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ジェイムズ&ソープ『古代文明の謎はどこまで解けたか (全3巻)』を読んだ。 (JRF 8494)

JRF 2015年2月10日 (火)

『古代文明の謎はどこまで解けたか (全3巻)』(ピーター・ジェイムズ & ニック・ソープ 著, 皆神 龍太郎 監修, 福岡 洋一 訳, 太田出版, 2002年-2004年)
http://www.amazon.co.jp/dp/4872336682 (I巻)
http://www.7netshopping.jp/books/detail/-/accd/1101875782 (I巻)

スケプティック・ライブラリー(訳せば懐疑主義的図書?)というシリーズで刊行された中の三冊になる。

JRF2015/2/108745

監修の皆神氏は述べる。>単純な懐疑本とも言い切れないところが、本書の面白いところなのである。というのは(…)従来の間違った仮説の誤りを指摘するその一方で、(…)斬新な「新仮説」を提示し、現象を前向きにとらえて解釈しようと試みているからである。<(I巻,p.404,405)

私は、「トンデモ本」のロマンのほうが好きだったりするのだが、「真相」も知りたいということで手に取ったのがこの書ということになる。

JRF2015/2/106378

皆神氏はさらに述べる。>人類に対して夢や希望を抱いていないのはむしろビリーバーの皆さんの方ではなかろうか。自分たちや古代人のことを無力でたいしたことのない存在だと思い込んでいるからこそ、もっと偉くて力のありそうな宇宙人や超能力者などにあこがれを抱くのではなかろうか。彼らはきっと、この現実の世の中がどこかイヤで嫌いなのだろう。<(III巻, p.225)

うーん、まぁ、そうかな。この本読んでると「あんなに夢があったのがこんな小さなところに」というのが多くって暗くなっちゃった。まぁ、気分的に暗い時期([cocolog:81757811])に読んだってのもあるかもしれないけど。

JRF2015/2/100609

……。

アトランティスからはじまり、モアイやバイキングのアメリカ到達、ピラミッド、南米文明、シュリーマンの裏面を暴いたり、範囲は広い。著者達はイギリス人らしく、ロビン・フッドやアーサー王について詳しい。

著者達の特別な関心が見うけられる点として、イギリスのグラストンベリーというところが、アーサー王とのからみだったりいろいろな視点からとらえられていた。また、ヴァイキングのアメリカ到達については、いろいろな「捏造」を何章かにわたって指摘した上で、信頼できる証拠を挙げ認めていた。

JRF2015/2/109238

……。

I巻のはじめのほうで、過去にノアの箱舟に示されたような大異変が起きて「歴史」が作られたという「激変説」が、現在目にすることができるのと同じ力のみによって世界は形成されてきたという「斉一説」にとって変わられた、が、例えば、恐竜の絶滅に隕石が絡んでいたという形で再び「激変説」が別の意味で注目されているらしい。

JRF2015/2/109234

11000年前の最終氷期が唐突に終ったとき、10年より短い期間のうちに摂氏5度から10度上がった、とか、紀元前2300年頃、近東全体に気候と地質学上の大変動があり、ナイル川の水位が大幅に下がり、かつて水に恵まれて肥沃だった地域に、西方からサハラ砂漠が大きく入り込んだ、とかあるらしい。そして紀元前2300年頃の天変地異がソドムとゴモラの悲劇に関連があると著者らは見ている。

JRF2015/2/108010

……。

個人的におもしろかったところというか興味深かったところを挙げていくと…。

JRF2015/2/108208

[cocolog:74607467]でも紹介したエジプトのファラオの実験。紀元7世紀に二人の子ども、一人はフリギュア人、一人はエジプト人を隔離して、どちらが人類の「真」の言語であるかを明らかにしようとした。結果、フリギュア語で「パン」を指す bek という語を話したフリギュアが「勝った」という話(I巻p.60)。そこまでは知らなかった。ヘロドトスの『歴史』は読まないとダメかなと思った。

JRF2015/2/102427

……。

アルキメデスが斉一説派で、プラトンがどちらかというと激変説派というのは少し意外だった。プラトンが「人間は宇宙から数えるすべを教わった」(I巻p.146)と考えていたのは、[cocolog:81570385] のオーギュスト・コントの観方を思い出させる。

JRF2015/2/107643

……。

>バビロニア人は魚の尾をもつ生物から技芸と科学を学んだとされる<(I巻p.150)については、もう少し詳しい情報が欲しかった。

《「水の神」オアンネス - 目の星は人類の母――天狼星信仰之謎 - Yahoo!ブログ》
http://blogs.yahoo.co.jp/sinagawa50/13156875.html

ググると↑が引っ掛かった。アイザック・プレストン・コリー著『古代拾遺』またはロバート・テンプル著『知の起源』をリンク先ブログ主はネタ元に指定しているが、前者は Amazon では見つからない。オアンネスはアプカルルとも言うらしい。

JRF2015/2/107245

……。

『ヨハネによる福音書』8:57の「まだ50歳にもならないのに」という文句からイエスを50代(普通は30代と言われる)とみなすところも面白い。傍証として同書2:20のユダヤ人たちの言葉「この神殿は建てるのに46年もかかった」があるが、46年要した神殿がないことから、それをイエスの歳だと判断してるのにも、うなった。(I巻p.233)

JRF2015/2/107813

……。

またI巻1章の訳注(p.373,374)に>原著者はここで「ムー」という名前の起源として、アトランティスの「王女ムー」を挙げているが、実は(…)フランスの(…ある…)神父が古代マヤの『トロアノ文書』を解読しようとした際にどうにも読めない文字が二つ出て(…きて…)マヤ文字の「M」と「U」に似ていたので、それらをつなげて単に「MU」と読んでみたのが、その始まり<とあり、つまり、>「ムー」という単語自体が、どの古代文献の記述にもないもの<であるらしい。ビックリ。

JRF2015/2/100194

でも、なんでそれが「アトランティスの王女」になったんだろう?

《ムー大陸 - Wikipedia》
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A0%E3%83%BC%E5%A4%A7%E9%99%B8
>トロアノ絵文書には「ムー」(Mu) と呼ばれる王国が大災害によって陥没した伝説が描かれており、アトランティス伝説と類似性がある(。…)ル・プロンジョン(…も…)トロアノ絵文書を翻訳し、アトランティス大陸崩壊後にムーの女王モーがエジプトに渡り、女神イシスとしてエジプト文明を作ったと主張した。<

…かららしい。

JRF2015/2/102813

……。

>金星と関連づけられた古代の神々とキリストの生涯とのパターンの類似は、さらに広い歴史の文脈において、これまでけっして十分に明らかにされてこなかった謎の中心となっている。神学者たちはこのことに2000年も前から気づいていたのだが。<(II巻p.229)というところで、私もイエスの「伝説」が他の宗教の影響を受けているのは知ってはいたが、特に「金星」であるというのは、あまり知らなかった。

JRF2015/2/109580

……。

II巻4章の訳注(p.318)に、>人工衛星で自分の位置を知るGPS受信機を積んだ車で道路を走り回り、走った軌跡で地上に一筆書きを描く「[google:GPSドローイング]」という遊びがある<というのは知らなかった。

JRF2015/2/105086

……。

>文字による記録から、貞操帯は1400年頃にイタリアで発明されたことが分かっているが、その使用についてはずいぶん誇張されているし、出回っているものは贋作が圧倒的多い<(III巻p.16)この辺りは「男のサガ」的なゴシップとしておもしろい。

JRF2015/2/109752

……。

III巻を通じて、シュリーマンの虚言癖的なところと、フレデリック・ブライ・ボンドのコックリさん風の「自動書記」で発見をでっちあげてしまうところは、統合失調症の私としては、私自身やってしまいがちなこととして、気をつけねばならないな…と感じた。

JRF2015/2/100399

……。

読んで役に立つ…というわけでないけど、この書は、トンデモに惹かれやすい私にとってはいい薬だったといったところなのかな?

JRF2015/2/101835

typo 「紀元7世紀」→「紀元前7世紀」。
修正 「50代」→「50代近い」。

JRF2015/2/124523

……。

追記

ヘロドトスの『歴史』を読んでみた([cocolog:81846914])ところ、「エジプトの実験」に関する部分は上とちょっと違う。著者らは、別の資料にあたってたんだろうか。『歴史』巻2:2では次のようになっている。

JRF2015/2/191350


プサンメティコスは(…)次のような方法を案出した。生れ立ての赤子を手当り次第に二人選び出し、これを羊飼いにわたして羊の群れと一諸に育てるように言いつけ、その際子供の前では一言も言葉を話してはならぬ、子供はほかに人のいない小屋に二人だけでねかしておき、然るべき時々に山羊を連れていって十分に乳を飲ませ、そのほかの世話もするようにと厳命しておいたのである。

JRF2015/2/190473

(…)

二年たったある日のこと小屋を開けて中へ入ると、二人の子供は手を延べて彼のところへ駆けより「ベコス」といった。(…)王も自分の耳でその言葉を聞くと、「ベコス」という言葉を使うのは何国人であるかを調べさせた。そして詮索の結果、プリュギア人がパンのことをベコスということが判ったのである。(…)このことについてはギリシア人は、いろいろ馬鹿馬鹿しい話を伝えており、その中には、プサンメティコスが舌を切らせた女たちにその赤子を養育させたというような話もある。

JRF2015/2/194567

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