cocolog:87632884
ヘイトスピーチを規制するなら、ロリコンマンガも規制すべきだという意見は一理あると私は思った。もちろん反駁はするけれども…。 (JRF 5643)
JRF 2017年6月24日 (土)
発端となったのは、(ガイガーカウンターを使った?)放射能検査を装い女子児童の家に侵入するなどしていた犯人が、クジラックスというマンガ家が書いた同人ロリコンマンガを模倣したらしく、それについて警察がクジラックス氏に申し入れをした…というニュースであった。
JRF2017/6/245863
放射能検査を装うのは訪問販売を装うなどの亜種で、必ずしもマンガを見なければできない犯罪ではないし、掲載が同人誌であったため、出版社などを通さず直接、著者に圧力をかける形になってしまったなど、論点は様々あるのだが、基本、それらは他のサイトや Twitter の議論にまかせることにして、そういう中で出てきた次の論点だけに絞って私は考えたい。
JRF2017/6/246238
それは次のような論点である。
《ヘイトスピーチは規制するのにクジラックスは規制しないのはなぜか - Togetterまとめ》
https://togetter.com/li/1120827
>クジラックス問題、「表現の自由」をかざして批判している方ありますが、これ、ヘイトスピーチ問題ですよ。幼女への性的加害を娯楽として描くことが許容されているどころか商業化されていることが問題なんです。在日・韓国人のヘイトスピーチを批判している人でさえ擁護しているのをみると絶望的になる。<
JRF2017/6/246635
[cocolog:87581638] で少し述べたが、ヘイトスピーチは、差別的スピーチが必ずしも脅迫になっていなくても、憎悪を煽られた第3者が実力行使を含む差別行為に及ぶことがありうる。それは精神的被害にとどまる場合もあろうが、ゴミ出しなどの市民生活でいじわるするなど軽い実力行使から、暴力などの重い実力行使に致るのは運のようなギリギリの状態に置かれていることもあるだろう。その「被害」の可能性に対応するために、脅迫・侮辱・名誉侵害に致っていない場合でも、ヘイトスピーチを禁じるというのはありえる法理だと私は認めようと最近、思うようになった。
JRF2017/6/247278
しかし、それなら、ロリコンマンガの場合はどうなのか。男の欲望をさらに煽っているかは微妙だが、特に女子児童に、そういう欲望が向けられているという恐怖を与えているのは少なくとも事実であろう。もし、男の欲望をさらに煽っているということなら、ヘイトスピーチと同じく、規制されてもしかたがない。…というのは私は一理あると思う。
JRF2017/6/248558
ただ、ロリコンのケがあることを認めざるをえない男として弁明すると、男の生理として、代替物で満足できるがゆえに、「本物」に手を出すことを考えずに済むという面は少なからずある。興奮を代替物でなかったことにできる。また逆に、興奮は代替物でもないと暴走の危険が増すというのがリアルであるというのもある。自分は、興奮を犯罪につなげるようなことはないが、他の男が犯罪にまでいくことはありうるとは思う。それに関しては、煽っているというよりは、止めてる面もあるのではないかと思う。
JRF2017/6/248115
一方、昔を思い出すと、あまりにも幼い描写には抵抗があったし、レイプ物とかにも抵抗はあった。それが雑誌等で雑他に読んでいるうちに、さほど抵抗を感じなくなったというように、ロリコンマンガがあるから「趣味」が広がったという面はないわけではない。それは認める。ある種の犯罪予備群が欲望を刺激されているという面はあるかもしれない。
JRF2017/6/244476
その両者の効果がどちらが大きいかで、煽っている方が勝るということはあるかもしれない。だから「一理ある」とは思う。
JRF2017/6/248520
でも、ロリコンマンガとヘイトスピーチは他にもまだ違いはある。ヘイトスピーチが公に訴えるのに対し、ロリコンマンガは成人に読むのを限定されるという違いはある。女子児童が、「煽られた欲望」を知らずにいるということ自体は問題だが、それは性教育などで対応するとして、潜在的被害者の恐怖を煽らせ支配欲を満足させるという構図にはなっていない。ヘイトスピーチを公にしなければいいのか…という点については、私は内心の自由という観点からそれでいいと思う。もっとも、ヘイトスピーチのようなことを内輪だけでやる集団があれば、それが何がしかの暴力(侮辱等を含む)によって探知されないのも難しい気はするが。
JRF2017/6/246295
また、違いとして、ロリコンマンガは、キモチ悪いかもしれないが、元は「好きだ」という感情を基にしていて、嫌われたくないという感情も自然に含んでいる、性的な視線だということを挙げられる。性的な感情というのは微妙なものだ。男の中では、嫌われたくないという部分を増幅するようなコントロールもしばしば可能であると思う。
JRF2017/6/244965
……。
トピックが外れるが、どうしてロリコンマンガだけが…という思いもするのでそれも述べておこう。
JRF2017/6/241318
まず、国際派日本人(アジア人)女性にわかりやすい論旨からいくと、アジア人女性は、欧米人女性と比べて、「成熟」…胸の大きさやボディラインのメリハリなどにおいて劣っているというのは一般的な傾向であると思う。
そして、マンガというのは、強調表現で成り立つもので、どうしても、「成熟」か「カワイイ」かに表現が偏ってしまう。
JRF2017/6/244343
欧米が議論を支配する国際社会では、女性の魅力として「成熟」を相対的に重視してしまうが、アジア人にとっては「カワイイ」のほうが女性の魅力として勝ち目がある面があるのではないか。
JRF2017/6/244331
女性を商品のように見るということは問題が多いが、議論を簡単にするために、あえて、女性の市場価値を考えて、「国際社会」は男性陣が「成熟」をより評価するようにしむけるために、「カワイイ」を広めた方が得をするものを半分だまして「カワイイ」を抑圧する議論に巻き込んでいるのではないかという疑いが私にはある。
JRF2017/6/243863
日本では、「カワイイ」というのは老齢になっても持ちうるプロパティである。ほとんどの場合、若い女性が好まれるというのは、「成熟」側も同じである。「国際社会」にアジア人がだまされてるっていうのは女性婚姻可能年齢の16歳から18歳への引き上げのときの議論(参:[cocolog:86756843])でも少し感じたことだけど…。
JRF2017/6/243797
また、日本は、マンガ文化が発達していて、他の国より、多様な表現を認める方向に議論が偏ることにはインセンティブがあると思う。他の国の中には、成人がマンガを読むこと自体に抵抗があることもあるようだから、そことはなかなか議論の溝は埋まらないことが予想できる。
JRF2017/6/242182
まぁ、このような右派的な民族主義的な考え方自体がダメだということはありうるが…。
JRF2017/6/248642
……。
また、ロリコンが倫理的にダメだというなら、そもそもは、夫婦間の性交渉以外はダメで、夫婦間の性交渉も快楽を求めるようなのはダメだという観方もできる。当然、オナニーはダメ、ポルノもダメということになろう。(オナニーはダメだが、ポルノは表現の自由から許されるという転倒した議論もあるかもしれないが。) エロ表現はすべて、正常な性生活に対する攻撃であるという観方である。でも、そこまで厳しい規制は、求めてるふりをする者がいたとしても、実質不可能ではないか。
JRF2017/6/246316
どちらがよりダメかという議論にする場合は、エロマンガと三次元ポルノのどちらがダメかは微妙なところだろう。エロマンガのほうが過激になりがちだが、三次元ポルノは(たとえ本人同意であっても)「犠牲者」がいる、つまり、実際にわいせつ行為をしている者がいる点は大きい。
JRF2017/6/241621
いろいろ考え方はあろうが、快楽を求める性行為が悪として、必要悪として快楽の時間が短いオナニーで他をガマンするという場合、あえて、刺激の大きいロリコンマンガを一瞬だけ使うほうが、違反が少ないと考える価値観もあるかもしれない。(「性行為が悪」という価値観は、童貞が抱きがちで、成熟に対して自信がないからロリコンになるとかありがちだが。)
JRF2017/6/241178
……。
(あと、右派的価値観からすると、これは三次元ポルノについても言えることだけど、安易にオナニーを許しがちなのは、社会の男性性を全体的に奪っているという議論も、実証は難しいだろうけど、できなくなくはないかな。)
JRF2017/6/240748
……。
とりあえず今回の私の結論としては、ロリコンマンガへの規制の必要性は一理あり、ロリコンマンガを規制している国があるからといって否定はできないが、エロマンガは総じて三次元ポルノよりマシだ(その一つの法表現として三次元児童ポルノはダメだがロリコンマンガはアリとする)という価値観もありえ、マンガに強い日本はその価値観を軸にしたほうが、世界において多様性を維持する役回りを果たすことになるのではないかと思う。
JRF2017/6/246174
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keyword: 児童ポルノ
JRF2017/6/247935