cocolog:86808786
マネー・ヘッタ・チャン『ヘッテルとフエーテル』シリーズ、猪木武徳『経済学に何ができるか』、石井彰・藤和彦『世界を動かす石油戦略』、本山美彦『金融権力』、神永正博 『不透明な時代を見抜く「統計思考力」』を読んだ。 (JRF 2607)
JRF 2017年2月 3日 (金)
『マッチポンプ売りの少女 - 童話が教える本当に怖いお金のこと』(マネー・ヘッタ・チャン 著, あさ出版, 2011年)
https://www.amazon.co.jp/dp/4860634551
http://7net.omni7.jp/detail/1106032021
JRF2017/2/38601
『ヘッテルとフエーテルの みにくいアサヒるの子 - お金のために平気でウソをつく人たち』(マネー・ヘッタ・チャン 著, 幻冬社, 2014年)
https://www.amazon.co.jp/dp/4344025725
http://7net.omni7.jp/detail/1106407887
JRF2017/2/37859
マネーがらみのキタナイ話を短く物語風に仕上げている。新しい本ほど政治的。手口はまぁ知ってる話、事実としてはヒドイ話と思った。が、「ピノキオ銀行」「みにくい天下りの子」の話は知らなかった。驚いた。私はお金に縁がないので、これまで大きくだまされようもなかったというのが実態だが、自分でいうのもなんだが、私は気狂いのバカ者なので、狙われたらイチコロかもしれない。気をつけたい。…と思った。
JRF2017/2/36082
……。
……。
『経済学に何ができるか - 文明社会の制度的枠組み』(猪木 武徳 著, 中公新書, 2012年)
https://www.amazon.co.jp/dp/4121021851
http://7net.omni7.jp/detail/1106210500
JRF2017/2/39223
カバーのそでに次のようにある。「制度」がキーワードのようだ。
>さまざまな「価値がぶつかり合う、現代の自由社会。その結果、数々の難問が私たちの前に立ちはだかっている。金融危機、中央銀行のあり方、格差と貧困、知的独占の功罪、自由と平等のバランス、そして人間にとって正義とは、幸福とは --。本書は、経済学の基本的な論理を解説しながら、問題の本質に迫る。鍵を握すのは「制度」の役割である。デモクラシーのもとにおける経済学の可能性と限界を問い直す試み。<
JRF2017/2/39692
経済学に少し言及しながら、経済的な史実に説明を加えていく。やや現代経済学に批判的か…。入門的に経済学のモデルをわざわざ呈示することはない。経済学がわかっていれば興味深く読める本なのだと思う。経済学は私は忘却の彼方になっているので、また勉強しないといけないなぁ…と思った。
JRF2017/2/34697
いくつか本論と外れたところで、気になったところを…。
JRF2017/2/33471
>アカウンタビリティー(accountability)は「王室は議会に対して会計(account)の説明責任がある」というのが本来の意味であった。<(p.26)
アカウンタビリティーは「説明責任」と訳されるが、「議員がアカウンタビリティーをはたすことが求められる」といったときに、何がしかの説明をすれば十分なのかというとそうではない。理をつくした説明でないといけない。アカウンタビリティーは私は「納得可能性」と訳すべきだと考えている。昔は「アカウンタビリティー」にいい訳語がないと言われて、私はそう思い付いたのだが、まぁ、今となっては少数意見だろうね。orz
JRF2017/2/31952
>例えば、テニスのイメージ・トレーニングをしようと思えば、世界的プレーヤーのビデオを見ればよい。クラシックのベスト・パフォーマンスを楽しんだり研究したりしたければ、これも人気音楽家の CD や DVD を聴けばよい。複製といえども、世界の最高水準がどのようなレベルであるのかを、これから修練を積もうとする若者が先に知ってしまえば、自ずと自分の力量を相対化せざるをえない。その結果、自分の将来のサクセス・ストーリーを描くことが難しくなったのではないか。<(p.116)
JRF2017/2/32787
ここは複製技術に関してだが、インターネットもそれに拍車をかけているだろう。天狗になるのは難しい時代だと思う。でも、その割に私はブログ・ひとことをしていて、何かイイコト言ったような気分にひたれることもある。読まれる可能性が開かれているわりに読まれていないと、認知的不協和が起きやすいということなのだろうか…。
JRF2017/2/39128
……。
……。
『世界を動かす石油戦略』(石井 彰 and 藤 和彦 著, ちくま新書, 2003年)
https://www.amazon.co.jp/dp/4480059857
http://7net.omni7.jp/detail/1101940880
911テロ後だがイラク戦争直前(当然、東日本大震災前)に書かれた本。
JRF2017/2/37758
石油は「市場の再分配機能」が有効な市場商品で、「地政学」的な「資源の囲い込み」は有害でしかないというのが著者らのスタンス。だが、アメリカも「地政学」的な介入をしていたじゃないか…という問いにはこう答える。
JRF2017/2/33283
>市場が世界単一であるため、中東原油の価格が急騰すれば、米国内の原油価格も(…)急騰し、米国の需要家・消費者は、日本や欧州の需要家・消費者とまったく同じ目に遭うのである。このため、米国は事実上の覇権国として(…)国際石油市場が正常に機能するよう、中東湾岸で政治的・軍事的にコミットせざるを得なかったのである。<(p.38)
JRF2017/2/34131
しかし本を読んでいると素人の私からは「地政学」的と思える事情もある。
>民間企業はサウジアラビアの国営会社のような余裕はないから、サウジアラビアの大きな「余剰」生産能力を代替することはできない。国際石油市場の安定にとっては、何かあった場合に発動される、このサウジアラビアの余剰生産能力が非常に重要である。<(p.104)
余剰生産力やここのところひとこと([cocolog:86756868], [cocolog:86784687])で出てきてる潜在生産力という考え方は「地政学」的なものではないのだろうか?
JRF2017/2/32003
著者らは、中国の国営企業やパイプラインによる石油確保が、国際市場の再分配機能を阻害する将来の可能性を指摘する(p.145)が、それは裏を返せば「地政学」的な考え方がブロック経済化などの進行によって必要になることがありえることを示すのではないのだろうか?
>中国にも緊急時対応用に石油備蓄の充実を図ったり、危機時においてもあくまで市場協調的なアプローチ、国際協力をベースとした対応をするよう、日本が積極的に関与していくべきではないかと考えられる。<(p.152)
JRF2017/2/33190
石油の備蓄が食糧危機に役立つような可能性(参:[cocolog:86784687])は私も認めるが、それが「石油危機」にどれほど役立つか、著者らも指摘する(p.178)ように不確実性がある世の中でどれほど意味があるだろうか、と私はいぶかしむ。世界的な備蓄がある間に、例えば国際的な軍事行動を石油生産地にとるみたいなことまで考えるのだろうか? それを「国際協力」の一つというなら、そこに常に中国を巻き込むというのは…慎重な判断を要するのではないか?
JRF2017/2/30915
>日本人はあまり自覚がないようだが、欧米の石油関係者の間では過去の石油危機における日本の石油業界/商社元凶説は半ば常識化しており、危機時の日本の石油に関する行動に対する懸念、視線には今でも非常に厳しいものがある。<(p.170)
再びそうならないためにどうするか。一つは上で挙げた備蓄であり、もう一つはエネルギー供給元の多様化ということになる。
そこで著者らがぶちあげるのがサハリンまたは東シベリアからの天然ガスのパイプライン構想である。ただ、2017年現在、それはうまくいっていないようである。
JRF2017/2/33337
《日露経済協力の目玉、サハリン・パイプライン - 東洋経済オンライン》
http://toyokeizai.net/articles/-/142024
>日露間のパイプライン構想は過去20年以上にわたり、何度も浮かんでは立ち消えとなっていた懸案である。<
JRF2017/2/35191
東日本大震災のとき [aboutme:137980] で原子力の代替は火力発電でいい、「ガスタービンシェル」でいいのではないかみたいなことを書いた。(ガスタービンシェルについては、[cocolog:73888297] でも言及した。) この本には p.184 に天然ガスを使った高効率のガスタービンの話が出ている。その天然ガスをどこから持ってくるかということについて、私には具体的なアイデアがなかったが、私が話を聞いた人々は、LNG よりはサハリン・パイプラインを想定していたのかもしれない。
JRF2017/2/38098
私は [cocolog:8538430] で水素自動車や電気自動車について腐[くさ]したけど、電気自動車は原子力発電(など)を、水素自動車は天然ガスを、その普及が今よりも進んでいると仮定して進められたアイデアなのかな…と思った。
JRF2017/2/37117
……。
……。
『金融権力 - グローバル経済とリスク・ビジネス』(本山 美彦 著, 岩波新書, 2008年)
https://www.amazon.co.jp/dp/4004311233
http://7net.omni7.jp/detail/1102555184
JRF2017/2/33650
経済に関心のある人はこの本のプロローグはぜひ読んで欲しい。日本の金融の敗戦の無念さが描かれている。一部だけ抜き出すと…。
JRF2017/2/36140
>(…)各種金融機関が、金融当局の管理下で棲み分けをしていた。こうしたシステムの下で、アメリカではとうの昔に廃れた重厚長大型の基幹産業が、日本では育っていた。ところが、そうした棲み分けが「護送船団方式」と批判されたのである。金融機関の自由競争と総合化がアメリカによって強く要請された。そして、儲けがない業界への融資に特化させられていた長期信用金融機関が真っ先に破綻した。重厚長大型産業を時代遅れだとして揶揄する風潮も生まれた。モノ作りに携わるよりも、投機に傾斜する金融機関に勤務する人が、「素敵な金融エリート」としてもてはやされるようになった。(…)<(p.9)
JRF2017/2/30484
ここで起きたことがマネー敗戦という事態なのか、それともマネー敗戦の結果の後処理だったのかは私にはわからない。マネー敗戦の結果だとすれば、それでも温情のある措置だたと後年言われるようになるのかもしれない。後年? そう、私はマネー敗戦の後処理はまだ終ってないように思っている。「金融権力」の時代はまだ続いている。…こんな時代が続くはずがない。きっとそれが反省される時代、地に足のついた生業[なりわい]がもっと評価される時代が再びくるはずだ。(でも、その前にはもう一波乱二波乱あるかもしれない。)そう信じこんでいる。
JRF2017/2/35922
この本は、2007年から出版時の2008年のはじめまでのサブプライムローン問題を中心に論じている。サブプライムローン問題の締めというべき 2008年9月15日の「リーマン・ショック」はまだ起きていない。
格付け会社(レーティング・エージェンシー, 格付け機関)、CDO(債務担保証券)、ヘッジファンド、先物取引を槍玉に挙げ、舌鋒鋭く批判していく。ただ、それに抗するためとして挙げられるのが、グラミン銀行・イスラム金融・従業員持株制度(ESOP)というのは対抗策としてまたは自衛策としてやや力不足のように私は思った。
JRF2017/2/33611
この本の段階では、M&A(企業の買収・合併)ブームの終焉(p.26)やドル神話の終わり(p.169)が語られるが、2017年になって、どうだろうか、多少はその傾向はあったといえるのかもしれないが、今、NYダウは 20000 ドル越えを謳歌して、アメリカはその力を失ったとは到底言えないように思う。トランプ氏は保護主義と見られるが、同時に規制緩和を訴え、要人に金融関係者を多く採用している。この先、どうなるんだろう?
JRF2017/2/38656
本論については以上ぐらいにしておいて、部分的に引っかかったところについて…。
JRF2017/2/30500
コンピュータなどを使い理論的に金融商品を扱う「定量分析者」(quantitative analyst)こと「クォンツ」。
>数学的に処理されることから、ファンド・マネジャーの思い込みというマイナスのリスクを避けることができるのではないかと一般投資家たちが期待する。事実、クオンツたちの運用成績は市場平均を上回っていた。<(p.78)
JRF2017/2/31762
株屋は、投資信託とかで、利益が上がっているときは顧客といっしょに利益をむさぼるが、損失が出ると顧客に損を押しつけているのではないかという疑いが私にはある。(噂としてはそういうのを聞く。) それが、クォンツの場合は、抑制されているので、客から見た場合、運用成績がよく見えるというだけではないかと邪推する。上の文章もうがって読めば、そう読めなくもない。
JRF2017/2/31310
ヘッジファンドについては、次のように書いたことがある。
[cocolog:70267312]
>近年までは、医療技術の進歩というのももちろんあろうが、栄養状態の改善が自由貿易のデメリットを相殺する面があった。それが、まぁ、いってしまえば途上国が「いいもの」を自国で消費するようになれば、その改善が頭うちになるかもしれず(…)。(…)ただ、「いいもの」とは何かというと、2009年7月04日に書いたヘッジファンドに関する「ひとこと」や[aboutme:106363] の高額預金の金利が高いのは「騙す」コストが低いからかも…というのに似た面も多少あるだろうから難しい。<
JRF2017/2/31985
ヘッジファンドは、秘密主義であるがゆえに利益化できる何かはありえるかもしれないが、同時に、高額出資者の数が少ないゆえに効率よくだませるという側面もありえるかもしれない。…ということ。
JRF2017/2/30089
2017年、ミルトン・フリードマン流の「マネタリズム」から「転向」があるといったふうなニュースがある。
JRF2017/2/32239
《日本に必要なのは財政拡大、基礎的収支の目標年限撤廃を=シムズ教授 - ロイター》
http://jp.reuters.com/article/japan-economy-profsims-idJPKBN15G3KM
>日本では「短期的な景気対策としての財政拡大は次の増税で穴埋めされると人々が感じて支出が抑制されているほか、高齢化による将来不安も重なっている」と指摘する。PB赤字の拡大をインフレ実現とリンクさせれば、将来にわたって財政赤字が拡大するとわかり、国債価値が下落。それによって国債保有から実物消費へのシフトが起こり、物価が上がるとの理論を展開した。<
JRF2017/2/33115
ただ、ニュースの題だけでなく引用したニュースの本文を読むと、当人は財政拡大よりもインフレを重視しているように見える。でも、それをこういうニュースにしたということは、[cocolog:86756868] で>「(経済)成長」を今でも強く主張する派閥はすなわち、財政において公共事業から増大する社会保障費へ(道路財源などの)財源を移すのに対する抵抗する物言いとほぼ同義<と書いたが、財政拡大をとにかくしたいという派があるのだろう。
JRF2017/2/35321
「乗数効果」はあやしいと [cocolog:86465092] でもちょっと書いたが、公共事業には土地の買収(接収)があり、そこで現金が市場に供給される(要は、あぶく銭が誰かに手に入る)ことのほうが効果があると見られているのかもしれない。でも、私は、地価が必ず上がるような状況ではない現代で、それは将来の税収減や赤字につながるのではないかと心配する。それにより将来、社会保障費がさらに圧迫されるのが確実視されるほうが、現在の消費を圧迫するのではないか…という見たてもできるのではないか。
JRF2017/2/37568
じゃあ、どうするか。私は今でも案外↓が当っているのかな…と思う。
JRF2017/2/38855
[aboutme:126589]
>
貯蓄があるから貸せる。頭金を出せるから貸せる。…というのはある。貯蓄を銀行が求める必要がなくなったことが、貯蓄の必要性をなくし、それが投資適格者を減らしているのではないか?…って、金利を高くすれば金利生活者の消費が刺激されて景気がよくなる、というのと同じぐらいアヤシゲな理論だな。
(…)
…いや、でも、案外、的を得てるかな。高齢者の消費と若年層の貯蓄、ミクロに見て両者にマイナスに作用してることが、マクロな政策が効かない原因かもしれないな…。
<
JRF2017/2/35468
老人が消費できるように、若者が貯蓄に意味を見出せるように、何らかの形で預金に金利を払えるようにならないだろうか…。金利上げたら日本経済、やっていけないのかなぁ…。まぁ、たしかに、インフレになれば自然に金利も上がるだろうが…。でも、インフレになっても年金が思うほど上げられない状況だからなぁ…、そこも心配なんだよな。でも、物価上昇と資産価格の上昇はある程度、切り離されたように、「インフレ」はさほどでも、預金金利を上げるというのは不可能でもないんじゃなかろうか…。「マル優」とか昔あったじゃん。高額預金者から低額預金者に金利を渡す再分配みたいなこと。無理なのかなぁ…。
JRF2017/2/31856
まぁ、「乗数効果」に疑いを抱く時点で間違ってるのは私だろうな。昔、交際費課税を支持したのは今でも失敗だったと思っている。だから、私は経済オンチを認めざるを得ない。このところ経済についていろいろ書いてきたが、大きなことは言えない、それは肝に銘じないと…。この本の Amazon 評を見ると「自由主義」側からの批判がある。その点でも間違っているのは自分だろうと思うが、この自分を今さら変えられるかというと難しい。私はネットの片隅でこうしてグチをいえるだけでも幸せなのだろう。
JRF2017/2/33239
……。
……。
『不透明な時代を見抜く「統計思考力」 - 小泉改革は格差を拡大したのか?』(神永 正博 著, ディスカヴァー・トゥエンティワン, 2009年)
https://www.amazon.co.jp/dp/4532197082 (文庫・改訂版)
http://7net.omni7.jp/detail/1102697037
改訂する前の単行本初版を私は読んだ。
JRF2017/2/32118
株価の変動がべき分布(冪分布)になるというのは、マーク・ブキャナン『歴史は「べき乗則」で動く』([aboutme:123928])などで知っていたが、分布の具体的な名前は知らなかった。ググってみると、「パレート分布」や「コーシー分布」という名が出てくる。今度は、それらでググってみると出てきたのがこの本。読んでみて、パレート分布(p.123)は、ほとんど記述がなかったが、コーシー分布(p.174)は少し詳しく載っていた。(いずれの分布も、その式と乱数の求め方は別の資料をあたる必要がある。)
JRF2017/2/38265
この本は、いろいろ書いているが、上の『金融権力』と重なる話題として、1998年の LTCM (Long Term Capital Management) 破綻の話がある。『金融権力』(p.83)では、ブラック=ショールズ式のショールズのインタビューとして LTCM は、「市場の方向性に賭ける」という「単純な手法」を使っていたと紹介し、ブラック=ショールズ式がファット・テールに対応していなかったからとかいう巷の印象にあるような専門的で高度な誤りではないかのような示唆がある。
JRF2017/2/31934
それに対し、この本では、>正規分布に基づいてリスクを見積もり、何万年に一回も起きないと考えていた大変動で、その資産のほとんどすべてを失いました。(…)彼らがブラック・ショールズ評価式をそのまま当てはめていたと考えるのは素朴にすぎると思われますが、分散が定数だと仮定していたことは確かなようです(…)。<(p.177-179) …と述べている。
JRF2017/2/36623
Wikipedia の LTCM の項目によると、>LTCMは金融工学、すなわち統計学的な最適解であるシンプレックス法を資金運用に駆使した。その運用方針は、流動性の高い債券がリスクに応じた価格差で取引されていない事に着目し、実力と比較して割安と判断される債券を大量に購入し、反対に割高と判断される債券を空売りするもの(レラティブ・バリュー取引)であった。<…とある。
JRF2017/2/33223
レンジ(ボックス)を決めて、この外には出ないという仮定がやぶられると、大損するというのと、本質的な違いはあったんだろうか? わからないが、まぁ、LTCM の話題はここまでにして…。
JRF2017/2/38914
コーシー分布は平均や分散が定義できない分布で、そういう分散がときおりとんでもなく大きな値をとる「ワイルド」な株や債権を相手にすると、一般に有効だとされる「分散投資」…一つのバスケットにすべての卵を入れない…ポートフォリオを組む…というもっとも基礎的な分散投資の戦略が、安全とは言えなくなる(p.180)。…というのは驚いた。
JRF2017/2/30384
著者は人口ボーナス期の分析から、中国のあとにインドが「来る」と予想するようだ。>人口ボーナスの観点からは、中国、インドの発展はしばらく続き、21世紀前半の間には中国とインドの勢力バランスが逆転する(…)。<(p.238) 私は中国とインドについて次のように書いている。
JRF2017/2/32073
[cocolog:73506760]
>日本の代わりをそのアニキ分たる韓国・中国はできたかもしれないが、中国の代わりはさすがにいない。インドは中国とは違った良さがあるけど、中国が日本の代わりをしたようには中国の代わりはできない。…ということなんじゃないか。<
インドは日本や中国のマネをしていないせいか、人口学的にまだまだ元気。中国や日本と「違った良さ」があるということなんだと思う。中国については次のように書いている。
JRF2017/2/39122
[cocolog:74725679]
>中国脅威論的なものについて。(…)中国とアメリカが争うみたいな見建てだと、アメリカがまず日本を狙うのは当然の一手として、中国はアメリカを狙うために日本を取るかというと…まあ、それはしない。アメリカからの一手を振り払うぐらいの意味しかない。<
JRF2017/2/36837
何というか、まぁ、時代の風は2010年代の今も、中国に吹いてるよね。日本がバブルでこけたみたいなことが中国で起こらないとも限らないけど、そのあとにインドがひかえてる…みたいな見建てには私は立てないな…。中国はこける前に世界の経済構造の転換を起こそうとして、そこに「地に足のついた生業」の復活みたいな夢を見れないかな…と私は空想する。
JRF2017/2/37255
ただ、日本が「重厚長大型産業」を重視しなくなったのは、経済的に支えきれなくなった面もあるだろうし、それが再び注目されるとすれば、戦争をやるってことしかないかもしれず、それは何としてもやめて欲しい。そうでなく労働者の連帯的なもので…ってなると「インターナショナル」な共産主義か…それもなんだかなぁ。私は何を望んでいるのだろうか…、それをもう少しハッキリさせないとおかしなところに行ってしまいかねない。気をつけないと…&もっと考えろ→自分。
JRF2017/2/39349
……。
……。
一月のはじめ([cocolog:86693243])から、新書・文庫を中心にいろいろザッと読んできたが、中古でガッと買い入れたものをほぼ読み終ったので、それは今回で打ち止め。本を読んだところで意味はない、私にできそうなことを何をやってみたところで意味はない…と思うところから離れられないが、本を読んでる間は、社会とのつながりを薄く感じて、虚しさを少し忘れることができた。中古で買って著者にお金がまわらないというのは多少申し訳なく思うが、ありがたかった。
JRF2017/2/38545
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経済波及効果について考える。政府支出が例えば土木工事を行ったとき、資材やトラックなどの購入につながり、効果が波及する。しかし、マクロ経済的集計を行うとそれらも結局誰かの所得に化ける。それが同じ額の人件費の高い介護などの事業に比べて、果たして経済効果があるものなのかギモンに思った。... 続きを読む
受信: 2017-04-02 04:04:24 (JST)
マクロ経済学を復習した。といってもかなり忘れていたが…。優遇金利という財政政策などについて検討した。 続きを読む
受信: 2017-04-02 04:04:39 (JST)
……。
……。
『ヘッテルとフエーテル - 本当に残酷なマネー版グリム童話』(マネー・ヘッタ・チャン 著, 経済界, 2009年)
https://www.amazon.co.jp/dp/4766784588
http://7net.omni7.jp/detail/1102823620
今は幻冬社文庫からも出ている。
JRF2017/2/39187