cocolog:82587509
十返舍一九『東海道中膝栗毛』を読んだ。「古典」と言っても注が十分で、多少わからないところがあるものの、 吹き出すように笑えるところもあり楽しめた。「差別」もひどくはない。ただ、売春まわりの笑いとかは、少し閉口するところもあった。 (JRF 3392)
JRF 2015年6月 3日 (水)
江戸時代に、初編が享和二年(1802年?)に出て、この本の最後の第八編が文化六年(1809年?)に出、再版(改版)時の文化十一年(1814年?)に初編の前に置かれている「発端」編が足されたそうである。
当時の口語に近いらしく仮名が多く、ルビもしっかりついていて、単語の区切りがわかりさえすれば注もしっかりしてるので理解しやすかった。この前読んだ『日本永代蔵』([cocolog:82105740])より読みやすかった。
JRF2015/6/38242
……。
後から足されたその「発端」から読み進めるわけだが、のっけから不謹慎な話で、続く話も「艶笑話」や下ネタが多く、これを笑えるのが「大人」ってわけなんだろうが、私の「大人力」はたいしたことないので、ときおり閉口しながら読み進めた。
[cocolog:82346841] で>なぜか子供のころ『東海道中膝栗毛』に関心を持って読もうとしていた。でも、読み切れなかった。<と書いたが、これを小学生、中学生のうちに読みたいと思ったというのはえれぇアホウだな → オレは。
JRF2015/6/38968
……。
第四編上で、弥次さんが狐に化かされるのを警戒するあまり、北八が狐が化けたのと思い込むところは、私の統合失調症の初期症状(軽いうちの症状)を思い起こさせた。「狐憑き」と言えば、近代の(女性の)ヒステリーみたいなのを想像したりもするが、弥次さんのも「狐憑き」の別の典型で、私が昔に行けば「狐憑き」とまずはされたのではないか。弥次さんは、一晩で北八が化けたのではないと悟り素に戻ったが、私の場合は、見えない「唯一神」が関係してくるので一晩ではきかないことも多いのだろう。
JRF2015/6/30079
第四編下では、北八が、今だと知的障害者にあたる若い女性に、そうとは知らずちょっかいを出す場面から、私の縁者のいる名古屋近くの宿場町で、応報を今生[こんじょう]でおさめるためのゲンかつぎみたいな展開が続く。このあたりが、ただの艶笑話ではなく、人情話として今にも読みつがれている理由なのだろうなと思った。
JRF2015/6/31275
……。
名所みやげの話に重点をおかず、第三編上の巫子[いちこ]など、その地とはあまり関係なく当時の習俗が多く出てくるところも、この本の読みつがれている理由なのだと思う。第六編下で北八が、そうと知らずに女郎を逃がしてしまい、詰問を受けるところなどは、そう軽くあしらわれることは実際にはなかったのかもしれないが、その後、二枚目ふうに女にちょっかいを出していた北八が、「幟[のぼり]のはぐらかしもの」の着物を着て三枚目ふうになるあたりまで併せて、お伊勢参りのご利益の一つだったということなのかなと思った。
JRF2015/6/38713
お伊勢参りが成った第五編追加で赤子が産まれるところに居あわせるのが、ちょうど、発端の「不謹慎」に対応していたのだろう。
名所がどうなったかの話は注には詳しい。
JRF2015/6/34883
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マンガに作者が出てくれば、そのマンガも終わりに近いと『少年ジャンプ』のマンガで読んだのだったか。第五編下には「十返舍一九」が名前だけ出てくる。この「楽屋落ち」ぎみなのもある種の伝統なのかもしれない。この本は、他の狂言などにヒントを得ている部分などが多いと解説にもいう。
JRF2015/6/37248
第八編上で、「人の骨くふもことはり若いとき親の脚[すね]をもかぢりたる身は」という狂歌は、「発端」と同じく不謹慎だが、今後の自分を考えるとそれも道理なのか…と後ろ寒く思った。
JRF2015/6/38760
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受信: 2016-12-28 17:19:37 (JST)
『東海道中膝栗毛 上・下』(十返舍 一九 著, 麻生 磯次 校注, 岩波文庫, 1973年)
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JRF2015/6/37381