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シュタルケル『コダーイ:無伴奏チェロ・ソナタ 他』を聴く。漆黒。血のにじむような黒。土の匂いのする地方都市でクソまじめに生きる男の苦渋と矜持。 (JRF 8588)
JRF 2018年6月 6日 (水)
ソルシャニーがピアノのファリャの曲は録音年不詳。48年録音のコダーイとファリャは SP からの復刻。50年録音のコダーイは、LP からの復刻。50年盤はバルトークの遺児ペーター・バルトークの録音らしい。
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メロディーならバッハの無伴奏チェロ・ソナタ、雄弁さならブラームスのチェロ・ソナタ、そして、「唸るチェロ」を求めるならこのコダーイの無伴奏チェロ・ソナタということになろうか。
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48年のコダーイとファリャはかなり雑音が多く、スピーカーで大音量で鳴らすには少し勇気がいる。50年はたった2年の違いしかないのだが、SP と LP の差ということだろう、雑音はかなり少ない。とはいえ古い録音なのでノイズはずっと聴こえる。が、こちらは大音量で鳴らしても大丈夫な感じ。
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48年のコダーイにも比較して良さはあると思うが、何せ雑音がかなり気になるレベルで、まともに鑑賞できてないと告白せねばなるまい。
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ファリャは、以前これも SP から CD への復刻でヴァイオリンで弾いたものをいくつか聴いたことがあったが、このチェロでの演奏もなかなかよい。ヨーロッパの少し崩れた壁が続く古い港町を想像する。軽くリズム感があって明るいが、しっかりした基礎も感じる。
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50年のコダーイはすばらしい。チェロでいろんな鳴らし方をしている。メロディーよりも響きを楽しむ感じ。
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「桎梏」というか「漆黒」、「血のにじむような苦労」というよりは「血のにじむような黒」。言葉遊びでふざけているんじゃなくて、内臓がねじくれるような黒いイメージをそれで表したい。想いの中に沈んでくるのは、土の匂いのする地方都市でクソまじめに生きる男の苦渋と矜持。
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最終楽章は、チェロを弾いている黒い大きな皮靴の男の姿が思い浮かぶ。それはチェロ演奏者シュタルケルのことではなく、別の風景の中へのコダーイの自画像の埋め込みみたいなもの。そして、チェロ奏者が村のダンスを想像してかリズムをとっている。チェロ奏者の中にはダンスでチェロをする自分の姿があるかもしれない。そのすこし異様な鏡像が合わせ鏡のように無限や悟りを感じさせもするが、しかし、そこにあるのは奇跡の喜びではなく、超克できない自己の苦悩・苦渋である。
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この50年のコダーイのためだけに、この CD は愛聴盤となりそうだ。
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Janos Starker (vc) & Georges Solchany (pf)『コダーイ:無伴奏チェロ・ソナタ 作品8 & ファリャ:スペイン民謡組曲』(録音: Pacific 1948年・ Period 1950年, 発売: Delta Classics 2007年)
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