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永野のりこ『電波オデッセイ』を読んだ。いじめまたは差別を受ける女の子が幻聴的人物の助言でカラ元気を取り戻し、様々な「症例」をかかえる友とともに、現代の中学校を生きぬく。現代の「かわいそう物語」だが解決がわりとリアル。追い込む側の人間だった私… (JRF 9996)

JRF 2019年9月29日 (日)

ネタバレぎみで紹介。

『電波オデッセイ (全3巻)』(永野 のりこ 著, 復刊ドットコム, 2011年)
https://www.amazon.co.jp/dp/B074Z2RSWF (Kindle, 1巻)
https://7net.omni7.jp/detail/5110415326 (電子書籍, 1巻)

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『月刊コミックビーム』に1995年12月号より1999年11月号まで連載。全4巻のコミックスが絶版になったあと、復刊ドットコムで復刊。登場人物の一人トモ子の結婚という未来の話が描き加えられている。

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はっきりとはされないが、「ロリもののビデオ」で観たとされる原スミ子、校内でそれが噂されているためか、それ以外にもいろいろあったのか不登校になっていた。しかし、同じ公団の北森要一郎が持ってきた『アポロ13号奇跡の帰還』のビデオを見たあと、オデッセイと名乗る幻聴的人物と話ができるようになる。その助言により「他の世界から地球観光にやってきた旅人」として学校に通えるようになる…。

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北森が好きなのは原ではなく、野川美千代という病気のため実年齢が一年上で同じ学年の少女。彼女と、太った容姿を気にしている丘本トモ子、『クケダイちゃん』という赤塚不二雄風のマンガを描く てん子 が加わって様々な精神病的「症例」の者に関する物語が展開する。

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中学の卒業とその後しばらくまで描かれる。原の両親は「失踪」しており、彼女は定時制高校に通いながらバイトをする…という「解決」などは、リアルというかあまり夢のあるものではない。ロマンティック過ぎるようなことはせず、現代の「かわいそう物語」的な感じがある。しかし、作者の照れ隠しでもあるのだろうか、カラ元気的明るさがあるため、過度に暗くならずに読めるとは言える。

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私はデブで、いじめられることもあったが、お調子者で、いじめる側にまわったこともある。追い込む側の人間だった私がこの物語にどう接していいか、少し悩む。この作品が救いになる人もいるだろうが、過去の罪がえぐり出されるように思う者もいるかもしれない。人を選ぶマンガかもしれない。

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修正 「描き加えられている。」→「描き加えられている。私はビームで読んだか、コミックで読んだかは忘れたが、1・2巻の内容は読んだことがあった。が、最後まで読んだのは今回がはじめてのはず。」。
修正 「オデッセイと名乗る」→「オデッセイという名の」。

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