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cocolog:80874515

小平 敦『信託の源像』を読む。…読んでは見たが [cocolog:80375587] と同じく、あまり理解できなかった。 (JRF 4035)

JRF 2014年10月16日 (木)

最近、修道院に関心を持っていて、一端修道院(みたいなとこ)に寄贈したのを禄としてもらうという話が [cocolog:80717742] の『ヴィルヘルム・マイスターの修業時代』に出ていて、それに似たような話を期待して読んだのだが、その方向での話は最初のころしか出ず。

JRF2014/10/163336

とにかく「源像」を感得するためということで著者自身が必ずしも完全な背景がわかっていないものでも、当時の遺言(等)を羅列していってるらしく、そこにときどき解説があるという形式で、理解が難しかった。なぜ、昔のイギリスではそんなまだるっこしいことをしてたんだ…というのがわかりにくかった。

JRF2014/10/163226

ただ、封土に設定する use が、法律用語としてのユースで、これが著作権とかのフェアユースとかの語感に通じているんだろうなと思った。その思いからして気になったのが以下の場所。

JRF2014/10/164203


(use)受容権の対抗力の増大

大法官の保護開始当初(1400年初)は、これはユースにのみ主張しうる対人的権利。ユース付受託者の義務は一身専属的であるので、ユースの受託者より不動産譲渡を受けたもの、および受託者(複数の場合は、その最終残存受託者)の相続人にも、ユースの存在の主張不可能だった。

それが1482年までに、上記相続人に対し大法官府の罰則附召喚令状を発すれば、ユース履行の強制が可能となる。
<(p.198)

JRF2014/10/163414

クラウド上からダウンロードするなりしたゲームの「利用権」ってのは use でしかなく、ソフトウェアハウスなりゲームマシンのメーカーが受託者あたりになるんだろう。で、委託者は、ユーザーというよりも、ゲームを作るのに出資した人とかになるのかな?その人逹に遊ばせてもらっている。…と。

で、その use が譲渡または遺贈できるかどうかが問題になるんだけど、そのためには、メーカー達のみに受託をまかせず、ユーザーの側が仲間達とある種の trust を構成して、そこに use を発生させてそれを守っていくとかしないといけない。…ということなのかな?そんな面倒な…。

JRF2014/10/165142

一端「遺贈」の状態が途切れても罰則付き召喚令状(subpoena)を出してもらえれば、(一定の手数料で) use の道の復活を主張できるようになったりするのかな?つまり、それなしで勝手にゲームを使ってると DRM みたいなのが邪魔をしてくるのを邪魔しないように命令してくれるとかなればいいのかな?

JRF2014/10/163256

アメリカのいわゆる DMCA にも subpoena は出てくるみたいだね…。

《2000年アメリカサイバースペース法入門(6)》
http://www.law.tohoku.ac.jp/~serizawa/2000/cyberspace/6.html
>罰則付召喚令状(subpoena)による著作権直接侵害者の特定<

JRF2014/10/166243

……。

話は変わって「ヲタク」な話題。

この本は遺言以外にも背景文化みたいな形で昔の本を紹介している部分もあって、そこで次のような文を見つけた。フランシス・ベーコンは約400年前のイギリスの大法官をしていたこともある人物。

JRF2014/10/168730

F. ベーコン
>その晩年の最後の出版本 New Atlantis は、(…)航行中暴風によって漂着したとの仮定によって書いたユートピア論で、「総合的に科学・技術・情報の集積研究機構を持った、学問と科学技術による統治国家」(…)この中には、医学・光学の他に、放射線、色彩、音響、感覚錯誤、永久運動から人工雨、季節違いの果樹菜園技術、身長促身停止、毒物、筋肉強化の各研究所等々を含む<(p.466)。

JRF2014/10/162698

GAINAX のアニメ『ふしぎの海のナディア』はジュール・ヴェルヌの『海庭二万里』『神秘の島』を元にしているとのことだが、ネモ船長達が戦う敵、ガーゴイルのネオアトランティスの元ネタは実は F. ベーコンの『ニュー・アトランティス』だったんじゃないかと思った。

《NHKアニメワールド ふしぎの海のナディア デジタルリマスター版》
http://www9.nhk.or.jp/anime/nadia/main.html

JRF2014/10/163402

上の技術の中の「身長促身停止」は、↓を思い出す。

はてなブックマーク - 《macska dot org:重度障害児に対する「成長停止」をめぐるワシントン大学シンポジウム報告(後編)》
http://macska.org/article/188
jrf:>共感なしに見ると、今回の例は社会的コストを実際下げることで、表に出ていない「不幸」をどれだけ防げるかという点も大事だったのだろう。成長停止措置が有効だという感触があり、その濫用の抑制法が論点だった?< 2007/05/24

JRF2014/10/161428

……。

『信託の源像』(小平 敦 著, 紀伊國屋書店, 2002年)
http://www.amazon.co.jp/dp/4877381392
http://www.7netshopping.jp/books/detail/-/accd/1101819096

JRF2014/10/160330

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