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山北篤『現代知識チートマニュアル』を読んだ。サバイバルマニュアルと似て非なる領域。中世ファンタジー世界などに転生したら何が有用かという切り口で、近現代文化のなりたちがわかる。こういうのが知りたかった。文明論でこういう切り口ができるのが新機軸なのだろう。 (JRF 0222)
JRF 2017年12月19日 (火)
私の「黒歴史」はいろいろあるが、その一つにカブスカウト・ボーイスカウトに属していたというのがある。ボーイスカウトになってからは、中学の部活が忙しくてほとんど参加した覚えはないのだが、カブスカウトはある程度通っていた。その割にはロープ結びが不得意だったり、デブで落ちこぼれだった。
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そのころ読んだ・読まされた本にサバイバルマニュアル『冒険手帳』(谷口尚規 著, 石川球太 イラスト)がある。甥にプレゼントするため何年か前に新版を読み返してみると、昔読んだほどのインパクトはなぜか受けなかったが、印象に強く残った本だった。
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『冒険手帳』もボーイスカウトの実践も、現代人が忘れがちな「生きる力」を思い出させてくれる。しかし、そこから、現代の文明がなぜこうなっているのかを想像するのは難しい。中高を通じて習う歴史も、使うものにあまり焦点をあてない。確かに、文化の発展をある程度たどろうとすれば、あまりにも多くのものが必要となるのはわかる。しかし、ボーイスカウト活動の必要性が考えさせる文明の退化の可能性に対し、そこから文明を復活させるのに何が必要かという思考に寄与する情報は少ない。
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そこにこの本は光を与える。中世ファンタジー世界や過去世界への転生というはやりの設定というフィルターを通じて、文化の発展を認識させてくれる。未来に文明が退化するというのはその仕方がいろいろあって、焦点を絞りにくいが、過去世界に if を持ちこむのは、「タブー」かもしれないが、論点をはっきりさせる効果があるようだ。サバイバルマニュアルの一歩いや数歩先を見せてくれる。
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この本の最初のほうででてくる、黒色火薬に硝石が必要だが、硝石を作るにはかなりの汚れ作業が必要だということは私は知らなかった。その硝石が硝酸となり、セルロイドとなり、プラスチックにつながる流れは背景に軍事技術の発展がここでもあったのだなぁ…と思わせる。そういう物語をずっと期待したのだが、そこまで細かいつながりはここ以外には私は見つけられなかった。でも、それでもおもしろい。
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政治・経済についてはいろいろなイデオロギーがあるから、一言いいたい人もいるかもしれないが、私はなるほどなぁ…と思った。
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トイレに私は興味があったが、料理やトイレにはあまり言及がない。「網羅的」ではない。それらは現代とあまりにも違うからだろうか。料理に関してはそのような説明があった。ただ、堆肥の話は詳しかった。堆肥を作るにもかなり技術的なケアを必要とするというのは、私を含め農家でない人間にはなかなか想像しがたいのではないか。農業はかかわる人間が多かったためか、当時の技術でできることはかなり試されていたのではないかという印象を持った。
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……。
少し大きくなった甥達にすすめたい感じだが、意外にぶあついから、勉強や遊びに忙しいであろう彼らには読めないかな。「雑学」にかまけている時間はないか。私もあのころは、絵の少ないぶあつい本を読めなかった。彼らはどうだろう?
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『現代知識チートマニュアル』(山北 篤 著, 新紀元社, 2017年)
https://www.amazon.co.jp/dp/4775314955
http://7net.omni7.jp/detail/1106762913
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