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SF短編小説集の河出文庫『20世紀SF』全6巻を読んだ。総じておもしろかった。好みが人によって違うと思うが、私はフェミニズム色が強い4巻がダメで現代に近い5巻・6巻が楽しかった。 (JRF 8823)

JRF 2023年5月31日 (水)

(「グローバル共有メモ」で書いたことをコピペする。)

『20世紀SF 全6巻』(中村 融 & 山岸 真 編, 河出書房新社, 2000年11月〜2001年9月)
https://www.amazon.co.jp/dp/4309462022 (第1巻)
https://7net.omni7.jp/detail/1101711387 (第1巻)

JRF2023/5/310057

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○ 2023-05-13T20:20:49Z

『20世紀SF (1) 1940年代 星ねずみ』(河出書房, 2000年10月)を読んだ。生と死を扱う「万華鏡」(レイ・ブラッドベリ)はやはり名作。同じく生と死を扱う「鎮魂歌」(ロバート・A・ハインライン)も良かった。それらは「抒情的 SF」で、抒情的という面では、「美女ありき」(C・L・ムーア)もよく、ディアドリというサイボーグ美女が現代的で描かれている姿を見てみたいと思った。

JRF2023/5/313090

「現実創造」(チャールズ・L・ハーネス)は統合失調症的妄想を思い出させるものだった。地球が本当に平らだったのが、「科学の進展」により丸く再創造されたとかいう妄想。岩石などが何億年の時を刻んでいるのは、そう見えるように創造されただけとかそういうもの。そういうのは1950年にもあったんだね。

JRF2023/5/316686

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○ 2023-05-13T20:44:05Z

「成果」が何もないので気が焦るが、とにかく今は読書を続けよう…。

JRF2023/5/315414

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○ 2023-05-14T20:23:27Z

『20世紀SF (2) 1950年代 初めの終わり』(河出文庫, 2000年11月)を読んだ。自閉症の子供と先生の関りを描いた「なんでも箱」(ゼナ・ヘンダーソン)に顕著だが、心理学や社会学に目を向けた作品が目立った。「父さんもどき」(フィリップ・K・ディック)はホラーで、「終りの日」(リチャード・マシスン)は終末物だが心理に重点があった。同性愛物の嚆矢である「たとえ世界を失っても」(シオドア・スタージョン)も心理への傾斜と言えるかもしれない。

JRF2023/5/312993

農村での社会学的な不思議を描き、「種あかし」は結局描かなかった「隣人」(クリフォード・D・シマック)と、作曲家リヒャルト・シュトラウスを未来に「再生」させてその苦悩を描いた「芸術作品」(ジェイムズ・ブリッシュ)が(途中から結末が見えたとしても心理の描き方が)今回、私のお気に入り。

JRF2023/5/317555

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○ 2023-05-14T21:44:46Z

いろいろ滞り気味だが、これが私本来のペース。最近いろいろ作業を詰め込み過ぎていた。他の人にしてみればたいした仕事量でないことも、私には重荷になっていた。どうせ私の「仕事」を待ってる人もいないのだから、ゆっくりやろう。焦らず急がず。

JRF2023/5/311714

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○ 2023-05-17T23:34:36Z

『20世紀SF (3) 1960年代 砂の檻』(河出文庫, 2001年2月)を読んだ。「町かどの穴」(R・A・ラファティ)は吾妻ひでおを思い出す不条理SF。ドラッグ体験が不条理を生んだというより、不条理の是認がドラッグの是認につながったという時代的順序なのだろうか。

JRF2023/5/312183

そこからイルカとの文明的交流を描いた「イルカの流儀」(ゴードン・R・ディクソン)のように自然への回帰のような視点を取り入れつつ、不条理も自然も包摂し科学が魔法に近づく「讃美歌百番」(ブライアン・W・オールディス)に至るという感じだろうか。

JRF2023/5/319213

一方、保守的な SF のラインも生きていて、「メイルシュトレームII」(アーサー・C・クラーク)や「砂の檻」(J・G・バラード)や「銀河の〈核〉へ」(ラリイ・ニーヴン)がある。内宇宙と外宇宙の統合が、アメリカ史の「傷」を意識させる「太陽踊り」(ロバート・シルヴァーバーグ)を生んだのだろう。

JRF2023/5/319862

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○ 2023-05-23T13:38:52Z

目がつらい。うまくしないと字が読めない。

JRF2023/5/314093

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○ 2023-05-25T06:13:43Z

本を読むのが苦痛になってなかなか先に進めない。ジェンダーとか、性とか、愛とか、SF にはいらねって。まぁ、それがあったから読者層が広がってジャンルが延命したとかあるのかもしらんが…。

JRF2023/5/317299

性愛がなければ小説でない…とか、10代を振り返った20代・30代の感想だろう。50代になったら、逆にそういうのがお猿さんの感想に思える…とか書いたら書き過ぎか。

まぁ、私はそういうのに全く恵まれなかったから、嫉妬してるんだろう。価値がよくわからないというのが正直なところ。宗教家の性の否定もこういうところから出てるのかな?

JRF2023/5/310504

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○ 2023-05-25T15:28:09Z

『20世紀SF (4) 1970年代 接続された女』(河出文庫, 2001年5月)を読んだ。フェミニズムや性愛への関心が目立つ巻だった。女性だけの世界に男性が「復活」して訪れるのを女性視点で描いた「変革のとき」(ジョアンナ・ラス)、すべてが基本女性で単性生殖的に一子だけ設けるのが普通の時代に両性の生殖から生まれた子の苦悩を描いた「逆行の夏」(ジョン・ヴァーリィ)。

JRF2023/5/319827

サイボーグの性の苦悩を描く「情けを分かつ者たちの館」(マイクル・ビショップ)、SFは味付けでしかないロマンス「限りなき夏」(クリストファー・プリースト)。女性の読者が増え、作家も女性が増えた時代であったことがうかがえ、それが SF というジャンルを「延命」したのだろう。

「空[スカイ]」は不条理に理屈を持ち込んで哲学的になった思弁的 SF の例だろうか、私はまだそちらのほうが付いていきやすかった。この巻は読むのに時間がかかった。

JRF2023/5/318148

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○ 2023-05-27T10:20:56Z

ジルパの活動も、AI画像生成も滞っていますが、もうしばらく読書に専念します。

JRF2023/5/313107

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○ 2023-05-27T14:02:46Z

『20世紀SF (5) 1980年代 冬のマーケット』(河出文庫, 2001年7月)を読んだ。こういうと申し訳ないが4巻と違いおもしろかった。「俺たちの SF」が帰ってきた。サイバーパンク「冬のマーケット」(ウィリアム・ギブスン)など性描写があっても下品でよかった。

JRF2023/5/317878

なんといっても、デザイナーズ・ベビーに欠陥があってその友人達が死んでいく学園物「姉妹たち」(グレッグ・ベア)には泣かされた。ナノマシンの嚆矢「やさしき誘惑」(マーク・スティグラー)も泣けた、超人ロックを少し思い出した。

宗教物「調停者」(ガードナー・ドゾワ)や、やや不条理だが感情を揺さぶる「征たれざる国」(ジェフ・ライマン)も感動した。

JRF2023/5/311647

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○ 2023-05-28T21:19:18Z

『20世紀SF (6) 1990年代 遺伝子戦争』(河出文庫, 2001年9月)を読んだ。5巻よりおもしろかった。現代に近づきリアルさを増したからだろうか。冷戦が終わって饒舌に語ることができるようになったからだろうか。耐性菌を扱った「進化」(ナンシー・クレス)、脳外科を扱った「しあわせの理由」(グレッグ・イーガン)。

JRF2023/5/315499

AI でメディア生成が行われる時代に著作権や児童ポルノ的なものが問題になることを「予見」した「真夜中をダウンロード」(ウィリアム・ブラウニング・スペンサー)、先生を目指す人に読んで欲しい「ケンタウルスの死」。月にはまず携帯局が必要と思わせる「日の下を歩いて」(ジェフリー・A・ランディス)。

JRF2023/5/315276

ただ、「キリマンジャロへ」(イアン・マクドナルド)は主人公が最低で楽しめなかった。異星植物はエウレカセブンを思わせ興味深かったのだが。

JRF2023/5/310201

本シリーズのまとめのようなもの。>世界が SF と化したとき、SF が生みだした迷妄も現実の力をふるったのだ。もし SF が宇宙開発の実現に手を貸したことを誇るなら、地下鉄サリン事件を誘発した責任も引き受けなければならないだろう。世紀末にいたり、SF はその意味でも功罪を問われたのである。<(p.469)

JRF2023/5/311391

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