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cocolog:89358180

突然変異により表現形がいきなり有用になるのは私には信じ難い。とても有利だが死産が多い「陽性変異」と、有利さは自己修復に消されてしまいがちで、有利さが出るかどうかが本質的にランダムであるという「陰性変異」があると考えてみた。が、陰性変異の確率を計算するとあまり有望ではない…。 (JRF 4254)

JRF 2018年5月16日 (水)

ある表現形を持つことになる遺伝子は、一定程度生まれる前に死滅し、ある程度、生まれたあと不具な「表現形」を持つことになる。…という可能性がある。しかし、ある表現形を持つに致ったあと、遺伝子レベルの問題により、不妊が起こるなどということが言われることは、予想できるよりも少ないように思う。なぜか? 突然変異がすぐに死滅に向かわないという場合、そのトレードオフとして、その突然変異が重要な変化を持たらさないということがあるのではないか…。これが基本的なアイデアである。

JRF2018/5/169572

……。

突然変異には前々から疑問だある。有利な突然変異というのがそんな簡単にありうるだろうか?…というもの。突然変異した遺伝子を有利な表現形に導くには、いろんな生物的適応が必要で、生物的適応の変化が突然変異によるというなら、それらが同時に起きなければ起きない…ほとんど不可能に近いことなのではないか…と私などは考えてしまう。一方、分子進化の中立説というのもあるが、役に立たない遺伝子の変異がどうやって役に立つようになるかという道筋が見えない。そこら辺を架橋するリクツをしばしば私は考えることがある。

JRF2018/5/166251

生物には自己修復機能がある。突然変異が起きた場合、通常はこの修復の対象となるのではないか。もちろん、中には修復できない変化もありえ、その表現形がなんたる偶然か、個体に役に立つこともありえるだろう。同じ変化について、役に立つほどの違いが出るということは大きな変化であろう。大きな変化ほど修復が難しいものと思われる。修復がうまくいかない場合、どうなるか。それは奇形・不具・死産・不妊などにより死滅して見えなくなるに違いない。このような突然変異をここでは仮に「陽性変異」と呼ぼう。

JRF2018/5/165531

逆に修復できる場合を考えてみよう。細胞レベルでも修復が行われるが、表現形として違いが出ても悪影響が出ない場合、修復のコストをケチるために、マレに修復されずに何か表現形がときおり現れるような場合もありうるのではないか。ある種の個体の適応、習熟によってそのような表現形が出やすくなることまで考えていいと思うが、そのような現れ方の場合、同じ遺伝子を持っていたとしても同じ習熟のしかたをしたとしても表現形が出てくることはランダムに失敗することがありうるのではないか。このような修復可能なゆえのランダムさを本質として持つ突然変異を仮に「陰性変異」と呼ぼう。

JRF2018/5/162249

通常でいうところの突然変異が「陽性変異」で、分子進化の中立説に近いのが「陰性変異」であるが、それらにすこし哲学的歪みを加えているというイメージになるか。陰性変異が劣性遺伝と違うところは本質的なランダムさがあると考えるところにある。

JRF2018/5/168409

……。

まず「陽性変異」の(両性)生殖について考えてみよう。

死産が起こりやすいことにより、他の個体との競争で不利になる。それを補うだけの表現形の有利さがなければ、すぐにその子孫はなくなってしまうだろう。これはかなり厳しい条件だと思われる。

JRF2018/5/166109

ただ、注意すべきは、もし、その子が生殖可能な年齢まで育ったとすれば、それは何がしかの修復に耐える機構がその子にも備わっていた可能性が大きいということだろう。よって世代を重ねるごとに、死産の可能性などは減っていくものと思われる。

JRF2018/5/167277

また、生殖相手の多様な遺伝子プールに反応して、「奇形」といっても一種のバラエティとして現れやすいかもしれない。有利さがすぐに出てくるというのは、もしかすると、以前、退化などによりなくなった痕跡器官がその発現を抑えていたものの除去による復活ということもあるかもしれない。それと協動していたなごりが、遺伝子プールに様々な形で残っており、それがトリガーに刺激されて新しい環境で様々な変化を起こすことは考えられないだろうか。陽性変異の場合、単純な表現形としてではなく、表現形のバラエティとして発現することが多いかもしれない。

JRF2018/5/161371

また、陽性変異系統の者は別の陽性変異系統の者とつがうと発生において不利になり過ぎるのではないか?

JRF2018/5/168535

……。

次に「陰性変異」の(両性)生殖について考えてみよう。

陰性変異の場合は、その子孫が有位性を発現できないこと、その他の子孫が有位性を発現することが起き、徐々に有位性を持つのが常となるような変化が起きるのではないか。一端、変異が失われたかのように見えて、他の個体の劣性遺伝により形質を回復するかのように見えることも起こるのではないか。

JRF2018/5/167561

陰性変異の場合、表現形の遺伝子が、修復よって代替される他の遺伝子ともども一つの確率的な「バッファ」を形成すると考えよう。そのバッファに入ったものは、発現するか発現しないかがランダムになる。逆に、バッファに入らず発現するものは、常に発現する…つまり、それが陽性変異になる…といった感じになるのだろうか?

JRF2018/5/161899

陰性変異の場合、バッファの中には必要のない遺伝子が含まれているものとできる。それらは、退化するほうが有利になるはずだから、そのような遺伝子の活性が起きないような遺伝子(変異)を従来から遺伝子プールに持っているものは生き残っているだろう。そのようなものを「対立活性」または「ドア」とここでは呼ぶ。バッファの中のドアがいくつか閉じ、その分、問題としている表現形が出やすくなると考えるのである。

JRF2018/5/163401

そして、閉じているドアの数は、表現形を取ったことにより、ベイズ的に「観測選択」的に大きくなっていくと考えるのだ。違ったドアが閉じた者が生殖するごとに、閉じるドアが増えていくというイメージを持つ。

JRF2018/5/167083

陰性変異は修復機能込みなので、違う陰性変異系統の者どうしがつがっても問題は少ないだろうと思われる。バッファの中には似た機能を持つ遺伝子があってよい。修復機能の結果として似た機能が残るというのは十分考えられる。それらは↓で書いた形質重畳を形成していくだろう。

《イメージによる進化》
http://jrf.cocolog-nifty.com/religion/2006/06/post.html

JRF2018/5/164870

同様な議論で、単純な遺伝子座一つではなく、複数の遺伝子座がまとまって一つの表現形の「遺伝子」を構成する可能性も陰性変異では考えやすいだろう。

JRF2018/5/169078

……。

陰性変異の「ベイズ的」というところ、実際どれぐらいの確率になるか計算してみたい。そのためのモデルを作ろう。

まず、ドアがどのように遺伝されるかを考える。両性生殖で、両親のドアが閉じているとき必ず子のドアが閉じているというのは、上で考えたこととマッチしないかもしれない。両親のドアの閉じている確率が 75% なら、その子はそれよりは大きい確率でドアが閉じているかもしれないが、100% ではない。

JRF2018/5/163286

両親共にドアが閉じている子もいれば、片方だけの子、両方開いている子もいるはずである。ただ、平衡状態の場合、それらの子を総合するとやはり、ドアの閉じている確率は 75% のままのはずである。つまり、両方閉じている場合の子のドアの閉じている確率を r1、一方が開き一方が閉じている場合の子の閉じている確率を r2、両方開いている場合の子の閉じている確率を r3 とすると、r1 * 75% * 75% + 2 * r2 * 75% * 25% + r3 * 25% * 25% = 75% となると考えられる。

JRF2018/5/161048

今、r1 = r * r * c、r2 = r * c、r3 = r と置こう。そして 75% を p と置く。すると、c * (r^2 * p^2 + 2 * r * p * (1-p) + (1-p)^2) = c * (r * p + (1-p))^2 = p。

JRF2018/5/168459

両方閉じている場合の子の確率が、親のものより大きいということで、しかもそれが 0 から 1 の間に常に収まるということで適当なものを探すと r1 = sqrt(p) が候補となる。それを選んで式を展開すると…。

JRF2018/5/165981

c * (r * p + (1-p))^2 = p, r = sqrt(sqrt(p)/c) とする。

c * (sqrt(sqrt(p)/c) * p + (1-p))^2 = p, ただし k = sqrt(p)/c と置く。

<=> (sqrt(k) * p + (1-p))^2 = sqrt(p) * k

<=> k * p ^2 + 2 * (1-p) * sqrt(k) * p + (1-p)^2 = sqrt(p) * k

JRF2018/5/167091

<=> sqrt(k) = ((sqrt(p) - p^2) * k - (1-p)^2) / (2 * (1-p) * p)

<=> k = (((sqrt(p) - p^2) * k - (1-p)^2) / (2 * (1-p) * p))^2

ここで A = sqrt(p) - p^2, B = (1 - p)^2, C = 2 * (1-p) * p と置く。

<=> k = (A * k - B)^2 / C^2

JRF2018/5/169662

<=> C^2 * k = A^2 * k^2 - 2 * A * B * k + B^2

<=> A^2 * k^2 - 2 * (A * B + (1/2) * C^2) * k + B^2 = 0

<=> k = ((A * B + (1/2) * C^2) +- sqrt((A * B + (1/2) * C^2)^2 - A^2 * B^2)) / A^2

JRF2018/5/164848

これを簡単な式になおせそうにないが、gnuplot で p を [0,1] についてグラフを描くと、上で +- は + のほうを取れば都合がよいようだ。

JRF2018/5/164196

……。

ドアの数が 1 個の場合を考えよう。

JRF2018/5/166294

記号の使い方…。個体 a と b から c が生まれるとする。ドアは1番のみ。ドアが閉まってないときのバッファの大きさを n とする。A という表現形が a と b に現れている事象を AA で表す。a のドア1番が閉じている事象を DCa1 とし、他も同様とする。開いているのは、DOa1 とし、他も同様とする。論理和を A Un B で、論理積を A Int B で表す。

JRF2018/5/164446

ドア1番が閉じている確率を p1 とする。ドア1番について両方が閉じているとき子が閉じている確率を r1d1 とし、一方が閉じているとき閉じている確率を r2d1 とし、両方が開いているとき閉じている確率を r3d1 とする。

JRF2018/5/165953

ドアを閉じることの効果が見たいので、表現形 A の遺伝子は両親共に持っているところからはじめる。ただし、陰性変異なので A が実際に表現形として現れているかどうかは確率的に決まるとする。

JRF2018/5/160110

両親に A が現れているときの子のドアの閉じている確率 P(DCc1 | AA) が知りたい。

JRF2018/5/163928

P(DCc1|AA) = P((DCc1 Int DCa1 nt DCb1) Un ... Un (DCc1 Int DOa1 Int DOb1) | AA) = P(DCc1 Int DCa1 Int DCb1 | AA) + ... + P(DCc1 Int DOa1 Int DOb1 | AA)。← a1 や b1 のドアの開閉の排他和について場合わけした。

JRF2018/5/164098

X,Y = {C, O} について…。

P(DCc1 Int DXa1 Int DYb1 | AA) = P(AA | DCc1 Int DXa1 Int DYb1) * P(DCc1 Int DXa1 Int DYb1) / P(AA) = P(AA | DXa1 Int DYb1) * P(DCc1 | DXa1 Int Int DYb1) * P(DXa1) * P(DYb1) / P(AA)。← AA の確率は両親にのみ依存する。

JRF2018/5/168071

P(AA) = Sum_{X,Y={C,O}} P(AA | DXa1 Int DYb1) * P(DXa1 Int DYb1) = Sum_{X,Y={C,O}} P(AA | DXa1 Int DYb1) * P(DXa1) * P(DYb1)。

JRF2018/5/167436

qAA(X,Y) = P(AA | DXa1 Int DYb1) * P(DXa1) * P(DYb1) と置く。

qAA(O,O) = (1/n) * (1/n) * (1-p1) * (1-p1)
qAA(C,O) = (1/(n-1)) * (1/n) * p1 * (1-p1)
qAA(O,C) = (1/n) * (1/(n-1)) * (1-p1) * p1
qAA(C,C) = (1/(n-1)) * (1/(n-1)) * p1 * p1

JRF2018/5/160332

qDCc1(X,Y) = P(AA | DXa1 Int DUb1) * P(DCc1 | DXa1 Int DYb1) * P(DXa1) * P(DYb1) / P(AA) と置く。

JRF2018/5/167402

qDCc1(O,O) = (1/n) * (1/n) * r3d1 * (1-p1) * (1-p1) / P(AA) = r3d1 * qAA(O,O) / P(AA)
qDCc1(C,O) = (1/(n-1)) * (1/n) * r2d1 * p1 * (1-p1) / P(AA) = r2d1 * qAA(C,O) / P(AA)
qDCc1(O,C) = (1/n) * (1/(n-1)) * r2d1 * (1-p1) * p1 / P(AA) = r2d1 * qAA(O,C) / P(AA)

JRF2018/5/166803

qDCc1(C,C) = (1/(n-1)) * (1/(n-1)) * r2d1 * p1 * p1 / P(AA) = r1d1 * qAA(C,C) / P(AA)

JRF2018/5/168973

式から仮に r3d1 = r2d1 = r1d1 = p1 とすると、P(DCc1|AA) = p1 となることがわかる。そして r3d1 <= P(DCc1|AA) <= r1d1 であることもわかる。(1/n) < (1/(n-2)) であるから、p1 が大きいと、P(DCc1|AA) > p1 と言えそうに思うが、r2d1 が p1 より大きいかどうかわからないので、確実にそうとは言えない。

JRF2018/5/160990

そこで p1 について gnuplot でプロットしてみると、P(DCc1|AA) > p1 ではあるようだが、n が大きいとほとんど差異がなくなるという結果を得た。閉まっているドアは確実に増えていくようだが、そのスピードは遅いかもしれない。(gnuplot への入力は下のように行う。pDA が P(DCc1|AA) のことである。)

JRF2018/5/167319

<pre>
A(p) = sqrt(p) - p ** 2
B(p) = (1-p) ** 2
C(p) = 2 * (1-p) * p
E(p) = A(p) * B(p) + 0.5 * (C(p) ** 2)
kp(p) = (E(p) + sqrt(E(p) ** 2 - (A(p) ** 2) * (B(p) ** 2))) / (A(p) **
2)
cp(p) = sqrt(p) / kp(p)
</pre>

JRF2018/5/160728

<pre>
n = 3.0
qAAOO(p) = (1/n) * (1/n) * (1-p) * (1-p)
qAAOC(p) = (1/n) * (1/(n-1)) * p * (1-p)
qAACC(p) = (1/(n-1)) * (1/(n-1)) * p * p
pAA(p) = qAAOO(p) + 2 * qAAOC(p) + qAACC(p)
r(p) = sqrt(kp(p))
r1(p) = r(p) * r(p) * cp(p)
r2(p) = r(p) * cp(p)
r3(p) = cp(p)
</pre>

JRF2018/5/168710

<pre>
qDCc1OO(p) = r3(p) * qAAOO(p) / pAA(p)
qDCc1OC(p) = r2(p) * qAAOC(p) / pAA(p)
qDCc1CC(p) = r1(p) * qAACC(p) / pAA(p)
pDA(p) = qDCc1OO(p) + 2 * qDCc1OC(p) + qDCc1CC(p)
plot [0:1] pDA(x) / x
n = 10.0
plot [0:1] pDA(x) / x
</pre>

JRF2018/5/167238

……。

ドア数が 2 の場合を考えよう。

記号の使い方…。個体 a と b から c が生まれるとする。ドアは1番と2番。ドアが閉まってないときのバッファの大きさを n とする。A という表現形が a と b に現れている事象を AA で表す。a のドア1番が閉じている事象を DCa1 とし、他も同様とする。開いているのは、DOa1 とし、他も同様とする。論理和を A Un B で、論理積を A Int B で表す。

JRF2018/5/162175

ドア1番が閉じている確率を p1、ドア2番が閉じている確率を p2 とする。ドア1番について両方が閉じているとき子が閉じている確率を r1d1 とし、一方が閉じているとき閉じている確率を r2d1 とし、両方が開いているとき閉じている確率を r3d1 とする。

JRF2018/5/163288

P(DCc1 | AA) が知りたい。

JRF2018/5/169506

P(DCc1|AA) = P((DCc1 Int DCa1 Int DCa2 Int DCb1 Int DCb2) Un ... Un (DCc1 Int DOa1 Int DOa2 Int DOb1 Int DOb2) | AA) = P(DCc1 Int DCa1 Int DCa2 Int DCb1 Int DCb2 | AA) + ... + P(DCc1 Int DOa1 Int DOa2 Int DOb1 Int DOb2 | AA)。

JRF2018/5/165739

P(DCc1 Int DCa1 Int DCa2 Int DCb1 Int DCb2 | AA) = P(AA | DCc1 Int DCa1 Int DCa2 Int DCb1 Int DCb2) * P(DCc1 Int DCa1 Int DCa2 Int DCb1 Int DCb2) / P(AA) = P(AA | DCa1 Int DCa2 Int DCb1 Int DCb2) * P(DCc1 | DCa1 Int DCa2 Int DCb1 Int DCb2) * P(DCa1) * P(DCa2) * P(DCb1)* P(DCb2)/ P(AA)。

JRF2018/5/167978

P(AA) = Sum_{X,Y,U,V={C,O}} P(AA | DXa1 Int DYa2 Int DUb1 Int DVb2) * P(DXa1 Int DYa2 Int DUb1 Int DVb2) = Sum_{X,Y,U,V={C,O}} P(AA | DXa1 Int DYa2 Int DUb1 Int DVb2) * P(DXa1) * P(DYa2) * P(DUb1) * P(DVb2)。

JRF2018/5/166672

qAA(X,Y,U,V) = P(AA | DXa1 Int DYa2 Int DUb1 Int DVb2) * P(DXa1) * P(DYa2) * P(DUb1) * P(DVb2) と置く。

JRF2018/5/160994

qAA(O,O,O,O) = (1/n) * (1/n) * (1-p1) * (1-p2) * (1-p1) * (1-p2)
qAA(C,O,O,O) = (1/(n-1)) * (1/n) * p1 * (1-p2) * (1-p1) * (1-p2)
qAA(O,C,O,O) = (1/(n-1)) * (1/n) * (1-p1) * p2 * (1-p1) * (1-p2)
qAA(C,C,O,O) = (1/(n-2)) * (1/n) * p1 * p2 * (1-p1) * (1-p2)

JRF2018/5/164668

...
qAA(C,C,C,C) = (1/(n-2)) * (1/(n-2)) * p1 * p2 * p1 * p2

JRF2018/5/162806

qDCc1(X,Y,U,V) = P(AA | DXa1 Int DYa2 Int DUb1 Int DVb2) * P(DCc1 | DXa1 Int DYa2 Int DUb1 Int DVb2) * P(DXa1) * P(DYa2) * P(DUb1)* P(DVb2)/ P(AA) と置く。

JRF2018/5/167696

qDCc1(O,O,O,O) = (1/n) * (1/n) * r3d1 * (1-p1) * (1-p2) * (1-p1) * (1-p2) / P(AA)
qDCc1(C,O,O,O) = (1/(n-1)) * (1/n) * r2d1 * p1 * (1-p2) * (1-p1) * (1-p2) / P(AA)
qDCc1(O,C,O,O) = (1/(n-1)) * (1/n) * r2d1 * (1-p1) * p2 * (1-p1) * (1-p2) / P(AA)

JRF2018/5/168372

qDCc1(C,C,O,O) = (1/(n-2)) * (1/n) * r1d1 * p1 * p2 * (1-p1) * (1-p2) / P(AA)
...
qDCc1(C,C,C,C) = (1/(n-2)) * (1/(n-2)) * r1d1 * p1 * p2 * p1 * p2 / P(AA)

JRF2018/5/169297

ドアが一個の場合とほぼ同様のことが言える。

これを計算する Perl プログラムを書いてみた。下記アーカイブの nmutation_2.pl がそれである。

JRF2018/5/162204

<pre>
$ perl nmutation_2.pl --p1=0.75 --p2=0.25 --n=4
Doors:
0.7513 0.2502 (before)
0.773539 0.277597 (after)
0.775251 0.272106 (estimated)

A:
0.3493 -> 0.348214
0.348958 -> 0.354859 (estimated)
</pre>

JRF2018/5/163488

ドアが二つで、閉じている確率が一方は 75%、もう一方は、25%、バッファの大きさを 4 と指定している。

結果は、確率の計算ではなく、シミュレーションした結果が先に出ている。Doors: のところの before は 75% と 25% になるはずで、次の after が、AA が起こったあとの確率になっている。そして見積り(estimated)が上の計算から求めた確率である。

JRF2018/5/163992

実際どれぐらい表現形 A が現れるようになったかが、A: 以降である。シミュレーションでは、0.3493 が 0.348214 と下がってしまっている。これはおかしい。しかし、計算して求めた estimated が0.348958 -> 0.354859 とごくわずかな上昇でしかないので、シミュレーション結果は誤差の範囲だと思われる。

JRF2018/5/161247

……。

nmutation_2.pl を拡張して n 個のドアの場合を試せるようにしたのが nmutationi_3.pl である。

JRF2018/5/160304

re>
$ perl nmutation_3.pl --p=0.7,0.4,0.1,0.01 --n=10
Doors:
0.6947, 0.4032, 0.103, 0.0099 (before)
0.712, 0.408, 0.112, 0.024 (after)
0.710070594657254, 0.409730128330749, 0.101985088148665, 0.0100564232739255 (estimated)

A:
0.1099 -> 0.096
0.114599 -> 0.114887 (estimated)
</pre>

JRF2018/5/168394

ドアが四つで、閉じている確率がそれぞれ 70%, 40%, 10%, 1% で、バッファの大きさを 10 と指定している。

結果はかなり悲惨なものだ。ほとんど A の確率は増えない。ただ、どのドアについても見積もりでは確率が増えるのが救いである。

JRF2018/5/166006

では、見積りで、確率が減る場合があるのだろうか? ドアの数、バッファの数、ドアの閉じている確率をランダムに与えてみて、ドアの閉じている確率が事前より事後のほうが増えることを確かめたのが nmutation_4.pl である。

JRF2018/5/163985

<pre>
$ perl nmutation_4.pl
0:
100:
200:
:
:(中略)
:
9800:
9900:

</pre>

JRF2018/5/162446

減った場合、警告が表示されるはずだが 10000 回やって何も表示されずに終わるということはよほどのことがない限り、減ることはないものと考えられる。

JRF2018/5/167614

……。

計算パートは以上である。

閉じているドアは着実に増えていくと言ってよいが、そのスピードはあまりにも遅い。

どうも有望な結果ではない。残念だ。

JRF2018/5/168370

……。

陰性変異の議論は、遺伝子が元は二倍体である事実を使っていない。確率的に遺伝があるだけ(突然変異があるだけ)という今回のようなモデルは、DNA 発見以前にすでに議論されていて、発見以降、時代遅れとしてすでに見捨てられた可能性がある。二重らせんモデルであろうと今回の議論は適合すると思って私はやっているが、私の知らない従来のものとの違いはないのかもしれない。

JRF2018/5/161771

計算については、A と A をあわせたら A がより多く出るようになるという議論以上のことを言っていないのでは?…という疑問がある。そのような論理はドアを閉じていることの遺伝についてすでに使っていると言える。帰納法に近い議論だとすれば意味があるかもしれないが、人によっては「トートロジー」(私はこういう言葉の使い方はしないが)と批判するかもしれない。

JRF2018/5/164574

逆に考えれば、ドアを閉じているかどうかという特徴自体が、陰性変異の対象となりうる。ただし、そのような場合、flatten すること、地の陰性変異にくり込むことはできないか?…という疑問が生じる。

あまり有望でないことにショックを受けたこともあって、そのあたりはまだ考えていない。

JRF2018/5/169488

……。

種明かしというか…。「ドア」という言葉づかいからわかった方がいるかもしれないが、今回の陰性変異の議論はモンティ・ホール問題にヒントを得ている。

メモには…

JRF2018/5/168212


モンティ・ホール問題の設定で、ドアを一枚開けたあと、宇宙人が突然やってきて、どちらのドアを開くかを決めるといった場合の確率はやはり 1/2 で、情報がないものの確率はそうなる。しかし、同じようなシチュエーションが何回かあって、最初に指示したドアを A、そうでないほうを B と必ず名前付けして提示した場合、宇宙人は、その確率の差に何らかの根拠があることを推定するようになるだろう。

JRF2018/5/169138

(…)

とにかく A と B と名付けて、その一方のみが多く現れるというのは、優性遺伝の議論に似ている。これを遺伝モデルに活かせないか?

例えば…、二つの表現形 B1 B2 が当初は一つの表現形 C として現れる。その表現形 C が B1 になる確率と B2 になる確率を考えるが、B1 になる C は対立する表現形が D1,...,Dn あり、B2 になる C は対立する表現形が E1,...,Em あるとする。このとき C にならなかった Di や Ej が開けられたドアに相当するのではないか?

JRF2018/5/168199

(…)

このときモンティホールではなく変形三囚人型である場合どうなるか? 流れる…なかったことにされるのではないか?


…などと書いている。

ご参考までに…。

JRF2018/5/168673

……。

参考文献はこれと言って調べていない。議論自体はすでにありそうとは上で述べたが、実際には見つけていない。それを見つけるのも今後の課題と言えよう。

JRF2018/5/168108


……。

……。

nmutation_2.pl, nmutation_3.pl, nmutation_4.pl が入ったアーカイブは以下になる。

《negative_mutation.zip》
http://jrf.cocolog-nifty.com/archive/perl/negative_mutation.zip

JRF2018/5/165866

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