cocolog:92777748
「無断転載」は通知を受けて公開停止すれば錯誤の取消しで問題なくなるのではないか。慣習による日本法的 Notice and TakeDown 的なもの…。 (JRF 2539)
JRF 2021年5月28日 (金)
《Te B5で作る!:Twitter:2021-05-26》
https://twitter.com/Tegasuberu/status/1397490131704025096
>前回Instagramで僕の絵無断転載してた女子高生に送る用に適当に作ったやつ少しの間載せるわ。 無断転載された時にパクって使ってどうぞ(笑) その子はこれ送った瞬間にアカウント消してた https://t.co/NqRTAVSBg3<
これには画像化した文章が付いてくる。その文面は以下になる。
JRF2021/5/285601
>
初めてご連絡させていただきます、Te (@Tegasuberu) のイラストの管理人です。
Instagram にて Te (@Tegasuberu) のイラストご利用ありがとうございます。現在、無断転載が多いので転載承諾の代わりに使用料を取ることとなっており、このたびご連絡させていただきました。
JRF2021/5/287422
1掲載1日につき2000円、1週間につき1万5000円になります。現在2000円×6日12000円となっております。
* 長期掲載の場合1週間ごとに超過料金として5万円頂きます。
ネット上へのアップロードは複製行為および公衆送信行為なので、無断で行われているので現行で犯罪行為となります。
著作権侵害の罰則は10年以開の懲役または1000万円以下の罰金、もしくはこれの併科です。
JRF2021/5/283446
料金未払いの場合、法的機関への連絡になります。
お支払い方法含め、上記にご不明な点がございましたら、Te (@Tegasuberu) の TwitterDM までよろしくお願いいたします。
<
JRF2021/5/281470
しかたなく全文引用という形になった。全文引用は問題があるが、許されない場合がないわけではない。
今回は、当該 Tweet が消される可能性が高いことから、そうなると市販の本のように後で参照するということができなくなるため、私の「批判」の根拠が確認できなくなる危険が高く、それを避けるために雰囲気まで伝えるような多めの参照が必要とされたこと。また、本文が短くどこを削ることもできないこと。…これらから、全文引用という形になった。これが A4 用紙にビッシリ書かれた文とかであれば、かいつまんでの紹介をしたはずである。
JRF2021/5/282950
これに対し、「グローバル共有メモ」(およびそれをコピペした Twitter)に次のような文章を書いた。
JRF2021/5/289646
……。
○ 2021-05-26T20:31:34Z
利用形態によるが、そんなに見られるわけでもないコピーが1日2000円というのは、著作権の権利濫用くさいように思う。こういうのが権利濫用と決まっていれば、恐喝罪(未遂)くさくもなる。アカウントを消した結果を見れば、強要罪もあやしい。
JRF2021/5/283571
ただ、権利濫用の適用は一般に難しいため、今回のものがすぐに適用になるとは考えにくいが。今回のようなことが、もし、市中でまかりとおっているとなると、個人的には、著作権利用料についても、利用者の財産に応じた利息制限法的なものが必要なような気がする。
私は著作権の報酬請求権化を推していたので、制限された利用料さえ払っていれば自由に使えるようにすべきだと思うが、今の報酬請求権でない著作権の場合は、言われたら利用を停止し、時効分を除いた期間分、制限された利用料を払えばよい…となればいいと思う。
JRF2021/5/286723
ただ、相場感で言うと、そんなに有名人でもない者の Instagram なら、1日2000円ずっとは高いが、例えば、転載をした時点で、10000円、あとは1ヶ月2000円ぐらいなら、まぁ、ありえない価格設定ではないかな…とは思う。
これは自分のサイトを飾るために利用したような場合。これが引用に近い形態なら、引用の要件を満たしていれば報酬は取れないし、要件を満たさない紹介でも利用をやめれば錯誤に近く、報酬を取れるかは微妙なところ。逆に自分の作品といつわってたら、慰謝料も請求できる感じか。
JRF2021/5/285969
(注: 私は法曹三者等ではありません。著作権法まわりの話題を趣味とする一個人の見解です。)
JRF2021/5/288139
……。
○ 2021-05-26T23:46:33Z
もう少し考えてみた。
もし、文面が、即時に公開を停止することを要求し、和解金として1日2000円で 12000円を要求しているなら、例えば、それがマンガ本の全ページとかであれば、未成年を考慮すれば即時停止で錯誤取消しが成立し払う必要はないかもしれないが、常習性があったりしたなら、むしろ良心的な和解金かな…と思う。そうであれば問題はなかったのかな…と思う。
JRF2021/5/282097
しかし、今回の文面では、停止を要求せず、利用を促すかのような書き振りをしており、にもかかわらず、その金額が高校生には払いがたいものとなっており、それは(財産上の害によって)おびえさせることを目的としているように読める。そして、結果としてアカウントを消すという権利の行使の妨害が生じている。著作権の通常の権利行使なら違法性が阻却されるだろうが、権利の濫用があるとすれば、強要罪がありうるのではないか? ただ今回はわかってやってたのではなく犯罪とすべき悪意もないとは思うが…。
要はそのノリはアウトでは?…ということ。
JRF2021/5/285290
……。
……。
読んでいただければわかるように、揶揄的なものについて、法的な考察をしたに留まり、本気で人を脅迫するような者が今後出るなら、それに対する警告にはなるかもしれないが、基本、Te 様を強く非難する意思は私にはない。
JRF2021/5/287493
提案としては、著作権利用料について、利息制限法的なものが欲しいということである。そうでないと、この誰もが著作権を簡単に侵害しがちな時代に、法的なリスクがあちこちにあることになり、安定性が損なわれるように思うから。
で、Te 様がらみの話題はここまでで、それとは別にさらに少し考察して、上で即時公開停止すれば錯誤取消しが成り立つといったのは本当なのかが、気になった。
JRF2021/5/288087
今回は未成年だから…ということだったが、未成年でない、たとえば、まとめサイト系ブログでも、通知があったとき、即時公開停止すれば錯誤取消しが成り立つのではないか…と考えた。
JRF2021/5/288685
……。
2017年の民法改正後の錯誤の規定(の一部)は次のようになっている。
>第九十五条
意思表示は、次に掲げる錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる。
一 意思表示に対応する意思を欠く錯誤
二 表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤
2 前項第二号の規定による意思表示の取消しは、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限り、することができる。
<
JRF2021/5/283167
まとめサイト系ブログが、画像などを「無断転載」し紹介する際、著作権者側は、「著作権料が払われる」という契約になっていると考えているのに対し、ブログ側は、著作権料を払わなくても利用できるという慣習のもと「著作物を無料で利用できる」という契約になっていると考えているとみなすことができるだろう。
ブログ側はかなり勝手な思い込みをしていると言えるが、米国の Notice and Take Down の流れもあり、そのような慣習が成立しているとも言えななくもない現状がある。
JRF2021/5/289617
このとき、著作権者側が著作権料を払えと言ってきたら、ブログ側はどうすれば良いか? ブログ側は慣習をたてに、錯誤取消しを主張できるか?
上の第95条の2によれば、「取消しは、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限り、することができる。」とあるため、ブログ側は、前もって、「無料での転載がなり立つと考えています」という一筆が必要なのではないか。…ということが考えられる。
JRF2021/5/280171
しかし、私はそれがあったほうが安全だが、必ずしも必要はないのではないかと思う。というのは、公開されたブログで「無断転載」した時点で、「著作物を無料で利用できる」という契約になったと意思表示したことになり、「著作権者側の著作権料を払え」という通知こそが、まさにそのようなブログ側の勝手な契約に対し、著作権者側の意思に錯誤があり取消すという通知なのだと見なすべきように思うからだ。つまり、錯誤取消しは、ブログ側からでなく、まず著作権者側からなされると考えるのだ。
JRF2021/5/281929
こうしない場合、ブログ側が一方的に錯誤しているとなると、取消しの時効が問題になり、5年待てば Takedown できなくなる…というのでは法の安定性にかける。むしろ、著作権者が「無断転載」の事実を知ってから5年以内にやめるよう通知しないと時効になり、知らなくても20年たてば、もう Takedown の必要はない。…とするほうが法的に安定なように思うからだ。
JRF2021/5/289218
一方、ブログ側は、「著作権者側の著作権料を払え」または「公開停止しろ」という通知を受け取ったとき何もしなければ「著作権料が払われる」という契約になったことになるだろう。ここで、公開停止にすることが、「著作権料が払われる」という契約を錯誤取消し…というよりはそもそもの契約不成立の意思表示になると思われる。(「著作物を無料で利用できる」という契約は取消し、「著作権料が払われる」という契約は不成立。)
この際、ブログ側は損害賠償で、いくらか著作権者側に払うべきかどうかだが、ここは慣習的なものに支配されるだろう。
JRF2021/5/285909
つまり、例えば、画像の投稿がイラストサイトであり、そのイラストサイトが主体となって積極的に削除要請を出していれば、長年やってるブログ主ならそれを知っていたはずで、「無断転載」に過失があったということになろう。その場合、損害賠償は必要になろう。
しかし、ポッと出の素人がブログ主であったり、普段から無断転載が前提であるような 2ch のようなサイトへの投稿の転載であったなら、「無断転載」に過失はないということになろう。過失がないとなれば不法行為が成立せず、損害賠償責任はないとなるとであろう。
JRF2021/5/282997
……。
「無断転載」をやめるように通知するのは基本的に著作者の役割だろうが、著作者が広く広まることを望んでいるかもしれなかったとしても、投稿されたイラストサイト等は、広まるよりは自分のところで参照してもらったほうが、広告などの面で有利である。
自然、イラストサイトが、著作者の代理・代行として通知を行うようになるだろう。著作者が有償ででも依頼し、イラストサイトが通知するのが一般化すればよいと私は思う。
JRF2021/5/281986
最初の Te 様の例も、おそらくクローズドなイラストサイトなどへの投稿を公開の Instagram に無断転載されたのがキッカケだろうと思われる。このときイラストサイトと Instagram 間で自動的に転載防止がはかられていれば、このようなことは起きなかったであろう。逆に、転載許可という定型な意思をイラストサイトでしていれば、仮に口頭で転載不可と言ったとしても、Instagram への転載を非難することはできなくなるだろう。
JRF2021/5/285222
……。
まぁ、この辺、ネットの「歴史」も長いので、私がいうまでもなく、慣習は確立しているのだろうけど。ただ、ググっても無断転載と錯誤を結びつけるものが見つからなかったので、今回、こちらで「ひとこと」した。
最後に繰り返す。
注: 私は法曹三者等ではありません。著作権法まわりの話題を趣味とする一個人の見解です。
JRF2021/5/281101
……。
……。
追記。
著作権者側の契約の意思表示がないように見える問題。
著作権者のイラスト等が「無断転載」される前にどこかに察知可能なように公開で投稿された時点で、「無断転載」されてもよいという意思表示があったということになるんだろうか?
それでいいとしても、察知可能になるまである程度期間(1ヶ月?1年?)を置いたりしないと公正でない気がする。
JRF2021/5/288732
また、最初の投稿がたとえば、掲載誌からのキャプチャであったとき、それを無断転載した場合、善意の第三者だから問題ないとなるのだろうか? このような場合があるから、補償金的なものが必要なのかもしれない。過失があるかどうかが明確でないため、通知を受けたとき一定の和解金を支払う慣行があったとすれば、それは是認される…ということであろう。
JRF2021/5/284516
……。
……。
追記。
さらにもう少し考えてみる。
Twitter などは、引用用のツール…いわゆる「埋め込み」機能を提供している。それを使うことで、Twitter 上で削除された場合、引用先でも削除される…といったことができる。そういう削除ができるという安全性が Twitter を利用する理由にはあるのかもしれない。
JRF2021/5/280047
しかし、出版などを考えると、広く公開した者には言論の責任がともなうとも考えるべきで「削除の権利」だけを尊重することもできない。
JRF2021/5/280270
本の場合は自主回収ができる。しかし、自主回収した本が図書館にある場合、その閲覧を禁じることはできないだろう。よしんば閲覧を禁じれるとしても、自主回収にはほうぼうへの連絡が必要であり、そのことからブログサイトへ削除の要請を必要としても問題ないと思われる。まぁ、たしかに手間がかかるので、業界への公示手段ができるのは良いことだと思うが。
JRF2021/5/280040
自主回収できるよう売る範囲をあらかじめ限定するというのは、クローズドサイトへの投稿に該当する。それはまた別の話だ。
転載したところが SNS ならば別の問題がある。SNS は日記・集団の日誌的なものである。日誌をコピーして配る…のは私的複製を超えるためダメだが、無料の資料を人数分取得していたと解釈するならどうか? ログインした限られたフォロワーにのみ見れるのであれば削除できなくても問題ないのかもしれない。
JRF2021/5/281880
……。
無断転載できない無料公開サイトの条件を考えてみよう。
まず、ログインしないと閲覧できないようになっている場合。この場合、そのサイトのユーザーだけの閲覧を意図しているものとみなせる。
次に、イラストに報酬を出しているサイトの場合。この場合、そのサイトでの閲覧が増えることが著者の利益に直結しており、そのサイトに呼ぶことを著者が望んでいるとみなせる。
JRF2021/5/285376
そして、専属契約などした上でサイトが削除の代行をしている場合。この場合、サイト以外で表示する意志がないことに実質的な担保があるとみなせる。
逆に「ログインしないと閲覧できない」わけでもなく、「イラストに報酬を出している」わけでもなく、「サイトが削除の代行をしている」わけでもないサイトで、公開している場合、それは広く公開されることを望んでいるとみなすべきだ。
JRF2021/5/287182
さらに、そのような公開をしながら、プロフィールで「無断転載禁止」と書いても、それは、意思の表示内容に齟齬があってはならないという英米法の禁反言または日本法の信義誠実の原則に反するものと思われる。そのような禁止に気付かなかったと主張する者に守られなくてもやむを得ない。
ところが、このような公開の条件を満たすと思われる (鍵アカでない) Twitter での無料公開も、「無断転載」に賠償を求める判決が出ている。
JRF2021/5/288365
《イラスト無断転載、まとめサイトに30万円の賠償命じる判決 「VIPPER速報」「ガールズVIPまとめ」など訴えた注目裁判が決着 - ねとらぼ》
https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1807/27/news114.html
《「無料公開」でも無断転載により損害 まとめサイト側に賠償命令 東京地裁(1/3ページ) - 産経ニュース》
https://www.sankei.com/article/20181029-EJRPGTBJRFLK5CNBWSWU4OOBHE/
JRF2021/5/285697
>一方で判決は「ツイッター社の条件に従えば、第三者が投稿を使用できる」とも言及。ツイッターは利用規約で、元の投稿画面にアクセスでき、アカウント名が明示される「埋め込み」機能を使えば他のサイトへの転載を認めている。ただ、今回のサイトは埋め込みを使わずにイラストを転載しており、判決は著作権侵害に当たると判断した。判決は同月に確定した。
サイトの関係者によると、今後は画像の引用元を明記するほか、文章の引用は数行程度にとどめ引用元のリンクを添付する対応を取るという。
<
JRF2021/5/289581
ところが、なぜか、産経ニュースの引用にあるように、この判決、引用的要件を満たしていれば OK 的な記述がある。
イラストの引用に関しては、難しい問題がある。引用は必要最小限でなければならないが、だからと言って、変に縮小したり情報量を減らすと今度は同一性保持権に反するようになり、さらに、ネットの検索で逆に探しにくくなるという弊害がある。
だから、出所の明示等があれば、そのままでの「無断転載」を引用と認めるということだろうか?
このあたりの矛盾について、私は整合性をとるためこう解釈する。
JRF2021/5/285916
無料で公開されているイラスト等については、出所の明示等があれば、引用的利用の慣行による「無断転載」は(無料で)認められる。ただし、それは引用そのものではなく、通常の引用なら言われても削除する必要はないが、引用的利用の慣行の場合は上で私が述べたような契約なので、その契約の取消し…削除の余地がある。その取消しが成立すれば、ブログ等はイラストを削除せねばならない。ただし、それが禁反言に反しないよう、元ツイートなども消すなり、クローズドにするなりせねばならない。
…とすれば公正なのではないか。
JRF2021/5/288297
なお、削除したものを著者が本などで再公開する場合は、ブログ等での再公開も認めなければ公正に失するだろう。
JRF2021/5/287250
……。
集団の日誌的なフォロワー数の少ない SNS での利用については要件を弱くし、集団の日誌の簡便性から類推し、引用的要件を十分満たさない場合でもことさらに隠したわけではないなら削除したりクローズドにすればいいとなればいいのではないか?
JRF2021/5/286794
……。
……。
追記。
さらにもう少し考えてみる。
以下、「ログインしないと閲覧できない」「イラストに報酬を出している」「サイトが削除の代行をしている」を三条件と呼ぶ。
三条件のどれかを満たすような「クローズドなサイト」から未成年が SNS に「無断転載」したという例を考える。
JRF2021/5/317609
この場合、未成年が錯誤をしているということになろう。第95条の2の表示は SNS に「無断転載」したことそのもので、それができると思っているという認識を示すとできるとしたい。または、意思不存在型錯誤とするか。
この場合、未成年であるから重過失はなく、錯誤は認められる可能性が高いと思う。ただ、錯誤による取消しが認められた上で、不当利得や不法行為があるとなるかも問題となる。
JRF2021/5/317544
不当利得ということでいうと、SNS の「いいね」やフォロワー数の増加などが受益になるが、それが著者から本来得られるはずのものであったかというと難しい。かりにそうであったとしても、それを原状回復はできないので、金銭的に補う…という話になるが、そんな算定ができるだろうか?
錯誤が認められれば不法行為はないとできるだろうが、仮に不法行為がありうるとすれば、過失が問題になるだろう。ただ、未成年にそれほど大きな過失があるとは思えない。損害賠償額はかなり手加減したものになるべきだ。
JRF2021/5/318114
仮に、不当利得や損害賠償がありうるとしても、まだ、著作権の権利制限の抗弁がある。
まず、引用であるが、ここでは引用の要件をキッチリ満たしてはいないと仮定しよう。その上で、著作権法 第41条 時事の事件の報道のための利用 と、第42条 裁判手続等における複製 (参: [cocolog:92689279])を主張する余地がありうる。
JRF2021/5/318989
著者のイラストは若者(未成年)にとって「事件」であることはありえ、それが通常の報道機関や民間的行政的争訟には引っかからない可能性が高いときに、証拠となりやすいネットに情報を確保し、報道の担保とするのは公正なことのように思われる。
こういう場合、第41条や第42条が簡単に認められない可能性のほうが高いが、もし認められれば、無償で「無断転載」でき、しかも言われても削除する必要はなくなるであろう。
JRF2021/5/316461
この未成年側に「不当利得や損害賠償がありうる」不利益と、そして著者側の「削除もいらず無断転載ができる」不利益、二つの不利益を衡量して、同じとみて、「削除するが、賠償などは取らない」という和解が成立しうると考える。
無理に賠償を取ろうとするような者に対しては、著作権の権利制限を認めるような訴訟指揮を求めたい。
JRF2021/5/310281
……。
次に、三条件を満たさず、無断転載が一般に認められる場合。ブログ主が Twitter の著者のイラストを「無断転載」したという例を考える。
このときは、引用の要件的なことをブログ主が守っていれば、慣習のもと「著作物を無料で利用できる」という公正な契約になっていると考える。
JRF2021/5/315614
その上で、著者はブログ主に削除を要求したい場合は、三条件を満たさないことが「無断転載」の許可を意味することは知らなかった…として、著者の側が錯誤を主張するという展開になろう。著者がプロフィールで、「無断転載禁止」をうたっていれば、95条の2の要件を満たすと考えやすいかもしれない。なくても意思不存在型錯誤とできるのではないか。
この場合、著者は契約の端緒となったイラストを Twitter からまず削除する必要があるだろう。
JRF2021/5/318898
その上で、やはりブログ主は、上の例のような第41条や第42条の抗弁の余地があると私はするが、それを主張しない場合、ブログからイラストを削除することになろう。
ブログ主の不当利得があるという主張があるなら、第41条や第42条の余地があるとする抗弁で、相殺されるべきと思う。
JRF2021/5/315344
不法行為に関しては、ブログ主側の「無断転載禁止」を読んでなかったことと、著者側の「無断転載禁止」は過当表示であることを知らなかったことの過失相殺的なことはあろう。その上で、ブログ主が得た利益と、ブログ主の記事にする労力という損害の間で、相殺がなされ、結局、削除をすれば、それ以上の問題はない…となるのが公正と思われる。
JRF2021/5/316474
ただ、第41条や第42条の余地が本当にある場合は、それを広く認め、引用とのあわせわざで、削除しないで済むほうがベターであると私は思う。その際、補償金のようなものが支払われて、和解して、著作権の権利制限についてはあいまいなまま、削除しないような対応がとられるなら、なお良いことだと思う。
JRF2021/5/316214
……。
追記。
補足。
「クローズドサイト」のものを転載するとき、って、「クローズドサイト」の存在を知られてはいけない…みたいなのもあると思うんだよね。だから、引用的要件を厳しく求めることができない場合もある…と思う。それは取材源の秘匿に近い。だから、自作でない…とか、それがどのように「事件」であり、名誉毀損したりする意図はない旨…を書けば、第41条や第42条の適用がありうる。…というふうになればいいと思う。
JRF2021/5/315714
……。
……。
追記。
補足。Twitter などでバズった場合。
バズるということ自体がネットでは一つの「事件」なのでその時点で著作権法 第41条 時事の事件の報道のための利用 の適用があるべきだ…という立場と、やっとバズらせたのだから現金化したい…という立場、ともにもっともだと私は思う。
JRF2021/6/26806
両者を調停することは難しい。全部のそのままの転載は、著作権の権利制限にひっかかるかもしれない…というあいまいさのもと、補償金は得られる。補償金の額は通常の利用料よりは少ないかもしれないが、数があるのでまぁまぁ満足できる。…ようになれば良いと思うぐらいだ。ただ、あまり補償金の額を高くしたりうるさくいうと、バズること自体に喜びがある者が、さらにバズらせるためのブログ等への転載がされにくくなる…という点で問題はある。
JRF2021/6/25180
あとは、上では、>削除したものを著者が本などで再公開する場合は、ブログ等での再公開も認めなければ公正に失する<…と書いたが、ブログ等での再公開の際に本などへのリンクを求めるぐらいは公正だろう。ブログ主は再公開できる根拠を知ったはずだから、その根拠を付すべきだ。それがブログ主へのキックバックがあるアフィリエイトリンクでもよい。…ぐらいのところ。
JRF2021/6/20155
……。
……。
追記。
「無断転載」について問題になるようなニュースがあった。
《「Nintendo Directのミラー配信やめて」 任天堂が呼び掛け “同時視聴”はOK - ITmedia NEWS》
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2106/15/news128.html
それについて「グローバル共有メモ」で書いたこと。
JRF2021/6/161555
……。
○ 2021-06-16T10:36:18Z
じゃあ、なぜ YouTube のような無料公開プラットフォームで配信するのだろう? YouTube などと互恵関係にあり、そこに集めることで間接的に任天堂は利益を得ている…またはそうしないとそこで「まとも」な発表がしづらくなる…ということなのだろうか?
JRF2021/6/166332
……。
○ 2021-06-16T11:16:48Z
(YouTube などの)プラットフォーマーにはプロモーションカルテルと呼ぶべきものがあり、広告主が「逸脱」を許すと、直接的には広告料を上げられるなどの嫌がらせがある…ということなのだろうか?
そうだとすると、プロモーションをかける側には、そのような「嫌がらせ」を受けないという利益供与を受けている関係が慣習的に成り立っていると言えるのかもしれない。
JRF2021/6/161051
(…)
ここ(このひとこと)で示した三条件のうち、プロモーションをする者は、慣習的に利益を得ているため「イラストに報酬を出しているサイトの場合。」に相当する…ということになろうか。だから、「無断転載」が許されない。…と。
私はそう解釈する。
JRF2021/6/168169
……。
プロモーションをした結果、データが返って来る。それも「報酬」だと言いたいところだが、それを「報酬」と見るなら、フォロワー数のカウントも「報酬」とせねばならない。それはこの「ひとこと」の論旨からしてマズい。他のユーザーは得られない広告主だけが得られる特別なデータの提供があるなら「報酬」と見ても良いかもしれないが…。
JRF2021/6/164808
その「報酬」の質を良くするために、独占的に配信させることに利益があるということにはなる。フォロワー数のように公開されているデータの場合は、そのような「報酬」とするには足りない…とでも私は考えるか。
JRF2021/6/168731
「無断転載」を非難するような Tweet があった。これは揶揄的・冗談的なものを含んでいて、それほど深刻なものではないと見受けられるが、あえて深刻に受け取って、考察してみた。考察は「グローバル共有メモ」でまず行ったが、それを少し編集してこちらにコピペする。
問題となった Tweet は次である。
JRF2021/5/284117