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小池一夫&小島剛夕『首切り朝』を読んだ。首斬り(役)人の山田朝右衛門を描く時代劇マンガ。動きの少ない主人公のため、周りがよく動く。結婚しないと決めているところに、結婚しようと女が来ることが何度かあったり…。 (JRF 9346)
JRF 2019年11月12日 (火)
Amazon ではこの他に、「大合本版」と称した Kindle もあるようだが、違いがわからない。こちらはかなりの安売りをしていたので買った。
首斬り(役)人の山田朝右衛門を描く時代劇マンガ・劇画。初出は、1972年から1976年まで『週刊現代』にて連載…と Wikipedia にある。海外では『Samurai Executioner』との題で高い評価があるとのこと。
JRF2019/11/128332
昔、文庫版を持っていたような気がする。そして、引越ししたとき手放したはず。…なのだが、話をほとんど覚えていなかった。畳を刃を落とした刀でぶったぎるシーンや、畳捕りの傘次郎の自分がふっとぶというアイデアはよく覚えていたので、もしかすると買おうとして買うにいたらず立ち読みなどで部分的に読んだことがあるだけだったのかもしれない。
JRF2019/11/124734
山田浅右衛門(朝右衛門)は実在の人物(名を継いだ複数の人物)のようだ(↓)が、このマンガがどこまで史実に沿っているか、従来の伝説を参考にしているかは私にはわからない。
《山田浅右衛門 - Wikipedia》
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B1%B1%E7%94%B0%E6%B5%85%E5%8F%B3%E8%A1%9B%E9%96%80
JRF2019/11/125520
『首切り朝』自体は、映画やテレビドラマには結局ならなかったようだが、『必殺仕事人・激突!』で滝田栄が山田朝右衛門を渋く演じていたことは覚えている。
JRF2019/11/129049
……。
朝右衛門は、どこかに旅をしたり捜査をしたりする主人公ではないため、周りが動く傾向にある。「安楽椅子探偵」よろしく、相談を受けるのがメインの回もある。朝右衛門が事件に出向く場合もあるが、何で朝右衛門がそこまで出ばってきたのが、正直、私にはわからないことがしばしばあった。
JRF2019/11/120584
上にすでに言及したが、5巻 斬の十五「畳捕りの傘次郎」はまさに相談を受けるだけで、もちろん朝右衛門は剣術においてすごいのだろうけど、どうして、傘次郎に良いアドバイスができるのかは、合点がいかなかった。ただ、傘次郎の「必殺技」然とした技は子供受けがいいというか、私の「少年の心」に響くもので、難に目をつぶれば、おもしろいと言えばおもしろい。
JRF2019/11/126747
「難」ということで言えば、3巻 斬の八「入臓物に高台物」では「一般予防」「特別予防」という刑法理論の現代用語が出てくる。こういうのに萎える人もいようが、物語はいかにも時代物という論理で締めくくられ、逆に先の現代用語がスパイスのように機能して、カタルシスがありおもしろい。小池一夫は天才だなぁ…と認識を新たにした。
JRF2019/11/126331
因縁を子に伝えないため結婚しないと決めているところに、結婚しようと女が来る話が何度かある。主人公がクールでモテる男というのを見せるという小池一夫らしい造形と言えようが、どれも印象深い話になっているのはさすが。
JRF2019/11/124520
……。
『週刊現代』という成人を対象とした雑誌で連載され、エロもグロもかなりある。が、ドラマがとてもおもしろく、少年がこれを読めないというのも損のように思う。マンガ読みには、高校生か大学生ごろには読んで欲しいマンガ。
JRF2019/11/121703
『首切り朝 (全12巻)』(小池 一夫 原作, 小島 剛夕 作画, グループ・ゼロ, 2013年)
https://www.amazon.co.jp/dp/B074CG1631 (Kindle, 全12巻)
https://book.dmm.com/detail/b750dgrzr01857/ (電子書籍, 1巻)
JRF2019/11/128644