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新自由主義的な国家資格・免許ではなく懲罰的罰金で十分だとする知識の蓄積への影響は、後者が最大級の蓄積者を出しうるが、平均的には前者のほうが平等的で新たな知見を生成しうるのではないか? 「資産市場の簡易シミュレーション」からそう考えた。 (JRF 7505)

JRF 2020年2月24日 (月)

はてブで次のような発言をして、新自由主義に注意を向けた。

はてなブックマーク - 《5分でわかるフリードマンの「資本主義と自由」| 新自由主義とは? | クリプトピックス 仮想通貨と経済を解剖するブログ》
https://vicryptopix.com/friedman/

JRF2020/2/249216

jrf:>新自由主義が事業・職業免許制度を民間で国家資格や規制を少なくというのに、ネットはかなり乗ってしまったが、そろそろ変えるべき。まずはDMCA通報の弁護士やNonDRM物取扱の古物商類似の免許といったエンフォースを。<(2020/02/21)

JRF2020/2/244245

Amazon 評によると、フリードマンの意見に対し、スティグリッツは情報の非対称性の理論で対抗したとかなんとか…。その参考文献は中古で買ったが届いていないので、届く前の意見を少しまとめてみる。

JRF2020/2/242155

……。

「事業・職業免許制度を民間で国家資格や規制を少なく」ということについて。

免許は停止されうる。それが痛いのは、人が免許を取るために「育つ」必要があるからである。「教育の問題」というのとは少し違う。成人をいくら教えたところで限界がある。職業選択はそもそも自由ではなく、伝統や成長に支配されている。それはタイトル(称号)ホールディング(獲得身分)の問題であり、情報の非対称性には還元できない。

JRF2020/2/244385

「タイトル」といっても消費者・労働者といった身分に関し、新しい身分法が必要となってくる(参: ↓)が、それとは少し違い、免許や資格について言っている。国家資格に限らない。同じ身分でもいろいろな人がいるが、確率的に前提できることが変わってくる。そういうのがメンドクサイというのが新自由主義だったということなのかもしれないが。

JRF2020/2/248080

[aboutme:119666]
>現代は貴族制度のようなものがなくなったので、身分権が親権だけになったという論なのだろうが、現代では新しい「身分」権として逆に弱い者に特権を与えるという文脈がある。労働者の団結権や、消費者のクーリングオフの権利などである。「身分」を認めないという姿勢は大事だが、ともすると、それは弱い者に作るべき新しい権利を阻害する方向で働く。<

JRF2020/2/243362

新自由主義の議論には、究極的には、民間団体の資格があればいいということより、懲罰的罰金(損害賠償)があればいいという匂いがする。そのセンで、話をすすめる。

懲罰的罰金 vs 免許…にはアメリカのカウボーイ的自由主義の時代の経験があるのかな…と思う。カウボーイは「民間」で、特に免許があったわけではないだろうから。

懲罰的罰金は、しかし逃げることができる。罰金を払っていないというタイトルを得るとすると「負のタイトル」というだけで免許と何が違うのかという話になる。

免許を取るには時間がかかるが、「時間」というコストだけの問題とは思えない。

JRF2020/2/247594

時間を多くかけるという代わりに多くの人員がトライするというのが懲罰的罰金モデルだろう。多くの人員の中で、運で懲罰を免れているとみなせるところから、専門家はどれだけ離れることができるか。例えば医師を考えると、懲罰的罰金モデルでは、ある地域で教育も受けたかどうかわからないが問題なくやっている「経験的医師」と、免許モデルでは、免許を受けるために「教育を受けたことが確実な医師」を対比できる。

JRF2020/2/240316

その地域特有の病などは経験的医師を教育を受けただけの医師で代替できない。その地域で未知の事態には(過適応の経験的医師よりは)教育を受けた医師のほうが対応できる。その違いは、情報の非対称というより、そこに集まるものの偏りの非対称・「情報の頻度の非対称」による。(この辺は機械学習・人工知能的議論を「偏った教育」よりランダムでも「偏りのない教育」のほうが有利であることを背景に考えている。)

JRF2020/2/249061

…と、ここまではブレインストーミング的で、何言ってるかわからなかたかもしれないが、本題は次から。

JRF2020/2/244064

……。

懲罰的罰金を負わされるのは、資産市場の簡易シミュレーションの負債を負わされるのに似ている…と想いついた。

懲罰的罰金モデルは、負債を負っているのに、さらに負債を負おうとするモデルになるのだろうか? それは、負債の額ではなく、たとえば知財の額でさらなる負債を負うか決定しがちであることに相当しよう。

JRF2020/2/241016

何かの対価に「債権」を得ても、返済があるとは限らないため、(贅沢品に)使えるとは限らない。資産市場の簡易シミュレーションでは、返済と余分な贅沢品購入が釣り合わなければならない? いや、それは Erosion と Repay の問題として、それが自動的に行われるというのが、結論だった。

JRF2020/2/246973

《資産市場の簡易シミュレーション》
http://jrf.cocolog-nifty.com/society/2019/05/post-9da6e7.html

《資産市場の簡易シミュレーション その2 論理的モデル進化》
http://jrf.cocolog-nifty.com/society/2019/06/post-4e7664.html

JRF2020/2/249548

……。

実験計画。

医師免許を念頭に、免許を使う場合と懲罰的罰金を使う場合を「その2」 simple_market_a1_02.py の枠組で考えれないか、考える。

すると、まず免許を重視するようになれば、それだけ免許の取得に金がかかるようになるので、平均すれば賃金からの返済が増える… --repayment-rate を上げればいいとまず考えた。

JRF2020/2/244560

懲罰的罰金の表し方がよくわからない。が、知的な者が知的な者の物を買うかどうか…というところで違いを出せるのではないか。

JRF2020/2/240777

じっくり考えて、純資産が高い者(rich)が知的資産が大きい者から買う(--sort-of-intellprop-buyer=rich --sort-of-intellprop-seller=ascend)のが基本として、懲罰的…な場合は、知的資産の価値がよくわからず、知的財産を金に飽かせて買うというイメージから、--coeff-of-intellprop-buyer=0.8 --coeff-of-intellprop-seller=0.3 とした。

JRF2020/2/243719

一方、免許…の場合は、貧乏な者にも知財を得るチャンスがあり、知的財産が吟味されることから高い知財が選好されると考え、--coeff-of-intellprop-buyer=0.3 --coeff-of-intellprop-seller=0.8 とする。

JRF2020/2/247316

(この少し上で、懲罰的罰金モデルは、負債を負っているのに、さらに負債を負おうとするモデルになる…と考えたが、ここでは考えを改めた。)

返済が増えるので、Erosion が増え、贅沢品がより多く買えるようになるのではないか。平等についてはどちらがよいのかはやってみなければわからないと考えた。

JRF2020/2/241999

……。

実験。

simple_market_a1_02.py は --sort-of-intellprop=rich オプションを作るだけで他はいじっていない。

--repayment-rate=0.5 の場合の懲罰的…と免許…を取り、懲罰的…は --repayment-rate=0.3 の場合も、免許…は --repayment-rate=0.7 の場合を調べる。

コマンドラインはだいたい次のようになる。

JRF2020/2/249065

<pre>
$ python simple_market_a1_02.py --trials=50 --devaluation-of-intellprop \
--sort-of-intellprop-buyer=rich --sort-of-intellprop-seller=ascend \
--coeff-of-intellprop-buyer=0.8 --coeff-of-intellprop-seller=0.3 \
--repayment-rate=0.5 --cash-on-hand=rigid
</pre>

JRF2020/2/245528

結果として、違いがほとんどない。Erosion で買える贅沢品が増えたりするかと考えていたのだが、ほとんど変化はない。--repayment-rate が増えると返済が増え、Erosion が増えるかに思えるが、返済が増えた分、完済者が増え返済者が減り Erosion が思ったほど増えないからであろう。

JRF2020/2/245772

Liability だけを見ると、免許…のほうが「現金」側に(マイナス最大の)幅が大きい。これは高い知財が売れやすいからだろう。純資産のない者も無理をして高い知財を買うことがあるから「負債」の側も大きいかと思ったが、そういうことはないようだ。また、懲罰的…のほうは、高い知財を売買の確率が比較的に高くないことも影響していよう。

JRF2020/2/243213

Intellprop のグラフもこころなしか違うように思う。免許…のほうが知財価格が安いところが少し膨らんでいて「平等」そうに思う。最大値は、懲罰的…のほうが大きそうだ。また、「Intellprop の当期増加」は、免許…のほうが大きいように思う。rich が買い集めることで高い最高知財資産が達成されやすいが、新しい知財の生成は、平均的な知識がある免許…のほうがよい…と私には見える。

JRF2020/2/242455

返済の問題ということなら、--devaluation-of-liability も試してみるか、と試したがキレイな結果は出ない。--repayment-rate が低いはずのデータのほうが、「贅沢品の全期購入数平均」Luxuries Mean が少し大きかったりした。

JRF2020/2/246571

(ちなみに、--devaluation-of-liability をほぼはじめて使ってみて、if ARGS.devaluation_of_liability: で if y > 0: のところ、if y < 0: でも良いことに気付いた。が、その意味が決し難い。)

JRF2020/2/244154

……。

ということで、最初に書いたように「免許ではなく懲罰的罰金で十分だとする知識の蓄積への影響は、懲罰的…が最大級の蓄積者を出しうるが、平均的には免許…のほうが平等的で新たな知見をより生成しうる」という結論をとりあえず出した。が、その根拠は薄く、はっきりとした数値ではなく、グラフの形をなんとなく見た結果からそういっているだけである。

JRF2020/2/244637

そもそも新自由主義が懲罰的罰金を常に支持するとは限らないし、懲罰的罰金と免許を取るモデルの違いが、私のモデル化のようになると考えるのには、かなりの飛躍があるのだった。

これで新自由主義的な考え方を「粉砕」できるとはとても思えないが、まぁ、参考程度に…。

JRF2020/2/241760

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