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グッドイナフ著『アレクサンドリアのフィロン入門』を読んだ。難しかった。finalvent さんの記事でやっと意味がわかったという感じ。 (JRF 7231)

JRF 2016年6月11日 (土)

『アレクサンドリアのフィロン入門』(E. R. グッドイナフ 著, 野町 啓 他 訳, 教文館, 1994年)
https://www.amazon.co.jp/dp/4764263025
http://7net.omni7.jp/detail/1101190487

原著は 1940年初版で、1962年に第二版、本書は第二版を元にした訳。

JRF2016/6/118860

……。

[cocolog:85220789] で "The Hebrew Goddess" を読んでユダヤ教に関心を持ち、Amazon のウィッシュリストに登録してあった本書を購入し、読んだ。ウィッシュリストへの登録は finalvent さんの記事からだったはず。

《[書評]アレクサンドリアのフィロン入門(E.R.グッドイナフ): 極東ブログ》
http://finalvent.cocolog-nifty.com/fareastblog/2011/12/er-a168.html

JRF2016/6/118744

……。

第一章「フィロン研究の方法」は何が言いたいのかわからず、第二章「フィロンの著作」ではフィロンの全著作を読めと書いてるところに壁を感じ、それ以下の章は内容が難しかった。例外的に最後の章、第七章「神秘主義」は言ってることはわかり興味深かったが、かと言って私にとって何か意味があるものが得られたかというと否定的にならざるを得ない。苦しい読書だった。

上の finalvent さんの記事を読み直して、フィロンが初期キリスト教と思想的背景を同じくしていたことについて、著者が慎重に断定を避けているがゆえに、この本の読みにくさがあるんだろうなということは理解できた。

JRF2016/6/118040

……。

いくつか部分を抜き書きする。

JRF2016/6/113260

……。

>根拠のない大言を弄する者や、資料を処理する能力のない素人が書いた本は、無視するか、あるいは厳しく非難してもよかろう。しかし真摯な研究者の業績については、たとえそれがわれわれと理解をまったく異にするものであっても、無視してよい理由はない。<(p.54)

私は完全に素人だ。この本の本来想定する読者ではないのだろう。

JRF2016/6/116268

……。

フィロン…

>彼は、時には質料的あるいは社会的な生活へのいかなる関与をも軽蔑するが、時には、生活からの逃避は臆病であり偽善であること、また逃避したところで何も得られないということを同様に強く主張している。さらに特徴的なのは、彼がこれら二つを結びつけようとしていることである。

JRF2016/6/119125

(…)

つまり、神秘的かつ哲学的な成就への扉は、個人的社会的生活の諸問題の克服を通じて浄化された者にのみ開かれうるという主張か、あるいは、完全に成熟した人間は、プラトンにおいて真実在を観た者が再び洞窟へと戻るように、自身の高い洞察力で得た新たな統合と勝利によって他の人々を助けるために質料と人間のところへ戻るのだから、観想のうちにとどまりつづける者は実は未完成なのだ、と主張することで結びつけるのである。
<(p.107-108)

JRF2016/6/112300

私が小説「神々のための黙示録」([cocolog:85308129])で書いた部分に↓があり、菩薩になるところが>他の人々を助けるために質料と人間のところへ戻る<に対応するのだろう。


「先生の未来と言えば、涅槃[ねはん]に達しているでしょうか。」
「ほっほっ、そうじゃなぁ。涅槃にいるべきところじゃが、涅槃の境地から地上を哀れんで菩薩[ぼさつ]となろう。そして菩薩として過去に向けても善い結果を残そうとしようか。おっと、その残照が今の儂ということになろうかのぉ。ほっほっほっ。」

JRF2016/6/116382

私は戻ってくるもなにも仕事をやっておらず、「生活」以前の状態にある。そこから菩薩のようにあろうとしても滑稽なだけだ。

JRF2016/6/110836

……。

フィロンは一ユダヤ人として、皇帝崇拝をするどく否定した。そのためには殉教も辞さない。

>われわれは死のう。律法を守るための栄光ある死はある種の生なのだから。<(p.130)

フィロンにとって、多神教的キリスト教(参:[cocolog:83347972])とかぬかす私はふざけた人間にしか見えないのだろう。でも、多神教の文脈でも皇帝崇拝(天皇崇拝)は過去のものとなり、フィロンとは逆に一神教が他に強い圧力となっている現代では、違った立場も理解されえないだろうか。

JRF2016/6/117664

……。

フィロンは古代人で裕福な人物だった。その「限界」は見える。

>正義は、人間の行為と自然の法とを結びつける言葉である。というのもそれは、ピュタゴラス派の究極の原理である公平ισοτησの一つの表現であり、とりわけ分に応じた公平という意味で、被造物の分配はすべてそれに基づいているからである。社会における正義とは、人間各々に各自が当然受け取るべきものを与えるという意味での公平である。すぐれた人間にとってこれは権力と富の恵みを意味する。

JRF2016/6/118078

(…)

劣った魂がそれらを熱望するのは僭越というほかない。賢者は人類の本来的な統治者であり、彼らが統治する場合にのみ、人間は幸福な社会を期待することができる。正義あるいは公平は低い才の人間を低い地位におく。真に奴隷的な精神にとっては奴隷であることが最良のめぐりあわせである。なぜなら、奴隷の身分がある意味で彼らを鍛えるからである。
<(p.196-197)

JRF2016/6/110705

小説を「カクヨム」、「小説家になろう」に投稿したあと、義理で他の人の書いた小説をややランダムに読んでみた。すると他の人の中には高いレベルを達成している人がいて、そういう人でも無料で小説を公開しているのに驚かざるを得ない。私のレベルの低さを痛感する。

私は本来、下の身分で苦労して過ごすべきところを時代のおかげで怠惰に過ごせているのではないか、怠惰にしててはいけないのではないか、とここを読んで思う。一方で、ブラックでも働く人がいるからブラック企業が生き残ってる、働くな、というメッセージも世の中にはあって、それにすがりつきたい自分もいる。

JRF2016/6/115003

>性的な関係をフィロンは子供をつくるためにのみ認めている。「子供を儲け種族を永続させるためにではなく妻と交わり、豚や山羊のように、そうした交わりの与える快楽を追い求める者は、享楽主義者である」。<(p.202)

フィロンは、上のように書いて、女性の権利をほとんど認めない。一方、私は女性の権利を認めるようなポーズをしつつ、(特に二次元の)ポルノを容認している。結論として子をなせたほうが正解だろう。もう私はそれは期待できない。どちらかと言えば、私のほうが間違っているということだ。(もちろん、今の時代は、女性の権利を認めた上で結婚をするのが正解なわけだが。)

JRF2016/6/117155

……。

ヘレニズムの秘儀の一種としてモーセに学ぶ秘儀をフィロンは考えていたのではないかと、断定を避けつつも著者は指摘する。

>モーセは二つのことを行った。一つは、法という形で一般の人々に生の指針を与えたことである。この法は、非質料的な実在つまり自然の法の直接的な反映か、成文化である。これはプラトンの『国家』における下層階級の統制と対応する。しかしまた一方でモーセは、より高次のメッセージを了解しうる神秘主義者に対して、質料から非質料的なものへ至る道程を明らかにし、常にその先導を行うのである。<(p.237-238)

JRF2016/6/113647

フィロンは、ユダヤ教の祭儀にも、記念としての意味よりも象徴的意味を見出していたという。

JRF2016/6/117848

……。

>フィロンの人間論を検討したさい、彼がパウロと同様に、この世の生の最高の到達点は肉体から離れた卓絶の境地であると考えていなかった、ということはすでに指摘しておいた。人間はその肉体をキリストとともに十字架につけたにせよ、あるいは紅海に沈めたにせよ、その後もパウロが言うように、死んでいようが生きていようが、依然として肉体がともにあるということをやはり見出すのである。<(p.239)

JRF2016/6/110276

[cocolog:85308129] でも言ったが、私は統合失調症時の妄想において最後の審判をすでに起きたものと見なした。しかし、その後も、半分死んだようなものかもしれないが、生きている。>依然として肉体がともにある<という状況なのだろうか? そんな悟りがあった印象はないが…。しかし、特別な存在になったように私は妄想したものだった。

それから、どうしようもない生を生きている。これからどうすればいいんだろう。

JRF2016/6/119851

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