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cocolog:82088382

エリアーデ著『世界宗教史 3・4』を読んだ。インドのサーンキヤ派やヨーガ派の「哲学」はオープンマインドに読めるのに、グノーシス派には眉に唾つけて読む自分がいた。意外にこれまでの「勉強」に影響されてたのだなと反省した。 (JRF 8484)

JRF 2015年3月25日 (水)

ただ、もう一方において、以前に学んだ中国(道教)や仏教の歴史については、あまり感ずるところがなかった。これも同じく学んだキリスト教については、マニ教などとの関連で学ぶところが多かったのと異なる。エリアーデはインド・ヨーガからキリスト教圏までがやはり専門で、そこがわかりやすかったという面もあるとは思う。

JRF2015/3/256993

『世界宗教史 全8巻』(ミルチア・エリアーデ 著, 中村 恭子 & 松村 一男 他 訳, ちくま学芸文庫, 2000年)
http://www.amazon.co.jp/dp/4480085637 (3巻)
http://www.7netshopping.jp/books/detail/-/accd/1101673413 (3巻)
http://www.amazon.co.jp/dp/4480085645 (4巻)
http://www.7netshopping.jp/books/detail/-/accd/1101677584 (4巻)

JRF2015/3/257811

1巻と2巻については [cocolog:81897781] でひとことしている。

JRF2015/3/255766

……。

《黄巾の乱 - Wikipedia》
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%BB%84%E5%B7%BE%E3%81%AE%E4%B9%B1
>蒼天すでに死す、黄天まさに立つべし。歳は甲子に在りて、天下大吉<。

中国政府が PM2.5 みたいなものを気にしなければならないのは、黄巾の乱の「青い天」の時代が「黄色い天」の時代になるみたいな「予言」が気にかかっている面もあったりするのかな?

JRF2015/3/256117

……。

>そういった聖なる力の増大を避けるために、神々は苦行者を「誘惑」する。(…)しかし、神々と同じ条件は、絶対的な自由からはほど遠い。ヨーガ行者は、みずから「無知なる者にのみに望ましい」「呪術的な幻影」を拒否し、最終的な解脱を達成するという仕事に専念しなければならない。<(3巻p.97)

JRF2015/3/259487

私は以前、禅の「魔境」に言及して自らの体験を説明した(↓)が、私は「誘惑」に負けたということだろう。

《シミュレーション・アーギュメントを論駁する》
http://jrf.cocolog-nifty.com/religion/2006/10/post.html

JRF2015/3/257995

……。

>こういったためらいや曖昧さは、仏陀が論議の的となるような問題の決着を拒否したときに生じた困惑を反映している。師が、還元も破壊もできない自己の存在を否定したのは、アートマンに対する信仰がはてしない形而上学的論争をひき起こし、知に対するうぬぼれを助長し、ひいては悟りの妨げになるのを知っていたからである。彼はそれに対して絶えず注意をうながし、苦の消滅とそれを成就する手段を説いた。「自己」と「涅槃の性格」に関する終わりなき論争は、覚醒の体験のなかに解決を見いだした。それは思考によって、あるいは言語化されたレベルにおいては解決できないものなのである。<(3巻p.137)

JRF2015/3/251200

私はこういったことを論ずる以前の者だが、体験でしかわからない…というと語弊があって、語ると必ず議論百出するが体験であれば「一致」にいたるというのはもっと簡単なことでもあると思う。百聞は一見にしかりみたいなのともまた違って。

JRF2015/3/252847

……。

ローマでは、

>11種類の落雷は、それぞれ異なる神々によって操作されるのであった。したがって、そのメッセージは神からのもので、特殊な聖職者である腸卜官にしか理解できない「秘密の言語」によって伝達された。(…)青銅器製の羊の肝臓の模型が、1877年にピアチェンツァ[イタリア北部]で発見されたが、たがねで引いたたくさんの線と40にのぼる神々の名前を含んでいた。この模型は、世界の構造とパンテオンの構成を示すものであった。<(3巻p.178-179)

JRF2015/3/251796

落雷や動物の腸によって占いをしてたというのははじめて知った。占星術みたいにそれが科学的な知恵につながるようなことはあったんだろうか?そんな話はこの本には載ってないが…。

JRF2015/3/250562

……。

ガリアとか昔のヨーロッパの信仰で、タロットの絵になってるものがあるのかな…とか少し思う部分がいくつかあった。

>エススの場合には木に吊るされ、血を流して死んだ。<(3巻p.200)

この供犠は「吊るされた男」かな…とか。まぁ、タロットの場合、(普通)死んでないが。

JRF2015/3/251402

……。

>オーディンの家来は「甲冑なしで進み、犬か狼のように野蛮で、己の盾に噛みつき、熊や雄牛のように強かった。彼らは人々を皆殺しにし、火も鋼も歯がたたなかった。これはベルセルクの激情とよばれた」(文字どおりには「熊の皮をまとった(セルクル)戦士」という意味)。また、ウールフヴェジナール、「狼の皮をまとった人間」の名でも知られた。<(3巻p.220)

おお、バーサーカーの語源!

JRF2015/3/257035

……。

>戦争の神オーディン - ウォーダンは、同時に死者の神でもある。呪術を使って違大な英雄を保護するが、最後には、保護している者を裏切って殺してしまう。この奇妙で矛盾した行動の説明としては、ラグナレクの終末論的な戦闘のことを考慮して、もっとも恐ろしい戦士を周囲に集める必要があったということを指摘できるように思われる。実際、戦闘に倒れた名高い戦士は、ヴァルキューレたちによってヴァルハラ[戦士たちの館]に導かれた。オーディンによって歓迎を受けた彼らは、闘いを続けながら、最後の戦闘に備えるのであった。<(3巻p.221)

JRF2015/3/252787

いつか記憶して書こうとしてて忘れてしまってたんだけど、確か、これをローマ法とゲルマン法の違いの説明として挙げているのをテレビで見たことがある気がする。つまり、ローマ法は、戦争から帰って来るのを栄誉としているが、ゲルマン人は戦場で死ぬのが栄誉で、そこで物権とかの違いが出てくるとかなんとかだったように思う。思い出せないが、相続が譲渡の基本となる法理で、すべてをかけて戦った者が不利にならないように、共同体の所有みたいなものを重視したりするようになったんじゃなかろうか。

[cocolog:80874515] の信託とかトラストの話を思い出す。

JRF2015/3/250291

……。

>エンペドクレスにとって不死性は輪廻を意味し、さらにはその菜食主義を正当化することとなった(屠殺した動物は、自分の親族のだれかの魂をもっているかもしれない)。<(3巻p.252)

インドの宗教っていうかジャイナ教の菜食主義もそういうところから来てるんだろうな…。言われてやっと気付いた。

JRF2015/3/257855

……。

プラトンは『国家』すなわち政治への興味をもって哲学をしていたが…

>哲学とは「死への準備」のことであるが、それは、いったん肉体から解放された魂に、どうやったらイデアの世界にとどまり、新たに転生することを避けられるかを教えるという意味である。要するに、有効な知識、つまりは崩壊に瀕したギリシアの都市を救済できる唯一の政策は、イデアの永遠なる宇宙と魂の輪廻を前提とする哲学を基盤としていたのである。<(3巻p.266-267)

JRF2015/3/252129

ギリシアの「危機」と関連があったとは。いや、あの時代に哲学みたいな「浮かれたこと」をよくできたなとか思ったものだったが、こういわれると説得力がある。

JRF2015/3/254696

……。

>ブセットとグレスマンは、人と神のあいだの「仲保者」という概念が、とくにヘレニズム時代に、ユダヤの宗教思想に対してもった重要性を正しく強調している。知恵を説く学者のなかには、知恵を啓示の仲保者として、至高の権威の地位まで高めたものもあった。しかし、まもなくわかるように、知恵に関する、あい反するさまざまな解釈と価値の付与は、ユダヤ教の姿を根底からくつがえすおそれのあった重大な危機を反映していたのである。<(4巻p.82)

JRF2015/3/253044

この「仲保者」と人格的な「知恵」とを結びつけるアイデアは、ヨブ記に関して書いてるとき知ってたらまた違ったかな…いや、やっぱり、それは活かせなかったな。

《「ヨブ記」を読む》
http://jrf.cocolog-nifty.com/religion/2015/03/post.html

JRF2015/3/251766

……。

>「人の子」(すなわち「人」)という表現によって、ダニエルは、終末における勝利という至高の状態にあるイスラエル民を象徴している。この表現は、紀元前一世紀のあいだ、非常に頻繁に使われ、さらに、イエス自身がその肩書きを用いることになる。<(4巻p.94)

JRF2015/3/257436

重い責任を担う「救い主」メシアは「私」では決してなくイエスだと考えられるというのも当時のユダヤ人のみならず現代に生きる者…特に私みたいに慢心しがちな者…にとっては大事なことだと思う。ヘレニズム時代のプレッシャーの中、それを引き受けたというだけでもイエスは偉いと周りから見えただろう。まぁ、刑死になったときにはペテロからも「蛮勇」だったとされて…だとは思うが。

JRF2015/3/257531

……。

>ユダヤ教においても、他の宗教的伝統におけると同様に、黙示的なヴィジョンは歴史の恐怖に対する防御を強化する。教えを受けいれた者たちは、同時代の破局のなかに、自分たちにとっての慰めとなる前兆を読みとる。<(4巻p.98)

でも、「ノストラダムスの大予言」の結果を見てきた者(私)にしてみれば、逆に恐れて自暴自棄的な行為に出るものがいたという部分も見過ごしにはできないわけで…。

JRF2015/3/257175

……。

>ある密儀の集まりのメンバーになることは、別の秘密結社へのイニシエーションを妨げるものではなかった。救済への希望は、当時のすべての精神的潮流と同様、シンクレティズムの影響のもとで展開されたのである。<(4巻p.106)

ここで、USJ のハリー・ポッターのアトラクションの秘密主義をちょっと思い出した。ヘレニズムの人々にとって密儀体験って案外そういう軽いノリだったんだろうか?

JRF2015/3/252558

……。

>神話、祭儀の遺跡、記念碑といったものにも、ゼウスと人間の女性のあいだの子として生まれ、迫害されつつ栄誉を受け、殺されながら生き返ったディオニソスの二面性が示唆されている。彼の墓はデルポイに見られるが、その復活は数多くのモニュメントに刻まれている。彼は母を、オリュンポスの神々に並ぶ地位にまで高めることに成功した。また、何よりもまず、彼はアリアドネをハデスからとりもどし、結婚した。ヘレニズム時代には、アリアドネは人間の魂の象徴であった。言いかえれば、ディオニュソスは魂を死から救出しただけでなく、神秘的な結婚によって魂と合一したのである(…)。<(4巻p.110-111)

JRF2015/3/255801

なるほど、ディオニュソスがなぜ注目されるかこの説明でやっとわかった。「復活のイエス」の先取りなわけね。アリアドネは聖霊の教義にも活かされてる部分があるのかな?

JRF2015/3/258016

↓で「バッコス(=ディオニュソス)よろしく」と書いたが、まさにそうだったわけか。ただし、パンとぶどう酒の「聖餐」は、ミトラ密儀にもキュベレー(とアッティスの)密儀などにもあったらしい。

《パンとぶどう酒、それぞれの意味》
http://jrf.cocolog-nifty.com/religion/2006/02/post_16.html

JRF2015/3/252595

ちなみにある宗教と別の宗教が「似ている」という点については↓。

《教義の内発性と外部の影響》
http://jrf.cocolog-nifty.com/religion/2006/02/post_1.html
>教義として受け継がれるためには、その教義が受け入れられる基盤というものがなければ、難しい。この受け入れる側の事情として外部の宗教の教義の影響があることは、大いに考えられることである。<

JRF2015/3/250716

……。

>階層的な組織やイニシエーション儀礼や、秘密の教理の段階的な啓示を含んだ閉鎖的な集団と異なり、ヘルメス信仰は錬金術と同じように、充分な訓練をつんだ少数の弟子(禁欲や瞑想や祭儀の施行によて「浄め」られた者)に「師」が伝え、解釈する一定数の啓示経典を意味しているにすぎない。『ヘルメス文書集成』の偉大な論文に含まれる啓示が、至高の知、すなわち救済を保証する秘教的知識を構成しているという事実を見失ってはならない。それを理解し、消化しさえすれば、それは「イニシエーション」に匹敵する。<(4巻p.134-135)

JRF2015/3/255778

「密儀宗教」がその残した文献によって、人々の興味を密儀が失なわれた後もそそったことによって個人の中で何度も復興したというのが、新たな宗教性として呈示されているのは↓を書いた私には、「明らか」なはずだったけど言われてハッとした部分だった。

《象徴の利用形態》
http://jrf.cocolog-nifty.com/religion/2006/02/post_14.html

JRF2015/3/253195

……。

錬金術について…

>ヘレニズムの影響を受けたオリエントはメソポタミアとエジプトの冶金術を継承したのであり、メソポタミアでは前14世紀には、すでに試金の技法が完成されていたことがわかっている。2000年にわたって西洋世界を支配していた学問を、金を模造する試みと結びつけようとすることは、古代人が有していた金属と合金に関する膨大な知識を忘却することにほかならない。<(4巻p.137)

JRF2015/3/250867

↓みたいな記事を書いときながら、確実な試金法がそんなに古くから存在していたとは知らなかった。私個人は、確実な(化学的)試金法そのものも知らない。情けない。

《錬金術》
http://jrf.cocolog-nifty.com/religion/2006/02/post_11.html

JRF2015/3/255294

……。

>前7世紀のメソポタミアの、医学の原典でしばしば繰り返されている警告 -- 「知っている者は知っている者にあらわすことを許されるが、知っている者が知らない者に明かすことは許されない」 -- は、それより10世紀早いカッシート時代のガラスの製法を書いたものにすでに見られる。<(4巻p.-39, 文献解題)

いやな諺[ことわざ]だな…。(^^;

JRF2015/3/253129

……。

グノーシス派、または、マニ教について…

>しかし一方で、最終的な救済は、マニによって示された道を進まないもの、つまり生殖をやめようとしない者のために遅らされている。光は精子に集中しているので、生まれた子供は各々、聖なる分子の捕囚を長引かせることにしかならないからである。<(4巻p.256)

JRF2015/3/255793

このあたりに「異端性」が端的に現われているのだろう。人口が増えることを祝福できない宗教・国家はダメなんだと思う。いろいろ時代的な事情はあるんだろうけど、そこに追い込まれてる時点で「アウト」なんじゃないか?

まぁ、でも一方で自殺も原理的に禁止してるようなので、ここはただ選ばれた者=僧職の妻帯を禁じてるのと同じというだけかもしれないが…。

JRF2015/3/259878

……。

……。

古代も特に仏教誕生からヘレニズム時代というのは私の「萌え」領域みたいなもので、思わず長く引用してしまった。

しかも、自分が知ってたこととかは引用しないので、他者にはあまり役に立たない引用集になってしまったと思う。これまた反省。

でも、個人的には今回の読書は楽しめた。

JRF2015/3/252917

修正 「百聞は一見にしかり」→「百聞は一見にしかず」。

JRF2015/3/254373

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