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ラトル指揮『シマノフスキ作品集(4CD)』。以前からあるシマノフスキのCDで満足していたため、買っておいてなかなか聴く機会を持たなかった。今回、何日かで続けて四枚を聴いてみて、特に一枚目は聴いたことのない曲もあって今後も聴き続けるだろうが、他も違った魅力に気付かせるものだった。 (JRF 0305)
JRF 2012年12月22日 (土)
以前に聴いていたシマノフスキの出身のポーランド系の演奏家の CD では、声に叫びのようなものを出したりして、アニミズム的怪しさのようなものを加えていたのに対し、ラトルの演奏は書かれた響きが同じなら厳しく同じ響きにしながら、なお、メロディーの統一感を出せることを示すことで、グノーシス・神智学的な美というものを出そうとしているように思った。(このあたり、以前のステレオと機器が違うというのもあるかもしれないけど。)
シマノフスキのこれまでの印象とは違うんだけど、どれも「レベルの高さ」を感じる四枚組だった。
JRF2012年12月22日6700
……。
私が中年になってから特に好きになったフォーレ、バルトーク、シマノフスキ、あとプロコフィエフも加えるか…ここが一群のように私は感じる。もちろん、ラフマニノフとかも好きなんだが、ラフマニノフが明確にロマン派であるのに対し、この一群はロマン派とも違うし新古典派とくくれる感じもしない。
なんていうか、少し「野蛮」なんだよね。ブラームスやドヴォルザークはその野蛮さを上品なユーモアにしているところを、むしろそこに良さを見出してカッコ良さというか、力強さというか…難しいな、その、血のたぎる感覚を活かしている。フォーレの複雑な響きにも…特に後期の室内楽にはそういう感覚を私は見出す。
JRF2012年12月22日4628
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『Rattle Edition: Szymanowski』(4CD, 録音: 1993-2006年、発売: EMI 2008年)
http://www.hmv.co.jp/product/detail/2689119
http://www.amazon.co.jp/dp/B0013D8JXI
JRF2012年12月22日7173
シマノフスキの曲は響きの軽いところがある。それは、メロディーを神秘的にするため…。シェーンベルク等が複雑な響きを造型してメロディーがほとんどなくなったのに対し、あえて響きを軽くすることで無調部分を作り、複雑なメロディーを簡素な響きに乗せているということなのだと思うが、ワグナーやR.シュトラウスのようなガッと広がる響きもあって、演奏家にとってはそことのバランスをどう取るかが腕の見せどころなのだと思う。
JRF2012年12月22日5772