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cocolog:93717487

吉田 武『虚数の情緒』を読んだ。高校から大学1・2年の数・物の内容を中心に少し衒学的に様々に話が飛ぶとても分厚い本。昔からいつかは読んでみたいと思っていた。今の私は量子力学の部分が参考になった。 (JRF 1319)

JRF 2022年9月 6日 (火)

『虚数の情緒 - 中学生からの全方位独学法』(吉田 武 著, 東海大学出版会, 2000年2月)
https://www.amazon.co.jp/dp/4486014855 (旧版, 私が買ったもの)
https://www.amazon.co.jp/dp/4924523283
https://7net.omni7.jp/detail/1107282588

JRF2022/9/66948

高校生から大学1・2年の数学・物理学の内容を中心に、悪い意味でなく少し衒学的に様々な話題に言及するとても分厚い本。オイラーの公式まで微分を明示的には使わず説明するところはスゴイと思った。ただ、教育論やアメリカへの鬱屈した感情には少し辟易する。

JRF2022/9/63197

高校や中学で「ドロップ」した人に読んで欲しいという意図もあるのだとは思うのだが、それにしては不親切なところもあり、この本だけで「わかる」まで行くのは厳しい面もあるように感じた。(解答付きの)練習問題があるわけでもない。すでに大学で普通の数学や物理学を学んだ者が復習的に読むのなら、問題はないのだが…。

JRF2022/9/68285

数学は基本的に私が知らない話題というのはなく、そういう導き方もあるか…という程度だが、量子力学については、わかりやすく、ちょうど私は量子力学に興味を持ち出したところ([cocolog:93701863])だったのでタイムリーさもあり、興味深く読んだ。ただし、そのためだけに、この分厚い本を読むようオススメできるかというと、他を紹介したほうがよさそうという気はする。

JRF2022/9/69436

この本も、ホフスタッター『ゲーデル,エッシャー、バッハ』([cocolog:93692583])と同じく、昔からいつかは読んでみたいと思っていた本だが、大学(院)を出たあとすぐくらいにネットで見て関心を強くした面が強いかな…と思う。この本も中古を待っていたが、ようやく、興味を持つかもしれない大学一年生の甥に紹介するのに、読んでおいたほうがよかろうというギリギリのタイミングで買ったのだった。

あとはいつもより少なめに、軽く本の引用をしながら…

JRF2022/9/61243

……。

>この意味で勉強の中に遊びを入れてはいけない。子供に媚びた「愉しさ」は彼らの向学心に水を差すだけである。教育者は、子供がまともな勉強それ自身を好きになる、その為の工夫をすべきで、安手の紙芝居の如き派手さは全く必要ないばかりか、寧ろ注意を散漫にする意味で有害である。<(p.23)

JRF2022/9/60245

これは「楽しく学ぶ」のがいいことだと思ってきた私はハッとした。私は、ゲームを自分で作ってプログラムを学んできたのが、一番、勉強になったという思いがある。でも、それは「自分で」やったからいいのだろう。教師が楽しませようとするのは、「子供に媚びる」ことになり、見透かした子供にいい影響を及ぼさないのかもしれない。

JRF2022/9/60856

……。

>4.7節 数を聴く・音を数える<(p.312)

[cocolog:86489259] などで書いたが、和音についは疑問がある。特に短三度の和音がわからない。

JRF2022/9/69087

>>
>驚くことに音楽の和音は数学に基づいている。(…)長三和音は4対5対6の振動数を持っている。(…訳注…)短三和音は、10:12:15 の振動数を持っている。<(p.75-76)

しかし、この点については以前、私は次のように語った。

[aboutme:109601]
>和音は周波数で説明できると読んだことがある気がするけど、今は厳密にはそれもおかしいということなのかな。<

JRF2022/9/60114

倍音の理論はわかるとしても、それが「4対5対6」とか「10対12対15」とどう関係するのかわからない。物理的というよりは感覚的なものじゃないのかなぁ? でも、物理学者がいうからには合っているのだろうなぁ。
<<

JRF2022/9/62756

…それが、この本はわりとわかるように書いていた。特に5度と長三和音については説明があった。短三和音については謎のままだが…。

JRF2022/9/64577

……。

>9.4 節 オイラーの公式<(p.582)

オイラーの公式をテイラー展開を使わず説明するのはスゴイと思った。9.1節の e^x の近似から p.567 で e^(i π) = -1 を出すところもスゴイ。

JRF2022/9/69471

……。

上で「不親切なところがある」と書いたが、読み進むうちに、例を出す必要があるかと立ち止まった。最初の例ではないが、例えば、p.753 とか、楕円の代数的式は出てきていない…円の代数的式も出てきていなかったはず…なのに、それを前提に説明しているところなどが、「不親切」だと思う。独学者には難しいところだろう。

JRF2022/9/67740

……。

この本では野球の、特にバッティングについて物申す部分がある。そこでは振り子を紹介している部分でもあることから、私などは振り子打法のイチローを思い出した。そういえば、この本の出版は「東海」大学出版会で、イチローは愛工大名電だったから、関連があるのかと思っていた。しかし、東海大学は東京の大学らしい上に…

JRF2022/9/60026

>さて、オリックス・ブルーウェイブの主砲、イチロー選手の右足をひょいと後方に上げる一本足打法は、「振子打法」として知られている。然し、本人はこの命名に納得していない様子である。<(p.797)

この著者の理論が、下々に浸透する中でイチローが現れたのかと思ったのだが、どうもそういうことではなさそうだ。

JRF2022/9/64554

……。

>先ず、光子は“見られてない”時は干渉し、“見られている”時は弾丸のように振舞う。<(p.906)

JRF2022/9/62380

《二重スリット実験 - Wikipedia》
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%8C%E9%87%8D%E3%82%B9%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%88%E5%AE%9F%E9%A8%93
>通過スリットを特定する検出装置を置くと、量子ポテンシャルに影響を与えるために干渉縞は消失する。<

JRF2022/9/67245

検出・観測する前は、光がどこにでもありえたという状態にある。これは今の私には↓を思い出させる。

JRF2022/9/62655

[cocolog:93683699]
>そして、フラクタルな次元で起きる事象は、大部に起こることがその細部において反射のようなことが起こるとする。その反射により起こったことが全域に充填するため、エルゴード性が成り立つとなる。<

JRF2022/9/68044

検出・観測されることで、「どこにでもありえた」という多重性みたいなものは、観測した側を含む大きな系がその役割を本来は担うのではないか。ただ、平行世界みたいなものが完全に生まれると考えるにはエネルギーが足りな過ぎるように思う。重さみたいなものが、多重性をはばむことになるのではないか。

JRF2022/9/60121

ただ、それだけだと「どこにでもありえた」ことがどこに影響することもなく消えたということになる。それはそれでおかしいように思う。例えば、それにより、観測した側の時間が進む(ほんのわずかに)みたいなことがありそうに思う。そうでないとすれば、重みが変わるとか。

この部分、p.899 の ΔE Δt >= ℏ/2 が関係しているように思う。

JRF2022/9/61351

……。

>場の量子論に於ける一般的な「真空」には、無数の粒子が既に準備済みの対象として深く静かに眠っている。即ち、真空はあらゆる粒子の母胎であり、それが最低のエネルギー状態を表すことから、他のあらゆる状態に勝る“安定な存在”として屹立する。そして、「真空」にエネルギーを与え、揺り動かすと、「真空」はそれを粒子という形で我々のこの世界に送り出すのである。<(p.942)

JRF2022/9/60291

「動いてない」粒子が無数にあるということなのか、そういうことでもないのか。

フラクタル次元を考えたとき([cocolog:93624438], [cocolog:93683699], [cocolog:93701863])、実は、その次元の実体は何なのだろうという疑問があった。ここでは、粒子に満ちた「真空」と答えれるのかもしれない。

一方、和音とフラクタルを結び付けて考えるところでは、p.953 の擬粒子「フォノン」みたいなのを考えるべきなのかもしれない。

JRF2022/9/65218

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