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ジャン・マルテーユ著『ガレー船徒刑囚の回想』を読んだ。壮絶。「生存者バイアス」という言葉が頭に浮かぶ。こういう人生を生きねばならない人が今もいるのかもしれないと思うと身の毛もよだつ。 (JRF 0080)

JRF 2016年1月10日 (日)

『ガレー船徒刑囚の回想』(ジャン・マルテーユ 著, 木崎 喜代治 訳, 岩波文庫, 1996年)
http://www.amazon.co.jp/dp/4003347315
http://7net.omni7.jp/detail/1101359912

JRF2016/1/102898

……。

昔、「水竜狩り」という二段櫂船が出てくる小説を書いたことがある(↓)。そのころに、この本、ガレー船という巨大な櫂船が出てくる本が発売されていたので、興味を持って買ったが読んでなかった。それを読んだ。おもしろかった。

《昔書いた短編小説》
http://jrf.cocolog-nifty.com/column/2007/08/post.html

JRF2016/1/103930

……。

ルイ14世治下のフランス、著者は、プロテスタント(ユグノー)への迫害を逃れて、オランダに渡ろうとしたところ捕まり、ユグノーであるという理由だけで、ガレー船で奴隷のように働かされるという刑を受けることになる。著者は、何度もカトリックへの強い勧誘を受けるが断わり、自分の信念に従って刑を受け続ける。最後は、イギリスのアン女王の介入により、プロテスタント徒刑囚の釈放が実現する。そして、軽く邪魔されつつも、ジュネーブへ渡り、さらにオランダのアムステルダムに渡った。

…という「実話」。

JRF2016/1/101129

著者が、捕まったのは16歳か17歳、釈放されたときは29歳ぐらい、そして、この本を書いたのが73歳のときで、93歳まで生きたという。「信仰の奇跡」みたいなものを感じる一生だ。

JRF2016/1/100699

ガレー船での描写よりも、途中に出てくる様々な監獄での描写のほうが恐ろしい。このあたりはトルストイ『復活』(参:[cocolog:83307893])の監獄批判を思い出した。また、他のガレー船徒刑囚のすれっからしの様子は、私が2014年4月に入院したときのピリピリした雰囲気を思い出した。もちろん、誤解なきようにいうと、入院中に、ガレー船のように悪人の行為…ずるがしこい行為を実際に見たわけではないが、閉鎖環境が不信を生むことは雰囲気として理解できるところだった。現代の優しい行き届いた目があったから悪い行為・慣習に私がさらされなかったという面はあると思う。

JRF2016/1/103821

この先、私が働くようになっても、例えば、前回([cocolog:84331614])書いたように「介護」を目指せば、やはり閉鎖的な環境に身を置くことになる。それに、少し恐怖を感じた。でも、そこで働いている人々は今もいるわけで、18世紀の昔よりはずいぶんマシになっているだろうとは言え、ニュースとかでは悪辣な環境を想像させるものもある。悪いほうに悪いほうに想像してしまって怖くなった。

JRF2016/1/100748

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