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ボロディン四重奏団『ボロディン:弦楽四重奏曲 第1番・第2番』を聴く。知る人ぞ知る名曲・名盤。レンブラントの黒い背景に、印象派の淡く白い肌の女性が踊り出る…。 (JRF 9327)

JRF 2018年5月22日 (火)

Borodin Quartet『Borodin: String Quartets Nos 1 & 2』(録音: 年代不詳, 発売: Chandos 2001年)
https://www.amazon.co.jp/dp/B00005TNXX
http://www.hmv.co.jp/product/detail/120107

ボロディン四重奏団の『チャイコフスキー:弦楽四重奏曲全集』が良かった([cocolog:88332566])ので、その CD のページで Amazon にオススメされているこの CD を買った。

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……。

全体として朝のイメージがある。静かで健全、そして幸福…。

第1番の第1楽章の冒頭、朝の光を浴びながら古城の上を飛んで近付くかのようなイメージ。そしてすぐに市場の風景になる。さらに、城の部屋の中なのか、明るい白い窓辺とまだ暗い部屋のコントラストが想い浮かぶ。レンブラントを想わせる黒い背景に、肌の白い女性が印象派の絵のごとく淡く浮かんで、簡単な踊りをはじめる。そんな姿が浮かんだ。

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第2楽章は、ハイドンの『驚愕』を思わせる仕掛けもあって心臓の弱い方は注意といったところだが、曲想がおもしろい。城の壁なのか、白壁を少し広い緑の葉が覆っているイメージ。壁を辿っていたところで急に亀裂があって水源が奈落に通じているかといった驚きを与える。

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第3楽章は高音が特徴的で幻想的な曲。美しい妖精が働いて金細工でも作っているかのよう。第4楽章は岩肌がのぞいている感じだが、そこに金属を感じている…。もの悲しげというよりは、自然の真理を見ているように思う。真剣味のある変奏が美しい。

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……。

第2番の第1楽章は、テレビで聴いたことがある。第3楽章は NHK の深夜ラジオ番組の最後のテーマ曲として使われていたらしい。そういうところで使われるということは知る人ぞ知る名曲だったのだろう。とてもなじみやすく美しい。

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《ボロディン 弦楽四重奏曲第2番 ニ長調: 日々雑録 または 魔法の竪琴》
http://kniitsu.cocolog-nifty.com/zauber/2006/10/2_ed4b.html
>ボロディンの『ノットルノ』もFM放送の夜の番組のテーマ音楽(…)第1楽章から非常に親しい音楽で驚いた。これはNHKのBSの金曜日深夜(土曜日早朝)のクラシック音楽番組の時間調整のためのインターバルに北欧らしい海辺の風景のBGMとして流されている音楽ではないか!<

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ただ、そこでかかっていたのがこの演奏かどうかは知らない。「名盤」というのは主に私の評価。

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第3楽章は、暗い部屋にろうそくの明かりのイメージ。ボロディンは化学者でもあったらしいので、実験室のイメージでもあるのだろうか。「狂気」ではなく、落ち付いていて誠実な「労働」の雰囲気がある。

第4楽章が私のお気に入り。バルトークの弦楽四重奏曲ほどの難渋さはないが、その高低の奇想が大胆でおもしろい。高音がねじれて響き、そのねじれをとても低い音でシミュレートする。その仕方をいくつか試して、暫定的な真理に辿りつく…といった感じ。

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……。

とにかくクラシックファンなら一度聴いて損はない CD だと思う。でも、私が若いころにこの CD を聴いてどれほど「わかった」かと問われれば、自信がないが…。でも、今でも感覚的なことしか言えない幼稚な私なので、私以外のクラシックファンならこの CD をいつ聴いても得るところはあるように思う。

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