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結城浩『数学ガール ガロア理論』と『数学ガール ポアンカレ予想』を読んだ。「阿弥陀」の名を冠したアミダクジから作る群のケイリーグラフが「易双六」の盤に似ているのを知ったのが最大の収穫かな。 (JRF 7952)

JRF 2018年6月11日 (月)

『数学ガール ガロア理論』(結城 浩 著, ソフトバンク・クリエイティブ, 2012年)
https://www.amazon.co.jp/dp/4797367547
https://7net.omni7.jp/detail/1106166108

『数学ガール ポアンカレ予想』(結城 浩 著, ソフトバンク・クリエイティブ, 2018年)
https://www.amazon.co.jp/dp/4797384786
https://7net.omni7.jp/detail/1106858425

JRF2018/6/111870

これらは『数学ガール』シリーズの5巻目と6巻目(最新巻)にあたる。1巻目と2巻目『フェルマーの最終定理』は [cocolog:89225672]で、3巻目の『ゲーデルの不完全性定理』は [cocolog:88125718] で、4巻目の『乱択アルゴリズム』は [cocolog:88278251] で読んでいた。

JRF2018/6/110385

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5巻目『ガロア理論』は、3本の縦線からなるあみだくじが作る群からはじまって、有理体を拡張した体の中に方程式の解を求めるという話になり、角が三等分できるかという問題も経由して、一般的な方程式の解を代数的に求めることができる必要十分条件を示すガロア理論に到達する。

JRF2018/6/114578

私は天才ガロアが決闘で死んだことについて、決闘で殺してしまった側(貴族?)が責任を感じて、ガロアの死後に、ガロアの「業績」を他の専門家がまとめ、つぎたすなどしてガロアの「天才」が後付けで成立していったのではないかという疑いを持っていたのだが、この本では、そうではないこと、重要な「第一論文」がすでにあったことを教えてくれた。

JRF2018/6/119788

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p.128 の円分方程式 Φ_n について、最初、n = 1 の場合、互いに素というのが成り立つものがないことから混乱したが、n >= 2 においては言えるということで、少し考えたあと理解できた。

JRF2018/6/119510

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角の三等分を作図する問題において、その手続き有限回繰り返すという定義のしかたに、私はゲーデルの不完全性定理の証明を思い出していた。

p.157 で>要するに -- 《加減乗除と開平の繰り返しで作れる数》 -- これが作図可能点なんだね。直線と直線、直線と円、円と円の連立方程式をちゃんと立てて交点を求めると、納得がいくはずだよ。<…というところに驚いた。そう考えるのか、二つの要素の連立方程式でしかないのか!…と。ちなみに「開平」は sqrt のこと。

JRF2018/6/114160

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p.180 の K_n の作り方について、r が束縛変数のようなのに K_k(sqrt(r)) が出てくる点について少し混乱した。そののちで出てくる Q(sqrt(2),sqrt(3))/Q の拡大次数が 4 であるという話を読んだときに、K(sqrt(r1),sqrt(r2)) になるとき sqrt(r1*r2) のことも考えないとダメなような気がしてそれについても少し混乱したが、定義に戻り、一つずつ加えていくときは、その必要がないことに気付いてやっと納得した。

JRF2018/6/114243

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p.310 の前後で説明される「ケイリーグラフ(Cayley Graph)」は、私が作った「易双六」の盤に似ていて驚いた。

《易双六 Youscout ~ a Tarot Solitaire》
http://jrf.cocolog-nifty.com/archive/youscout/

JRF2018/6/110883

Wikipedia のケイリーグラフの項を見ると、そんなに似た図はなく、縦線三本のあみだくじが作る群だからこそ似るということで、「易双六」と「ケイリーグラフ」の関係を考えたいならば、ケイリーグラフの Wikipedia 等を見るより、この本を見るべきとなるだろう。

「阿弥陀」の名を関するくじと易とタロットの融合ということで、さらに格が上がったな…と一人、悦に入る感がしばしあったが、上三角下三角を考える以外に関係があるかと考えると思い付かず、まぁ、偶然の一致というほどのことはないかもしれない…。orz

JRF2018/6/113239

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p.362 のガロアの第一論文の補題1については、「わからない」というのが正直な感想。確かに反例は作れない感じだが、なぜそうなのかがわからない。

JRF2018/6/111213

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p.378 のガロアの第一論文の定理1のところで>α_1 と α_2 で作った有理式の値が既知になるというのは、r の値が係数体 Q(a,b,c) に属していることだ。解と係数の関係から、r は《α_1 と α_2 の基本対照式で表せる有理式》だといえる。<について。

《α_1 と α_2 の基本対照式で表せる有理式》が係数体 Q(a,b,c)に属することはわかる。しかし、r はたとえば r = a となるようなことはないのか? α_1 と α_2 で有理式を作るというとき係数が a だったりしたらいけないということなのか? その辺、少し納得がいかなかった。

JRF2018/6/115968

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6巻目『ポアンカレ予想』は、「ポアンカレ予想」とは何かという説明までが一苦労で、最近証明された「ポアンカレ予想」の詳細までにはこれまでのシリーズのようには踏み込まない。少し消化不良感が残る。

JRF2018/6/114479

しかし、「トポロジー」という分野が、なぜ立体図形を駆使するものとされなら、本で読むと集合論に毛の生えた「連続」とか「不連続」とかの議論に終始するのを不思議に思っていた私には、その説明を与えるという点で、今回の本もとても興味深かった。

例えば、p.122 のトランプの J,Q,K だけからなる集合の開集合や連続の例はとてもわかりやすかった。私にとって、ちょうどいいわかりやすさだった。

JRF2018/6/112133

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エッシャー展が今も(上野の森で)やっているらしいが、エッシャーがモチーフにしたという双曲幾何学のポアンカレ円板モデル(p.154)はフラクタルに似て興味深かった。『ガロア理論』でも気になったが、フラクタル次元との関連はどうなるのだろうとか思った。が、その辺は、今の私の実力では探求できない感じ。

JRF2018/6/113039

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p.221 など、>一回りループと二回りループは異なる。連続に移り合えないからだ。<というのが結局私はつかめなかった。厳密な定義に戻ればいいのだろうけど…。

JRF2018/6/119135

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あと、この本ではやっと物理学が出てきた。高校の物理学の授業で黒板の前に立って、なんとか微分や積分を駆使して解こうと長い式を書いたことを思い出した。

JRF2018/6/113889

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今回も、やはり、おもしろかった。『ガロア理論』から『ポアンカレ予想』までに5年以上かかっていることを考えると、次がいつになるかわからないが、次を楽しみにしたい。

JRF2018/6/110319

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