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平井吉夫 編『スターリン・ジョーク』を読んだ。懐かしいソ連時代の政治風刺ジョーク集。ただ昔のもののこともあって差別ネタなどもある。あと、私には、事物のわからないものもある。が、基本、楽しめた。 (JRF 4692)

JRF 2020年11月11日 (水)

『スターリン・ジョーク』(平井 吉夫 編, 河出文庫, 1990年)
https://www.amazon.co.jp/dp/4309471927
http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309471921/

1983年の単行本版の1990年の文庫版。文庫版のころにはベルリンの壁崩壊がすでにあった。

Twitter で「スターリン・ジョーク」という言葉を見て、関心を持って、この本を中古(若干プレミア価格)で買った。

JRF2020/11/116466

キッカケとも言えるジョークは↓。

《「スターリン・ジョーク」bot:Twitter:2020-11-04》
https://twitter.com/JosephStalinbot/status/1323710787853021184

三人の男が逮捕された。それぞれの容疑は、
一人目:五分遅刻。サボタージュ。
二人目:五分早く来た。スパイ容疑。
三人目:時間通りに来た。外国製の時計所持の疑い。

JRF2020/11/119261

このネタの元ネタも上の本には載っている。「★定時1」「★定時2」(p.51-52)の二つのネタを一つにまとめたもののようだ。

JRF2020/11/113351

……。

懐かしいソ連時代の政治風刺ジョーク集で、不謹慎だが、不謹慎なほうが笑える。そして不謹慎と言えば、昔のもののこともあって、差別ネタなどもある。問題あるかもしれないが、そういうのも昔のジョーク集を今求めるひそかな魅力になるか。あとで引用するユダヤ人ネタとか、現代では、ユダヤ人が言う分には笑えるだろうが、他の者が言っても笑えるものとしては通用しないかもしれない。

あと、単純には、私には、人物・事物のわからないものもあった。今は、ググれば一発なのだが…、まぁ、面倒くさいので、あまりググらなかった。

JRF2020/11/114361

……。

編者が言うには、設定から、ソ連・東欧ではこういうジョークを言えない雰囲気があった…みたいなのを想像しがちだが、実際には、政府高官などが好んで披露しあっていたりしたそうだ。そして…

JRF2020/11/119590

>さらに、もう一つ。政治諷刺ジョークは「庶民の抵抗」である、という慣用句にたいする疑問。これは明らかにウソです。政治ジョークの語り手は、いわゆる「庶民」ではなくて、支配者層の一員となるべき高等教育を受けたのに、さまざまな理由で落ちこぼれた手の白い人たちです。じっさい政治ジョークを作るのは、かなり高度な知的観念操作を必要とします。これは「庶民」の抵抗パターンではありません。そのよい例がスターリニズム諸国によくみられる、労働者あがりの指導者の無教養や無学歴をからかうジョークです。<(p.297, あとがき)

JRF2020/11/111686

資本主義国のジョークはいまいちだとして、そしてこう結論する。

>その点、ソ連・東欧のジョーク語りは幸福です。なにしろ、あの「共産主義」国家の存在そのものが、史上最大の冗談なのですから。<(p.304)

JRF2020/11/118081

……。

さて、ここからはジョークを引用していこう。いつも他の本の引用では、私のコメントを付してある意味、私が主・本が従という体裁を少しは取るのであるが、今回は、コメントを付けると「ジョークを説明する」という野暮な行為になるのでできるだけ避けることにした。

著作権法上、問題はあるが、元が「パブリック・ドメイン」的なジョークで、あくまでこの本の「著者」も「編者」と名乗っているぐらいだから、許していただけることを期待して、今回はこのスタイルで行く。

JRF2020/11/118369

おもしろいと思うジョークは人それぞれなので、ここに挙げたものの一つでもおもしろいと思ったなら、原典にあたるなどしていただきたい。この本には550点ばかりのジョークが載っている(らしい)。

JRF2020/11/112400

……。

……。

ソ連では、市場が統制され物資は不足がちで店に行列ができるのが常態だった。ソ連には差別などない建前であったが、ユダヤ人差別は存在したようだ…。

JRF2020/11/117242

>★行列2

肉屋の支配人が行列の群集に叫んだ。

「ユダヤ人は並ばなくてもいい。どっちみち肉はやれないんだから」

悲しげに一群の人々が立ち去る。数時間たった。また支配人があらわれる。

「市民諸君、まことに残念だが、つい今しがた、今日の肉の割当てが中止になったといってきましたので、あしからず」

行列は散っていった。一人の男が言う。

「ユダヤ人め、また、うまいことやりやがった」

<(p.36)

JRF2020/11/112166

……。

ソ連とアメリカは発明競争をしていた…。

JRF2020/11/113987

>★発明の父

外国人がモスクワの技術博物館にやってきた。入口に、髭を生やして眼鏡をかけた男の胸像が立っている。

「これはだれですか?」と外国人はインツーリストの案内人にたずねる。

「同志スミルノフ、発明家です」

「何を発明した人ですか?」

「いっぱいあります。電球、内燃機関、万年筆、安全カミソリ、避雷針、原子核破壊装置などです」

スミルノフ像と向かい合って、やはり髭と眼鏡の胸像が立っている。

「この人はだれですか?」と外国人。

「これは同志スルコフです。やはり発明家の」

「そうですか。で、この人は何を発明したわけですか?」

「同志スミルノフを」

<(p.103)

JRF2020/11/117062

……。

[wikipedia: ラーコシ・マーチャーシュ] はソ連の影響のもとハンガリーに恐怖政治をしいた。

JRF2020/11/111057

>★判決

一人の労働者が居酒屋で、酔ったいきおいで叫んだ。

「ラコシは馬鹿もんだ!」

ただちに逮捕、裁判。

判決。

禁固三週間 -- 名誉毀損罪

懲役十五年 -- 国家機密漏洩罪

<(p.108)

JRF2020/11/118575

……。

[wikipedia: ヴァルター・ウルブリヒト]はドイツ民主共和国(東ドイツ)の建国と初期の発展に中心的な役割を果たし、国家元首も努めた。

JRF2020/11/119751

>★語義

国語の時間。

「不幸という言葉は、どういう場合に使うでしょう?」

一人の生徒が答える。

「ぼくの切手収集がなくなったようなときです」

「ちがいますね」と先生。「そういう場合は不幸と言わず、損失と言います」

二人目の生徒。

「ボール遊びをしていて、窓ガラスを割ってしまったときが不幸です」

「ちがいます。そういう場合は損害と言います」

三人目の生徒が答える。

「ヴァルター・ウルブリトが死んだら、不幸と言います」

「よろしい」と先生。「そうですね。その場合は損失でも損害でもありません」

<(p.111)

JRF2020/11/110945

……。

[wikipedia: ラヴレンチー・ベリヤ]は、スターリンによる大粛清の主要な執行者。

JRF2020/11/115036

>★果断

スターリンがベリヤを呼びつけた。

「私の腕時計が盗まれた」

「すぐ片づけます。同志スターリン」

翌日、スターリンはベリヤに電話した。

「ベリヤ、時計が見つかったよ。書類の間に置き忘れていたんだ」

「手遅れです、同志スターリン。容疑者を五十人逮捕しましたが、全員犯行を自白しました」

<(p.125)

JRF2020/11/114415

……。

ソ連が標榜したはずの共産主義、その「創始者」マルクスは「宗教はアヘン」と言ったという…。

JRF2020/11/119948

>★感謝

おばあちゃんは何時間も行列して、やっとパンを手に入れた。思わず吐息まじりにつぶやく。

「神さま、ありがたや」

近くにいた男が聞きとがめた。

「おばあさん、今は神さまなんて言っちゃいけないんだよ。“スターリン、ありがたや”って言いなさい」

「でもねえ、スターリンが死んだら、なんて言えばいいのかい?」

「そのときこそ、“神さま、ありがたや”って言うのさ」

<(p.137)

JRF2020/11/117328

……。

東欧はソ連=ロシアによって「解放」された。その東欧での一幕…。

JRF2020/11/119701

>★愛憎

歴史の時間。

「なぜ、われわれはロシア人を愛するのですか?」

「ロシア人はわれわれを解放したからでーす」

「なぜ、われわれはアメリカ人を憎むのですか?」

「アメリカ人はわれわれを解放しなかったからでーす」

<(p.158-159)

JRF2020/11/113374

……。

[wikipedia: ブリジット・バルドー]は「フランスのマリリン・モンロー」とも形容され、20世紀のヨーロッパを代表するセックス・シンボルであった。ベルリンの壁崩壊以前の話…。

JRF2020/11/119232

>★B・B

ブリジット・バルドーが東ドイツを訪問して、ウルブリヒトに会った。

「フロイライン・バルドー、なにか私でお役に立てることは、ありませんかな」とウルブリヒト。

「ええ、ありますわ、ムッシュ」とバルドーがお色気たっぷりに答える。「私の願いは一つだけ。壁をとりはらって、あなたのお国の全国民に、国境を開いて下されば嬉しいわ」

「あっは、フロイライン! 可愛いことを言われる。あなたは私と二人だけになりたいのですな」

<(p.182)

JRF2020/11/112593

……。

ソ連は集団農場[wikipedia: コルホーズ]などの農業改革に取り組んだが、うまくいかない面も多々あったようだ。国の最高責任者・書記長だったニキタ・セルゲイェヴィッチ・フルシチョフは、厳しかったスターリンの次で、このジョーク集では割とマシな人物として描かれる…。

JRF2020/11/119227

>★対話1

フルシチョフがコルホーズを訪問した。新聞は、そのときの情景を生き生きと報道する。

「どうだい、きみんとこは?」と同志ニキタ・セルゲイェヴィッチは、いつものように陽気な冗談まじりで話しかけた。

「たいへん、うまく行ってますよ」とコルホーズ農民たちは、陽気な冗談まじりで答えた。

<(p.197)

JRF2020/11/111600

……。

>★遺産

ソ連における穀物不足は、最後の皇帝ニコライ二世の責任である。

なぜ?

ニコライ二世は退位にあたり、充分な穀物備蓄を残さなかったからだ。

<(p.199)

JRF2020/11/116564

……。

スターリンが死んでフルシチョフの時代になったが、ソ連市民の苦境は変わらなかった。ブレジネフが書記長になったとき、フルシチョフは失脚して年金生活に入った…。

JRF2020/11/115340

>★市民

解任直後、妻のニーナがフルシチョフに買物をたのんだ。数時間あと、夫は行列に疲れはてて帰ってきた。

「おれが辞めたとたんに、もう、この始末だ。」

<(p.206)

JRF2020/11/118368

……。

東欧のポーランドは「共産主義」でありながらもカトリックの信仰が続けられた…。

JRF2020/11/113780

>★教会対策

「きみんとこでは、教会との関係はどんなふうだ?」と地区党の書記が村の細胞書記にたずねた。

JRF2020/11/118065

「たいへんむずかしい問題です、同志。教会に新しい礼拝所ができたとき、司祭のやつは上座を、われわれ党員じゃなくて、ごりごりのカトリックの婆さんに決めちまいました。で、われわれは司祭をおどかしてやりましたよ。お祭り行列になっても聖像や旗をかついでやらないぞってね。ありゃ重いもんで、働きざかりの若いもんは、みんな党員ですからな。ところが司祭のやつは、こんなことを言って脅迫しやがるんで。じゃあ、これからは村の党集会の演説の原稿を書いてやらないぞってね。それで、まあ、降参したわけで」

<(p.210)

JRF2020/11/113073

……。

[wikipedia: 経済発展段階説]によると、マルクス経済学では弁証法的唯物史観にしたがって次のように大別される。原始共産制→古代奴隷制→封建社会→資本主義社会→共産主義社会。ソ連の経済学において共産主義と社会主義は同じようなものである。ソ連より少し「遅れた」ポーランドのワルシャワで、敵対する資本主義のことがたずねられる…。

JRF2020/11/119697

>★歴史的発展段階

ワルシャワ大学の学生がイデオロギー・テストを受ける。

「資本主義はいかなる発展段階にあるか?」

「資本主義は絶壁のふちに立っています」

「よろしい。では社会主義はいかなる発展段階なのか?」

「社会主義は、資本主義の次の段階です」

<(p.223)

JRF2020/11/112989

……。

新聞はイデオロギー(主義・思想)に満ちたものだった。それは西側・資本主義社会でも多かれ少なかれそうだったが、東側ではそれが顕著だった。そして共に相手側を必要以上にののしることも多かった。

JRF2020/11/112819

>★新聞1

「どうだい、暮らし向きは?」

「すばらしいよ」

「新聞は読んでるか?」

「あたりまえさ。新聞を読まないで、どうして、おれの暮らし向きがすばらしいってことがわかるんだ?」

<(p.245)

JRF2020/11/110737

……。

アルメニアの首府エレヴァン。いつのころからか、エレヴァン放送局が聴取者に回答するラジオ番組というかたちをとったジョークが、ソ連じゅうにひろがった。(p.246 引用)

JRF2020/11/119703

>★文芸問題

偉大な詩人ヴラジミール・マヤコフスキーが自殺し、最後の言葉も知られているというのは本当ですか?

本当である。マヤコフスキーは自殺したのである。最後の言葉も知られているので、ここに引用する。「同志、ぼくは共産主義者だ、撃つな!」

<(p.251)

JRF2020/11/115679

……。

「インテリ」はロシア語から来ており、インテリゲンチャ=知識人のこと。ワルシャワでの学生デモのあと…。

JRF2020/11/118862

>★知識人

今後、警察の捜索は三人一組で行なうことになった。

一人が書き、もう一人が読み、三人目が二人のインテリを監視する。

<(p.282)

JRF2020/11/118482

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