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オペラ『ヴェルディ:オテロ』、『ヤナーチェク:利口な女狐の物語』、『ベルク:ルル』、『コルンゴルト:死の都』、『プッチーニ:ラ・ボエーム』、『サーリアホ:Only the Sound Remains』、『ショスタコーヴィチ:ムツェンスク郡のマクベス夫人』を観た。 (JRF 6864)

JRF 2021年7月 5日 (月)

(音楽鑑賞の感想の一つ前のものは、[cocolog:92772466])

6月に放送でオペラやバレエを観たり、BD や DVD のオペラを観たり、CD を何枚か聴いたりした。そのうちオペラに関しては「グローバル共有メモ」に感想…というには短いメモを書いていたのを、この「ひとこと」にコピペしておく。

今回の中では、特に『ルル』が良かった。

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○ 2021-06-02T14:33:20Z

ムーティ指揮 ヴィック演出 ミラノ・スカラ座 『ヴェルディ: 歌劇「オテロ」』(DVD, 収録: 2001年12月18・20日, 発売: 日本コロムビア・DENON 2011年) を観た。シェークスピアの劇にもとづくストーリー。

キッカケは、前に観た『サムソンとデリラ』でドミンゴがオテロに言及していたこと、シェークスピア劇であるということ、ヴェルディの最晩年(最後から2番目)のオペラであるということ…から興味を持ち、ドミンゴのオテロであるこの DVD を選んだ。

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第1幕最後のオテロのドミンゴと、デズデーモナのフリットリの二重奏、ドミンゴは黒く肌を塗っていると思うがその黒い肌と、フリットリの白い肌の対比がとても美しかった。黒い肌と白い肌、老人に近い高齢と若さ、テノールとソプラノ、青い衣装と白い衣装その対比がとても美しかった。オペラは歌が大事なのはもちろんだが、私はどうしても見た目が気になる。が、今回の DVD はオテロとデズデーモナ以外の配役もみな、年齢などがあってる感じで、見た目の点においても、とても満足できた。

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Blu-ray ならなおよかっただろうが、収録が 2001年と十分新しいせいか、DVD でもそんなに遜色なく感じた。音も低音がバッチリ入っている感じで第1幕の最初などうるさいぐらいの音量で入っていて、とても良かった。

ドミンゴの声も解説では年齢から来る衰えを感じさせる…とのことだが、素人の私はまったくそれは感じなかった。すばらしい声だった。ヤーゴをはじめ、歌声の面でもすべての配役がハマリ役といった感じだった。

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物語は、Wikipedia によると、ヴェルディが「ヤーゴ」とオペラに名付けたかったというぐらいヤーゴという人物のキャラが立ってた。私ももし組織で過ごすようなことがあれば、頭の使いどころを容易に誤りヤーゴのような陰謀をしようとしがちだったろう。大学のころちょっと思い当たることがある。そしてヤーゴも結局は失敗したが、私の場合は不注意からもっと早くに失敗して、まわりに迷惑をかけただろう。

…ちなみにこういう私のような告白を聴いて組織から人を排除するような人間がいたとしたら、それはオテロのような失敗を犯す人間なんだろうと思う。

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○ 2021-06-05T15:16:08Z

小澤征爾 指揮 ペリー演出 サイトウ・キネン・オーケストラ 『ヤナーチェク: 歌劇「利口な女狐の物語」』(BD, 収録: 2008年8月28日・9月2日, 発売: 2010年 NHKエンタープライズ) を観た。Wikipedia によると「マクス・ブロートの演出プラン」を踏襲する演出のようだ。

キッカケは、ヤナーチェクを私が好きでオペラに興味を持ち、日本語字幕のある BD で中古でたまたま手に入れやすかったのがこれだったこと。

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一聴して、音楽は期待通り良かったのだが、物語はかなり意味不明だった。Wikipedia を読んで解説を読んでから観たがわからず、BD を観終ったあと Wikipedia を読み直してやっとおぼろげに話をつかんだ…といったところ。

あと、ハエ(?)の集団がシーンをつなぐようにシーンの合間ごとにダンスをするのだが、色が真っ黒でせっかくのダンスがわかりにくかった。特に第1幕。手足だけでも違う色にできなかったものかと思う。他の衣装はリアル過ぎずデフォルメし過ぎず良かったと思う。

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あと、雄狐も女声だったのは普通そうらしいが、意外だった。

あと、銃声や声に比べて、オーケストラの音量が小さな気がした。

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○ 2021-06-08T03:05:10Z

M. アルブレヒト 指揮 V. ネミロヴァ 演出 ウィーン・フィル 『ベルク: 歌劇「ルル」(三幕版)』(2DVD, 収録: ザルツブルク音楽祭 2010年8月, 発売: Euroarts 2012年) を観た。

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キッカケは、ラトル指揮『ルル組曲』を再聴して、本物のオペラのほうを観たいと思ったこと。当初は、別の Blu-ray を目当てにしていたが、『西部の娘』の Trailer を観て、プティボンの容姿が「ファム・ファタル」のイメージにピッタリだったので、観た目で、その Blu-ray が欲しくなった。しかし、現在のところ Blu-ray は英語字幕しかないものしか市場で出回ってなさそうな雰囲気。しかたなく、DVD 版を購入した。

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プティボンには同時期に、別の演出家による DVD もあるが、Trailer を見た限りの衣装・髪型と、日本語字幕があることよりこちらを選んだ。衣装のキワドサでは別の演出家のもののほうが勝っていて、「下品」だったそうで、それはそれで気になったのだが…。

観ると、プティボンの赤い髪とギョロ目がとても印象的。それに扇情的な白い衣装がいくつも出てきて度肝を抜かれる。すばらしい。歌に関しては比較対象がないのでわからないが、私は良いと思った。意外に男性陣の歌も重要な感じで、そこにも私は不満なかった。

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演出は、ルルの衣装がすばらしいとして、セットは現代曲風にそこそこ抽象的だが、抽象的過ぎるわけでもなく、第3幕の客席で歌うところとかはまぁすごい…とは思うが、美しいかと言われると…少し疑問かな…と思った。

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物語は、前半は男が死んでいき、後半はルルが落ちぶれていくストーリーで、いたたまれない感じ。ラストは、Wikipedia によると伯爵夫人も刺されるとのことだが、それがよくわからなかった。かつての父がわりの夫に似た「切り裂きジャック」を出す発想は、デウス・エクス・マキナ的で、何という理由もなくわけもわからず死んだ…ということなのだろう…と理解。

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音楽はとても良いと思った。第3幕はベルクが断片的に残したものをツェルハが補筆したものらしいが、確かにパリの情景とかはそれまでと違う感じだが、それはパリだからかもしれず、そんなに気にならなかった。あいかわらず良かったと思う。

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○ 2021-06-14T11:01:30Z

ペトレンコ指揮 ストーン演出 バイエルン国立歌劇場 『コルンゴルト: 歌劇「死の都」』(収録: 2019年12月1・6日 バイエルン国立歌劇場, 放送: 2021年6月13日(14日) NHK BS P) の録画を観た。

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最近『ベルク: ルル』を観て、同時代の作曲家ということで、この放送をとても楽しみにしていた。が、放送時は雷雨が激しく、録画失敗を覚悟していたところ、幸運なことに最後まで録画できていた。ただし、第1幕は途中一瞬音声が途切れることが10回ぐらいあり、映像も一瞬乱れることが5・6回あった。ただ、アナログレコードとかの音飛びと同じようなものなので、気にせずに聴こうと思えば聴けるぐらいのこと。そういうのは第1幕だけだったし、問題ない…で済ませられ、良かった。

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曲は、Wikipedia には R.シュトラウスとプッチーニの影響…と書いているが、後期ロマン派的というよりはベルクやシェーンベルクを一度経由して、MGM のミュージカルに向かう道筋にある作曲家という印象になった。無調的な部分が結構あるが、まるでロマン派のように見せている感じ。後期ロマン派のゴテゴテした感じは、ないわけではないが、むしろ、同時代のバルトークなどのこじんまりとした感じも持っている。複雑なことをしてるはずなのに、仕上げはかなりキャッチー。

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物語は、「メロドラマ」への過渡期の感がある。特に衣装が現代的なためそう感じたのかもしれない。夢オチだが、夢は本当はどちらなのか…といったところ。

歌手にとっては長丁場で難しいオペラらしいが、主役二人が苦しさを感させることはなかったように思う。

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○ 2021-06-16T04:48:03Z

ロバート・ドーンヘルム 監督 ベルトラン・ド・ビリー 指揮 バイエルン放送交響楽団 『プッチーニ: 歌劇「ラ・ボエーム」』(製作: 2008年, 放送: 2021年6月13日 NHK Eテレ) のオペラ映画を録画して観た。以前、一度観た覚えがあった。

BL は割と普遍的な価値観で、この作品に描かれる4人の若い男の貧しくも楽しげな共同生活から得られる特別な養分があり、このオペラを特別なものにしているのではないかと思った。

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時々、白黒になる場面の意図がはかりかねるところと、映画のため幕間の休憩がないことには多少不満があるが、概ねおもしろく、ちょっと涙が出そうになる場面もあった。

何より、プッチーニの音楽がすばらしい。有名なアリアもあって満足感が高い。観て良かった。

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○ 2021-07-01T06:41:50Z

セラーズ演出 リッダー指揮 オランダ国立オペラ 『サーリアホ: 歌劇「Only the Sound Remains (余韻)」』(BD, 収録: 2016年3月, 発売: 2017年 WARNER ERATO)を見た。

キッカケは、現代オペラに興味を持っていたころ、2021年5月30日 NHK Eテレ『狂言「柑子」大蔵流/能「山姥 白頭」金剛流』を観て、さらに能に興味を持ち、↓のブログ記事を読んで、本作を観てみたいと思ったこと。

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《[オペラ]サーリアホ 《Only the Sound Remains – 余韻》 - charisの美学日誌》
https://charis.hatenadiary.com/entry/20210607/1623039871

今回の Blu-ray にはいつも私が買うものと違って日本語字幕がない。英語の歌だが、ちゃんと英語字幕はあるので、英語字幕で観た。何度も一時停止しては辞書を引きながら…。

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第1幕は能「経正[つねまさ]」から、第2幕は能「羽衣」から取っている。物語自体はもとのものに忠実なようだが、演出は、変わっている。「セリフ」の歌を姿を見せて歌うのは、バスバリトンとカウンターテナー(女声のように高い声)の男性二人だけ。「羽衣」では女性が舞台に出てくるが、奇妙に踊ってるだけで、その天女の歌はカウンターテナーが歌う。

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最初はじまったときは、抽象的なセットに男一人というのが長く、これは難しいオペラを買ってしまったかと思ったが、もう一人男が出てきて安心する。最初はライヴ収録かと思ったが、その部分もないではないのだろうが、映像ではカットが分かれていて切りかわりがある。

映像では姿が見えてるのに、見えてない…とか歌われるところ。とても神秘的で幽霊の感じが出ている。愛されていた Emperor から与えられた lute を惜しむところが、ゾクゾクする。

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その後、BL 風の展開になり、まぁ、途中から予想できなかったわけではないが、日本では「愛する」といってもそういう風に…キスしたり…という風には描かないだろうな…とは思った。(いっしょに、怖いいくさの話をするぐらい? それが日本のホモソーシャルな感じかな?)

第2幕は、最後、羽衣を奪われた踊りを見せて天女が帰っていくという話だが、羽衣は奪われるというよりも渡される感じで、踊りも最後だけでなくずっと踊っているので違和感はあった。しかし、「奇妙な踊り」は芸術的ではあり、舞台をより神秘的に夢のようにしていた。

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音楽は「現代曲」ふうで良いが、英語詞のなめらかさは作曲家ブリテンからの系譜を私は感じた。

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○ 2021-07-03T05:49:38Z

ヤンソンス指揮 クシェイ演出 ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団 『ショスタコーヴィチ: 歌劇「ムツェンスク郡のマクベス夫人」』(DVD 2枚組, 収録: 2006年6月 ネーデルランド・オペラ2006, 発売: OPUS ARTE・DENON・日本コロムビア 2012年) を観た。

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キッカケは、『ルル』の DVD を買うとき Amazon 評を読んでいて、20世紀の傑作オペラは、『ルル』と『ヴォツェック』とこの『ムツェンスク郡のマクベス夫人』だというのを観て、これは一度観てみないといけないと思ったこと。

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物語は Wikipedia などを参考にしていただきたいが、ロシアで豪商の父ボリスと子ジノーヴィのうち子ジノーヴィの嫁カテリーナは、夫との生活に不満を持っていたところ、使用人セルゲイに強姦されたにもかかわらずセルゲイが好きになってしまう。そして、ボリスを殺し、ジノーヴィを殺して、セルゲイと結婚するが、結婚の日に警察に捕まりシベリア送りに。シベリアでセルゲイは別の女に近づく。カテリーナはその女を殺して自分も死にジ・エンド。

JRF2021/7/55069

ただ、この演出では、セルゲイに強姦されたときシーツに血がつき、処女であったことが示唆される。ここがよくわからない。ボリスは子孫を残すため縁組みしたが、ジノーヴィは、ロシアの豪商を嫌う「社会主義」的人間で、自分の代で子供を残すのはやめよう…と思っていたのか。…それとも単に生理だったとか?…それはないと思うが…。ここは余計なものだったように思う。

JRF2021/7/51931

カテリーナは深く考えず、重い恨みがあるわけでもなく、二人の身内を殺す。人は戦争をしてきたから人を殺すのに実際には慣れており、理性がほんの少し崩れただけで、人を殺してしまうことはあるのだと思う。それに、ドキュメンタリーで解説していたように、ボリスの周囲には死体がたくさん埋まっており、特別な殺人の雰囲気の中にあったことも大きいのだろう。

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セルゲイは当然のようにシベリアで裏切るわけだが、そういう類型の男性に対し女性一般がこりてないのは、その後、年の離れた男に迎え入れられるなど生きる道があったからなのだろうか? そこまで「進化」が追いついてないということなのか? よくわからない。

最後、この演出ではカテリーナは自殺ではなく、嬲り殺される。財産があって、牢の中でも比較的いい生活をしていたのを嫉妬されたからであろうか。その現代的意義はなんなのだろう?

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音楽は、ショスタコーヴィチらしい音楽であるが、そこまで現代曲風ではなく、オーディオの相性のせいか、いまいち、のりきれない感じだった。「20世紀の傑作」は、私にとってはベルクの『ルル』か『ヴォツェック』をとることになるのかなぁ…という感じ。

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○ 2021-06-27T12:44:37Z

夏で扇風機が回っていたりクーラーが動いていたりすると、音が大きく、クラシックのまともな視聴が難しくなる。クラシックの視聴はそろそろしばらくおやすみかな…。

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