cocolog:85578460
資本主義の二要素モデルを考えていて、矛盾(?)に行き詰まり、考え込んでいる。 (JRF 9659)
JRF 2016年7月19日 (火)
……。
まず、二つの店舗というのを考えてみる。
ここでいきなり障害にぶつかる。両方の店舗が同時に黒字というのはなくなる。なぜなら二者しかいないから、一方が出した支出がもう一方の収入となるため、一方が黒字なら、もう一方は赤字になる。
外部をつくって、預金があったり、借金できたりというのを許せば、共に黒字ということも起きようが、借金がずーっと続くみたいなことを考えないといけない。
JRF2016/7/190502
……。
そこで二要素にするなら、一方は、店舗だけど、もう一方は金融機関みたいなモデルを考える。
店舗は W の収入を得て C の支出を出す。利益 U = W - C。
JRF2016/7/193173
ここで金融機関は、店舗のすべての株式を持っているとする。そして半ば自己取引的に額 W の仕事を店舗に与えているとする。株式を持っているから利益が戻ってくるので U は金融機関のものとなる。二要素しかないから C も結局、金融機関に戻ってくると考えて W = U + C で金融機関の収支はトントンになる。
JRF2016/7/197185
ただし、ここで重要なのは、株価が市場利子率 r2 に対して U / r2 に決まり、それが資産になっていると考えること。それだけ富が増えてる。(実際は自己取引だけなので株の値はつかない…とか今は考えない。)
JRF2016/7/199360
……。
ここでちょっと変則的なことを考える。上のモデルで C は返って来ないと考えるのだ。店舗である IT 企業がエンジニアの給料を払うんだけど、それが全額、預金されるようなイメージを考える。
JRF2016/7/194521
最初は、毎期、金融機関は別のところから運転資金 W1 を借りて、それで店舗に W1 の仕事を発注すると考える。そして利払いについても追い貸ししてもらって、店舗の経営を支えることにする。このとき、店舗の株価 U / r2 が追い貸しされてる資産額を追い越すことがあるか考えたい。
JRF2016/7/193882
普通にやっていても、そんなことは不可能だが、運転資金をどんどん増やしていくような状態だとどうなるか。第 n 期に W1 = s^n ・ W0 とする。ただし s > 0。
JRF2016/7/195233
無利がある設定だが、店舗のコストはずっと変わらず C とする。第 n 期の利益は U = (s^n ・ W0) - C で、株価は U / r2 = (s^n ・ W0 - C) / r2 となる。
JRF2016/7/190627
借入の金利は r とする。
JRF2016/7/197436
第 1 期の債務を考える。運転資金 s ・ W0 を借りてくるが、店舗の株式を全部持ってるので s ・ W0 - C が利益として入ってくる。それを差し引いた B = s ・ W - (s ・ W - C) = C が債務となる。
第 2 期の債務を考える。第 1 期の債務 C に今期発生の債務 C と利払い分 r ・ C を足した B = 2 ・ C + r ・C が債務となる。
JRF2016/7/199890
第 3 期の債務を考える。B = (3 + 2r + r^2) ・ C。
第 4 期の債務を考える。B = (4 + 3r + 2r^2 + r^3) ・ C。
JRF2016/7/198425
同様にして 第 n 期の債務は B = (n + (n - 1) ・ r + (n - 2) ・ r^2 + …) ・ C となる。ここで、r は小さいので r^2 以上の項は無視して近似すると、B = (n + (n - 1) ・ r) ・ C。
JRF2016/7/194107
これが株価より小さくなるには U / r2 = (s^n ・ W0 - C) / r2 >= (n + (n - 1) ・ r) ・ C = B であれば良い。
s > 1 で s^n は指数関数だから、n が大きくなれば、やがて、この不等式は満たされるようになる。
JRF2016/7/197397
…わけだが、こんな非現実的なこと(矛盾?)を考えて何の意味があるのだろう?
利益が U = s^n ・ W0 - C って n が大きくなればありえないほど巨大になる。そもそも指数関数的に利益が増大していくなら株価は無限の値になるものではないか。
本当は、この他に税の影響なども考えないといけない。議論は破綻している。
JRF2016/7/199818
……。
最初、考えたときはとても魅力的に思え、資本が運転資金を無限に拡大しようとしている様を活写しているとか妄想したものだが、落ち着いて考え直すとありえない議論だと痛感した。
うーん、でも、なんか他の考え方をして、追い貸しと現代資本主義を関連付けられないかな…。
昔書いたもので、このあたりのことを考えようとしたことがあったなぁ…頭取とか奉加帳・勧進帳とかいうキーワードでググっても見つからず…たぶん [cocolog:75599118] だと思う。でも、今読み返してもいまいちわからないな…。
JRF2016/7/194077
……。
追記。
計算間違いしてた。
第 n 期の債務は、B = C ・( Sum_{k = 1}^n Comb(n, k) ・ r^(k-1) ) = C ・((1 + r) ^ n - 1) / r。
だから U / r2 との比較は微妙なものとなって (s^n ・ W0 - C) / r2 >= C・ ((1 + r) ^ n - 1) / r が n がある程度大きいときに成り立たないといけない。最低でも s > 1 + r は言えないといけない。
…となると思う。また計算違いしてたら、ゴメン。
JRF2016/7/196648
ちなみに第 3 期、第 4 期の債務も間違っていて…
第 3 期は、B = C ・ (3 + 3 r + 3 r^2)。
第 4 期は、B = C ・ (4 + 6 r + 4 r^2 + r^3)。
JRF2016/7/191240
……。
追い貸しって指数関数的になるんだね。こりゃ現実的でないわ。
JRF2016/7/190437
トラックバック
他サイトなどからこの記事に自薦された関連記事(トラックバック)の一覧です。
資本主義の二要素モデルを考えていている。その2。前回は追い貸しについて考えたが、今回は乗数効果のようなものを考える。 続きを読む
受信: 2016-09-29 18:14:13 (JST)
資本主義というか経済をとても単純化したモデルね。三要素…三人の登場人物を考えて貨幣の交換とかを考えるモデルはどこかで見たような気がする。今回は二要素で考えてみる。
JRF2016/7/190332