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マルキール『ウォール街のランダム・ウォーカー』を読んだ。円安になって、円資産しか持ってないことに焦り、本書を手に取った。インデックス・ファンド以外の株投資をこきおろす本だが、日本株だとどうなのか、米株もこの高さではさすがに危険だろう…と思った。 (JRF 6178)

JRF 2022年9月21日 (水)

『ウォール街のランダム・ウォーカー 原著第12版 株式投資の不滅の真理』(バートン・マルキール 著, 井手 正介 訳, 日本経済新聞社出版 35823, 2019年7月)
https://www.amazon.co.jp/dp/453235823X
https://7net.omni7.jp/detail/1107002513

JRF2022/9/214105

原著初版 1973年, 原著 12版は 2019年。

投資本の中で、この本を特に選んだのは、↓から興味を持ったから。

JRF2022/9/210689

《なぜ投資をさっさと始めないのか - 本しゃぶり》
https://honeshabri.hatenablog.com/entry/lazy_investor
>既に投資をしている人には『ウォール街のランダム・ウォーカー』が良い。本書はかなりの割合をインデックス投資以外の投資をこき下ろすことに費やしている。そのため投資慣れして「チャートを読んで投資しようかな」「仮想通貨で一気に儲けるか」なんて時に読むと、冷静になれるだろう。もしやろうというなら、本書の主張を論破できるようになってからのほうがいい。<

JRF2022/9/215490

私は貯蓄があるのみで「投資」は行っていない。私は働いて稼げるようになることを優先すべきで、資産運用なんかに気を向けてる暇はない…そんなのしたら働いてる人に申し訳ない…と思ってきた。

JRF2022/9/216019

しかし、円安になって、円資産しか持ってないことに焦り、本書を手に取った。本書は、インデックス・ファンド(のバイ・アンド・ホールド)以外の株投資をこきおろす本。一方、日本株だとどうなのか、インデンックス・ファンドも手数料率が高く、また、過去1万円を割って最高値はずっと更新されず、日銀の PKO (Price Keeping Operation) とか ETF 買入れとかで高め圏にある気がするのも気になる。

JRF2022/9/213740

米株についても円安が進んだ上に、米株自体も高値圏でさすがに危険だろう…と思う。それとも、海外から流入するから…例えば「未開の大陸アフリカ」がある限りは…、日本株のようにいつまでも最高値が更新されないことは起こり得ないのだろうか。

なお、最近の円安・ドル高など経済事情について書いたメモを [cocolog:93746058] でログしている。ぜひそちらもお読みいただきたい。

JRF2022/9/211378

……。

投資の理論は主に二つあるという。一つは、ファンダメンタル価値理論で、配当の継続性や純資産などから株などの価値が決まるというもの。もう一つは、砂上の楼閣理論で、心理的流行によって美人投票的に株などの価値が決まり、高値で買っても「より馬鹿な投資家」がいて、自分より高値で買うため、売り逃げられると考えるもの。

JRF2022/9/212771

プロの投資家も大別すれば、ファンダメンタル価値理論を基にするファンダメンタル分析者と、砂上の楼閣理論を基にするテクニカル分析者がいる。著者は、どちらも批判するが、テクニカル分析者を特に馬鹿にする。

>テクニカル理論は、テクニカル情報を作ったり売ったりする人々と証券会社だけを肥えさせてきた。証券会社がテクニカル・アナリストを雇うのは、彼らの分析が投資家により頻繁は売買を行わせ、その結果、証券会社により多くの手数料が落ちることを期待するからだ。<(p.205)

JRF2022/9/215126

一方のファンダメンタル価値理論も、それを「使う」のは非常に難しいという。自分だけが偽物でない情報を手に入れて、それで他の人を出し抜くというのは非常に難しい。道に100ドル落ちてたら、なぜ他の人がそれを拾っていないかを考えるべきだということらしい。それを広義の効率的市場理論という。

JRF2022/9/212141

>効率的市場理論とは、一部の批判者がふれ回るように、株価がファンダメンタル情報の変化におかまいなく、ただランダムにふらふらと動くものだと主張しているわけではない。実のところ、この理論の要点はまさにその逆なのだ。株価が新たな情報に対して非常にすばやく反応するがゆえに、それに基づいて継続的に利益を得られる投資家はいないということなのである。重要な新情報は定義的にランダムに発生し、予測不可能なのだ。それはいかに過去のテクニカルな、あるいはファンダメンタルな情報を研究してみても予見できない。<(p.236)

JRF2022/9/214804

「ファンダメンタル分析の父」ベンジャミン・グレアムもいう。

JRF2022/9/215820

>……もはや、どんなに精巧な証券分析テクニックを用いても、他人より優れたリターンを得ることはできないのかもしれない。こうしたテクニックは、『証券分析』の本が最初に出版された40年前には確かに実りの多い行為だった。しかし、状況は変わってしまった。……(今日では) 多大な努力を費やして分析を行ったとしても、そのために必要なコストに見合った銘柄選択の効果を上げられるかどうかは疑問だ。……私の意見は「効率的市場」学派のほうに近いと言えるだろう。<(p.237)

JRF2022/9/213742

一方、インデックス・ファンドは、税制上も有利で、心理的な失敗が少ないからオススメなのだという。

この本には、「スマート・ベータ」や「リスク・パリティー」といった新しい技術についても紹介し、特に後者にはやや良い評価を与えている。しかし、…

JRF2022/9/217626

>もちろん、新しい投資テクノロジーの最先端のテクニックについて知る必要はある。それらは強力な味方になりうるからだ。しかし、魔法使いが現れて、私たちが頭を悩ます投資に関する問題をすべて解決してくれるなどということは決して起こらない。仮にそんな魔法使いがいたとしても、間違った目的に使ってしまうのがオチだろう。<(p.284)

ただ、結局、インデックス・ファンド推しは、米国株の幸運という特殊事情も大きいのかなと私は思う。

JRF2022/9/217228

>大々的なパニックは、最も華々しいブームと同じように、理由が何もないことが多い。どれほど見通しが暗かろうと、物事は徐々に快方に向かっていることが多いのである。株式市場を全体として見ると、常にニュートンの法則とは逆の方向に動いている。つまり、いったん下がったものは、必ずまた上がるのだ。<(p.439)

これは日本株を、日本の失われたウン十年を見てきた者には納得的できない記述だ。それはアメリカでは起こりえないのかもしれないが…。

JRF2022/9/213138

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