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「オイラー方程式」とは何か。特に経済学において。その意味は、「オイラー方程式はラグランジアンから導かれる微分方程式で、ある変数とその微分の2つの変数を含み、そこからその変数の時間的変化の曲線が決まるもの」である。 (JRF 4244)

JRF 2022年6月15日 (水)

いくつか動的マクロ経済学の本を読んで([cocolog:93455912], [cocolog:93532295])、「オイラー方程式」って何ぞや…となった。それが長沼伸一郎『経済学の直観的方法 マクロ経済学 編』([cocolog:86465092])を再読して、そこにちゃんと書いてあったのに気付いた。

その本の p.159 から p.166 までから自由な引用を要約して長めにしよう。


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「オイラー方程式」は物理においては解析力学、というよりその黎明期の「最速下降線」の時に現れてきたものである。

要件1. オイラー方程式はラグランジュアンから導かれる微分方程式で、これを経由すれば一発で位置 x(t) の時間的変化の曲線が求まる。

要件2. この方程式は x と \dot{x} (== dx/dt) の2つの変数で書かれている。

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経済学ではたとえばここで位置 x を消費 c におきかえ、ラムゼイ・モデルの \dot{c}/c == (r - \rho) / \theta というのがオイラー方程式になっている。

物理の場合、オイラー方程式はほぼ一種類で決め打ちされている。それは物理の場合、天体や粒子の動きを決めるラグランジュアンは、いわば天から定められた一通りのものだけなので、オイラー方程式もそれに対応する1種類だけを考えればよいからである。

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それに対して、経済学部では、企業や政策当局が何を最小化したいのかに応じて、いろいろなパターンのラグランジュアンを考える必要がある。そのためむしろこちらの世界でこそ、一般的な定義や性質に関する説明が欲しいのだが、その話はしばしば理系と文系のギャップに落ち込んで、どの本にもちゃんと書かれちないということが起こりがちなのである。

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またもう一つ、経済学部向けの話を付け加えておくと、上の話は「c(t) と \dot{c}(t)」という連続関数の微分記号の形式で書かれているが、マクロ経済学ではむしろ「c_t および c_{t+1}」などのような差分形式が使われることのほうが多い。そして、その場合は、先ほどの「c と \dot{c} のペア」に相当するものが、差分形式では c_t と c_{t+1} のペアになる。

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そのように書き換えられる理由は簡単で、一般に差分と微分の関係は差分形式が c_t、微分形式が c(t) のときには c_{t+1} - c_t = \dot{c} Δt という形で書かれるのだから、一方のペアがあればそこからもう一方のペアを簡単に書き出せて、両者は情報という点で等価である。


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……。

さて、この本には「保存量」としてのハミルトニアンの話も出てくる。そこも私は詰まったところであった。他の部分も他の方が詰まっている勘所を抑えているように思う。もし、この本を読んだことがあって私みたいに忘れてこのページに辿り着いたのなら、良いが、そうでなくこの本を読んだことがないなら、悪いことは言わないから、この本とこの著者の『経済学の直観的方法 確率・統計 編』と『物理数学の直観的方法』は買っておいたほうがいい。強くオススメする。

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『経済学の直観的方法 マクロ経済学 編』(長沼 伸一郎 著, 講談社ブルーバックス, 2016年)
https://www.amazon.co.jp/dp/4062579847
http://7net.omni7.jp/detail/1106691952

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