cocolog:93994269
「グローバル共有メモ」でコメントをいただき、AI が現実に裁判で使われているという視点で、いろいろ教えていただいた。裁判官がただ判決エンジンに頼るのは「囲碁の対局中にAIに手を教わる」ようなアンフェアさに近いなど、問題点を考えることができた。 (JRF 9311)
JRF 2023年1月30日 (月)
そのやりとりをこちらにコピペしていく。hachetten さんのコメントは内容が詰まっているので部分引用にふさわしくなく、少し長いが全文引用していく。ご寛恕願いたい。
JRF2023/1/303694
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○ 2023-01-28T00:47:47Z
hachetten>囲碁におけるAIの正確な評価値を「判例」とすれば、判例に従って自己防衛しかできない大半の裁判官はAIを使って判決するでしょう。いや、もうそれは過去形です、というのが私の持論なのですが。。しかしそれはJRFさんの「プログラムが法になる」というものとは幾分ニュアンスが異なり、いや、むしろ(曲解がなければ)その方がいいとも思えるのです。
しかし現実は裁判官が都合よくAIを借用する、という実情に憂慮しています。ちょうど、プライベートな囲碁の対局中にAIに手を教わるといったような…。
JRF2023/1/306856
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○ 2023-01-28T03:53:51Z
jrf> 囲碁も AI と人が組んでのチーム戦みたいなことも考えられたんでしょうが、結局、囲碁のプロより AI をよく知る技術者が見るほうがうまくいくということがあったのでしょう。ただ、法律の場合は、ルールがとても複雑なので、技術者だけでわかるかというと難しいように思います。当初は「チーム戦」が避けられないように思います。
JRF2023/1/308065
株取引で AI にまかせるほうが、人にまかせるより、「不正」が少なくていいというのもあるでしょう。ただ、司法判断は政治性が大きくある意味「不正」をシステムとして組み込む必要があるように思います。政治性を AI に適用していいとなるとそれはそれで問題があるように思います。ただ、未来には簡単なパラメータ調整だけでそれが済むようになり、その政治過程が単純になり、技術者の役割が大きくなるのかもしれません。
JRF2023/1/305814
しかし、…。検索エンジンが現れたときのように、判決エンジンが現れれば、裁判官に求められる資質が変わるのでしょう。裁判官だけが(または技術者だけが)判決エンジンを学習させたりなどの操作ができるとなれば、当事者にとってフェアではないと思います。裁判官も当事者も何を学習させるかを合議した上で、判決エンジンを操作すべきなのかもしれません。
JRF2023/1/309928
何を学習させればよいか知っているということが、裁判官他司法関係者が備えるべき技術的資質になるのかもしれません。そう考えると hachetten さんのいうように、裁判官がただ判決エンジンに頼る「現状」は、「プライベートな囲碁の対局中にAIに手を教わる」ようなアンフェアさに近く、改善の余地があるのかもしれません。
JRF2023/1/303232
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○ 2023-01-28T06:05:21Z
hachetten>そうした「判決エンジン」のパッケージ、現状、それに近いものが数百万で存在するようですが、将来的により精度の高いものが「民意事件版」、「刑事事件版」として販売され、しかし、判決エンジンに両者が存在することに疑問を抱いてしまいます。
それでも、名ばかりの「合議制」(一人の裁判官ボスの意見が占め、あとの裁判官は飾り)より、AIを用いる「チーム制」の方が、少しは冤罪が減るかなと思ってはおりますが。。
JRF2023/1/308241
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○ 2023-01-28T07:41:15Z
jrf> 「判決エンジン」…私は電子辞書みたいなものはあるのだろうと思っていたのですが、すでに AI と呼べるものがあるのですか…。誰がチューニングしてるのか、その政治的偏りがどうなのか…。複数の大学がチューニングしているとかなら、まだ意義深さはあるのかもしれませんが…。
JRF2023/1/303920
ただ、いずれにせよ、そういった「AI」を使わないよりは、使ったほうが、より深い意見が書けるというのはあるのかもしれませんね。現状においては。将来的には求められる資質が変わることから、裁判官自体の変質があるのでしょう。
JRF2023/1/308628
AI だから公平だという印象は、最近の AI の偏向により、かなり私の中ではなくなっています。AI はかなりコントロールできるものだと思っています。誰がコントロールするか(例えば大学)、誰が責任を持つか(例えば裁判官・弁護士・検事などの「合議」)、そういう要素が必要なように私は思います。
JRF2023/1/300862
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○ 2023-01-28T10:48:17Z
hachetten>「判例エンジン」という表記ではなかったですが、裁判官が数百万円の「判例ソフト」を買い込んで判決している、という問題“提訴”の記事でした。しかし、判決に不都合な情報は裁判官の「意思」によってスルーされ、その上で、判例ソフトを駆使し、判決の責任逃れ(自己防衛)、といった内容だったと憶えています。囲碁ソフトがプロより強いことがやっと世間も認知しはじめた2016年頃だったかと思いますが、そのソフトがAI的なものだったかを記事が訴求していたかは、よく憶えていません。文春か新潮でした。
JRF2023/1/304878
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○ 2023-01-28T11:32:30Z
jrf> 裁判所がどういうものを使っているかはわかりませんが、「判例ソフト」でググると、民間サービスがいくつかありますね。それらの公平性がどう確保されているのか、興味深いです。裁判所も特定の民間サービスに頼るとすれば、少し違うんじゃないか…という気はします。裁判官が責任回避を今しているかというと疑問に感じますが、将来的には資質が変わって、判決の責任を感じない…判例ソフトのせいと考える者が出てくるのかもしれません。
JRF2023/1/308700
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○ 2023-01-28T11:36:47Z
hachetten>買い込む、と申しましても裁判官が個人で購入することはないと思いますから、裁判所が組織で調達。ソフトの値段は忘れましたが、一千万円近かったような気がします(…数百万でも桁上寄りだったかと思います)。ベンダーがどこかと言うことですが、それだけの販売値がつくとなると、大学ではないと思います。普通に考えれば大学とかの研究機関かなと思うのですが、高額すぎる気がします。
JRF2023/1/301924
単に電子事典ですと、いわば「電子判例集」、近いものは電子ブックやEBwinGでもありますから、それだけ高額ということは、やはりAIを備えた「判決エンジン」的なものと今は思っています。
JRF2023/1/309712
○ 2023-01-28T11:42:13Z
hachetten>すみません、電子ブックとかのは六法全書的なものでした。ご存知のとおり、判例集ではありません。
JRF2023/1/307140
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「判決エンジン」かどうかはわからないが、今ある民間サービスでも、判例以外に他の本などからの注釈があるというもので、検索エンジンの実装…ランク付けとかによっては、かなり AI に近いものになっているのかもしれない。
JRF2023/1/302103
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[cocolog:93844439] で日本を若者専門家が専制支配するという文脈で、弁護士檀家制度を述べたが、そこで…、
>弁護士檀家制度。ケアマネージャーとか古物商とかを統合していくことを考えたが、要は、インターネット教材とか試験は国が用意するがそれは弁護士の元で行い、弁護士(協会)が最終的な責任をもって、資格相当者を(あるときは別の地方区域から)派遣するという形にしていけばよいのだろう。<
JRF2023/1/306139
…と述べた。これは AI 的なものではなく、試験がランダム性を持って自動生成されるようなものを考えていたが、これと AI をどうからめるかという視点が必要なのかもしれない。AI がそういう資格者を不要にしていくという視点もありうるし、囲碁 AI が囲碁プロを鍛えたように、AI が資格職をより高度にしていくという方向もありうるだろう。
JRF2023/1/304054
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いろいろ考えることができて良かった。hachetten さん、ありがとうございます。
AI と法律、今後も注目していきたい。
JRF2023/1/308051
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追記。
○ 2023-01-29T16:12:55Z
jrf> 《AIを使った「ロボット弁護士」出廷が人間の弁護士からの「刑務所にぶち込む」との脅迫殺到で中止 - GIGAZINE》
https://gigazine.net/news/20230127-robot-ai-lawyer-legal-cancelled/
JRF2023/2/115267
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○ 2023-01-30T02:30:57Z
hachetten>AIが準備書面を作成するとなると、その正確性は人的のそれを凌駕すると思います。しかし現実の法廷では誘導の権限は裁判官が(都合よく)保持するため、AIの“教え”に習って法廷被告の“主張”もかわされるかと危惧します。AIが介在する場合は、裁判制度そのものの公正なシステムの確立が必要かと思います。AIが介在すれば、裁判官の「見込み判決」とか「癒着」も解消されるでしょうが、そうした「作為の猶予」を裁判所は望んでいると思いますが、AIがそれを阻むことを恐れもしていると…。
JRF2023/2/117113
実際の裁判では口頭弁論は行われないに等しいため(ドラマにあるようなシーン)、事前の弁護書面をAIが作成したとしても、かつての週刊文春の記事にもあるような、案件に好都合な要素だけが抽出されて天秤にかけられるのであれば、現状の裁判のスタイルそのものをAIが是正してほしいと思います。
現実の法廷では原告、被告ともに“しゃべる時間”がないため、AIロボットが弁護する時間も与えられないと思うのですが…。よほどの大事件は例外でしょうが。。
JRF2023/2/113882
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○ 2023-01-30T03:40:22Z
jrf> AI にどう事実認定をさせるか。事実の記述方法で AI が導く判断が変わるというのは、少なくとも初期には現れるでしょう。法曹三者が結託して AI の判断を曲げることもできるでしょう。しかし、基本的に AI が判断しなければならないとするなら、「不正」の程度は限られるのかもしれません。
JRF2023/2/111123
今は法曹三者の学術的関心が、判例の分析に向けられ、裁判の質を担保しているのだと思います。それが AI の質の担保に変わり、それにより、裁判の数がこなせるようになる…とできるのかもしれません。不起訴が減る…それどころか、すべての事件を裁判にかけることが可能となるかもしれません。自然、人間の関与は少なくなります。でも、被告を人が調査する時間等がないと、口下手な被告が大きく不利になるとかないでしょうか…?
だから、信用スコアを事前に作っておくという話になるのかもしれませんね…。
追加の調査の必要性なども AI が指示するようになるのでしょうか?
JRF2023/2/110323
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○ 2023-01-30T10:40:26Z
hachetten>誤解を招くコメントになりますが――、法廷そのものが裁判官と弁護士の「サークル場」とするなら、気が合う、たとえば出身学校が同じなども含め、某酒屋で一緒に飲むといった間柄なら、両者が法廷に立つ場合、額面通りの「公正」がなされるかと言えば、NOと私は思っています。
JRF2023/2/117900
このため、判事と仲良しのA弁護士がつけば、それを支持して無罪にし、廊下で会っても挨拶ひとつしないB弁護士なら、逆に有罪判決という両義性が育つのかと思うのですが、人的感情抜きのAIが介在すればその余地は減少し、「公正」な判決に向かうと考えています。ただ、それでもオフに酒場で酌み交わす間柄の弁護士の場合はポイント+1又は-1などをAIに仕込むことで、依然「不正」は消えないと思います。
JRF2023/2/116869
競馬で言えば、コンピュータがはじき出した勝ち馬に騎手の能力によって+、-の加点、減点の行為よりはるかに作為的かと憂慮するのですが…。
まあ、とんでもない着想のコメントでしたら、申し訳ありません(笑)…。
JRF2023/2/113756
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○ 2023-01-30T13:07:57Z
jrf> hachetten さん、司法関係者といえど人ですからね。多少はそういうことはあるでしょう。記録を充実させ、事後にチェックする。それも AI になるのですかね。そういうことで防いでいけないか。…と私などは軽く考えてしまいます。甘いですね。
JRF2023/2/110252
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○ 2023-01-30T13:28:53Z
hachetten>あまりに無茶なコメント入れてすみません。ただ、民事などは本来の賠償請求が500万くらいが妥当なのに、ひいき側に100万とかに減額は起きていると思います。これも「さじ加減の調整という作為」ですが、「判決エンジン」なら公正な額をはじくと思うのですが。AIでその辺を是正してもらえたらと思っています。
JRF2023/2/119722
[cocolog:93979779] でミルトン『言論・出版の自由 アレオパジティカ 他一篇』を読んだが、そこで、日本国憲法の異物である天皇制が法の限界を示すものとして憲法と生きた関係にあると述べた。それは法=プログラムと人とのこれからの関係にも役立つことが期待されるように私は思っている。
その「プログラムが法になる」という部分について、AI が現実に裁判で使われているととらえて、hachetten さんが「グローバル共有メモ」にコメントを下さり、いろいろ教わることができた。
JRF2023/1/304284