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フランシス・ベーコン『ニュー・アトランティス』を読んだ。60ページほどの未完のユートピア小説、ほぼ箇条書きのアイデア集というほうが近い。ユートピアの社会的側面と技術的側面をほぼ分けて書いている。ベーコンから見た未来の技術に実現しているものがあるのが興味深い。 (JRF 6143)

JRF 2019年9月21日 (土)

『ニュー・アトランティス』(ベーコン 著, 川西 進 訳, 岩波文庫, 2003年)
https://www.amazon.co.jp/dp/4003361741
https://7net.omni7.jp/detail/1102032098

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Francis Bacon『New Atlantis』(1627年)。1626年のベーコンの死後の出後の出版で、書かれたのは 1622年か1623年という説がある。日本語訳では、60ページほどの未完の小説で、その本にはウィリアム・ローリーによる20ページほどの『フランシス・ベーコン伝』が付いている。

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[cocolog:80874515] で>GAINAX のアニメ『ふしぎの海のナディア』はジュール・ヴェルヌの『海庭二万里』『神秘の島』を元にしているとのことだが、ネモ船長達が戦う敵、ガーゴイルのネオアトランティスの元ネタは実は F. ベーコンの『ニュー・アトランティス』だったんじゃないかと思った。<と書いた。そこで興味を持って、この本を読んだ。読んだ結論としては、「ネオ・アトランティス」にはあまり関係がなかったかなという印象になった。

JRF2019/9/219533

ほんの短い未完のユートピア小説で、ユートピアの社会的側面と技術的側面をほぼ分けて書いているが、ほぼ箇条書きのアイデア集に物語風味を付けただけという感じ。

[cocolog:80874515] は小平 敦『信託の源像』を読んだ感想だが、その本からの引用として…、

JRF2019/9/217585

>その晩年の最後の出版本 New Atlantis は、(…)航行中暴風によって漂着したとの仮定によって書いたユートピア論で、「総合的に科学・技術・情報の集積研究機構を持った、学問と科学技術による統治国家」(…)この中には、医学・光学の他に、放射線、色彩、音響、感覚錯誤、永久運動から人工雨、季節違いの果樹菜園技術、身長促身停止、毒物、筋肉強化の各研究所等々を含む<(p.466)。

…というのがよい要約と思う。

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「集積研究機構」という部分、本の中では「六日間創造学院」または「サロモンの家」というアイデアは、>1660年のイギリスの王立学士院、1666年のフランス科学協会の設立を促し<たと、解説には書かれている(p.116)。

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ベーコンが知らかなったが、すでにあった望遠鏡に関するアイデアがあったり、逆に後のレーザーに相当するアイデアがあったりもする(p.59)。その当時から見て遠い未来には実現可能というアイデアを書いていて、空想的になりすぎず、ある意味、リアリストではあったのだろうと思う。

宗教的に、ニュー・アトランティスこと「ベンサレムの国」がどうしてキリスト教国なのかというところを最初の疑問とするあたり、宗教的モラルへの目配りも確かで、その辺は空想的でよしとしている面がるのも、やはりある意味、政治性を忘れないリアリストであるということだろう。

JRF2019/9/211818

設定は…

>約三千年、あるいはそれ以上前には、世界の航海は(特に遠洋航海は)今日より盛んだったのです。(…)世界大洪水から少数の人々を救った[ノアの]箱舟の例が、海に船出する自信を人類に与えたのかどうかわかりませんが、いずれにせよ事実はそうだったのです。フェニキア人、特にツロ[ティルス]の人たちは大船団を持っていました。カルタゴ人もそうで、彼らはツロよりもさらに西に入植した人々です。東方には、エジプトとパレスチナの船が盛んに出ていました。中国も、大アトランティス(あなた方がアメリカと呼んでおられるところです)も(…)当時は大きな帆船を持っていました。<(p.26-27)

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ところが、それが、大洪水・大氾濫で破壊され消滅したという(p.29)。

その後は、ベンサレムの国から定期的に送る「スパイ」のような人がいる他は渡航等を禁じたので、外の国はベンサレムの国を知らないが、ベンサレムの国は外の国を知っているという状態になったのだという。

設定が粗いが、まぁ、SF のワープとかと同じで、あまり突っ込んではいけないユートピア小説の伝統みたいなもの。

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……。

keyword: 罪価

ベーコンは、大法官としても有名で、「心の会計」「罪価計算」をしていた([cocolog:89280989])らしく、そこにも興味はあったが、この本にはその要素はなかった。

私に関しては『ニュー・アトランティス』も入った『世界の名著 20 ベーコン』(中央公論社)を読んだほうが、図書館にもあるし、良かったかもしれない。

JRF2019/9/216614

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