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ベッカリーア『犯罪と刑罰』、穂積陳重『続法窓夜話』、見田宗介『社会学入門 - 人間と社会の未来』を読んだ。 (JRF 6886)

JRF 2017年1月25日 (水)

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『犯罪と刑罰』(ベッカリーア 著, 風早 八十二 and 五十嵐 二葉 訳, 岩波文庫, 1938年 1959年改版)
https://www.amazon.co.jp/dp/4003401018
http://7net.omni7.jp/detail/1101118145

原著は 1764年に初版。リベラルな刑法理論の古典。

JRF2017/1/250282

>刑罰権は、各人が社会契約をむすんで社会を形成するにさいして、おたがいに供託しあった各人の自由の一部に根拠をもつ<(p.208) もので、自由は最小限度しか差し出さないものというところから、刑罰最少主義(p.27)を導き、そこから罪刑法定主義を導く。「罪刑法定主義」の根拠は、この本にあるらしく、正直、それにしては根拠薄弱だな…と思った。罪刑法定主義は、近現代にとって発明者を保護するための大事(その限界があるにしろ → 参:[aboutme:122505])な要請なのだが…。

JRF2017/1/257879

拷問についてのところだが…

>すでに犯された犯罪で、もういまさら救済方法のないものは、つぎの目的のため以外に政治社会によて罰されるべきでない。すなわち不罰が、同じような犯罪を犯しても罰されないという希望を他の一々にもたせるばあいにかぎって、その希望をおいはらうために犯人を罰してよいのである。<(p.61)

JRF2017/1/254261

この辺は「リベラル」っぽい物言い。でも、「リベラル」といいながら、「みせしめ」を刑の根拠にしたり、拷問は否定しながらも肉体刑は肯定したり…と時代からくると思われる制約はある。

JRF2017/1/254188

司法取引には反対であるらしい。仲間を裏切るその卑怯さが犯罪者であっても許せないらしい。また、死刑廃止派であるのも著者の特徴だ。私は死刑は存続もありか…という立場を取っている(参:[aboutme:122258])。私は、有期刑でない終身刑のほうがムゴいのではないかとか思っている。

JRF2017/1/256019

持続的になされる死刑について…

>「このとき刑罰は一つの見せ物以外の何でもなくなる。刑罰は犯罪を罰するためというより、権力を行使するために規定されたもののように見えてくる。」<(p.94, エリー訳より)

JRF2017/1/253986

keyword: 罪刑法定主義
keyword: 司法取引
keyword: 死刑

JRF2017/1/255555

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『続法窓夜話』(穂積 陳重 著, 岩波文庫, 1980年)
https://www.amazon.co.jp/dp/4003314727
http://7net.omni7.jp/detail/1101063639

元は1936年岩波書店刊。この本は上の著者の息子、穂積 重遠 の手による部分が多いらしく共著とみなすべきもののように思うが、上では本の表記に従った。

JRF2017/1/251302

法律に関するエッセイ集。が、エッセイというには重い論考が続く。私には難しく、昔の文語である、そうろう文などがそのまま載っていて、意味がとれないことがあった。「続」ではない「正」『法窓夜話』も以前読んだことがあるが、もうあらかた忘れてしまった。この本も、難しいこともあってか、特に書き出したいと思うことがなかった。(今、私が不感症になっているのかな?)

JRF2017/1/254119

ただ、この本を読んでる間、法に関するあるニュースがしばしば脳に浮かんで悩まされた。それは↓で、なぜ、少子化に悩む日本でこれが通ろうとするのか。女性の子どもが産める期間は男性よりも限られるわけで、それを象徴的に示す現行法をこれから他の少子化に悩む国がマネしていく方向ならわかるが、これを今さらなくすなんて正気の沙汰とは思えない。もちろん、結婚など思いもよらない私には関係ない法律だけれど、それにしても…と思う。(批判した国連・国際機関って具体的にはどこ? こう言う人は、結婚そのものをアナクロとみなさないのか?)

JRF2017/1/258911

《女性の婚姻可能年齢、16歳から18歳に引き上げへ - ニフティニュース》
https://news.nifty.com/article/economy/economyall/12214-348534/
>日本でこのように定められたのは明治時代のことで、当時は「女性の方が性的成熟が早い」と認識されていたからだ、という話だ。(…)アナクロ感は否めない。また国際的な批判もあり、国連から是正勧告が出されたこともある。<

JRF2017/1/258977

古代ローマは十二表法の以前…

>殊に法律の知識は貴族の秘密占有であっ(…た。…)<(p.44)

…ようだが、それがグローバル化の現在、TPP の「秘密交渉」に示唆されるがごとく、また、頭をもたげてきているのではないか。…といぶかしむ。

JRF2017/1/253328

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『社会学入門 - 人間と社会の未来』(見田 宗介 著, 岩波新書, 2006年)
https://www.amazon.co.jp/dp/4004310091
http://7net.omni7.jp/detail/1102301190

JRF2017/1/254719

「社会学」を広く取れば、統計や確率モデルを使った数理的な社会学はもちろん、経済学を含みうるだろうし、労働の法学なんかも含まれるかもしれない。この著者が入門として示す範囲は、そんなに広いものではない。Amazon 評によれば「見田流社会学」のさわりとなるのだろう。「序」論と「補」論を読むかぎり、著者にとって、「社会学」とは「ユートピア」を構想する学問であるというところに極言されるのかもしれない。

JRF2017/1/256007

もちろん、「ユートピア」といっても独善的なものではなく、>一方は美しく歓びに充ちた関係のユートピアたちを多彩に構想し、他方はこのようなユートピアたちが、それを望まない人たちにまで強いられる抑圧に転化することを警戒し、予防するルールのシステムを設計する。<(p.174)…という目配りの効いたものではあるけれども。

JRF2017/1/259905

著者は、社会を二つの軸で四つのタイプに分けるという。軸の一つは、意思的(主体的に形成する)-意思以前的(客観的に存立してしまう)という軸。もう一つの軸は、共同態的(=ゲマインシャフト的)-社会態(的(=ゲゼルシャフト的)という軸。

JRF2017/1/252575

そして、意思以前的で社会態的なものを「市場法則」「見えざる手」を例として挙げて「集列体」と呼び、意思的で社会態的なものを「会社」などを挙げて「連合体」と呼び、意思以前的で共同態的なものを「共同体」と呼び、これがわかりにくいのだが、意思的で共同体的なものを「交響体」と呼ぶ。

JRF2017/1/259466

私は、要は、連合体はソ連で、集列体は自由の国としてのアメリカ、共同体は狩猟集団か古代ギリシアのポリスにあたる…とすると、交響体は、北朝鮮のような国、王国的なことをいうのかな…と思ったら、先に読み進めていくうちにそうではないとわかった。

JRF2017/1/258217

最後の「補」論のところで、「意思以前的」に対称させるのを「意思的」とせず「自由な社会」としていた。ソ連が自由な社会とはたぶん著者も思ってないはずで、交響体というのは(私には)ありえないと思えるユートピアなのだろう。著者の理想は、「交響するコミューン・の・自由な連合」ということらしい。

JRF2017/1/259051

…と、最初の「序」論と最後の「補」論に書かれていたことを少し書き出したが、それ以外の章は、こんな抽象的な話ではなく、具体的な社会に関する「エッセイ」であった。911 のテロの話があったり、自殺したネットアイドルの南条あやの話があったりした。

JRF2017/1/258147

その中では、第四章の現代短歌の紹介が私の心に響いた。私も現代風の短歌をひねろうとしたことが何度かあって、自分では現代の感覚をうまくとらえたと思っていたが、ここに挙げられている短歌を読んで、私のは稚拙だったと、自己嫌悪を新たにした。

JRF2017/1/258857

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