cocolog:89675814
レトロゲームの「経済」。ゲームプレイ(感想書きや画像引用も含む)はゲーム機本体はいらず ROM を持っているか借りていればいいとしたい。そして、本体持ちだと、広告ありの動画配信ができ、吸出しができる者は DRM をかけて貸出し管理ができる…とすればいいのではないか。 (JRF 0276)
JRF 2018年7月20日 (金)
ディスクシステムは壊れやすい。発売から数十年たって、どのマシンも少なくともベルトの交換が必要なようだ。そのような壊れやすい本体を、必ずしも状態よく保存する知識のない消費者が保管するのは、あまり望ましくないと私は考える。
JRF2018/7/205384
また、ディスクシステムに限らずゲーム機本体は、ゲームのカートリッジ等に比べて数が少なく、かさばるものだ。ディスクシステムほどではないにしろ、使える数はどんどん減っていくだろう。
JRF2018/7/203485
本体を持っていなければゲームができないとすれば、レトロゲーム市場は縮んでいくしかない。カートリッジ等も数は減っていくと思われるが、カートリッジ価格の上昇につれて民間でも保管を適切にしやすくなるし、公式がたまに出す復刻版の存在が可能性として残るため、本体ほどの心配は少ないものと思われる。カートリッジ等に権利性を持たせれば、本体よりも小さい分、壊れていても残りやすいだろう。レトロゲーム市場が小さくなり過ぎ、カートリッジの価格も下落し、博物館にしか残らないことも考えられるが、そのシナリオは私は好まない。
JRF2018/7/205978
……。
百年という単位で見ていけばエミュレーターを使うのは普通にならざるを得ない。ファミコンの黎明期から数十年たち、カートリッジは大丈夫のようだが、ディスクシステムを筆頭に本体はかなり劣化した。また、ビデオ出力に関しては大きく変わった。レトロゲームをやろうと思えば、公式でもエミュレータ技術に頼らざるを得ない。
JRF2018/7/203019
エミュレータを使うには、通常、ROM の吸い出し等が必要になる。しかし、正直なところ、吸い出し技術をもって吸い出すようなユーザーより、違法ダウンロードにより、ROM イメージを手に入れているもののほうが圧倒的に多いだろう。[google: ダウンロード違法化] がなされた当初は、[cocolog:72307205] で書いたたように>著者不同意でダウンロードしたものは財産ではない<ぐらいに私は考えていたが、その後すぐに刑事罰が課されるようになり重くとらえざるを得なくなった。
JRF2018/7/207403
レトロゲームの市場は小さい。中古レトロゲーム屋にとっては ROM が違法なのにネットにあるのは中古ゲームの宣伝となって好都合かもしれない。新ゲームを作る者にとっては、可処分時間の奪い合いはマイナスだが、ゲーム支持者を増やすメリットはあるかもしれない。社会全体として同人誌と同じようにレトロゲームの違法ダウンロードは黙認されているのかもしれない。しかし、現在、ブロッキングの法制化が検討されており(参:[cocolog:89103582])、ブロッキングが広く行われるようになった場合、同じ状況が続くことは期待できないだろう。状況はかなり流動的でどう動くか読めない。
JRF2018/7/204809
……。
ただ、どういう形で手に入れたものであれ、カセットやディスクの実物を持っている者は、ROM イメージによってそのゲームのプレイができるべきだと私は思う。ゲーム機本体を持っている者や ROM やディスクの吹い出しができる者が有利であるべきだが、プレイとは関係のないところで有利であるべきだと私は考える。
JRF2018/7/207324
まず、映像・音声等も含むので微妙だが、著作権法第47条の3 の「プログラムの著作物の複製物の所有者による複製等」も(私的復製とは別に)定められており、ROM イメージ等を持つこと自体は禁じられてないとして、そうであるのに、エミュレータを使うことまで著作者が禁じるのは、権利の濫用(民法第1条第3項)にあたるぐらいまで言えるのではないか。
JRF2018/7/207083
吸出すのが困難なゲーム機本体の BIOS(バイオス) を使うことは、エミュレータ付随のしかたない行為であり、販売などしない普通のユーザーが使う範囲である限りそこに著作権の親告を用いるのは濫用に近いのではあるまいか。
JRF2018/7/200408
ただし、もし仮にエミュレータが売られる場合、エミュレータを売る者が BIOS の権利について著作権者の許諾を得ることを強制することは、公正であろうと私も思う。
JRF2018/7/208465
……。
ゲーム機本体を持っている者や ROM やディスクの吹い出しができる者がどのように有利であるべきか。まずは、吸出しができる者について考えたい。
JRF2018/7/207390
吸出したデータについては売っていいとしたい。ただし、上に書いたように「違法ダウンロード」したものを有償で渡すのは信義則に反するだろうから、ROM データなどは無償で流通しているという状況は今後も想定しなければならない。その上で、なお吸出したデータを売れるということは、買う側に特別な条件を付さねばならないということになる。
JRF2018/7/204961
自然な考え方として、買うことのできるのは情報をちゃんと管理できる者に限りたいというのがあるだろう。何かの新しい免許があればいいが、今あるやつだと、古物商か、学芸員か…、その他、とりあえず院卒ならデータが買えるとすれば、ポスドク問題対策にもなるし良いのではないか。他に法定するなら情報工学科卒等を特別視するのもありかもしれない。
JRF2018/7/205673
さらに、その上で、博士課程の必要な単位を取得している者は、DRM をかけられるとすれば、よいのではないか? 逆に言えば、DRM は勝手にはかけるようであってはいけない。もちろん、データに「鍵をかける」ぐらいは誰でもしてよいだろうが、他者の著作物の複製を使って有償でユーザーを管理するようなことまでするのは、一定の資格がないといけないのではなかろうか。
JRF2018/7/201760
もしそれらの者がちゃんとしたデータの(譲渡)管理をしなかったらブラックリストに載せる。そして、そこに載っていたら、買う権利はない。売ってはならないとする。ブラックリストに載っている売る者から買ってはならないというのは微妙なところだ。そこは「努力義務」にすべきかもしれない。誰から買ったかは「取材源の秘匿」をしていい。
JRF2018/7/203201
院卒者またはそれに相当する有資格者は、安全であるなら福祉として複製していいとしたい。ゲームで遊ぶことはたいがい福祉なので、普通、私的に複製してよいとする。ただし、博士相当でない場合は無償でなければならないということでいい。実費のみで、いくつかの ROM を足したミニスーファミを私的範囲で配ってよいとしたい。今の法律で無理矢理考えるなら、著作権法第30条の4 の「技術の開発又は実用化のための試験に用いるための利用」のために、データを買い、対障害者規定または著作権法第38条の「非営利目的の演奏など」を根拠として無償でプレイ環境を作り「上演」するといった感じか。
JRF2018/7/205782
博士相当者は、同人的範囲で金をとってもよいとしたい。安く制限された PC を配って、そこに広告を表示させながらゲームをさせてもよいとしたい。「貸出アフィリエイト」を可にしたい。買うときと同じ「技術の開発又は実用化のための試験に用いるための利用」だが、より市場に近い実験のプランニングだから、または、ドクターがやる「治験」に近いから、ただの院卒相当ではダメといった感じか。
JRF2018/7/204605
keyword: 貸出アフィリエイト
JRF2018/7/209982
院卒相当には、改造ミニスーファミを(知人少数に)配り、あとから使った分だけ ROM の数を「すみやかに」買い揃えるというあり方を是としたい。DRM 付き貸出ができない間の置き薬的なありかたとして可としたい。制限された PC よりも改造ミニスーファミのほうが使いやすく、福祉には適当かもしれない。より公正なあり方をめざすところは、「努力義務」でよいのではないか?
JRF2018/7/206810
院卒相当は、「技術の開発又は実用化のための試験に用いるための利用」より、著作権法第30条の3 の著作権者の許諾を得るための「検討の過程における利用」のほうがいいかもしれない。検討の過程で明らかに喜ばれるもののみ、無償の福祉で提供する。博士相当は、検討を踏まえ、他に技術的な要素を加えた上で、実用化のための試験…「治験」を行う…と。
JRF2018/7/207091
博士相当は、院卒相当よりも努力する必要があって、DRM をかける ROM イメージは実質、自分で吸い出したものか、吸い出したものを買ったものでなければならないとしてはどうだろう。(ゲーム機本体については貴重品をつぶしてしまわないように、本体を所有してもそれ自身の ROM の吸出しでなくてもよいとしよう。) そのかわりと言ってはなんだが、院卒相当が無償の福祉の名目でプレイさせるには、実 ROM の所有権を対象者が持っているようにしないといけないのに対し、博士相当の DRM 付き貸出は、博士相当者が ROM の実数を管理していればよいとしてはどうだろう。
JRF2018/7/203525
もちろん、そういった「貸出」等を広くすることはできず、「必要と認められる限度」で、「著作権者の利益を不当に害することとなる場合を除く」のは当然として。
将来的には、この部分については、DVD や BD やストリーム配信などの DRM がかかったものも、似たようなふうにしたい。
JRF2018/7/208122
……。
次に、ゲーム機本体を持っている者の優遇について。
この私のブログサイトでは、フィギュア写真を公開することがあった。フィギュア写真の記事は、フィギュアが主であり、普通に考えれば「引用」の要件を満たさない。
《フィギュアの写真の著作権に対する見解》
http://jrf.cocolog-nifty.com/column/2006/02/post_b8ce.html
JRF2018/7/207856
しかし、フィギュアの遊具としての価値の大きいところをフィギュア写真は担っており、非商業的利用であれば、フィギュアの所有者がそれをブログ等に載せることま罪に問うのはやり過ぎのように思う。同人誌が違法的であるというよりは違法的でない形態だと私はしたい。非商業的といっても、アフィリエイトぐらいは可として欲しい。
もちろん、フィギュア写真によるストーリーによって同一性侵害が起こるほどの影響力を生んだとすれば問題も起きようが、ここでの議論はそういうことは除外したい。
JRF2018/7/200739
ゲーム機本体を持つことは、ある意味、フィギュアを持つことに相当すると考える。ゲーム機本体を持つ者は、それをブログや YouTube などで誇ることができるとしたい。そして、アフィリエイトぐらいはしてもよいとしたい。逆に、本体を持っていないなら、文章は可だが、画像やビデオは使えないとしたい…少なくとも広告のある実況はダメにしたい。
「実況」に必要なゲーム機本体や ROM は貸し出されたものでもかまわないとしたい。ただし、実物による貸出か、実物が背後にある DRM を使った貸出である必要はあると私は思う。
JRF2018/7/203290
感想は OK だが、画像やビデオを使った全体攻略はバツになるかもしれないとしたい。全体攻略をバツとするのは、それしかないと思わせたりおもしろさを半減させるという点で同一性侵害に問うか、発売日に近い場合は、買ってまでゲームをする気をうせさせるという点で、業務妨害というセンでいくべきだろう。
JRF2018/7/208332
([cocolog:87888734] に書いたように、>リリースしてすぐにラストを大っぴらに語っちゃうのは業務妨害にするとしても、ある程度時間が過ぎてユーザーに注意を促した上でラストまでレビューするというのは、「保存」の文脈で許されるべきことのように思う。<)
JRF2018/7/201000
アフィリエイトを可にするとしても、手間以上に儲けてる場合は、売れ過ぎる同人誌と同じように、差し留めは可能にすべきか…。同人レベルなら可だが、仮に額が少なくても・損失が出ていても、組織だった商業レベルで商業的投機がある場合は、金を取りたいというのはあるかもしれない。
JRF2018/7/203308
……。
以上で言いたいことは、舌足らずかもしれないが、書いた。ただ、どうやってこのプランを実現するか…。法律で強制したところで有機的にシステムがたちあがるわけでもなく、具体的にどう「事件」を起こしていけばいいのかはわからない。著作権法の他に、消費者契約法や器物損壊罪、上で書いたように民法第1条第3項の権利の濫用法理、憲法第12条や29条を使えばいいとは言えるが、あとのほうはどれも「伝家の宝刀」的でそんな簡単に裁判所が認めてはくれないだろうし…。
JRF2018/7/209706
……。
……。
追記。
少し修正。
置き薬的なやり方をするなら、実 ROM を自分のところに置いといて対象者が所有権をまだ持たない ROM イメージの入った改造ミニスーファミを貸し出せる必要がある。だから、甘いかもしれないが、院卒相当でも貸出しはできると私はしたい。博士相当は、金が取れるというだけじゃあ、差異が足りないというなら、(貴重な) ROM のまた貸しを可にすればよいのではないか。実 ROM を借りてきて、それを DRM を使ってまた貸ししてよいとする。…と。
JRF2018/7/215395
……。
……。
追記。
本体を持っているものがアフィリエイト付きで実況することについて。
上では、>アフィリエイトを可にするとしても、手間以上に儲けてる場合は、売れ過ぎる同人誌と同じように、差し留めは可能にすべきか<…と書いた。
JRF2018/8/186451
もう少し具体的に企業でやってるような VTuber がゲーム機本体を持った上でゲーム実況するのに金を払わないのはアリか…という問題を考えてみたい。
発売間もないゲームについてはアフィリエイトの場合も、「業務妨害」のセンでダメってことでいいかもしれない。ただ、レトロゲームについては「業務妨害」のセンはなしで、「保存」の文脈のほうが強いとしたい。
JRF2018/8/181056
レトロゲームに関して、その辺をもう少し詳しく考えるとプランAとプランBの二つの方向性を私は考える。
JRF2018/8/184028
……。
プランA:MADビデオの販売モデル。
JRF2018/8/180219
アフィリエイトを基本的に可にするが、任意の段階でゲームの著作権者が差し留めを要求できるようにする。VTuber が通常のアフィリエイトのみで元著作権者から見つかりにくよう隠すようなことをしていなければ、差し留めまでの収入から支払う必要はない。しかし、VTuber のファンもビデオを見る権利があるとすべきで、差し留めのあと「動画配信を続行し、アフィリエイト売上げの5割を上限として請求されることはない」とするか、「DVD化(BD化)したものを同人的に(個数限定で)売り、その売上げの一部(5割)を元著作権者に渡せばよい」とするか、そんなふうにすればよいと考える。
JRF2018/8/181186
このプランは、アニメビデオなどを編集し音楽を独自につけたような「二次創作」の MAD ビデオに関して私が考えていた方策を参考にしたもの。複数の著作物を使っていた場合も「売上げの一部」を残していれば、その分配は、元著作権者どうしが争えばいいとするのがミソだった。
JRF2018/8/184424
keyword: MAD
ただ、MAD に関して私が考えたのはずいぶん以前で、現在、このようなことができるようになっていない。…ということは望み薄で、むしろ下のプランBが本命ということになると思う。
JRF2018/8/188600
……。
プランB:ゲームコンサルタントを通じた支払いモデル。
VTuber は「生」でやるといっても、中だるみがあるようなゲームをダラダラすることのほうが少なく、「仕込み」が普通あるはずである。「アフィリエイト」そのものは問題としないが、そのような仕込みや中間的なビデオの納入は「アフィリエイト」を超えるものとして別途、金銭が要求できる…とする。
JRF2018/8/180326
普通の個人でやってる YouTuber のゲーム利用は見過ごすが、VTuber がやってるもののみ話を付けるという形になる。で、VTuber の側もある程度、金が稼げるようになれば、必要がなくても、ゲームコンサルタントみたいなのに金を払って用意させることで、元著作者が金を要求できるようにする。そういう「歌舞伎」を仕込んでおく…と。
JRF2018/8/183032
私は、VTuber が他の動画を観るとかではなく、ゲームをやってるだけならば、収入がアフィリエイトに過ぎないうちは「アリ」にしたいので、「歌舞伎」の通じる日本国内ならこのプランBのほうがよいように思う。(VTuber といっしょにアニメや映画を観るとかいうコンテンツもそれはそれでおもしろそうだけどね。まぁ、別の話。)
(ところで、ボードゲームをテレビで実況するような番組は、ボードゲームの著作者に許可を得ているのかどうなのか…。)
JRF2018/8/185416
……。
……。
追記。
実は、この「ひとこと」を書きはじめた 7月20日あたりから、ROM 配布サイト関連で動きがあった。任天堂があるサイトを訴えたのを受けて、いくつかのサイト(LoveROMS.com や Emuparadise など)が、ROM の配布を停止する事態になっている。(ニュースは例えば↓)
《なぜ任天堂は海賊版レトロゲームサイトに勝てないのか – P2Pとかその辺のお話R》
https://p2ptk.org/copyright/1174
JRF2018/8/209044
ちょうど私の「活動期」とかぶっており、個人一人の行動がそんなに大きな動きにつながるとは考えにくいので偶然だとは思うのだが、時期的に私のせいのような気はすごくするので、いろいろな方面にとても申し訳なく感じている。「私が悪い! すみません!」
これを受けて私はどういう行動を起こせばよいのだろう? ROM の広範なカタログを持っているわけではなく、私が持ってる ROM しか、イメージを持っていないし…。隠れてできる技術はないし、そんなにリスクも負えない。置き薬的に親戚に改造スーファミをプレゼントするところからはじめるか…でも、欲しがらないのをあげてもなぁ…。
JRF2018/8/204778
トラックバック
他サイトなどからこの記事に自薦された関連記事(トラックバック)の一覧です。
私的複製の「強い管理」について。DRM 解除の正規ツールで私的複製を作るときは、所有権への注意はある程度おろそかでよく、それを配る場合、所有権は後から使った分を調べてその分、買ってつじつまを合わせればいいとし、海賊版ツールを使った場合は、配るときに配る分必要としてはどうだろう?... 続きを読む
受信: 2019-03-17 21:38:42 (JST)
[cocolog:89631029] でファミコン・ディスクシステムの ROM データを持っているゲームについて、「ディスクの所有権があるのが最低限だろう」とは書いたが、ディスクシステム自体が必要とまで書かなかったのには理由がある。
JRF2018/7/204105