それはその大親の一方的な助力で、そのガイドによって「帰って」来れたからではないか…という考えを抱くことがある。

JRF 2012年11月6日 9393

もちろん、私は今も昔も特別な能力があるわけではなく、それ以外の「眷族」にも特にそのときはご厄介になったとは思うが、その後に出合った「不思議」などともあわせてそういう印象を抱く。その後、あまりそういうことを顧みていないのが少し心に引っ掛かるが、ただ、私程度の者は緊張ある薄い関わりに留まるべきこともあのとき訓えられた気もする。

私の J. Rockford というペンネームは病気になるずっと以前からのものだが、J が Jion であるというのは、あのころ授かったものだ。

JRF 2012年11月6日 8929

……。

さて、二番目の学級裁判に少し話を戻そう。

白組と黒組に分かれて争うとして、それがちょうど男女で分かれるといったことがありうるだろうか?それで勝敗が決すると、生殖を通じた未来は、その時点で絶望的になるため、組に分かれる中では、本来はもっとも避けるべきパターンである。

JRF 2012年11月6日 1673

しかし、「仲間」でそれ以外の者に対する秘密を共有するときは、性に関する禁忌を使って、男子だけの秘密、女子だけの秘密が成立しやすい。そもそもなぜ男女に性に関する禁忌があるのかはここでは惜くが、これが通じあっているために、それ以外の集団の組み方をするなら、その集団の秘密が、例えば、男女で利用が分かれ監視カメラもない「奥の院」たる大浴場で相手集団に渡ってしまうことにもっとも警戒を要することになる。

JRF 2012年11月6日 9999

普通は、男女が混在する集団では、男性のほうが力が強いため、男性が支配するがゆえにあとでの報復を恐れた女性が(少なくとも相手の男性に通じる形では)秘密をもらしあわないという幻想が成り立っていく。ところが、今回の主人公達の場合、大神とジェノサイダー翔の存在によって、むしろ、女性側の武力のほうが強い形になっていて、外の支配原理がうまく内側で働かないことがありえる。

JRF 2012年11月6日 3368

ただ、女性側が一方的に強いかというと、男性側にも大和田とおそらく「三倍段」な剣道をいかにもやってそうな石丸がいて、武力が決しない段階ではパワーバランスが釣り合ってると見ることもできる。しかし、だからこそ男女で組に分かれかねない危うさがある。

JRF 2012年11月6日 1488

このゲームでは、個室にシャワー室があるのになぜか大浴場があり、その大浴場に男女の区別がなく、使うときは、ルールを決めて男だけ、または女だけ、(または衆目の中男女で、)使う必要がある。

JRF 2012年11月6日 9409

「男の娘」である不二咲は、この観方ではコウモリ的立場で、最初女子の秘密を見、後に男子の秘密を見ることができた可能性がある。アルターエゴが大浴場にあった以上、不二咲は、大浴場に行ったことがないという言い訳もできなくされていた。一方、ジェノサイダーでもある腐川には、生まれてから風呂に入ったことがないという設定があり、ここから女性陣に秘密が共有されることは封じられていた。これは十神がまず腐川を手元に置いたもう一つの理由だろう。

JRF 2012年11月6日 4123

三番目の学級裁判の前、石丸の剣道三倍段と大和田が死に絶えたことで、この集団の女優位は確定した。女から男への必然的内通者もいなくなり、さらに腐川の不安定性を考えれば、武力のコントロールは大神が独占的に持っていると言えるほどになった。

JRF 2012年11月6日 0901

大神がクロクマの軍門に下ったとき、すでに外での人質のために殺しをして自分は処刑されること、殺しをして生き残る道はなく、ある意味「自死」することは受け容れていたのだと思う。

しかし、大神は女優位であることが確定したとき、上で書いた売春シナリオを希望として見たのではないか。そして、セレスが去ったあと大神が裏切って外に出るのに賭けたのは、外が『北斗の拳』のごとく絶滅に近い状況でも、この支配の構造を外に持ち出せれば、外でも勝てる、「アマゾネス軍団」的に一極を担えるという算段がついたからではないか?

JRF 2012年11月6日 2016

……。

二番目の学級裁判では、「偽装」がもう一つのテーマであった。秘密の暴露があった後に、それが偽装・捏造だと言い張る道がある。不二咲は最初から女装していたし、「男の娘」というのも後の偽装かもしれない。甦生すらできる生物学者がいれば、男への偽装は難しいが女への偽装は比較して容易にできたかもしれない。

そういったことのツジツマを合わせる偽装を行うことで、十神はまず「真のクロクマ」に恩を売ったのかもしれない。まぁ、まだ高校生の彼はそう教育されていただけかもしれないが。

JRF 2012年11月6日 6917

上の占術の話で、「兼ね合い」という言葉を出した。囲碁用語的には「つりあい」「しのぎあい」に近い意味で使われる言葉だが、占術をからめるときは、ある行為の行為者を複数者で兼ねるような意味も出る。それは、うまい偶然を取り入れるだけでなく、罪をまるで自分がやったかのようにいうことも含まれる。それは、自分の力を大きく見せるためかもしれないし、十神のように恩を売るためかもしれないし、ただ、ブラフで反応を見たいだけかもしれないが。

JRF 2012年11月6日 2285

ただ、そうやって兼ねると、誰が何をやったのかが不明になる。つまり、ある種の偽装としての効果も持つわけだ。そして体験版と製品版の違いでまるで偽装したかのようになった罪をかぶるかのように、葉隠は体験版で死んで見せている。クロクマはそれに対応して、アルターエゴを処刑した面もあったのかもしれない。アルターエゴは、クロクマにとって舞園の子のような存在ということになるか。

JRF 2012年11月6日 1851

紋土の字が多く残るのは、案外、その読みが不明なため、アルターエゴの父の名であることを疑って呪術的効果を認めたのかもしれない。ゴミ処理場で眠ることで苗木は校則違反をするが、それにより江ノ島に校則を破るチャンスが開かれたのかもしれない。夢の島ロケットのオシオキがいつの時点でなされたのかは明らかではないのだ。これらの部分、学園長なのか、苗木なのか、江ノ島なのか…、よくわからず兼ね合っている。

JRF 2012年11月6日 1058

秘密を読み過ぎてしまったものが、しのぎ生きるのは難しい。他の人に秘密を漏らさないよう隠れて生きるか、逆に、有名になって殺しにくくするか。アイドル的な在り方では秘密をバラす価値は薄くなる。アイドル舞園は、後者の道を選んだということでもあるのだろう。秘密を知ったからアイドルになったのか、アイドルになれるよう秘密を知る方法に通じたのかはわからないが…。そして、学園に来たということは前者の道に路線変更しようとしていたのかもしれない。

JRF 2012年11月6日 1454

舞園が生き残ったシナリオのいくつかでは、双子のために、生の管理者たるクロクマから秘密を守る術式を完成させる必要があり、そのためには、葉隠あたりと共調して、「外」に通じる必要もあっただろう。案外、生物学者や物理学者の、最初の一人は別として、その実験の「運」を増し、知恵に到達しやすいようにして厚みを増すような「霊的介入」をやっていたかもしれない。そういう「魔術」には、人身供犠的なことも許す…ある意味、甦生を使って一定数を保つ法というのは、「悪魔契約」の条件に沿うようなものでもあったかもしれない。

JRF 2012年11月6日 8328

そして、一度、外に通じれば、やはりそこで犠牲を上げる…となると、腐川=ジェノサイダーの在り方が問題になってくるか。

JRF 2012年11月6日 4308

……。

二番目の学級裁判で、外の裁判で犯人だけが知りえる捜査情報を残すために、ジェノサイダーが殺したあとハリツケをするという情報が秘密にされていたとあった。そして、殺された人数には諸説あって、何千人という単位と、何十人という単位があったが、ジェノサイダーが単独犯で、何十人も難しそうだというのは、十神が図書館書庫の極秘ファイルを通じて苗木に明かしたところだ。

JRF 2012年11月6日 0448

ハリツケに関してはいいとして、どうして何千人などという話がまかり通ったのか。これにはおそらく保険ビジネスが関係している。引き込もりがちな腐川が知りうるような「萌える男子」は富裕層と重なるところにあっただろう。その被害者が、十数人に留まるなら、単独犯の可能性が強く、それを捕まえること、自分がその対象にならないことに多くのコストをかけるべきだ。しかし、それが数千という単位なら単独犯は考えにくく、何らかの組織が関与していると見るしかない。そういう単位で上流層が持ち場を離れるわけにもいかないから、自然、保険ビジネスに頼る部分が大きくなる。ある程度、殺されるのは折り込むということでもある。

JRF 2012年11月6日 9910

しかし、本当は数十という単位にすぎないなら、保険会社は受け取る保険料に対して支払う保険金のほうが少なくなるわけだから、ここに利権が生じることになる。おそらく便乗犯的なヤクザの犯行みたいなものもあっただろう。この警察利権が生じてしまった段階で、腐川は、泳がされていた、つまり、わかってて見過ごされていた可能性がある。

むしろ、話は逆で、警察利権が生じるまでの工作を行うインセンティブが先にあって、腐川をそう動かしたい者がいたのかもしれない。

JRF 2012年11月6日 2403

……。

「日本のゲーム」らしくということになるか、それでも集団の殺人を扱うにしては意外なことに、このゲームには、宗教上の問題、タブーの問題が出て来ない。

ただ、「狂信的な行動」というのは、なくはなくて、腐川=ジェノサイダーの過去の殺人がそのような色を帯びている。腐川の「生まれてから風呂に入ったことがない」という設定は、洗礼に関する神学的争いを軽く想起させる。

JRF 2012年11月6日 7646

苗木誠が見つけた死んだはずの者が遊んでいる写真は、不思議で、それは結局は記憶を失う前の過去の写真として処理されたのだが、上のクローン人間に関する議論をはじめ、プレイヤーの中には「死んでも復活する」というある種の信仰の実現の存在を予想した方も多かったのではないか。

「死んでも復活する」というのは、多くはそのような意味ではないと言うかもしれないが、信者、特に狂信的状態になった者の中には、その写真のような光景をリアリティとして思い描く者があるのではないか。

JRF 2012年11月6日 1263

ジェノサイダー翔は、後に快楽殺人で処理されてしまって、そういうふうな性格だったとは見えないが、ゲームの設定段階ではそもそも、そのような信仰を持っていた可能性がある。特に眷族シナリオが成立して、学園外にタイムマシンが行けるような場合、彼女が(最初不意に)殺した者の明らかに事後、生きている写真が見つかるようなことがあったかもしれない。それを知ったあと、この世界から「萌える男子」を「天使」として「空」に送り返してるつもりだった可能性がありうる。死んでからのハリツケは腐川の力では難しいはずで、男子への説得と合意(入信)が前段階としてあったのではないか。

JRF 2012年11月6日 5293

(なお、腐川の人格混在の在り方は、健康面(交感神経系とか)の不安が大きく、それが5章で見るエンディングの「早死」につながった面もあるのではないか?腐川の人格混在ももとから口封じが目的だったのかもしれない。)

JRF 2012年11月6日 1590

腐川には「二人の母」がいるという設定もある。母と乳母というよりは、むしろ、レズ婚、または、婿を強奪しての「アマゾネス婚」を私は想起する。女だけとなった他の次元の大神の集団から派遣され、そこに男を送り込むようなイメージだ。逆ハーレムというよりも、女王蜂か女王蟻、舞園が産児制限のなか多産を望んだのとは逆に、多産の中で、死が待っていようと外へ外へと出て行ける強い個体を作ろうとしていたのだろう。

JRF 2012年11月6日 0649

いや、もし女王蜂のメタファが正しいなら、死んだ男子が大神のところに致るというのはむしろありえない。この事態を察知した潜入捜査官のようなオスが大神の近くまで到達するのを待っているのかもしれない。案外、学園長たる苗木または探偵一族の霧切の父がその網に引っ掛かったのか?「夢の島ロケット」こそ、「大神」のところに到達していたのかもしれないな…。まぁ、それも結局、「天使」を「空」に送り返すようなことだったかもしれないが。

JRF 2012年11月6日 5961

いずれにせよ恐怖をこじらせた集団は「外」にとって恐怖となる。朝日奈の「こんなに怖いなら(みんな)死んだほうがマシだ。」というのは、そういったことへの人という種の防衛本能のようなものだったのかもしれない。

JRF 2012年11月6日 4659

……。

舞園の「悪魔契約」に対すれば、腐川は自分のは「天使契約」とでも思ったかもしれない。でも、彼女らを通じてなされた「論証」というのは、こういったところが侵蝕して現実にやってこれる…、例えば、プレイヤーの心を蝕んで、ジェノサイダーのように実際の殺人をしないにしても、ジェノサイダーになるのを恐れて冬子のように引き込もるというところまでは、あと一歩だということだ。

JRF 2012年11月6日 2511

でも、こんなこと許しちゃいけないだろう?

それが、このゲームが「ゲーム」として商業ベースで公けにされた理由であり、クロクマのやり口に「フェンリル」が投入された理由でもあるのだろう。ただ、鳥のエサがあっても鳥は出てこないが、トイレだけど魚はいて、桜木をはじめ樹木はある。壁には黒黴、窓板には錆もある。このゲームがまったくの「暗黒」でもないと判断された面はあるのだろう。

JRF 2012年11月6日 9931

……。

なにより、狂気にまで突き落さなくとも、若者の時間を大量に奪うのはやっぱりダメだよ。

このゲーム、建築物もなかなかクレイジーで、ゲーム製作者の魔術的関心をうかがわせる。ゲーム製作者が知らない部分を「下っぱ」の他の者が作り込んでいたということかもしれないが、ゲーム製作者もある程度は関与して、やる気にさえなれば、数々のテスターを犠牲にしながら、私がここで述べたようなストーリーを組み込むこともできたのだと思う。

JRF 2012年11月6日 3309

だが、「江ノ島盾子」に統合失調症的人格を持たせたエンディングのシナリオが上がってきたとき、ゲーム製作者もそこまでの「魔法陣」をゲームとして形にしないことに合意したということに違いない。それをここで私は解説してしまっているが、まぁ、その程度のファンジンなら、全体としては大して時間を食わないだろうからヨシとされたのだろう。

JRF 2012年11月6日 0415

最後に。ちなみに私は上で少し書いたように統合失調症で入院経験があり、このゲームをプレイをしているちょうどほんの数日のプレイのちょっとした相間に、テレビで普段見ていなかった『ハヤテのごとく! CAN'T TAKE MY EYES OFF YOU』の第四夜と『ためしてガッテン』の「幸せ!お弁当応援SP 時短なのに冷めて美味」の回をたまたま見たということを付け加えて終りにしよう。

JRF 2012年11月6日 5093

……。

蛇足になるが…。

このゲームにはモノモノマシーンという「ガチャ」システムがあって、クリア後に、このガチャシステムでただのランダムで「脱出ボタン」というアイテムが手に入り、それで「みんなで卒業」エンディングが見られる。再プレイで苗木が実はタイムトラベル的なことをしているがゆえに、アイテムを持ち超せるという解釈は、「脱出ボタン」をプレイヤーが手に入れた瞬間に、苗木はそれを誰かにプレゼントするなりすれば、「みんなで卒業」が可能となるのだから、その妥当性が肯定されたようなものだ。

JRF 2012年11月6日 8972

5章で見るエンディング、残った5人の状況は絶望的だと書いた。だが、案外、中にいる者には希望があるのかもしれない。

もし、テレビが他の人の絶望を誘うためのものというのが本当なら、「安定」に導かれたコンテンツはすでに価値がない。もしかすると、彼ら以外が映るチャンネルができているかもしれない。そこでは別の「絶望」があるとしても、彼らには少しでも彼ら以外の者が映ることが希望になりうるのではないか。テレビ電波以外に、彼らの写真には光も差し込んでいる。

JRF 2012年11月6日 8047

でも、それって何だ?モノクマが絶望を与えることを諦めたのか?むしろ、「彼らのモノクマ」以外の者が「別の世界」にいるから、チャンネルが増えたのではないか。まるで、テレビにより別の世界の「光速[こうそく]違反」を捉えたかのようになっているのではないか?(ここで私はクーパーペアの話 [aboutme:105412] を思い出す。)

JRF 2012年11月6日 1635

彼らはモナドのようにありながら、もしかすると元素のように漂い、違うチャンネルが見れるようになった今、そういった小さな「学園」世界群がまるで一つの化合物のようになって来ているのかもしれない。ある意味彼らの「学園」世界は塩漬けにされ、彼らの余生は彼らが感じているよりずっと延き伸ばされて真の終りが来るのだけを、恩寵として振り注ぐ光の中、待たされている状況なのかもしれない。

JRF 2012年11月6日 0720

だが、今ここを読んでいる、現在、または、将来、「ニート」であることが確実な諸君、君達は彼らにそんな在り方を望むのか?そんな希望を「彼ら」に託さないなら、あなたがやりたいこととは一体何だ?「脱出ボタン」は彼らのものだが、それを手に入れたのはあなただ。

JRF 2012年11月6日 4811

typo 「強迫」→「脅迫」。
typo 「特策」→「得策」。
修正 「クロクマ」→「モノクマ」。

JRF 2012年11月6日 0811

typo 「憶せず」→「臆せず」。
typo 「生命をかけた撃突」→「生命をかけた激突」。
typo 「ここでは惜くが」→「ここでは措くが」。

JRF2014/7/258835

« 前のひとこと | トップページ | 次のひとこと »

トラックバック


トラックバックのポリシー

他サイトなどからこの記事に自薦された関連記事(トラックバック)の一覧です。

» cocolog:74785807 from JRF のひとこと

アジアの女性「蔑視」、特に「上司」に女性をつけるのを嫌うのは、漢王妃の呪いみたいなもの。つまり、女性は上につけるとエゲツナイという偏見があるからだと思う。 続きを読む

受信: 2013-06-30 00:04:21 (JST)

» cocolog:78972266 from JRF のひとこと

ファミコン(NES)で BG を VBlank 中を見計らって更新してるのに、なぜか「ずれる」というか「ちらつく」。ほんの1バイトでも $2006 $2007 に書いたらアウト。 続きを読む

受信: 2014-03-30 23:36:11 (JST)

» cocolog:81779338 from JRF のひとこと

ジェイムズ&ソープ『古代文明の謎はどこまで解けたか (全3巻)』を読んだ。 続きを読む

受信: 2015-03-29 13:06:40 (JST)

» cocolog:81722226 from JRF のひとこと

ウィーナー『サイバネティックス』を読んだ。いつものごとく数学は飛ばしながらだけど…われながら情けない。orz 続きを読む

受信: 2015-03-29 13:16:12 (JST)

» cocolog:84842079 from JRF のひとこと

『新約聖書』を『新約聖書略解』とともに読んだ。もう何度目かになるが、「新しい発見」と言うか、記憶にない部分が多かった。記憶に残らないのは、私が導かれてないからか、とも思う。... 続きを読む

受信: 2016-03-29 17:04:27 (JST)

» cocolog:85639699 from JRF のひとこと

近況。アニメを結構、見ている。大きなニュースが多いと感じて驚いている。 続きを読む

受信: 2016-09-29 18:14:28 (JST)