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クルレンツィス&ムジカエテルナ『チャイコフスキー:交響曲 第6番 「悲愴」』を聴く。昔、「悲愴」を大音量で聴いていたのに家で仕事中の父親が何も言わなかったことを思い出し、私は愚かだったと反省する。 (JRF 8589)
JRF 2018年11月26日 (月)
「独自解釈」で話題となった盤で、2017年レコードアカデミー賞大賞を取っている。私は「悲愴」を聴き込んだことがなくて、解釈の独自性と言われてもピンと来ない。私は「悲愴」は若い頃からムラヴィンスキー&レニングラード・フィルの第4・5・6番の二枚組(のパチモン)を持っていたが、二枚組ゆえに聴く機会が少なかった。が、それと比べての感想となる。
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第1楽章では、茶色いタペストリーに兵士が描かれているのをまず連想した。そして、大音量の一撃以降は、高校生のころ上の「悲愴」の CD を大音量で鳴らしながら、誇らしげに下でやってる事務所に降りていって、その音を聴いていたことがあるのを思い出した。
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「誇らしげ」なのは、それが名演奏だと思ったから、そしてそれを珍しく理解できたと感じたからで、他の人にこれを聴いている自分が良い趣味をしていると思われる…少し珍しい趣味ながらも…となんとなく感じていたからだろう。今思えば今年死んだ父は仕事をしながら、鬱陶しいと思っていたのかもしれないが、何も言わなかった。私の趣味を自由にしてくれた。思い出してそれがとても恥ずかしく、ありがたくなった。よくわからないクラシックを聴き続ける私は今になっても自分勝手で愚かだ。
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第2楽章は、心臓の鼓動が早くなったように感じる。緑と赤で装飾された壁…中国趣味の色彩感をロシアで抽象的に表現しているのかな…を想像した。
第3楽章は、雪か霧か煙か…白い戦場を人と軍馬が交錯する様子が想い浮かんだ。ただ、リアルというよりは第1楽章のように戯画化された感じ。
第4楽章は、誠実にあろうと立派に立った人が、苦難に飲み込まれるようすが、聴いてて想像できて辛かった。すばらしい演奏。
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第2楽章と第3楽章は、明らかにムラヴィンスキーの演奏のほうが良いと思ったが、第1楽章と第4楽章は、わかりやすさではクルレンツィスも(このように述べるのは我ながら不遜なものだが)なかなかの仕事をしていると思った。
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この CD、Amazon 評などを読んでいると、CD の最初のほうに無音状態のエラーがあるものが販売されていたそうで、一度、回収されたらしい。かなり時間がたってから最近に手に入れたので、その辺り解決したものを手に入れたはずだが、最初以外の特に大音量の箇所でのカチャカチャというノイズが気になる。他の人の評を読むとそういった感想はないので、私の再生機器の問題なのかもしれないが、特に第3楽章ではそれが気になった。
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クラシック視聴歴だけは長いから、ライヴ録音でくしゃみ等が入っているのは慣れているが、[cocolog:88508242] もそうだがライヴ録音でないはずなのに入る操作音らしきカチャカチャした音はどうも今の私も気になるようだ。今の私のオーディオがそういうのを拾いやすいのかもしれない。かなりの大音量にするとあまり気にならなかったりするので、「高級」でない再生機器の問題か、楽器をやってる人はそういうのが自然に気にならなくなるのか…などと多少、僻[ひが]んだりしている。
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演奏自体はすばらしいとは思うのだが、そういうノイズのせいで、ノイズが多いがゆえにシグナルのアラが目立たなくなっているのではないかと疑心暗鬼になる。直前の [cocolog:90289883] もそうだが、「ノイズ」が多くて名盤とされるものも結構あるし…。
JRF2018/11/268237
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追記。
こんなカチャカチャとノイズの鳴る CD がレコードアカデミー賞なわけがない。おかしい。どうしても気になる。回収騒ぎがあったのは輸入盤(海外盤?)で、日本盤は問題なかったらしいが、私が聴いたのも(新しい)輸入盤。もしかすると日本盤ならノイズがないのかも知れない。…ということで、人柱上等で、日本盤も買って聴いてみた。(親や世間に申し訳ないほど贅沢でもったいないけど…。)
結果、日本盤もカチャカチャいうことに変わりはなかった。
JRF2018/12/129353
日本盤(国内盤)は Blu-spec CD 2 という仕様が売りで、一聴してなんとなく違う気はするが、ほとんど違いはなくほぼ気のせいのようにも思う。カチャカチャいう音も、心なしか鮮明にはなっている気もするが、鳴ることに変わりはない。
気になるので、Amazon MP3 にあった第3楽章のみ(250円)もダウンロードして聴いてみたが、やっぱりカチャカチャいう。上で第3楽章で気になったと書いたが、今聴くとそれほど気にならないが、鳴っていることは鳴っている。
JRF2018/12/127932
第1楽章の 10:10 あたりからの「一撃」の最中にカチャカチャいうのがとてもわかりやすいので、試しにパソコンの CD ドライブで輸入盤を再生してヘッドフォンで聴いてみてもやっぱりカチャカチャ言っている。
輸入盤に粗悪品をまぜることで日本盤を買わせる戦略かとも疑ったが、そういうわけではないようだ。雑音を気になるようにさせて他の録音も買わせる戦略だったら、まんまとそれに乗ってしまったわけだが…。orz
これ、本当に他の人は気にならないんだろうか?
JRF2018/12/125240
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受信: 2019-03-18 03:30:50 (JST)
Teodor Currentzis & MusicAeterna『Tchaikovsky: Symphony No.6 "Pathetique"』(録音: 2015年, 発売: Sony 2017年)
https://www.amazon.co.jp/dp/B01N26JX38 (国内盤)
http://www.hmv.co.jp/product/detail/7678618 (海外盤・私が持ってるほう)
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