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農家が引く貧乏くじについて考える。新商品があると、農家はその商品を買えるようにするために価格を上げるのではなく、むしろ下げることがあるように私は思うのだが、それはなぜか考えてみた。 (JRF 3471)
JRF 2017年2月28日 (火)
……。
農本主義ではないが、農業は大切なもの。新しい製品・サービス・技術を経済に組み込むにはまわりまわって究極的に農家がそれに価値を見出してくれないといけないように思う。特に、ゲームなど不必要と社会に思われがちなものは、そういう裏付けが欲しいと思う。
JRF2017/2/282634
二要素モデルや単純で小さなモデルの場合、農家は新製品などを買うために、農産物の価格を上げると想定しがちである。しかし、実際の経済では、経済成長につれて必要な分だけ価格を上げるのではなく、農家は相対価格が低いことを受けいれる(ことが求められる)ように想う。
これはどういうことなのだろう?
JRF2017/2/285201
例として米を考えると、小麦等の代替品の増加などで供給過剰となり、安値を強いられている面はあるだろう。ただ、それは結果論のようにも思う。もうちょっと、固有のメカニズムがあるようにも思う。
JRF2017/2/283055
新技術により効率が上がった分の効率を半ば強制されるからだろうか?
農家がマイカーや携帯電話を買えるというのには所得の増分要素はあったはず。一方で、自由化などにより安い資材が買えたり労働力を減らせたりすることで、効率化もできたはず。それらの効果が相殺して、賃金(生産物価格)を安く抑えているのだろうか。ただ、他よりも高収入でないというのには、どういう理屈があればよいのか…。
JRF2017/2/280242
何か新商品が出て、それを欲しいと考える業者があるとする。その業者が新商品を買う分をファイナンスしないといけない。しかし、農家はその業者を使うかどうか選ぶことができる。農家が新商品を欲しない業者を選ぶのに対抗するためには、新商品が効率を高めるもので、他の業者より有利とならないといけない。効率を高めた農家との競争のため、ダンピングを強いられるということもありうるか?
JRF2017/2/281812
新商品が携帯電話みたいなもので、農家も欲するとしよう。すると業者が買う分のコストも農家は払わねばならないだろう。そうするとその農家から仕入れる者もコスト増を受け容れねばならない。それが連鎖する。結局、平均所得が全体として上昇するのでなければいけないとなるのではないか。
JRF2017/2/282720
……。
江戸期の課税システムに関してはどうなのだろう。豊作などで米が市場に増えると米価が下がる。そうなると安定的な税収という点で問題があるだろう。米に関して税を重くし、自由米が市場に出るのを制限して米価を保つ…という方針だろうか。でも、そうすると余った政府米はどうすればいいのだろう。
JRF2017/2/281947
(政府の)借金を米で無理矢理返せたとすればどうだろう? もしくは商人は半ば暴力で一定額で買うことを強制されていたとか…。
農業の余剰が人口を増やすことのないように経済を回し、一人あたりの潜在生産力を維持する必要があっただろうと思われる。
長男以外は、(重い)年貢で収めた分から再分配を受けとれるようにするというのが建前だろう。
…この辺は要再考か。
JRF2017/2/284875
……。
効率化ができるというのは、簡単なモデルでは生産が増えるということになるだろう。そして供給過剰になり、値段が下がるのか、他の者が退場するのか…それはモデルによるか。でも、値段が下がったからと言って需要が増えるとは限らない。退場したものは、どうやって暮らすことになるのだろう?
JRF2017/2/281440
物々交換の三要素モデルを考える。生産者かつ消費者である A, B, C。A と B は米か小麦か必需品 n を作っていて、C は嗜好品 l を作っているとする。
JRF2017/2/282063
B の生産性が上がって、2倍供給できるようになったとしよう。必需品が 3n 供給されている、と。需要を喚起するために値段を下げ、全量が消費されるようになるまで下げるのか、残りは捨てられるようになるのかはわからないが、一物一価で、売れた分の 2/3 が B に 1/3 が A の物になるとする。
JRF2017/2/283543
どれぐらい値段が下がるか決めないといけないが、単純に、C は供給過剰に何の責任もないのだから、前と同じ 2 単位だけ l を供給することで応じるとしよう。それを先の比率で分けあう…と。
JRF2017/2/282524
すると、前に 1 : 1 で得られた物が 1/3 : 2/3 で分配されるということだから、B はいちおう生産性の上昇分が報いられる形にはなるが、2倍報いられるわけではない。A については苦しくなる。
JRF2017/2/286626
次に C がこれまでの l に加えて新商品 m を作り出したとしよう。m に関してはある種、他の商品に対して供給過剰となることになり、それを分けあうと考える。A が n、B が2n、C が l と m を生産する。3n 分が 2 の価値で、l と m が 1 の価値とすると、A が (2/4)(1/3) = 1/6、B が (2/4)(2/3) = 1/3、C が (2/4) = 1/2 で分け合う。新商品が増えた分、A や B の受け取りが減る。…と。
JRF2017/2/280812
……。
もう少しちゃんと計算しよう。
A が n を 1.5 個、B が n を 1.5 個、C が l を 3 個、作っていたというのが初期状態。各自に n を 1 個、l を 1 個ずつ分配するため、n が 0.5 個につき l が 1 個の交換比率で交換していた。
JRF2017/2/289012
ここから B が n を 3 個作り供給過剰となった。A と B と C は「所得」に比例して n と l を分けるとする。そして、A と B は y 個の l を 1/3 : 2/3 という比率で分ける。つまり l を A:B:C = (1/3)y : (2/3)y : (3-y) で分ける。また、4.5 個 の n も同じ比率で分ける。
JRF2017/2/289634
A は 1.5 - (1/9)y(4.5) 個の n で (1/3)y 個の l を買い、B は 3 - (2/9)y(4.5) 個の n で (2/3)y 個の l を買った。一物一価だから、3(1.5 - (1/9)y(4.5)) = (3/2)(3 - (2/9)y(4.5))。変形すると、4.5 - 1.5y = 4.5 - 1.5y で消える。あちゃー。y は自由に決めて良いようだ。
JRF2017/2/288262
y = 2 とすると、A:B:C = (2/3) : (4/3) : 1 となり、A と C は 0.5 個の n と 2/3 個の l を交換し、B と C は 1 個の n と 4/3 個の l を交換する。A の手元には 1 個の n と 2/3 個の l、B の手元には 2 個の n と 4/3 個の l、C の手元には 1.5 個の n と 1 個の l となる。
JRF2017/2/283851
B は二倍の生産性を誇るようになったが、前より l を二倍手に入れられるようになったわけではない。A は苦境に立たされるようになった。B や C は供給過剰分の n を「押し付けられた」形になるわけだが、それは捨てられるのかもしれないし、誰かが酒に変えるなどしてエンジョイするのかもしれない。一人当たりの消費(可能)量が増えること自体は「経済成長」、「豊かさ」と言えるのだろう。
JRF2017/2/282362
この状態(取引の前)で、C がさらに新商品 m を 3 個作ったとする。A:B:C の比率などは上といっしょになる。ただし、C は m が増えたので二倍の所得を得るとする。つまり、A:B:C が (2/3) : (4/3) : 1 だったのが、(2/3) : (4/3) : 2 になるとする。(1/3)y : (2/3)y : (3-y) = (2/3) : (4/3) : 2 を解くと y = 3/2 になる。
JRF2017/2/285943
A と C は 0.75 個の n と 0.5 個ずつの l と m を交換し、B と C は 1.5 個の n と 1 個ずつの l と m を交換する。A の手元には 0.75 個の n と 0.5 個ずつの l と m、B の手元には 1.5 個の n と 1 個ずつの l と m、C の手元には 2.25 個の n と 1.5 個ずつの l と m となる。
JRF2017/2/284452
新商品の登場で、B は(m が手に入れられるようになったのではあるが)生産性上昇前の元の l と n の分け前にしかあずかれなくなった。A はさらなる苦境に立たされることなった。A は、前は、l を 1 単位手に入れるのに (2/3) / 0.5 = 4/3 払っていて、今回も 0.5/(0.75/2) = 4/3 払っている。新商品の分だけ「価格を上げるのではなく価格を下げた」ということはないが、財の割り当ては、(2/3)/(2/3+4/3+1) = 4/18 から (2/3)/(2/3+4/3+2) = 3/18 に減っている。
JRF2017/2/283293
仮に「賃金の下方硬直性」のように、n は少なくとも 1 必要だとすると、A は n を 0.25 単位買い戻さねばならない。(0.25/0.75)0.5 = 1/6 単位の l と m を C に返すことになるのだろうか。しかし、それは C にとってもそれほどうれしくないのではないか。
JRF2017/2/289455
また条件をいじって、今度は、B が生産を増やしたあとで、A が必需品の生産をやめ、C ではなく A が新商品 m を発売したとしてみよう。話は簡単で、各自で n と l と m を一個ずつ分け合えばいい。B の生産性上昇のショックは失業した A のがんばりによる m の需要と供給の増加によってやっと吸収されたわけだ。
JRF2017/2/284491
……。
なんとなく三要素モデルを作ってみたが、それらしいことが言えてしまった気がする。しかし、これで農家が経済成長のワリを食うモデルを構築できたのだろうか? そもそも三要素モデルのようなものは、絶対的に平等に分け合うのが建て前なはず。相対的な変化で不平等ができてよいなら、どうして最初から不平等であってはならないのか…となる。本当に何か言えてるのだろうか…と我ながら疑問に思う。
JRF2017/2/284060
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ミクロ経済学を学ぶ。私は経済(学)に強い人間だと自負していた。いろいろあって引きこもりでニート(年齢40歳オーバー)だけど、経済のセンスはある人間だと思っていた。何を勘違いしてたんだろう…。... 続きを読む
受信: 2017-04-02 04:02:47 (JST)
先日来、経済学を復習しながら([cocolog:86942001])、経済に関するギモンをいろいろ考えている。その中で、マクロよりはミクロ経済学よりの話題の一つが上の疑問。
JRF2017/2/282727