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cocolog:92396511

三浦俊彦『論理パラドクス 勝ち残り編 - 議論力を鍛える88問』と『論理パラドクス 心のワナ編 - 人はどう考えるかを考える77問』を読んだ。私的にはとてもおもしろいのだが、シミュレーションアーギュメントが肯定的に載っていたりして、人にはすすめにくい。 (JRF 6100)

JRF 2020年12月 5日 (土)

三浦俊彦『論理パラドクス 論証力を磨く99問』を読んだ([cocolog:92385476])流れで読んだ。なお、そのすぐ前には三浦俊彦『改訂版 可能世界の哲学 - 「存在と自己を考える」』(二見文庫, 2017年)も読んでいる(グローバル共有メモにはメモした)。

JRF2020/12/51970

……。

『論理パラドクス 勝ち残り編 - 議論力を鍛える88問』(三浦 俊彦 著, 二見文庫, 2017年)
https://www.amazon.co.jp/dp/4576171658
https://7net.omni7.jp/detail/1106803218

JRF2020/12/57700

>この本は、二見書房刊『論理サバイバル -- 議論力を鍛える108問(2003年)と『心理パラドクス -- 錯覚から論理を学ぶ101問』(2004年)の改訂版です。『論理サバイバル』をベースとして、そこから「心理系」「錯覚系」の問題を除外し、『心理パラドクス』の中の「言語寄り」「証明寄り」の問題を加えました。議論の力に直結する「リクツ系」の問題を集めたわけです。さらに、旧版に対して読者から寄せられた指摘を本文に取り入れつつ、書き下ろしの新作問題7つ(問題05~11)で補強して、完全な改訂版として生まれ変わりました。<(p.3, 文庫版へのまえがき)

…とのこと。

JRF2020/12/54919

……。

>問題02. 循環小数 (…) 1 = 0.999999……なのかどうか。<(p.12)

これと同種の問題は、[cocolog:76226522] の>マメ知識:数列とは自然数の関数である。<のところや、[cocolog:88125718] の結城浩『数学ガール ゲーデルの不完全性定理』を読んだときに言及している。

JRF2020/12/55912

……。

>問題12. アキレスと亀<(p.40)

keyword: アキレスと亀

[cocolog:84506351]
>アキレスと亀の問題は、今 Wikipedia に書かれているような等比級数の問題であることを、私は独力で気付き、ちょっと自慢に思っていたこともあった。<

JRF2020/12/57265

……。

>問題29. やぎさんゆうびん<(p.75)

届いたのは手紙で誰からかはわかっているという設定が活かせてない、そこを問う形がないのが残念なように思った。a の「質問の意味」という要素がないという主張もわからないでもないが、それをいうなら g の「少し大きな声」という要素もないではないか…と思ってしまう。これは「リドル」だろう。

JRF2020/12/51658

……。

>問題59. ビゼー - ヴェルディのジレンマ (…) 「もしビゼーとヴェルディが同国人だったとしたら、彼らの国籍は何だっただろう?」(…)候補は2つしかない。「彼らの国籍はフランスだっただろう」「彼らの国籍はイタリアだっただろう」この2つだけである。「もし〜〜だったとしたら……」という反実仮想は、〜〜が起こっているという点で現実世界とは異なる世界のありさまを推測する作業だが、「〜〜が起こっている可能世界」は無数にある。そうした無数の可能世界のうち、「現実世界に一番近い(…)」世界を考えることが必要だ。<(p.168-169)

JRF2020/12/54974

「反実仮想」にそんな制限は普通ないだろう。どこの国の話だ。そんな制限が普通なら異世界ストーリーとか成り立たなくなるのでは? 作者にとって都合のよいのは何かということが「反実仮想」を考える上で大事だということかもしれないが、するとこの問題はまさに典型的なリドルということになるだろう。

JRF2020/12/57649

……。

>問題78. 眠り姫問題<(p.218)

《眠り姫問題のプログラム》
http://jrf.cocolog-nifty.com/software/2017/02/post-1.html
>上掲書ではこの問題の説明の際に、明晰さや覚醒に関していろいろ述べているが、私にはよくわからなかった。<

試行の数え方の違いで派閥があるというのは私は理解できるが、それが「明晰」や「茫漠」と関係するというのは私は理解できなかった。

JRF2020/12/57687

……。

>問題87. 胡蝶の夢 (…) リアルなコンピュータシミュレーションの虚構構築が物理的に実現したら、いや、実現する確率が小さくないと判明しただけでも、それはすなわち、私たちのいるここもまたシミュレーター内部である確率を圧倒的に高める証拠となるのである。<(p.248-250)

いわゆる「シミュレーション・アーギュメント」だが、なぜ、三浦がここでその名前を出さないのかがよくわからない。ちなみにその問題に関して私は↓という記事を書いている。

JRF2020/12/59083

《シミュレーション・アーギュメントを論駁する》
http://jrf.cocolog-nifty.com/religion/2006/10/post.html

JRF2020/12/58848

>今でもコンピュータを用いながらアリを観察し、その群の習性をヒトのシミュレーションだと言い張るようコンピュータに設定すれば、それはそれで意識をコンピュータ・シミュレーションしていると言えます。しかし、だからと言ってアリは自分達がコンピュータ・シミュレートされていると信じる必要はありません。コンピュータは多くのことに介入していても、滅亡させるような介入は誰かがストップさせれば良いわけですし、コンピュータとアリの「良い関係」というものも築けるかもしれません。そうなればシミュレーションなのか一つの世界なのかもわからなくなるでしょう。<

JRF2020/12/54488

>シミュレーションの中にはクリアな意識に満たないもののほうが多いだろうし、実際にはシミュレーションの残滓・断片や中途半端なシミュレーションのほうが多いだろう。すべての意識を持った存在のうち完全なシミュレーションの中にいるものの比率は限りなくゼロに近い。<

JRF2020/12/54866

直前の [cocolog:92385476] でも書いたが、「卵が先か、ニワトリが先か」という問題の私の解答は、「ニワトリのイメージが先」というもの。いってみれば、進化にはまず今度進化する先への想像…すなわち「シミュレーション」があり、我々は常にシミュレーションをするという意識の影響のもと、同時に独立した意識でさまざまなこと…子孫を残すことも含む…をしていくわけだ。

シミュレーション?…だったら何か問題が?…となる。

JRF2020/12/53825

……。

>問題88. 輪廻転生を証明する<(p.250)

三浦俊彦『多宇宙と輪廻転生』を読んだとき不完全ながら↓と考えた。

JRF2020/12/55275

[cocolog:86854015]
>この本における転生概念は、一つの源流からはじまって(p.305の (5))、多くの人の転生元が同じ一人に宿っていたことがあり、死後ある程度時間がたってから転生するような「隔世転生」がない(p.304)というもの。

JRF2020/12/52562

(…)

しかし、一つの源流が「子」を生んだとき、それは親に一致しないから、その「子」の源流は「親」ではないとなる。>私たちは全員、すでに唯一の自意識として生まれていた<(p.305)は偽ではないか? 隔世転生を最終局面におけるおかしさで否定するなら、一つの源流という考え方も否定されねばならないのではないか? そして、同じく、滅亡がありうるとするなら、転生先がなくなるわけだから、そこもおかしくなるのではないか? 著者の「転生」の論理はおかしいと私は考える。

JRF2020/12/57867

……。

シミュレーション・アーギュメントや輪廻転生は人を選ぶ論だろう。おもしろいと感じるだけならいいが、それまでの厳密な論理から真剣にうけとりすぎて恐怖を感じる者もいるかもしれない。ここではその恐怖を中和することを書いたつもりだが、ほとんどの人はここを読むことはあるまい。そういった意味では人にすすめにくい本と言えるだろう。

JRF2020/12/56226

……。

……。

『論理パラドクス 心のワナ編 - 人はどう考えるかを考える77問』(三浦 俊彦 著, 二見文庫, 2017年)
https://www.amazon.co.jp/dp/B07YSG2NYS
https://7net.omni7.jp/detail/1106948697

JRF2020/12/56737

>『心理パラドクス -- 錯覚から論理を学ぶ101問』(2004年)と『論理サバイバル -- 議論力を鍛える108問』(2003年)からメンタル系の問題を選択して改稿し、さらに7問の新作を付け加えました。<(p.3, 文庫本へのまえがき)

…とのこと。

JRF2020/12/59672

……。

>問題04. 代表性ヒューリスティクス (…) さて、A氏について、次のどれが正しそうだろうか。正しい確率が高い順番に並べてみよう。1. 古本屋の店主 2.宅配便の配達員 3. 元プロレスラーの古本屋店主 4.元プロゴルファーの牛乳配達<(p.22)

JRF2020/12/54301

解説によると、問題は 1 か 3 のどちらを選ぶかにある。ほぼ全員 3 を選ぶのだが、>1より3の確率が高いことは不可能である。なぜなら1を「A」とすると、3は「B かつ A」という形をしているので、B という条件が付いたぶん間違いである確率が高く(…)なっているのだ。<(p.23)…とのこと。こういうときに 3 を選ぶのを代表性ヒューリスティクスと呼ぶそうだ。

JRF2020/12/54481

が、しかし、問題が、「次のどれ」ではなく「次の誰」という問題で、テレビのショーで本物は誰でしょう…と聴く感じで、1 から 4 までがシルエット姿の特定の誰かであった場合、3 を選ぶことに問題はないだろう。

この例は代表性ヒューリスティクスによる誤認というよりは、問題の誤読といったほうが適切ではないか。

…とはいうものの、私は個人的には「代表性ヒューリスティクス」というものはあると思うし、厳密に問題を解釈すれば三浦の解答で正しい…とは思うが。

JRF2020/12/51274

……。

>問題18. プラシーボ効果 (…) 「これはプラシーボである」という真実を知ってしまうと、プラシーボ効果は現れないからだ。<(p.62-65)

これは違う…となったのではないか…とググと↓が見つかる。

《偽薬とわかっていても、プラシーボ効果を得られることが証明される | ギズモード・ジャパン》
https://www.gizmodo.jp/2016/10/placebo-effect-know-fake.html

この本の出版はこの記事のあと…ということは、この記事を否定する記事がまたどこかにあるということなのだろうか…?

JRF2020/12/58758

……。

>問題24. アクセルロッドの実験 (…) じゃんけんなどでは、グー、チョキ、パーを1/3ずつデタラメに出してゆく「確率戦略」が最強なのだが<(p.82-83)

しかし、負けるのを承知で、ずっと同じ手を出したり規則的に手を変えたりするものが大量にあった場合、ちゃんと学習を行う戦略が最強になりうる。

《モンティ・ホール問題または三囚人問題の拡張とその確率操作シミュレーション - monty_report.pdf》
http://jrf.cocolog-nifty.com/software/2016/08/post.html

JRF2020/12/51311

>ジャンケンの対戦をするプログラムを考えよう。乱数だけのプログラムがかなり強いことが予想できるだろう。というか、学習とか無用で、最強かもしれない。しかし、負けるの覚悟で規則的に手を出すプログラムがあったとしよう。学習をするプログラムは、その規則的な相手には勝つことができる。乱数だけのプログラムは規則的な相手にもイーブンな戦いしかできない。

JRF2020/12/58426

(…)

ここで一回の勝ち負けではなく、複数の対戦でのポイントというのを考えよう。規則的に手を出すプログラムが多くあれば、乱数だけのプログラムより学習をするプログラムのほうが勝ち星を多く獲得できるだろう。一見、愚かな規則性が、学習の効果を発揮する余地を作るのである。

JRF2020/12/50148

規則性をあえて選択するのは「樹木」…植物のイメージがある。知恵を獲得するには、知恵の実という以上にそれがなる木が必要だったというわけ。

なお、わざと負けるような戦略が、私以外に思いつかないというわけもなく、進化に関して後述するひとこと [cocolog:87123943] すなわち ドーキンス『利己的な遺伝子』を読んだときにそういうのは「不正行為」とするなどという言及があったりした。

JRF2020/12/54150

……。

>問題25. 知らぬは亭主ばかりなり (…) 参: 小島寛之『確率的発想法』NHK出版<(p.86-90)

どこかで見た問題だと思ったら、小島寛之『確率的発想法』は、[cocolog:90564871] で読んでいた。

JRF2020/12/51894

……。

>問題30. ミズスマシはなぜ群れるのか? (…) 群れは攻撃される回数は少ないがいったん攻撃されると致命的。<(p.102-103)

これは、群れのほうが生殖機会が多い…というのが否定されないと出てこない説ではないか。普通に考えれば、群れのほうがよいのは、生殖機会が多いからではないか。

JRF2020/12/57369

……。

>問題31. 利他主義のパラドクス (…) この「種の存続」を根拠とした議論は、そもそも本来のダーウィンの考えに反しているのもかかわらず、ひと昔前まで多くの生物学者が支持しており、現在でも、サイエンスライターの中にはこの前提に立って書いている人がたくさんいる。<(p.104-105)

JRF2020/12/55947

この節の最後で、ドーキンスを引用するが、私にとってはドーキンスは、「遺伝子本質論」の疑いがあるというのはさておいても、不誠実な人物である。詳しくはドーキンス『利己的な遺伝子』を読んだときのひとこと [cocolog:87123943] を参照していただきたいが、「われわれは生存機械 -- 遺伝子という名の利己的な分子を保存するべく盲目的にプログラムされたロボット機械なのだ。」などと述べながら、あとでマイルドに言い直す。

JRF2020/12/57348

>本の後のほうに行くほど、ドーキンスは「刺激的な言い回し」に留保を付けるようになる。…ずるい。要するにわかってて刺激的に言っていたことは間違いないと思う。< そういう商業主義的不誠実さがあると私は考える。

JRF2020/12/57963

で、ドーキンスなどの主流は群淘汰を否定するのだが、性選択(性淘汰)のときに、流行みたいなものがあり、それは群での進化を促す形にもなりうる。そして、そもそもなぜ性選択という機構が選択されたか…などにも謎がある。普段は個体の適応が普通で有利だとしても、災害時や絶滅に近いときなど要所要所では群淘汰が機能していたのではないかと私は疑っている。

JRF2020/12/57896

群淘汰を個体の適応から説明することを三浦もやっているが、しかし、それは個体適応から本当に純然たるものとして出てくるだろうか? 群淘汰が良いというのが、どこかに経験としてあるがゆえに、それが試されるということではないのか? そうならば、群淘汰も一つの基準として正しいのではないかと私は思う。

JRF2020/12/53211

獲得形質の遺伝はほぼありえない(といっても上のひとことで言及するように鳥類などでそれがまったくないというのもちょっとおかしな気がするが、) ということが、広く知られてなかった時代であれば、群淘汰などをドグマから否定するということにも意味があっただろうが、性淘汰を語ることにタブーのない今では、群淘汰はあるという前提に立ち、それがどれほど効果をもたらしたかといった視点に立ったほうが得るものは多いのではないか…と個人的には思う。

JRF2020/12/54056

……。

>問題39. コペルニクス原理<(p.126)

ここの議論は『論理パラドクス』シリーズ1冊目([cocolog:92385476])で「終末論争」として出ていたものの変形である。

JRF2020/12/59077

……。

>問題43. 遊女の平均年齢<(p.134)

たまたま最近ツイッターで、次のような話題があった。

JRF2020/12/58143

《櫛 海月:Twitter:2020-11-29》
https://twitter.com/kusikurage/status/1332902172556595200
>「性差の日本史」展で見た衝撃の資料の一つがこの、とある江戸末期ごろの遊女の食事の記録。こんなん普通に飢えて死ぬやろというレベル。でも生きて、しかも夜遅くまで客を取らされていたというのだから。平均寿命(年齢じゃなく寿命)が19〜20歳だったというのも頷ける。<

JRF2020/12/50128

三浦によると平均寿命の話は少し疑うべきようだが。

JRF2020/12/58597

……。

>問題57. 2つの封筒のパラドクス<(p.163)

『改訂版 可能世界の哲学』に載っている二封筒問題とは似ているが、別物なんだね。

そちらの二封筒問題については記事にしている(その3まである)。

《二封筒問題のシミュレーション その1 基礎編》
http://jrf.cocolog-nifty.com/software/2020/11/post-91f890.html

JRF2020/12/57920

……。

>問題59. ムーアのパラドクス (…) 「100年以上生きる昆虫がいる。しかし私は100年以上生きる昆虫がいると信じてない」<(p.168)

論証としては三浦のやっていることのほうがおもしろく意味があるとは思うが、これのもともとの文脈は…、

JRF2020/12/51793

「100年以上生きる昆虫がいると言われている。しかし、私は昆虫学者のはしくれとして、昆虫に関しては見たことしか信じない。私の寿命が100年以上ということは考えにくい以上、100年以上生きる昆虫というは自分の目で確かめようがない。また、これまで私の出会った昆虫はすべて短命だった。だから、100年以上生きる昆虫がいるといって目の前に出されても、信じることができない」

JRF2020/12/58058

…というのをつづめたもの…といったところではないか。そのあげあしをとってる側を支持するのはいかがか…といったところ。

JRF2020/12/54619

……。

>問題62. 無為自然/ニルヴァーナのパラドクス (…) 仏教における理想の境地、ニルヴァーナ(涅槃)は、欲望・煩悩を断って絶対的な静寂に達した状態のことである。それを求めるのが仏道ということになるが、涅槃は、ただ安易に待っていれば到来してくるものではなく、それなりの努力なしには、到達できない。しかし希求し努力するということは、欲望・煩悩に支配されるということであり、そのような状態では欲望を脱したニルヴァーナへ到達することは不可能である。<(p.177)

JRF2020/12/55195

>そう、究極には、ニルヴァーナも無為自然も、理論ではなく、実践だということである。実践は、理論のような〈真理値を持つ命題群〉ではなく、真も偽もない端的な状況なので、その内部に「矛盾」は存在しないのである。<(p.178)

最近、[cocolog:92288127] などで私が考えている領域に近いことである。その「シミュレーション仏教」の枠組みでは、ニルヴァーナも(だいたい)最適化の一つの目標ということになっており、「矛盾」は最適化プログラムの選択で「中和」するだけ…と考えている。最適化プログラムは、「実践」に近いとできるのだろうか?

JRF2020/12/56090

……。

>問題65. 石のパラドクス (…) 神は、自分で持ち上げられない石を創れるはずなのである。なにしろ全能だから。<(p.183-184)

このあとの「矛盾」の説話に似てくるが、「自分で持ち上げられない石を創れ」という者をいかようにも規制できる。実際たずねられる文脈でどうとでもできるかもしれない。神の智慧ははかりしれないから。…とかいう解答もでき、信仰を護ることはできるのだとは思うが、確かに、論理的にそういう問題があるのは事実だろう。

JRF2020/12/55967

これと次の節に神学の問題が出てくるが、神義論をはじめ神学の問題は私は昔よく考えたものだった。

《神の全知性》
http://jrf.cocolog-nifty.com/religion/2006/02/post_9.html

《神は至善か、暴君か》
http://jrf.cocolog-nifty.com/religion/2006/02/post_8.html

JRF2020/12/58531

……。

>問題68. クローン人間 (…) 技術的にはともかく結果的には、遺伝子組み換えは従来ずっと行なわれてきた動植物の品種改良と同じことだし(…)<(p.191-192)

いやいやいや、そう言い切るのは問題があろう。

JRF2020/12/59884

はてなブックマーク - 《technobahn.com - 遺伝子操作でマラリアを駆除、大胆な方策が論文発表》
http://www.technobahn.com/cgi-bin/news/read2?f=200703221524
>id:partygirl>でも蚊を食べる鳥や昆虫や小動物に影響があるかも。<絶滅しにくさを「自然進化」で到達不能なほど増してしまうことに問題はないのだろうか?<2007/03/23

(ちなみに上のリンクはリンク切れ。)

JRF2020/12/51635

それに今はたしかに遺伝子組み換えでかなり目標に近いものが生み出せることも多くなったのだろうと思うが、特に昔の遺伝子組み換えは、とにかく組み換えてみたあと、なんども育てなおして、そこから偶然できた目標に近いものを選んでいただけ…という疑いが私にはある。通常の品種改良ではなく、そういう無理のある操作を行って外部的な影響がなかったとは考えにくい。土壌や環境への負荷が大きかったのではないか。

JRF2020/12/50014

……。

>臓器移植用の人間を育てるということは、クローンだろうがそうでなかろうがそもそもあってはならぬことで、クローンを論ずる以前の問題のはずなのに。<(p.194)

いやいや。クローンだと臓器移植しやすいというのは事実でしょう。集合論で矛盾が生じなくさせるのに、よさそうな自己言及も禁じるというのといっしょで、そういう臓器移植を禁じるために、まずクローンを禁じる…というのは論理として間違っていないと思う。

JRF2020/12/53176

ただ、人間にせず臓器だけクローンでできるようになった場合、どう考えるべきははそれはそれで難しいとは思う。ただ、そういうことが可能でも、部分的クローン人間的に発達させずに細胞から組み上げるみたいなもののほうがそれほど時間差なくできるようになるなら、そちらを選ぶ人が多いことには問題はないと私は思う。だから、クローンによる臓器の否定が、組み上げる方向を促すなら、その否定に倫理的問題はないと私は思う。

JRF2020/12/53962

……。

>問題70. 韓非子の矛と盾 (…) さて、ここで実際、無敵の矛で無敵の盾を突いてみる実験をすることができるだろう。<(p.197)

商人は言った「できるものならやってみな」。矛と盾を近付けるには非常に力がいるようになった。それでも突こうとしつづけると光が発し、矛と盾は無限に大きくなるかのようになった。まるでそこが特異点になったかのように…

…みたいなことを考えたことがあった。どこかに書いた気がするが見つからない。

JRF2020/12/52759

でも、似たことはすでに考えられているんだね。

>「参」では、商人を除いた地球全員が死滅するというオチになっていた。(…)参: 星新一「信用ある製品」(『ようこそ地球さん』新潮文庫)<(p.199)

さすが星新一!

JRF2020/12/57519

……。

こちらの本は、進化論など生物系で私と趣味が合わないという点で、私個人は人にすすめにくいとなってしまう。が、読んでみれば、こちらの本のほうがすすめやすいという人は多いのかもしれない。

JRF2020/12/55895

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