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cocolog:91960637

長沼伸一郎『現代経済学の直観的方法』を読んだ。私は工学系だが経済学には前から関心があり想定読者とは違ったようだ。長沼氏のこれまでのブルーバックスの本と比べて、専門性が矯めらているのかな…と感じた。それでも、鉄道が総力戦を作った…など鋭い洞察はいつもどおりだった。 (JRF 8457)

JRF 2020年6月 7日 (日)

『現代経済学の直観的方法』(長沼 伸一郎 著, 講談社, 2020年4月)
https://www.amazon.co.jp/dp/4065195039
https://7net.omni7.jp/detail/1107080939

JRF2020/6/70759

長沼伸一郎氏の本については、『物理数学の直観的方法』については [cocolog:86442412] で、『経済数学の直観的方法 マクロ経済学 編・確率・統計 編』の二冊は [cocolog:86465092] で「ひとこと」している。それらは理工系のブルーバックスだけあって、理論がわりとキチッと述べられているのに対し、今回の本はどうも入門的過ぎて、長沼氏の専門性が矯めらているのかな…と感じた。

JRF2020/6/72476

また、私は、下でじょじょに書いていくが、これまでも経済学と関わってきており、そういう目から見ると、簡潔な記載がやや「入門的」過ぎるように読んでしまったということかもしれない。

しかし、多くの人が、賛辞を送っているのに間違いはなく、その鋭い洞察はいつも通りだった。以下、私の「経済理論」の紹介も兼ね、引用しながら感想を述べていきたい。

JRF2020/6/71688

なお、[cocolog:86465092] では>『経済学の直観的方法』は、二冊からなる。元は、電子出版された『現代経済学の直観的方法』だと思うが、はっきりそう書いてるところは今のところ見つからないので、違うかもしれない。<と書いたが、『経済学の直観的方法』と『現代経済学の直観的方法』はまったく違う著書であることが判明した。

JRF2020/6/76878

……。

>本書では「暴走する資本主義をどうやって遅くするか」ということを縦糸のテーマに設定し、各章の内容をそこに横糸として配する形で全体が構成されている。<(p.4)

JRF2020/6/74818

『経済数学の直観的方法 確率・統計 編』では、指数関数型の資本主義から、イスラム的なボラティリティから利益を得るような直線型経済への素描などもあったが、今回は、囲碁的なイメージはあるものの、そのような素描はなく、かつての展望からは一歩後退しているのかな…という印象を持った。私がちゃんと読めてないだけかもしれないが…。

JRF2020/6/73466

……。

>一般に陸上の戦争において、近代戦への移行ということは何が世界に登場したことによってもたらされたのだろうか。「それは銃によってである」という答案に対しては、正直言ってあまり良い点はつかないと思われる。近代戦の定義にもよるかもしれないが、むしろ陸戦に本当に決定的な革命をもたらしたものは、鉄道の登場なのである。

(…)

鉄道による「補給革命」以前の時代においては、軍隊の補給(主として食糧)は基本的に現地調達に頼っていた。(…)これが戦場に展開できる軍隊の大きさの上限を決めていた。

JRF2020/6/70150

(…)

こうして前線がいくらでも兵力・物資を要求するようになると、それに対する限界を作り出すのは国家の全体的な体力(…)である。(…)いわゆる「国家総力戦」への移行が不可避となったのである。

JRF2020/6/72710

(…)

そこにはナポレオンのような天才の居場所はない。新参者たる彼ら参謀将校たちは本質的に事務屋であり、以前の時代にはせいぜい帳面を片手に荷馬車の間を歩き回るような連中として軽蔑されるような存在に過ぎなかった。しかし輸送計画表を持って鉄道網を掌握するに及んで、彼らは突然戦争の主役に躍り出る。そして英雄たちを過去の遺物として脇役へと押しやり、戦争全体を数量に基づく一個の非ロマン的な管理技術体系に仕上げていく。

JRF2020/6/70838

(…)

それ以前には伝統社会の中の名誉の衣をまとった戦士階級や貴族的将校団が戦争の主役であったが、これ以後は大衆から徴集された兵士にその座を譲ることになった。

(…)

また、鉄道によって苛烈化した前線の要求を満たすため、銃後の人間も軍需品生産に残らず動員し、国家がそれを組織する軍国主義的な社会へ移行することにあった。
<(p.31-34)

JRF2020/6/75007

ローマも道を作るのに熱心だったみたいだから、輸送路が大事というのはいつの時代もそうなのだろうが、そのスピード・能力が桁違いになったということだろうか。

JRF2020/6/75793

……。

>中世の世界においては人々は金・マネーというものを、一種の核燃料のようなものだと感じていたようである。(…)そのためカトリック教会は次のような方針をとった。それは余剰の核燃料を生み出してしまった人間(要するに金持ち)に対して、そんな大量な金を手元に置いておくと魂が汚染されて地獄に堕ちると脅しつけ、それを教会に寄進させた。(…)いわば教会は核廃棄物の貯蔵庫でもあり、(…)いわゆる退蔵ということを行っていた。<(p.37-38)

JRF2020/6/71636

儲けた金が「核廃棄物」というのはすごいアナロジー。「核廃棄物」も多くは本来核資産として考えられていたことも考えあわせるとおもしろい。教会を立派にするのに金を使うのは金を浄化する意味合いがあったのだろうか?

JRF2020/6/75629

……。

>あの時、貯金に回された金貨は「経済世界のローカル線」に乗って、その先で設備投資=新兵器購入に回されていた。それによって結果的に夕方に合計100万の金貨が線路を下っていくことが可能となり、定常的な流れが維持されていた。<(p.59)

JRF2020/6/70663

投資=貯蓄の図式。[cocolog:90097610] で、小島寛之『エコロジストのための経済学』を読んだときにも出てきた。>個人の感覚では、所得のなかから貯蓄を出すと感じるわけだが、マクロでみると、貯蓄率が決まっているところに投資をつっこむと払うべき所得がわかるとなるわけか…。<

JRF2020/6/72060

私は経済シミュレーションを作っている(↓)が、そこのモデルでは、貯蓄と投資は一致しているように見えない。利益の分配を資金の出し手に行う…利益と分配がつりあう…というのが、投資=貯蓄の暗黙の仮定になっているのではないか?

《ミクロ経済学の我流シミュレーション その1 基礎経済モデル》
http://jrf.cocolog-nifty.com/society/2018/03/post.html

JRF2020/6/70353

……。

>もともとソ連型の共産主義は、軍事力を十分なレベルに保っている限り、当面の体制維持はできるという性質のものだったのだが、現代の軍事力はミサイルとレーダーの能力が鍵を握るようになった。ところが先ほども述べたようにソ連は国内に十分な半導体産業を持たなかったため、シリコンチップを安いコストで大量調達することができず、次第に米軍・NATO軍との間で水を空けられて、切り札の軍事力を骨抜きにされてしまったのである。<(p.81)

JRF2020/6/70672

finalvent 氏の見建て(↓)では、ソ連は原油価格の崩壊によって滅んだとする。

《ソ連崩壊の主原因は何か?: 極東ブログ》
http://finalvent.cocolog-nifty.com/fareastblog/2020/05/post-fa23c2.html
>「リヤド密約」(…)ソ連崩壊の主原因は何か? 原油価格の崩壊、といってよさそうだ。<

JRF2020/6/74897

長沼氏の見解とは差があるが、「石油はコモディティか?」という論争を補助線に引くと両者の見解は接近する。

JRF2020/6/76076

90年代後半は私は石油はコモディティになったという論をとっていたように思うが、[cocolog:86808786]で少し出てきたが、それは少し違うんじゃないかという論に私も傾きつつある。石油に関しては、軍事介入もオプションだとするとき、ソ連が石油価格を維持しうるような軍事力を使うことができなくなった…それはシリコンチップ不足が遠因だったとすれば、両者の見解は接近する。

JRF2020/6/72540

では、なぜそういう見解を現ロシアは取らないかというと、ソ連が軍事的にも負けていたという論に組したくないから…となるんだろうか?

JRF2020/6/77490

……。

>(江戸時代武士階級は…)、徴収した年貢のうちのいくらかを市場に出して売却し、それを金銭に換えていた。だが彼らが現実に直面させられた問題とは、この交換を行う際の米の値段が時を追うごとに下がっていってしまい、同じ量の米を売却しても、手に入れられる金銭がだんだん少なくなってしまったということなのである。<(p.91)

JRF2020/6/70193

米をどんどん作れば、米の値段が下がるのは当然で、にもかかわらず、江戸幕府は米をしばしば増産しようとした。それはなぜか?

[cocolog:86949603] で私は、>(政府の)借金を米で無理矢理返せたとすればどうだろう? もしくは商人は半ば暴力で一定額で買うことを強制されていたとか…。<と考えた。(実際、沖縄では、おこめ券で支払いができたりしたらしいし。)

JRF2020/6/78790

米が増えれば、人口は増やせるだろう。すると人足の労賃が下がる。それが商人が困る構造になっていたのではないか。今の日本も苦しむ人材派遣業(手配師・請負師)が多く、彼らが労賃が下がるのをいやがり、それよりもマシな米の「事前購入」…酒にするか輸出するかして人を生まれにくくするか、食客に殺し合いをさせて人口を減らすか、していた…ということではないだろうか?

JRF2020/6/77929

……。

>「比較優位」(…)一見したところは完璧な答案であるが、それを南側諸国に適用した結果はどうだったかというと、およそ目論見とは逆の結果を招いたのである。<(p.99)

私はリカードゥの「比較優位」論を完璧な答案とはまったく思わない。

JRF2020/6/75328

[cocolog:70551613]
>マメ知識:リカードの比較優位における「失業者」は「利子生活者」という意味に近い。(…)設備の革新に優位を持つというのは、設備の生産によって相手の減耗をコントロールできることを意味する。(…)「比較優位」のモデルを資本取引がからむような「通貨高」の議論などにつなげるのは、かなり慎重にやらないと間違う。<

JRF2020/6/73378

>仮にある年に一定の同じ率で減耗が発生するとき、それを貿易はどう処理するかというと、それを「分配」というのはもはやできず、輸入されるべきだったものが輸入されず、むしろ減耗の影響を定期的に押し付ける形になる。それは、需要側から見ると文化(カルチャー)の変化についていけず、消費がされなかったと映ることになる。

それが本国で「失業」=「利子生活者」を生むのは、まぁ、自然だろう。<

JRF2020/6/73966

[cocolog:90768574]
>「資本」すなわち「設備」の革新に「比較優位」があれば、単なる商品的輸出入を通じるものを超えて、競争相手国に打撃を与えることができる。逆にそれで脅して言うことを聞かすのが帝国主義でもあるのだろう。<

JRF2020/6/73977

……。

>(敗戦後…)このように内外から絶体絶命の危機に瀕する中、日本は一つの経済戦術を立案する。それは「傾斜生産方式」と呼ばれる次のようなアイデアのものだった。それはまず、国内でかき集めたごくわずかな重油を、一旦すべて鉄鋼生産のために集中的に振り向ける。そして生産した鉄鋼を、今度は石炭増産のためにすべて振り向け、そこで産出した石炭を再び鉄鋼に振り向けて、鉄鋼部門と石炭部門の間で相互に生産物を往復させながら双方を拡大していく。

JRF2020/6/77585

(…)

こうして産業の基本となるエネルギーと鉄鋼の基盤を作り上げ、それがある程度達成された時点ではじめて、それらを他の産業にも分けていく。(…)しかしながらその肝心の資金をどうやって作るかといえば、とにかく金がどこにもないのだから、最後の手段として紙幣増発という禁じ手に頼る以外ない。(…)実際この紙幣乱発によって国中が凄まじいインフレに見舞われ(…)た。
<(p.137-138)

JRF2020/6/72623

「傾斜生産方式」って重工業に傾斜するという意味ではなかったんだね。その辺、私は偽の理解があった。

JRF2020/6/70076

……。

>辛辣な評者によると自由貿易とは要するに「一番最初に二階に上がった者がはしごを引き上げてしまう」制度である。どういう意味かと言うと、それは産業競争力においてトップにある国が、後続の国々が追いつく望みを失わせるための仕掛けに他ならないというのである。<(p.154)

「自由貿易」とは違うが、「新自由主義」についての批判を [cocolog:91758418]と[cocolog:91765142]で行っている。そこでは、新たな形の「保護主義」を模索している。

JRF2020/6/70937

[cocolog:91758418]
>直近の [cocolog:91743489] で、>遺伝子組み換え作物の持ち出しを規制するより、持ち出された物が再度入国するときに特殊な関税を課し、その関税の一部を「著作権料」などとして権利者が受け取れるとしたほうが、スジがいい<とか>種苗の「著作権」などの知的財産の重要度が地方ごと企業ごとに違うようにし、それを保護(貿易)するための行政的・技術的インフラがあればよい<と述べたが、そういうふうにまず国レベルで保護をして、それを地方に分権すべきだろう。

JRF2020/6/79804

(…)

現在は車に追跡の容易な電子タグを(ナンバープレートのように)義務付けたり、商店の監視にスマホも利用できる。EU の中で国境を管理するように地境を管理しやすくなっているはずだ。サーバーのプライバシーが結局守られているように、監視のシステムがあってもプライバシーは守れるようにできるはずだ。

JRF2020/6/78288

このあたり、たまたま COVID-19 の「ロックダウン」騒ぎに重なるものがあって驚いた。この数ヶ月、案外、国際社会はその「保護貿易」の方向を試そうとしていたのだろうか?

JRF2020/6/75209

この「ロックダウン」騒ぎの中で私が意外だったのが、気象。私は人間活動が少なくなることで気温も下がることを予想していたが、結果はむしろ気温が高いらしい。空気はキレイになったらしく、どうもそれで私の「花粉症」(?)も今年はかなりマシだったのだが、空気がキレイなせいで、日光がさえぎられず気温が上がっているとかなんとか。

JRF2020/6/75567

原油価格がマイナスになる事件もあり、ある方に、だぶついて燃やしているのが気温上昇の原因ではないかと冗談ぎみに言ったら、それはありえないとたしなめられた。車の燃料などとして使われるのと、単に燃やされるのでは、両者とも最終的には熱になるにしろ、後者のほうが、気温には大きな影響があるように私の直感がささやくのだけどなぁ…。

JRF2020/6/73188

……。

>昔の時代の「商業民族」といえば、それは中国人、アラブ人、ユダヤ人であり、これが世界の三大商業民族と呼ばれていたものである。ところがユダヤ人はともかく、他の二つは19世紀から20世紀にかけてはいささかぱっとしなかった。むしろこの時期に貿易黒字を貯め込んだ国といえば、それは日本とドイツであり、この民族はかつては最も商業とは遠く、むしろ農業国で育った「軍事民族」の代表と見られていたのである。

JRF2020/6/75581

(…)

その最大の理由は、19世紀に経済世界全体が「商業」から「産業」の世界へと移行したからである。つまり(…)兵営にいた軍隊をそのまま工場の中に引っ越しさせて号令一下、鉄鋼の量産をいくらでもできるという「産業国」こそが経済の主役を占めるようになったのであ(…)る。
<(p.155-156)

JRF2020/6/71101

船の違いなんじゃないか…という気もするが、人力でなく機械力になったそれが「産業化」ということなら、そういうことなのかもしれない。

JRF2020/6/76121

……。

>一見すると貿易は、国際経済の中で競争を激化させることによって経済戦争を加速・過熱させやすいが、実はそれは貿易の背後にある「産業」がそうさせるのであって、やはりその核に存在するのは、産業に投資するための集中した資金・資本の塊であることが、これを見るとよくわかるのである。<(p.176)

上の「比較優位」のところの私の設備「資本」の重視は、この本ではここに書かれていたといったところか。

JRF2020/6/71678

……。

>こうしてみると、産業用ロボットの普及は、当初は低賃金の単純労働者の価値を失わせることで、南側諸国に不利になると考えられていたが、蓋を開けてみるとどうも話は逆で、それは北側諸国が持っていた生産技術をロボットごと南側諸国に簡単に移転させてしまうことで、むしろ北側先進国の首を絞める結果をもたらしているケースが多いように見える。<(p.180)

農業ロボットに関しても上の「保護貿易」のような知財に関する関税的なものでキックバックできないか…と私は考えていた。そういうのが必要なのは農業だけに限らないのかな…。

JRF2020/6/70139

……。

>例えばその種の宮廷では、簡単な仕事に対して必要もないのに大量の召使いを雇っていることが多かった。これは一般には行政改革の失敗の結果と見られているが、しかしこの観点からするならば、むしろそれは富の低所得層への再分配という意味もあったと解釈できるかもしれない。つまり宮廷にとって贅沢は、社会の有効需要を保つための一種の義務だというわけである。<(p.204)

これを今の政治は認めたがらないが、これを認めると際限がなくなる…というのもあるのかな。財政的に可能な範囲で、それを公平にする手段がない…と。

JRF2020/6/72905

……。

>英国企業は借金をあまりせず、同族経営の自己資金でだんだん大きくなっていくという健全経営を行っていることが多く、外から大量の資金を調達することはあまりなかった。(…)後発資本主義国だった米国のほうがむしろ純粋な資本主義に近く、そこでは外から巨額の資金を調達して一夜で企業を立ち上げる、ということが普通に行われていた

JRF2020/6/78195

(…)

(これは現在の日本のアジアにおける技術面での立場と比較すると興味深い。日本の企業が技術を長い時間をかけて自社内部でじっくり育てて大きくなっていったのに対し、中国などの企業は技術と最新の製造機器を外から導入して一夜で最先端の企業を立ち上げることが多く、その点で一脈通じた構図が感じられなくもないのである)。
<(p.211-212)

JRF2020/6/70113

日本も中小企業が技術を蓄積しそれを活かしていたのが、つぶれて基礎体力を失った。中国は好景気で、中小企業が最新の製造機器を使える経済力・技術力を持つようになった。日本も昔は海外から多く技術をとりいれていた。…ということで、あまり的を得た議論ではないように思う。

JRF2020/6/74230

……。

>それは、もし将来何らかの形で新しい「経済学」を作ろうとした場合、三つの層(…投資家層=利子生活者層 ・ 企業家層=生産者層 ・ 労働者層=消費者層…)のどれとどれを選んで同盟構造を作るかを、前もって考慮しておく必要があるということである。<(p.221)

私のシミュレーション micro_economy シリーズはどういう同盟になるんだろう? マルクスを参考にしたりしなかったりしているが…。

JRF2020/6/79760

……。

>つまり先ほど述べた基軸通貨国の義務によって、周辺諸国に豊富な円を供給しようとすれば、それは即座に日本経済を巨額な貿易赤字体質にすることを意味し、円そのものが信頼できない通貨となっていく。そうなった場合、核兵器はおろか、経済力以外の切り札を何一つ持たない日本の弱点がもろん噴き出してしまい、円が特権的な地位につくべき理由が一つもなくなってしまうのである。<(p.282)

JRF2020/6/72987

円圏構想。アジアは雁行型で、雁はその先頭を交代しながら飛ぶという揶揄まで含めて、雁行型で行けないか…という議論はあるのだろうけど、中国の経済巨大化によってその芽は完全になくなったかな…といったところ。

JRF2020/6/72793

……。

>要するにこうしてやると、タグの値がうまく正解になるようにうまく台帳を改竄することは大変に難しくなることがご理解いただけることと思う。<(p.328)

著者のいう「中・小型機タイプのブロックチェーン」というのは、基本、「電子手形」として構想されていたものだと思う。↓では「電子指紋」技術を、どんどん裏書きしていく電子手形に使うのが当然視されている。

JRF2020/6/74188

《「日銀カード(仮称)」構想》
http://jrf.cocolog-nifty.com/society/2006/09/post.html

もちろん、51%ルールとかは最近になって聞いた話だけども。

JRF2020/6/72248

あと、大型機タイプのブロックチェーンで、ハッシュの先頭何文字かだけ一致させ計算量をコントロールするようなアイデアも、昔からあると思う。私は説明はしてないが↓の中のプログラムでそのような処理をしている。

《電子署名の替わりに Loaded Magic》
http://jrf.cocolog-nifty.com/software/2011/05/post.html

JRF2020/6/76251

……。

>では格差社会の中で無産の地位に転落してしまったローマ国内の自由農民は、その後どうなったのだろうか。彼らが帝政期にどういう状態だったかというと、結局政府が国費で貧民を養って、無料で穀物と娯楽を供給するということを行わざるを得なくなったのである。(…)まともに経済的に自立できている市民は人口全体のたった1割程度しかいなかったとも推定されている。(…)有名な「パンとサーカス」(…)現在議論されているいわゆる「ベーシック・インカム」の考えを2000年前に先取りしたものと言えるかもしれない。<(p.414-415)

JRF2020/6/71414

keyword: ベーシック インカム

ホリエモンや竹中平蔵が「ベーシックインカム」を支持しがちなのは、ローマの経験を見越してのことなのかな…。

JRF2020/6/74973

[cocolog:91758418]
>[cocolog:91179993] でも書いたが、AI が中心の社会にしてベーシックインカム的なものがほぼ必須になったら、「法人税」という名目にするかどうかは別として資本への課税ということを本来強化していくという話にならなければならない。知財課税や、GAFA などに対抗するために、法人消費の消費税を増やすべきなどと私は考えたりもした。<

彼らは資本課税への必要性についてはどう考えているんだろう?

JRF2020/6/74461

……。

……。

追記。

書き忘れ。

>もしタグの上に本来のものとは1だけ大きい数字が現れていたならば、入力値のどれかを1だけ小さくするだけで、(…)辻褄を合わせることができる(…。)「入力を1だけ変えると結果が大きく変わる」(…)方式を以下に工夫してみる(…。)まずこの場合、台帳の中のデータの数字を全部の総和を求めて、その割り算を行うことは先ほどと同じである。<(p.326)

JRF2020/6/114614

「全部の総和を求め」ることをしてしまえば、あっちで1増やしたらこっちで1減らす式の偽造が可能になる。

確かにプログラムでハッシュテーブルを作るときのハッシュ関数は、総和に関して取ることが多かったが、暗号理論寄りの SHA-1 などのハッシュ関数は、単純な総和に関しては取らないはずである。

JRF2020/6/110577

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