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ゴルデル著『ソフィーの世界』を読んだ。 (JRF 5615)

JRF 2014年11月 7日 (金)

『ソフィーの世界 哲学者からの不思議な手紙』(ヨースタイン・ゴルデル 著, 須田 朗 監修, 池田 香代子 訳, NHK 出版, 1995年)
http://www.amazon.co.jp/dp/4140802235
http://www.7netshopping.jp/books/detail/-/accd/1101261235

(↑は旧版。上下巻の新版もある。)

JRF2014/11/75962

……。

カントのところでうならされた。いくつか哲学入門書は読んでいたはずなのに、私は理解していなかった。その部分、p.409 から p.435 までのところから長いが「引用」してみる。

JRF2014/11/74173

>カントのばあいは理性ではなく悟性[ごせい]ということばを使っているので、ここから先はそのつもりで聞いてほしいんだけど<

JRF2014/11/74992

>今(…赤色の…)サングラスは、きみにとって世界がどう見えるかを決定している前提条件だ。でもそれなんだよ、ソフィー、カントが言ってるのは、カントは、ぼくたちの理性は経験に片っぱしから色をつける前提条件だ、と考えた<。

JRF2014/11/71423

>ぼくたちは何を見ても、それを『時間』と『空間』のなかに現れたものとして受けとめている。この時間と空間がここでいう前提条件、つまりサングラスなんだ。カントは時間と空間を、人間の二つの『直観の形式』と呼んだ。この二つの形式はぼくたちの意識のなかに、あらゆる経験より前に(アプリオリに)存在すると言っている。(…)ぼくたち人間は理性というこのサングラスをはずせない、と言っていい<。

>時間と空間は意識の特性なんだよ。世界の特性ではないんだ<。

JRF2014/11/77065

>人間の意識は、だから、外からやってくる感覚の印象を記憶するだけの、受け身の『なにも書かれていない板』なんかじゃないわけだ。外から受けとったデータに形式[フォーム]をあたえる、クリエイティヴな装置なのだ。<

JRF2014/11/73774

>因果律も、ヒュームは人間には経験できないと考えていたけれど、カントによれば人間の理性の側にある<。

>因果律は永遠で絶対に正しい。その理由はただ一つ、人間の理性がすべての出来事を原因と結果の関係でとらえるからなんだ<。

JRF2014/11/71990

>カントは、物自体と現象を区別したんだ(。…)『ものそのもの』と『わたしたちにとってのもの』を区別したってことだよ。これはカントが哲学のためにやってくれた大きな仕事だ。ぼくたちはけっしてものをものそのものとして知ることはできない。ただ、ものがぼくたちにどう現れるかがわかるだけだ。その代わり、ものがどのように人間の理性に受けとめられるかは、いちいち経験なんかしなくても言えるんだ<。

JRF2014/11/75732

>このへんでまとめてみよう。カントによれば、人間が世界を認識するためには二つの要素がいる。一つは外からやってくる、感覚によって感じとらなければならないものだ。これは認識の素材だ。もう一つは、すべてを時間と空間のなかの因果律にそった出来事と見なすような、人間にそなわっている内的条件だ。こっちは認識の形式だ<。

JRF2014/11/73542

(一段落あって…)

>カントは、(…不死の魂はあるかといった…)哲学上の遠大な問いはぼくたち人間の理性のおよぶ範囲を超えている、と考えた。だから、理性でこれに答えようとするのは越権行為だ、とね。<

JRF2014/11/75222

>カントは、こうした究極の問いは個人の信仰にまかせるべきだ、としただけではなくて、もっと先まで進んだ。カントは、人間には不死の魂があり、神は存在し、人間には自由意志があると前提することは、人間の道徳に欠かせない、と考えた<。

>デカルトとちがって、カントは、自分がそういう立場に立ったのは理論理性[あたまのなかのりくつ]によってではなく信じることによってだ、と言っている。不死の魂や神や人間の自由意志を信じることは『実践的要請』だ、と言っている<。

JRF2014/11/78250

(一段落あって…)

>カントによれば、すべての人間には理論理性だけでなく、行動を正しくみちびく理性、つまり『実践理性』ももっていて、いつもこの理性が、何が正しくて何が正しくないかを教えてくれるのだ<。

JRF2014/11/76737

>道徳律はどんな経験よりも前にある。だから『形式的』だ。(…)カントは道徳律を『定言[カテゴリー]的な命法』と言い表している。この反対が『仮言的命法』、これこれのばあいにはこれこれのことをしなさい、という条件つきの命令だ。でも『定言的命法』はあらゆる状況無条件であてはまる命令だ。命令なんだから強制的で、絶対的な権威があるんだ<。

JRF2014/11/71971

>カントは定言的命法をいろんなふうに表現している。まずはこんな言い方。『わたしたちはつねに、普遍的な法則になることが望めるような基準にしたがってふるまうべきだ』<。

>こんなふうにも言ってる。『ほかの人をつね目的そのものとしてあつかうべきで、なにかの手段としてだけあつかってはならない』<。

JRF2014/11/71852

>道徳的なふるまいは、自分の損得を乗り越えた結果、出てくるものでなくてはならない。そうするのは自分の義務だと思ってふるまった時だけ、道徳的にふるまったと言えるんだ。カントの倫理学はだから『義務の倫理学』と呼ばれることがある<。

JRF2014/11/78593

>道徳律を心にとめて行動している、と自覚している時だけ、ぼくたちは自由意志で行動しているのだ<。

JRF2014/11/76128

>ぼくたちは、感覚的存在としてはそっくり自然界に属している。だから因果律に支配されている。ぼくたちには自由意志なんかない、ということだ。だけど、理性的存在としてのぼくたちは世界そのもの、つまりぼくたちの感覚から独立した世界の一員なんだ。ぼくたちは、実践理性にしたがって道徳上正しい選択ができた時だけ、自由意志をもつことになる。なぜならぼくたちが道徳律にしたがう時、そのルールを決めているのはぼくたち自身だからだ<。

JRF2014/11/79429

>ケーニヒスベルクのカントのお墓には、カントの有名なことばが刻まれている---考える機会が多ければ多いほど、また考えることが長ければ長いほど、ますますあらたに増大してくる感嘆と崇敬とをもって心を満たすものがある。それは、『わたしの頭上の星空とわたしのうちにある道徳律』だ<。

JRF2014/11/74929

……。

カントの哲学は、思考のフレームワークの説明としてこれ以上のものを望めば歪んでしまうほどのものではないかと思う。この章に上で語っているのとは別の登場人物の言葉として、

>もしも人間の脳がわたしたちに理解できるほど単純だったら、わたしたちはいつまでたっても愚かでそのことを理解しないだろう。<

…とあるが、その通りだろう。

JRF2014/11/74634

私が哲学の入門書を読んだときは仏教の縁起論にかぶれてもいたから、カントのすごさがわからなかったのだと思う。以前の私は、「自由意志」論にも関心を持っていて↓という記事を書いている。

《自由意思と神の恩寵》
http://jrf.cocolog-nifty.com/religion/2006/02/post_2.html

縁起論についてはネットでは書いてないか…いちおう↓がある。

《仏教への教義:十二縁起と八正道》
http://jrf.cocolog-nifty.com/religion/2009/02/post-1.html

JRF2014/11/77673

……。

カントのずっと前のところ、プラトンからアリストテレスに向かうところで、>鶏と「鶏」というイデアと、どっちが先か?<(p.131)という疑問が出されて、アリストテレスのところで、「イデアが先」という答えが「論破」されていた。

JRF2014/11/78407

《イメージによる進化》
http://jrf.cocolog-nifty.com/religion/2006/06/post.html
>ニワトリが先か卵が先か、という議論がある。私の解答は「ニワトリの概念が先だ」というものである。<

JRF2014/11/77856

「イメージ」「概念」と「イデア」とではちょっと違いがある。理想像という「型」が、どこかに(天国とかに)存在しているわけでも、生まれながらにだけ決まっているわけでもない。生まれながらにも少しはイメージを持っているだろうが、獲得したイメージからもその個体ごとの理想像が作られ、それに近い者との交尾により性淘汰が起こる…といった感じ。だから、私が「論破」されたとは考えない。

JRF2014/11/75973

……。

『ソフィーの世界』はアッと驚く仕掛けもあって楽しく、一気に読み進めた。オススメしやすい本である。

ネタバレ風になるが、↓もリンクとして挙げておこう。

《シミュレーション・アーギュメントを論駁する》
http://jrf.cocolog-nifty.com/religion/2006/10/post.html

JRF2014/11/72435

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