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小島寛之『エコロジストのための経済学』を読んだ。「活動家」を経済学に引き込むのが目的らしく、シンプルな論理を用いていてわかりやすかった。 (JRF 0141)

JRF 2018年10月13日 (土)

『エコロジストのための経済学』(小島 寛之 著, 東洋経済新聞社, 2006年)
https://www.amazon.co.jp/dp/4492313575
https://7net.omni7.jp/detail/1102283830

JRF2018/10/138187

この本はエコロジストの「活動家」に経済学を得させるのを想定して書かれているらしく、あまりのシンプルさに実際の活動家は「舐められてる」と怒るかもしれないが、経済素人の私にはとてもわかりやすくためになった。

今、エコロジーに関心があるわけではなく、前よりも関心が薄れたぐらいなのだが、読んでみた。はからずも今年いじっていた micro_economy_*.py (↓)([cocolog:89931312], [cocolog:89067097])に関していろいろ考えることとなった。

JRF2018/10/138269

……。

>生産費用は加速度的にかさんでいくことに注意してほしい(このような費用に関する仮定はスタンダードである)。<(p.33)

JRF2018/10/136377

micro_economy_*.py では、生産費用が加速度的にかさんでいくとは一見していない。しかし、労働供給が増えるためには非線形に賃金を増やさないといけないようにしているのは、それっぽいところか。ただ、そうはいっても、一分野で生産を増やさなければならなくなっても、賃金が増える影響は全分野に平等に起こることになるので、通常のミクロ経済学とは想定が違うかもしれない。

JRF2018/10/135727

……。

>生物の多様性を主張する環境保護者に筆者があまり説得されないからである。どうして、すべての生物が保存されなければいけないのか、理解できない。<(p.76)

JRF2018/10/131300

聖書的な議論をすれば、人は動物を支配するといっても、ある面では、神が人を支配するように人が動植物を支配することが求められるのだから、よほどのことがなければ絶滅させないという慈悲は基本であろう…みたいなのは異端的なのかな?

JRF2018/10/131086

宇宙人や異次元人や時間を超えてくる未来人がいるかどうかはわからないが、彼らが見たら今の人間はヘンな生き物だろうし、彼らが人の支配のしかたを見てどう感じるのかどういうポリシーを持つのかはわからないが、人がちゃんと他の生き物を活かそうとしたという姿勢でいることは無駄にならないかもしれないとも思うから。ただ、その可能性の小ささに比べ、やるべきことが大き過ぎるという気もしないでもないが。

JRF2018/10/139805

「近現代人らしい暮らし」は都市に行ってすればいい。都市ではある程度動物が滅されるのはしかたがない。が、周辺部では、人間様が環境のためにガマンする部分はあっていい。…と私は思う。へんな生き物すら守られるということが、人間を守るという論理を一部補強することもあるだろう…と思うし。人間に害をなすものも人と離れて共存できるならそれなりにあるべきだと思う。知ることは大事だが、常に近付く必要はない。もし人間が宇宙や地下に拡散して、これまで以上に自然を遊ばせることができるようになるなら、それが望むべき方向だと思う。

JRF2018/10/131124

……。

[総生山GDP]=[消費 C]+[投資 I]=[消費 C]+[貯蓄 S] という関係から…

JRF2018/10/134104

>「意外な」式が出てくるから、ばかにはできない。それは、[投資 I]=[貯蓄 S]という式である。(…)これは、考えようによっては、「衝撃的な」式と言える。なぜなら、「国全体で集計する限りにおいて、いつでも投資と貯蓄は一致していなければならない」ということをあらわしているからである。(…)企業の経営者と家計が別個に勝手気ままに決めた投資と貯蓄は集計すると、本人たちの意思とは無関係にそれらは一致しなければならない。

JRF2018/10/135250

(…)

どちらがどちらを支配するのだろうか。ケインズの考えでは、企業が主で家計が従ということになる。(…)家計は結果として、そもそも貯蓄の意図した「総額」を実現することができないのだから、(…)平均貯蓄「率」(…)を決定するとしたわけである。

(…)

たとえば(…)総額100兆円の投資を計画しているとしよう。(…これにより)貯蓄総額は100兆円に縛られてしまう(。…)国民全体での貯蓄率が 20% と意思決定されているものとする。するとこのとき総所得は 500兆円 と決まってしまう。
<(p.86-88)

JRF2018/10/131309

こういう説明の仕方ははじめてみた。個人の感覚では、所得のなかから貯蓄を出すと感じるわけだが、マクロでみると、貯蓄率が決まっているところに投資をつっこむと払うべき所得がわかるとなるわけか…。

JRF2018/10/134620

ただし、政府支出を考えた場合、少し変形が必要になる。

>[貯蓄 S]=[投資 I]+[政府支出 G]<(p.93)

JRF2018/10/131453

micro_economy_*.py の場合どうなるのだろう? 所得から貯蓄を引いたものが、必需品と贅沢品の生産総量になる。原料のための原料はさっぴくという話になるんだろう。ただ、生産にはさらに工場を作るための原料分が必要になるが、それが「投資」にあたるんだろう。

じゃあ、投資と貯蓄が一致しているかというと全々そんなことはない。政府支出というのはどこにあたるか難しいが、最終的には social debt というのを考えて、それを政府部門のツケとする。

JRF2018/10/139296

実際の統計でも、政府支出というのを別に考えるなら、そこを先に集計し、貯蓄を計算して、その二者から逆算して投資を測っているとかないのだろうか? そういう疑いを持つ。が、教科書(参:[cocolog:86942001])等を見ると、そんなことはしていない感じ…。

JRF2018/10/139967

……。

>社会的共通資本の管理は、自然科学者と社会科学者の双方の学者と市民からなる「専門家集団」によってなされるべきであることを宇沢(…弘文…)は主張している。<(p.189)

JRF2018/10/137512

京大の立て看板が話題になって、それに対して橋下徹氏がテレビで咆えているのを観た。それについては、民主主義は、主張を作る段階で「法に触れる」必要があるとも言えるわけで、だから学生の主張にも首肯すべきところはある。行政の長を経験した者が別の見解を持つのも理解できるが…。といったところが私の感想。

ところで、こういうアカデミズムへの反感みたいなのは、宇沢などの構想が一方にあって、それを認めないという政治的な争いが背景にあるのだろうか? 「専門家集団」支配というのは私も別の視点から、この超高齢化社会に必要では…みたいなことは私も考えたことがある([cocolog:89428585])。

JRF2018/10/136747

……。

>エコカード< (p.214)

環境を守っていることを示すエコカードを持っている者だけで取引を完結させるというのは、結局、取引先に ISO14001 を常に要求しあうみたいなものでしかないような気がするけど…。

JRF2018/10/131729

……。

……。

あと、数学が難しくて眺めるだけになってしまったけど↓にも目を通した。これを理解できるって文系のはずの経済学者の数学レベルもかなり高いと認めざるを得ない。少なくとも私より上。

JRF2018/10/131352

『ミクロ経済学から公共経済学へ』(村田 安雄 & 鎌苅 宏司 著, 八千代出版, 2000年)
https://www.amazon.co.jp/dp/4842911727
https://7net.omni7.jp/detail/1101705934

JRF2018/10/136471

これは、はじめのほうで行列式がいきなり出てきて面食らった。↓にまず目を通す必要があった。

《経済数学I》(須賀 晃一 著, 2005年)
http://www.f.waseda.jp/ksuga/matheco12006.pdf

JRF2018/10/136200

偏微分ばかりで、それほど難しいものではないのかもしれないが、式が絡みあって追うのがとても難しく、途中からは完全に眺めるだけになってしまった。

なお、この本はミクロ経済学を微積分を使って説明し、その延長として税を取り公共財を提供する微積分のモデルを構築するという本である。環境がどうのという話はほとんど出てこない。

JRF2018/10/136521

……。

>ワルラスの価格調整に対して、需要価格 p_D と供給価格 p_S の差によって供給量 S が調整されるとするのが、マーシャル(Marshall)的調整と呼ばれ、数量調整ともいわれる。<(p.112)

micro_economy_*.py ではいきなり最適化してしまうので、調整段階が一見するとない。が、あえて言えば、企業が参入するのは供給力を変化させているということで、マーシャル的調整があるということなのだろうか?

JRF2018/10/136445

ところで、micro_economy_*.py では、原料への需要が増えるからといって、利益増するとは限らない。理念的には、micro_economy_1.py では、利益が一番上がる分野への分配が重視されるため、原料の必要量が増えれば逆にそれを安くしたほうが他で利益を稼げるとなれば、原料は需要増が利益減につながる可能性もある。micro_economy_3*.py では、分野ごとの利益が平均化されるため、特定の分野の需要増は理念的には利益増につながらない。それが必しもダメというわっではなく、ある意味リアルな面もあるのかもしれないが、ミクロよりはマクロに近い考え方なのかもしれない。

JRF2018/10/130042

いちおう、micro_economy_*.py でも必需品と贅沢品は価格低下で需要増するのはビルトインされている。原料もバッファ(倉庫)があれば、価格に連動するようなモデルにすべきなのかもしれない。逆に言うと、必需品と贅沢品には「隠れバッファ」みたいなものを想定してしまっているのかもしれない。

JRF2018/10/137236

……。

>第7章 消費税課税による厚生損失<(p.151)

多財に対する税の効果を考えるなら、公共資金により特定の財が買われる効果も考えなければならないのではないだろうか? micro_economy_*.py であれば、原料を買う量が増える効果となろうが、この本などの多財モデルであれば、多財の中に原料的なものも含まれると考えるべきではないか?

JRF2018/10/139830

その財については、公共資金により供給線が上方移動し、均衡価格が高くなり、税を足した点も後方移動するだろう。ただし、需要/供給量が少なくなっても、公共財によって必要量が減っていることもありえ、効用が悪化しているとは限らないだろう。(具体例が欲しいところ!)

その辺、p.173 の説明にあるような公共財に対して私的財が補完的か代替的かというところで一応は考慮されていることになってるということなんだろうか?

JRF2018/10/139911

……。

>Section 9.2 一括税と比例所得税の最適条件<(p.187)

「一括税」を推すんだが、納得できない。比例所得税だと所得が増えることへ負のフィードバックを増やすみたいになり最適効用が歪むので、公共財に必要な金額が決まっているとすると、比例所得税で集めるよりも一括税で集めたほうがいいということなんだろうが。

JRF2018/10/132873

所得が下がることによる効用の変化を考えてないのではないかとか思ってしまうが、式でどの部分がそうと指摘できない。また、所得の格差がある状況で、一括税で率が大きく下がる者が多くなるよりも、比例で必要な額まで取ったほうが、全体の効用を足したときマシになる…みたいなことも言いたいわけだが、「効用を足す」というのも簡単に定義できない話だし、式でちゃんと示せないのが悔しい。

JRF2018/10/135514

……。

micro_economy_*.py でスコアを計算するとき、独立な変数の加算やバランスのスコアの加算を考えるときに、加算で表現できないものは何かみたいなことを考えたことがある。その一例として、x と y について、x1 < x2 のときは y1, y2 にかかわらず (x1, y1) < (x2, y2) だが、x1 = x2 のときは y1 < y2 のときのみ (x1, y1) < (x2, y2) とするとするようなものを考えた。

JRF2018/10/139371

ちょうど、一定額までの必需品と贅沢品の需要がこのような関係にあると micro_economy_*.py では実は考えていると言っていいののではないか。必需品をまず買って残りを贅沢品にまわすという形になっているから。しかも予算制約にこれまでの貯蓄が絡み単純ではない。予算制約が線形になるとは限らないのではないか。

JRF2018/10/130219

micro_economy_*.py を改良して、必需品と贅沢品と貯蓄について、今回のミクロ経済学のようにラグランジュ関数を考えて最適化するという方法もありえるのかもしれない(作っってみるべき?…)が、それと現行の方法の違いは何になるのだろう? 現行の方法を突き詰めることで、ミクロ経済学の仮定について大きく違うことが言えないだろうか? …とか少し妄想した。

JRF2018/10/130244

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