cocolog:94066719
加藤文元『宇宙と宇宙をつなぐ数学 - IUT理論の衝撃』を読んだ。ABC予想を解決したとされる望月新一教授の IUT 理論(宇宙際タイヒミューラー理論)の解説本。違う数学を定義するのは基礎論では普通ということもあって、新奇さがあまり私には伝わらなかった。 (JRF 5202)
JRF 2023年3月 9日 (木)
ABC予想を解決したとされる望月新一教授の IUT 理論(宇宙際タイヒミューラー理論)の解説本。[wikipedia:宇宙際タイヒミュラー理論] は、論争があり今も論争は続いているものの、論文としてアクセプトされたらしい。そこに私は反感はないが、この本の書き振りは少々いただけないと思った。
JRF2023/3/96615
わかりやすい説明でわかった気にさせてくれるのは、基本的には良いことなのだが、ただ、欧米の数学者が理解しない…みたいなことを書いていて、わかる日本人のオレ偉い…という右翼的な思想を許す構成となっており、角川だからしかたないのかもしれないが、そこは、あまりよくないな…と思った。これからの時代、そうでもしないと数学者が日本に残ってくれない…という危機感があるのかもしれないが…。
違う数学世界を群を使って対称性を通信するということだが、違う数学を定義するのは私の専門だった基礎論では普通ということもあって、新奇さがあまり私には伝わらなかった。
JRF2023/3/90490
また、対称性の通信というのが、私は最近知った [wikipedia:シェルドレイクの仮説] というトンデモを思わせるのも気になった。シェルドレイクの仮説はこの本に出てこないが、それを知る世代ならそこに想像が及ぶ書きぶりで、この辺も角川の作為を私は感じてしまう。
JRF2023/3/90722
ただ、私は『「シミュレーション仏教」の試み』を書いたとき、一般向けの部分でかなり言い訳っぽいことと書いた。そうじゃないと普通の人には伝わらないことが多いと思ったから、いや、もっと言ってしまえば、かなり防御壁を張らないと攻撃されることもありうると思ったから。その点、かなりクドくこの本が人格面などに焦点を向けるのは共感できる気がした。
JRF2023/3/93666
正直、数学書としては記述が簡単過ぎて、いまいち何が新しいのか私にはわからなかった。が、そういう者は、もっと専門的なものを読むべきだということだろう。逆にそうなると、私は読めなくなるのだが orz。
JRF2023/3/90846
『宇宙と宇宙をつなぐ数学 - IUT理論の衝撃』(加藤 文元 著, 角川書店, 2019年4月)
https://www.amazon.co.jp/dp/404400417X
https://7net.omni7.jp/detail/1106980133
JRF2023/3/97625