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子供向け角川つばさ文庫の星新一の小説集『まぼろしの星』『宇宙の声』『きまぐれロボット』を読んだ。子供に星新一がどう語り継がれるのか知りたくて読んだ。なぜか後のもののほうは説教くさく感じた。 (JRF 5041)

JRF 2023年2月21日 (火)

『まぼろしの星』(星新一, 角川つばさ文庫, 2009年7月)
https://www.amazon.co.jp/dp/4046310367
https://7net.omni7.jp/detail/1102706606

JRF2023/2/212491

『宇宙の声 星新一ジュブナイルセレクション』(星新一, 角川つばさ文庫, 2009年11月)
https://www.amazon.co.jp/dp/4046310618
https://7net.omni7.jp/detail/1102812037

JRF2023/2/210796

『きまぐれロボット』(星新一, 角川つばさ文庫, 2014年3月)
https://www.amazon.co.jp/dp/404631382X
https://7net.omni7.jp/detail/1106385815

JRF2023/2/215313

角川文庫の『きまぐれロボット』(1972年・2006年改版)・『ちぐはぐな部品』(1972年・2006年改版)・『宇宙の声』(1976年・2006年改版)の三冊に載っていたものを子供向けにルビを付けたものらしい。要は角川の事情が反映したもので、数多くの星新一作品から厳選した作品というわけではなさそうだ。

ネタバレになるので少し間を空けて…。

JRF2023/2/210093

……。

……。

『まぼろしの星』を最初に読んだのだが、お父さんが宇宙にいなくなって帰って来ない子が、女の人と冒険する。そして、最後に少子化が極まって滅んだ文明を人間が継ぐという話なのだが、つまり、その少子化がある種宇宙の試練だと読めるようになっている。そこを短絡すれば、お父さんとその女の人は結婚すべきではないかということになり、再婚を子供に納得させるようなインセンティブを持っている。

JRF2023/2/213931

なりゆきまかせもこの話の特徴で、そこが批判的に読むことが期待されてるのかよくわからない。「そういうものだ」というのがむしろ星新一のスタンスのように読める。

なぜ、ショートショートではなく、最初にこの割と長い「中編小説」を星新一紹介の第一に選んだのか謎だった。ショートショートも載っており、そちらのほうがパンチがきいていてよかったし。

JRF2023/2/211713

しかし、それは『宇宙の声』を読んだあと、『きまぐれロボット』を読むにいたり、印象が変わる。私の記憶の中では、もっと星新一の小説はアイロニカルな部分があったように思ったのだが、後にいくほど、どうもオチがありきたり…というわけではないが、教訓的になってしまって、子供が楽しめるのか疑問に思った。

これは上に書いたように角川の事情のせいなのではないか? …と疑問に思った。

もしかすると、今、星新一の小説を他に読んでもそういう印象になるのかもしれないが。

JRF2023/2/219529

なお、もう一つの「中編小説」である『宇宙の声』は、最後までがんばって何でもやってみようという話になっていて、それが311の前に説かれていたことに、少し驚いた。311のあとのメッセージのように感じたからだ。

それが311後に受けたので、教訓的な話が並ぶ『きまぐれロボット』編が作られたということなのかもしれない。

JRF2023/2/217402

私は子供向けがどうなるか知りたくて、これらを読んだのだが、そういう特殊な志向のない方は、他の小説集を買い求めたほうがいいのかもしれない。量が多過ぎて集めようとすると高くつくけどね。

JRF2023/2/211293

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